こちらは個展の作品の解説をするページです。実際に見にくる予定の方は、あとで見るほうがいいかもしれません!!
Table of Contents
個展詳細
枯葉庭園個展「星空の旋律」
- 期間:10月28日(月)〜11月2日(土)
- 時間:12:00〜19:00(最終日17:00まで)
- 会場:銀座中央ギャラリー(奥野ビル411号室)
- 住所:東京都中央区銀座1-9-8-411(銀座一丁目駅が最寄り、銀座駅、有楽町駅、東銀座駅からも歩けます)
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作品紹介
いつもだと個展が終わってから、作品の振り返りをしているのですが、今回は会期中に作品をより楽しめるように作品解説ページを作りました。テーマになっている音楽がある作品もあるので、作品を見ながら、または見た後に答え合わせ的に読んでいただけたら嬉しいです。
作品解説は楽しんでもらえる人もいれば、余計な解説がないほうがいい、という人もいて迷うのですが、今回は書いてみました。
実際に見にくる方は、あとで読むほうがいいかもしれません!!!
「真夜中の音楽会」
こちらの作品は2022年の個展から3回目となります。(今回額装を新しく黒に変えての再出展となりました。)動物園と音楽をテーマにした作品。「バイオリンを弾く女性が巨人のようだ」あるいは、「動物がミニチュアなようだ」どちらの受け取り方をする人もいて、とても興味深かったです(描いている時はどちらもあまり考えていなかったので)
最初はサン・サーンスの「動物の謝肉祭」からイメージを広げましたが、この作品では、動物園の動物を観客とした真夜中の秘密の音楽会を表現しました。
「深海のセレナーデ」
1回の個展で人魚の作品を1つずつ出しています。人魚は初期から描き続けている大切なモチーフの1つです。海の底で光を受けてキラキラ光る鱗、水中に揺蕩う豊かな髪、物憂げな表情。藤城清治氏が「人魚が出てくる物語はみんな結末が悲しい。美しい海の底に住む人魚は人間の世界に馴染めないのかもしれない」と言っていて、私も同じように思っています。
また、人魚の歌には、魔力があり、その歌を聴いた船乗りが海に引き摺り込まれるという伝説もあります。人魚の悲劇的な側面だけでなく、人を幻惑するような存在としても描いてみたいと思いました。
「忘れられた楽園」
「失われた過去の栄光」というテーマで作品を描きました。遠い昔、当時は賞賛されていたけれど、今にはあまり評価されていないものって実はたくさんあるのだと思います。時間の経過で芸術作品の評価は変わって、本物と呼ばれるものだけが残る。少女と花は瑞々しさを、古くなった楽器や背景は円形劇場はもう古くなってしまって、過去のものになってしまったものを表しています。時間の経過で失われてしまったもの、それを懐かしむ心を表現できたらと思います。「喝采を浴びても陶酔は一瞬。過ぎ去った日々に思いを馳せて。」
「カンタービレ 歌うように」
Cantabile(カンタービレ)は「歌うように、表情豊かに」という意味の音楽用語です。この作品は1番最後に描きました。女性が持つのはリュートと呼ばれる古い楽器です。同じような形の楽器が、日本や中国にも琵琶として存在し、中東やアフリカでも民族リュートは存在します。リュートの音色はギターと似ていますが、落ち着いた美しい音色で、とても癒されます。歌の伴奏に奏でられていたということで、「歌うような音色」をイメージし、このタイトルをつけました。
「星の歌声」
こちらの2022年の作品。ある作家さん個人企画の展覧会に招いていただいた時にテーマに合わせて描きおろした作品。その作家さんの作ったテーマから「青、星、零れる」3つを取り入れた作品にしようと考え、この作品が生まれました。天使の服から星が溢れていますが、輝く星は「いつまでも共にある幸福」を示唆しています。額縁はこの作品のためにオーダーしました。
「流星のレクイエム」
レクエイムは鎮魂歌ということですが、元は「安息を」という意味のラテン語です。実は流星にも人の死や魂と結びつける考え方があるそうです。「流星に3回願い事をすると願いが叶う」というものがありますが、もともとは流星は煉獄で彷徨う魂、それを解放するための祈り「Rest in Peace」を3回唱える、というものが、変化していったものだそうです。それは魂の安息を願うレクイエムに似ていると思ったのでした。不吉なものではなく、誰かの幸福を祈る願いごととして「流星のレクイエム」を描きました。モーツァルトのレクイエムの冒頭をイメージしています。
「月光ソナタ」
こちらは、ベートーベンの「月光ソナタ」をイメージしています。日本では「月光」のタイトルでお馴染みかもしれません。正式な名称はピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27-2『幻想曲風ソナタ』(”Sonata quasi una Fantasia”)となっています。若い時には、妙に暗い感じがして、特段好きな曲ではありませんでしたが、最近徐々に心に沁みるようになってきました。暗闇の中に灯る静かな情熱を感じる旋律だと思っています。
