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セヌリエ透明水彩-全98色レビュー(おすすめ色も紹介)

セヌリエの透明水彩について、全色試させて頂く機会がありましたので、使用感やおすすめ色を紹介したいと思います。

セヌリエの透明水彩とは

セヌリエはフランスの絵具メーカーです。最高級の顔料とアラビアゴムを使用し、伝統的な製法で絵具を作っているそうです。

一番特徴的なのは、蜂蜜がメディウムに加えられていることです(ブランドのロゴも、蜂マークです)

最初、蜂蜜と聞いたとき、「腐らないのかな?」と心配になりましたが、蜂蜜にはむしろ防腐作用がある、ということでした。その他にも、蜂蜜には、優れた発色や滑らかさを絵具に与える役割があるそうです。

セヌリエは、全98色。チューブと固形水彩、両方あります。(今回試したのはチューブの方です)

セヌリエの取扱店

セヌリエは、残念ながらあまり店舗で見かけません。取り扱っているお店が少ないのです。なので中々画材店で見かけることはありません。

東京近辺だと、銀座の伊東屋、池袋の文房堂、神田の文房堂、横浜のtoolsに取り扱いがあるそうです。

通販で購入可能なお店

ChouetteArt

画材販売.jp

画箋堂

https://chouetteart.thebase.in/

セヌリエ透明水彩の特徴

乾かない

セヌリエの1番の特徴は、独特のテクスチャーだと思います。

まず、絵具がしっかり乾きません。ふつう透明水彩は乾くと、固まります。セヌリエの透明水彩は、一応乾くのですが、いつまでもベタベタしています。冬の乾燥した時期でもゆるいのですが、夏場はもっとゆるくなるようです。なので、絵具の上にうっかり紙を載せたりすると、くっついてしまいます。

ドットシートを販売しないのは、このような理由もあるそうです。輸送中にくっついてしまうから。

ただ、自宅でパレットに入れて絵を描くぶんにはそこまで困らないかな、と思います。ゆるい、といっても傾けて流れてくるほどではありません。いつまでもベタベタしているだけです。

ただ、仕切りのないエリアに
絵具を入れておくのは
危険な気がする・・・

そして、塗った絵具が乾くのにも時間がかかります。それは絵具がしっかり乾かない事とも関係がありそうです。

溶けやすい

まず、とても溶けやすいです。

絵具が常に乾いていない状態なので、何の抵抗もなくスッと溶けます。

シュミンケホラダムも溶けやすいブランドですが、色によって溶けにくい色もあったりします。

セヌリエは全色溶けやすいです。スピード感が大事な透明水彩で、これはとても嬉しいです。中々溶けにくいと硬い筆の方がいいこともあるのですが、セヌリエの絵具は柔らかめの獣毛でも色を取ることができて、とても使いやすいです。

溶けやすいだけでなく、塗っている時も伸びがよく、とても快適に塗ることができました。

色が濃く、発色が強い

色がとても濃厚で、かつとても発色がいいです。

今まで使った透明水彩の中で、一番発色が強く、鮮やかです。もちろん水をたくさん加えれば、淡い色も作ることができますが、薄めた状態でもしっかり発色しています。

ひよこ
ひよこ

色も濃いし、すごく鮮やか!!

顔料の濃度も高いのでしょうが、やはりメディウムが他のものとは違うんでしょうね。

絵具が固まらない状態なので、常にチューブから出したての状態で色を取ることができる、という感じに近いです。

ウルトラマリンブルーを比べて塗ったものがあるのですが、どのメーカーも同じような感じなのですが、セヌリエのウルトラマリンはその中でも発色が際立っています。色も鮮やかだし、発色も強い。

重ね塗りには向かない?

固まりにくいという特徴から、あまり重ね塗りしない方がいい、という話もメーカーの方から聞きました。ただそこまで厚塗りしなければ大丈夫かな、と思いました。実際に絵具を使って絵を描いていて、重ね塗りしづらいとは感じなかったですね。もちろん、水彩紙の選択の方が大切です。

