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粒状化絵具について(グラニュレーションカラー)

今回は粒状化の色についてお話ししたいと思います。粒状化の色は独特の風合いがあるので、特性を知っておくと制作に役立つと思います。

粒状化絵具って何?

粒状化の色はグラニュレーションカラーともいいます。粒状化の色は粒子が粗い色です。顔料の粒子が大きく重たいので、紙のくぼみに絵具が溜まって独特の風合いになります。水彩紙に塗ると均一な感じにはならず、ざらざらっとした感じになります。

粒状化絵具の特徴って?

粒状化色であるセルリアンブルーと、粒子の細かいフタロブルーを比べてみました。同じような青に見えますが、粒状化色であるセルリアンブルーは、紙の凸凹を反映していることが分かるでしょうか。

粒状化色(グラニュレーションカラー)の特徴

  • 紙の地の凹凸や模様が反映される。目の粗い水彩紙に塗ると、凹凸がはっきり見えます。
  • 絵具の顔料の粒子が見える。絵具の粒々とした小さな点々が見えます。
  • 塗るとざらざらっとした質感になる
  • 粗密で、紙の色が透けて見える。色自体は濃い色だったとしても、ちょっと薄めに色がのります。
  • 粒子の細かい色と混ぜると分離してしまう。うまく混ざりきりません。すぐに色が分かれてしまいます。

どの色が粒状化の色なのか?

メーカーによってはパンフレットを見ると、Gというマークがついた色があります。これはグラニュレーションカラー(Granulation color)の略で、粒状化の色です。(W&Nとシュミンケホラダムのパンフレットには記載があり、選びやすいです)

具体的には

  • コバルトブルー
  • コバルトグリーン
  • ウルトラマリン(メーカーによって違いあり)
  • セルリアンブルー
  • ポッターズピンク
  • マンガニーズバイオレット
  • ローアンバー

などです。メーカーによっても粒状化の度合いは異なります。特に青系の色は粒状化の色が多いです。

どんな表現ができる?

ゴツゴツやざらざらの感触

例えば、地面や岩、古い建物など、ゴツゴツしたものや時間の経過などを表現したい時、粗い表現にしたい時に、粒状化絵具はとても便利です。普通の色で塗っても、フラットな感じになりすぎて迫力が出ないことがあります。そのような時に粒状化色を使うと、ニュアンスを加えることができます。単色で使って、粗密感が出てしまう時は、重ね塗りをするといいです。特に茶系の粒状化色は一つ持っておくととても便利です。

分離

あえて分離させて、不揃いなにじみを楽しむ。粒子の細かい色と粒状化色を混ぜると、色が混ざりきらず、分離します。ちょっと困った現象ではあるのですが、色の組み合わせによっては、きれいです。様々な色が見えるので、面白い表現になることもあります。色と色の変化を見せることができます。もちろんウェットインウェットでも同じようなことはできるのですが、また違った味わいがあります。

どこに塗ると効果的?

私はどちらかというと、鮮やかな色の粒状化カラーよりも、茶色系の粒状化色を愛用しています。粒状化カラーは使う場所が大事かな、と思っています。

人物の肌などは、粒状化カラーではきれいに見せることができません(肌がまだら模様になってしまう。特に顔は注意)なので、なるべく粒子が細かく、かつ染みつきの強い色を塗るようにしています。その方が滑らかに見えてきれいですし、重ね塗りの時もトラブルになりません。

一方、人物でも、髪の毛なら、粒状化の色は面白いです。ちょっとニュアンスを加えることができて、面白いです。艶のないマットな質感に仕上げることができます。

自然を描くにしても、花はなるべく粒状化カラーではなく、粒子の細かい色で描きたいところですが、葉っぱや、木の幹だったら面白いです。岩だったらむしろ粒状化カラーの方が効果的です。あとは、イラストだったら、背景の建物なども、粒状化カラーを使うととても雰囲気が出ます。

あとは色自体が鮮やかで魅力的だけど、粒状化カラーというものも多いです。ウルトラマリンやコバルト系のブルーやグリーン、セルリアンブルーなどは、他に替わるような色がないのですが、粒状化カラーの代表的な色です。これらの色は混色の際、分離しやすいので、その特性を頭に入れつつ使うと良いのかなと思います。特にウルトラマリンは使う頻度が多い色だと思うので、できれば粒子が細かめの(粒状化しない)ウルトラマリンが一つ手元にあると、とても重宝します。この記事に詳しく書いています→ウルトラマリンについて

おすすめの粒状化カラー

  • ローアンバー(W&N)どのメーカーにもあるが、W&Nのものはココア色で使いやすい色
  • インディアンレッド(シュミンケ)赤紫がかった深い茶色。上品な色。
  • コバルトターコイズ(W&N、シュミンケ)かなり鮮烈なブルーグリーン。混色では作れない色
  • コバルトグリーン(W&N)粗密な色だけれど、面白い色
  • フレンチウルトラマリン(W&N、シュミンケ)通常のウルトラマリンよりも赤みが勝っている
  • マンガニーズバイオレット(シュミンケ)粗密な紫。重ね塗りや分離させるときれい
  • セルリアンブルー(ホルベイン、W&N)空色。かなり粗密な色だが、色合いが美しい。

色の見本がなくてごめんなさい(-_-;)パンフレットや店頭で確認していただければと思います。

最後に

粒状化カラーも独特の味わいがあるので、何色かあると便利です。粒子の細かい色と両方あると便利だと思います。透明水彩は絵具によって、顔料の性質も少しづつ違うので、うまく付き合っていけるといいのかもしれません。