「雨上がりの音楽」
虹を描いた作品はこれで3作品目となります。雨の後に空にかかる虹は、「困難を乗り越えた先の希望の光」として描いています。虹をテーマにした作品は、希望に満ちた新しい未来を自分自身が見たいという気持ちで描いています。メッセージが少しでも伝われば嬉しいです。「やまぬ雨はない。どんな苦難のあとにも希望の虹はかかるのだから」
「永遠への響き」
フルートの作品。木枯らしが吹く情景です。葉っぱはリアルな感じにしようと思っていましたが、色見本で描いている透け感の葉っぱがとても好評なので、今回は作品に取り入れてみました。背景には箔も貼られています。銀色ですが、銀箔ではなくて錫(すず)の箔です。フルートは音域が広く、澄んだ音色なので、私はこの音色に純粋さや普遍的な美を感じます。フォーレの「シチリアーノ」が好きなので、それをイメージしました。この音楽には時代を超えるノスタルジーがあり、美しさがあります。
「三日月の音色」
オルゴールをモチーフに描いた作品です。オルゴールと月を組み合わせた作品はいくつか描いていますが、今回も。オルゴールのノスタルジックな音もなんだか好きで、よく知っているメロディでもオルゴールの音で流れるとなんだか涙ぐんでしまいます。弁の数によってはかなり複雑な旋律になるようです。シューマンの「トロイメライ」をイメージしたのですが、何かお好きな旋律を重ねていただけたら嬉しいです。
「G線上のアリア」
青い服、虹色の羽をもつ天使というのが、自分の中での天使像の定番となりました。バッハの「G線上のアリア」をテーマにしました。G線上のアリアはBGMに使われることが多く、バッハの曲の中で最も有名なのではないでしょうか。リラクゼーション音楽などにもよく収録され、結婚式でもお葬式のどちらでも演奏される珍しい曲だそうです。なんとも言えない厳かな雰囲気と神聖さがこの曲にはあります。何年も前に作曲された曲なのに、古さは全くなく、美しさと切なさで永遠に人を癒し続けるのでしょう。
「星空の旋律」
今回の個展のメインビジュアルです。この作品には黄金率の渦巻き模様を描きました。バイオリンを中心に渦を描きながら、美しい旋律が拡大していき、人の心に届いていく様子をイメージしました。(渦巻きはフィボナッチ数列を視覚化したもの。簡単にいうと黄金比の渦巻です。貝殻の比率にも見られる)音の世界に黄金率が存在するのか分かりませんが、美しいものには何らかの法則があるではないかと考えています。と美しい旋律や響きを視覚化したらこんな感じなのではないかと思い、黄金比を作品に取り入れてみました。バイオリンは音色は華やかで豊かな響きだと思いましたので、この旋律を星のような輝くものとして表現しました。こちらはサンサーンスのロンドカプリチソーソをイメージしてます。
「時めぐりの練習曲エチュード」
こちらの作品では大きなグランドピアノを描きました。グランドピアノもサイズが色々とあり、最も大きなフルコンサートグランドピアノと呼ばれるものを描いてみました(このサイズでなければ描けなかったと思う)最初は森の中にピアノを描く予定だったのですが、美しい青のグラデーションが作れたので水中の情景にしました。古代魚は進化せず今にも生きる魚ということで「時間が経っても変わらないもの」のメタファーとして描きました。タイトルの「時めぐり」は造語ですが、「時刻を巡らす」(=時を費やす、時間をかける)という言葉があるので、「芸術は長い時間の練習を経て少しずつ積み上げられていくもの」という意味をこめて、タイトルにつけました。ピアニストの女性のドレスが、白抜きで表現したのですが、ふわっとした生地の上に編み目レースが重ねられているように、とても美しく表現できました。細かいところも見ていただけたら嬉しいです。
エチュードというとショパンなのかな。
「時を告げる歌」
マルマンさんからいただいた企業案件のために描いた作品です。水彩紙ヴィフアールのコラボパッドを作っていただき、その表紙用の作品として描き下ろしました。緑色の本は、ヴィフアール(中目)の商品イメージが重ねられていますが、そこから「新しい芸術が芽吹き、才能が開花する」様子を表わしています。生きているかのようなアートが芽を出し、花を咲かせていく。こちらは原画も販売しますし、コラボパッド水彩紙も販売いたします🙏
おわりに
ということで作品解説をざっとしてみました。色々書きましたが、見てくださる方は、ぜひ自分の感覚を大事に、自由に見ていただけたらと思います!!この音楽はこの曲のイメージがした、というのも伝えていただけたら嬉しいです。見る方によって全然違うのが、私自身面白いと思っていますので。それは作者の意図と少し違っていてもいいのですよね。全く違う受け止められ方をして、独り歩きしていく、というのが本当によいアートの形だと思います。
では!!!また書き足すかもしれません。