発色がとても良いブランドなので、濃く塗りたいところは、初めから濃く塗っておく方がいいのかもしれません。

全色レビュー

全98色お試しして、色見本を作りましたので、大公開します。買い足しの参考に♪

白2色、チタニウムホワイト、チャイニーズホワイトは色見本に入れていません。

黄色・オレンジ系

どの色もとても鮮やかで、発色がいいです。

セヌリエは、単一顔料も混合顔料もどちらもあり、種類が多いです。

個人的なおすすめ

501レモンイエロー (この色があるのはシュミンケとセヌリエのみ)透明感があり、澄んだ色味で、ムラなく綺麗に塗ることができるおすすめのレモン色です。

559オーレオリンと561イエローレーキ 透明感のある顔料です。透明な黄色を探している場合はおすすめの色です。

574プライマリーイエロー セヌリエでしか見かけたことのない顔料。三原色の黄色のようです。

517インディアンイエロー 混合顔料ですが、基本色として使えそうです。暖かく、はっきりした黄色でとてもきれいな色です。気に入りました。

587イエローソフィー セヌリエでした見かけたことのない顔料。珍しい。

579セヌリエ・イエローディープ 混合顔料ですが、とても汎用性の高そうな色。オレンジがかった黄色。薄めて使うとソフトなイエローに。この色調とても好きです。

641セヌリエオレンジ 画像では表現できていないですが、鮮烈なオレンジ。滑らかで発色の強いオレンジ。

基本の黄色として良さそうなのは、529カドミウムイエローライト、578セヌリエイエローライト、574プライマリーイエロー、587イエローソフィー、あたりだと思います。

赤系

セヌリエの赤、超おすすめです!色がとても鮮やかなんです。力強い発色。(赤系って、乾くと色が薄くなってしまうような絵具が多いんです💧)私も今の絵具を使いきったら、赤はセヌリエにしようと思っています。

個人的なおすすめ色

636 セヌリエレッド どれも良すぎて選べないのですが、一番印象に残ったのは、セヌリエレッド。PR254はピロールレッドのことで、どのメーカーにもありますが、セヌリエレッドの発色の強さがダントツです。色が鮮やかかつ、濃厚です。ものすごいインパクトで、はっきり赤を効かせた絵を描いてみたくなります。

619 ブライトレッド セヌリエレッドに似ていて、鮮やかな赤ですが、もう少し優しい色。そこまでインパクトが欲しいというわけじゃない時はこちらもいいと思いました。

635 カーマイン、690 ローズマダーレーキ どちらもPV19で、鮮やかなローズレッド。ローズマダーレーキの方がよりピンクっぽい色です。三原色の赤に近いので、基本の赤におすすめです。

689 アリザリンクリムソン 渋い色ですが、植物や背景に重宝しそうな色です。絶対便利。

659 オペラローズ オペラは、比較のため他社のものと並べて塗ったことがありますが、セヌリエのオペラは、深みのあるタイプで、他の色と一緒に使ってもなじみやすいという印象です。

671 ヘリオスパープル こちらも定番の赤紫ですが、セヌリエのPR122は発色が際立っていますね。とても鮮やか!オペラを避けたいけれど、鮮やかなピンクを使いたい人にはこちらをおすすめします。

基本の赤としておすすめの色、636、635、690、695、あたりかな

紫、青系

青も素敵な色が多いのですが、種類は思ったほど多くありません。鮮やかで、濃厚な青がおすすめです。

ウルトラマリンの発色の良さに感動!!

個人的なおすすめ色

315 ウルトラマリンディープ、312 ウルトラマリンライト どのメーカーにもある定番のブルーですが、セヌリエのウルトラマリンが一番鮮やかで、際立った発色です。とにかく、鮮やかな青が欲しい時はセヌリエのウルトマリンがおすすめです。312と315の色の違いをメーカーの方に聞きそびれたのですが、粒子の荒さの違いではなく、色の濃さの違いのように感じます。

309 コバルトディープ ちょっと変わった顔料です。澄んだ色味です。

307 コバルトブルー コバルトブルーは澄んだ青で魅力的なのですが、他メーカーのものはちょっと溶けにくいです。セヌリエの絵具はご存知の通り、しっかり固まらないので、コバルトブルーもしっかり塗ることができていいな、と思いました。

344 シネリアスブルー 人気色だそうです。PB15:3フタロ顔料は色味が強いので、このような白が入っている青は、色が均一に塗りやすく便利なのだそうです。ちょっと白が強すぎて、不透明色なので、私はあまり好みではありませんが、このような優しい色合いが好きな方はぜひ!

