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透明水彩、重ね塗りがうまくいかない、という人へ

透明水彩の技法、重ね塗り

透明水彩の技法に重ね塗りというものがあります。グレーズとも呼ばれますが、このサイトではシンプルに重ね塗り、と呼んでいます。

絵具で塗って、乾いた上に、重ね塗りすることです。

こんな感じですね。

絵具の透明感を生かした、透明水彩らしいテクニックですね。ところが、この重ね塗り、意外とうまくいかないんです。

重ね塗りがうまくいかない!
上から色を塗ると、下の色が溶けてしまう💦

ということ経験ありませんか?

私も初心者のとき、頭をひねりました。重ね塗りは透明水彩の基本的な技法。有名作家さんの作品など見ると、キレイに色が重ねられています。どうやったら、こんなにキレイに重ねられるのか?私が下手すぎるのかなあ?と。

なぜうまくいかない?原因を探る!

重ね塗りがうまくいかず、下の色が溶けてしまうのは、テクニックの問題だけではありません!

ひよこ
ひよこ

早く知っていれば、遠回りしなくて済んだよ…

解決法1 乾いてから塗る

まず基本的なことからお話します。

重ね塗りは下の色が完全に乾いてからです。

下の色が濡れているうちに、上から色をのせると、すぐににじんだり、溶け出してしまいます。

注意するのは「乾いたかな」と思っても、中の方がまだ乾いていないことがあることです。

水をたっぷりのせると紙の奥がいつまでもしめっていたり。乾くのに時間がかかることも多いです。

表面が乾いたように感じても、触って見て少しでも冷たい感じがしたら、まだです。かなり待った方がいいです。

しっかり乾かしてから、塗っているのに、

「やっぱり下の色が溶けてしまう」という場合は解決法2、3を読んでみてください。

解決法2 紙を変える

実は、90%くらい水彩紙が原因です。

水彩紙には大きく分けて、2種類あります。コットンパルプ(コットン紙)木材パルプ(パルプ紙)です。原料が全然違うので、性質も全く異なります。

コットン紙は水や絵具をよく吸収するので、絵具の定着が良いです。ですので、重ね塗りがキレイにできます。

パルプ紙は絵具が紙の上に乗っかっている状態なので、上から色を塗ると下の色がすぐ溶けてしまいます。その分修正ができるという、メリットもあります。

コットン紙の代表は、アルシュや、ウォーターフォード、ストラスモア、
ランプライト、セザンヌなど

よく初心者用の紙として、勧められるお手頃な紙はほとんどパルプ紙です。なので、重ね塗りがしづらいのです。重ね塗りを何度もしたい、という場合は、コットン紙を使うしかありません。

コットン紙はパルプ紙に比べると高価です。初めから高価な紙を使うことに抵抗がある人もいるかもれませんが、私は初心者のうちから、コットン紙にチャレンジしておけばよかったなあと思っています。

やっぱりコットン紙でしかできない技法があるので。

練習用の手頃な紙と、高機能なコットン紙とうまく使い分けができるといいかもしれません。

水彩紙についてはこちら↓

おすすめのコットン紙を記事の下の方に書いておきますね。

解決方法3 絵具を工夫する

やっぱり、パルプ紙が使いたいこともあると思います。私もよく、練習用に使っています。やっぱり気兼ねなく使えますしね。

そのような場合におすすめの方法があります。

絵具には、それぞれ着色力というのがあります。顔料によって、紙に染みつきやすい顔料があったり、そこまで紙に定着せず取れやすい顔料があったり。

例えば同じ青でも、フタロブルーは顔料の粒子が細かく染みつきやすい色です。ウルトラマリンは粒子が大きくあまり定着しにくい色です。

なので、着色力が強い色を下塗りに使うのです。

例えばプルシャンブルーという色がありますが、この青はとても着色力が強い色です。

なのでこの色を下塗りに使います。そのあとに他の色を重ね塗りすると、あまり下のプルシャンブルーは取れません。

着色力の強い色は、

  • プルシャンブルー
  • クリムソン
  • インディゴ
  • パーマネントマゼンタ
  • ヴェネチアンレッド
  • ペインズグレー

などがあります。鮮やかな色は少ないのが難点です。。

ホルベインのカタログには、この着色力に関する記載がないのですが、ウィンザー&ニュートンは着色力の強い色はSt(ステインカラー)というマークがついています。シュミンケホラダムもカタログに△で着色力の強い色がわかるようになっています。

解決方法4 筆を柔らかいものにする

ほとんどの場合は、紙を変えることで解決しますが、たとえコットン紙でも、あまりゴシゴシこすると下の色が動いてしまい、キレイに重ねられない、ということがあります。

重ね塗りの時は、筆でゴシゴシせず、そっと乗せるような感じで塗ると良いと思います。

重ね塗りに使う筆を柔らかいものに変えてみる、という工夫もあります。

一般的に安めのナイロン筆は毛が硬いので、下に塗った色を削ってしまうことが多いです。毛が柔らかいもの、というと、リスや羊の毛の筆が柔らかいです。これらの筆はあまりコシもないので、あまり細かい動きはできませんが、その分そっと色をのせることができるので、重ね塗り用にはいいと思います。

リス毛はちょっと高価なのですが、羊は割とお手頃です。こんなものもおすすめです。

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おすすめのコットン紙

とにかく絵具をきれいに重ねたい!絶対に下の色が溶け出して欲しくない!

という方におすすめなのが

ウォーターフォード

という水彩紙です。

この紙は、コットン紙の中でも特に重ね塗りに向いている水彩紙です。

この水彩紙は、何回色を重ねても、下の色はビクともしません。とてもきれいに色を重ねられます。

注意するのは、下の色が完全に乾いてから重ねることです。

ただ、その代わり、乾いてから色を取り除くこと(リフティング)もできません。つまり修正ができません。輪郭をぼやけさせることもできません。

でも「重ね塗りする」ことを考えると、とてもよい水彩紙です。

値段はコットン紙の中ではまあまあ手頃です。

ナチュラルとホワイトがありますが、微妙に感触が違い、ナチュラルの方が乾くのがゆっくりで初心者におすすめです。

まとめ

いかがでしたか。私も水彩紙の特性について知らずに、何となく紙を選んで絵を描いていました。この情報もっと早く知りたかったなあ、と思います。

透明水彩の教本はたくさんあって、何冊もチェックしているのですが、このことについて書かれている本はありません。

多くの人が、水彩紙の種類について、あまりよく知らないと思います。

ひよこ
ひよこ

意外と説明してくれるテキストがないんだよねえ…

重ね塗りのテクニックは、当然のように教本で紹介されているのですが、意外と重ね塗りができる水彩紙は少ないんです。もちろん、全ての絵を高価な水彩紙で描くというわけにはいかないので、お手頃な紙で練習も必要と思います。その時、お手頃な水彩紙が、「重ね塗りが可能な紙なのか」ということを知っておく必要はあると思います。

かれは
かれは

「この紙は重ね塗りが不得意なんだ」って知っておくだけで、かなり違うと思うよ。重ね塗りがうまくいかないのはテクニックの問題じゃないからね。

解決法3の着色力の強い絵具を使う、は私が思いついた方法なので、すべての水彩紙でうまくいくか分かりませんが…

是非、試してみてください!

何か参考になることがあれば嬉しいです。

今回はウォーターフォードをおすすめしましたが、下に、重ね塗りが可能が水彩紙のリンクを貼っておきますね。これらは基本的に重ね塗りができる水彩紙です(程度は、差があります)

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