917 ジオキサジンパープル こちらも、どのメーカーでも売っている定番の紫なのですが、一般的なものより、青味が強いのと深い色味です。惹かれました。とても美しい色です。

グリーン系

便利な混合のグリーンが多いです。定番とおぼしきPG7の顔料の絵具が売っていません(笑)

確かに、使い方を知らないと活用できない絵具なので、分からないでもないのですが、売っていないとは…(( ゚д゚)

その代わりに便利で個性的な緑色が多く、自然のものをよく方は嬉しいラインナップかもしれません。

個人的おすすめ

817 セヌリエグリーン 定番のフタログリーン(PG7)は売っていませんが、PG36の色はありました。セヌリエグリーンです。フタログリーンよりも黄色味が強いので、心理的にはこちらの方が使いやすいかもしれません。そのままでは鮮やかすぎるので、混色して、様々はグリーンを作るのに適しています。使い方の解説が必要なので、こちらの記事をぜひ読んでみてください→不人気の色 フタログリーン 使い方が分かれば強い味方に!

823 カドミウムグリーンライト ありそうでない明るめの混合グリーン。好きな色味です。

341 フタロシニアンターコイズ 深みのある、青緑の色味。美しい色味で魅力があります。水辺の表現にも。

805 フタログリーンライト 明るい黄緑。シュミンケホラダムのメイグリーンにも似ている。あると便利な黄緑。

871 ブライトイエローグリーン さらに黄色に近い、明るい黄緑。ホルベインのリーフグリーンに似た色。でももっと発色が良い。一番鮮やかな黄緑が作れる顔料の組み合わせで、構成されている。

857 ブラウングリーン、445 ピンクブラウン 珍しい色の薄茶色の絵具。使えそうな色で、とても気になりました。このような色は地味だけれど、使ってみると便利な色です。

ブラウン系

セヌリエの茶色はそこまで種類が多くありません。ちょっと塗りムラが気になる色もあるのですが、深い色が素敵な褐色もあります。

個人的おすすめ色

252 イエローオーカー 黄土色は色々バリエーションがあります。定番の252イエローオーカーが、一番使いやすそうですが、599のゴールドオーカーも透明感があり、面白いかもしれませんね。

699 パーマネントアリザリンクリムゾンディープ 明るい赤茶色。割と滑らかで、薄めれば渋めのピンクとしても使える。

623 ベネチアンレッド 赤のコーナーにある色なのですが、明るい赤茶色の鉄板。赤やピンクとしても使えるおすすめ色です。

435 トランスペアレントブラウン 定番の茶色はバーントアンバーなのですが、ちょっと塗りムラが気になるので、セヌリエでは、トランスペアレントブラウンが塗りやすくておすすめです。色も深みがあって、美しい!セピアほど、渋くもないし、使いやすいと思います。

黒・グレー系

セヌリエは、白が混ざった独特のグレーが3色もあります。

個人的なおすすめ色

705 ウォームグレー 人気色だそうです。赤みがかった暖かいグレー。確かに個性的な色です。作家さんがどのように使っているのか、気になりますね!

709 セヌリエグレー なんかおしゃれな色が多いですね、セヌリエ。こちらはグリーンがかったグレー。

203 グリニッシュアンバー 全色の中で一番気になった色です。個性的で面白い色です。もう販売中止になってしまった某メーカーのペインズグレーが緑がかっていて、とてもお気に入りでしたが、それに似ています。色味のあるグレーは意外と使い道がたくさんあって便利なんですよね。鮮やかな色と混色するのが面白いんです。来年のパレットに入れてみようかな、と思案中です。

全色試してみて

意外とセヌリエは混合色が多いメーカーでした。98色中54色が単一顔料です。

全色単一顔料にこだわるマイメリとは対照的です。

その分、気の利いたおしゃれな色も多い印象です。色味の強さや鮮やかさが際立っているメーカーなので、混合色でも色が沈んでいる印象はありませんでした。

どこにでも取り扱いのある定番の、赤や青でも、はっきりした際立った発色なので、「効かせたい色」はセヌリエの絵具を利用するのもいいと思いました。

かれは
かれは

セヌリエレッドやヘリオスパープル、ウルトラマリン、
定番ですが、すごく鮮やかでキレイな色です!!

透明水彩は、乾くと色が薄まってしまい、インパクトに欠ける色合いになってしまうことも少なくないのですが、セヌリエの鮮やかな絵具はインパクトを出すのに良さそうだと思いました。

終わりに

終わった…長かったです。かなり記事を書くのに時間がかかってしまいました。

セヌリエは、絵具の性質上、ドットシートの販売も難しそうでしたし、全色試すチャンスはなさそうだと諦めていたので、このように色見本とレビューを作ることができ、とても嬉しかったです。

このように記事に残しておけば、セヌリエの絵具に興味のある方のお役に立てることができるのではないかと思っています。

まだ、お店での取り扱いが少ないセヌリエですが、そのうち色々な店舗で買うことができるようになったらいいな、と楽しみにしています。