今まで色々な青をご紹介してきましたが、最後に残ったコバルトブルー(PB28)について、わかる範囲でまとめてみたいと思います。
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コバルトブルー好き?
突然ですが、皆さんはコバルトブルー、好きですか??コバルトブルーは、油彩では人気の青だと思うのですが、水彩の作家さんにはあまり認知されていないような気がするのですが…皆さんはいかがでしょうか?

枯葉についていうと…。実は、コバルトブルーはあまりパレットに入れたことがなく、実は今年(2024年)で2回目です。前回は10年ほど前に、シュミンケホラダムのコバルトブルーライトをパレットに入れていました。その時はまだシュミンケホラダムも値上げ前で、ギリギリ手が届くかな〜という感じだったのですが、コバルトブルーライトはGR4でやっぱりお値段高くて、思いっきり使うことはできませんでした。ちびちび大事に使っていた記憶があります。

素敵な青だけど、なかなかのお値段だ…
それから、パレット入りする機会がなかったのは、ズバリ!
- ウルトラマリンブルーと色が似ているから
- 価格が高いから(じゃあ、ウルトラマリンでいいや…となってしまう)
どうしてもお手頃がウルトラマリンの方に軍配が上がってしまうんですよね。とは言っても、そこは画材ブロガー!!あまり使ったことのない色は語れないので、ここで思い切ってウルトラマリンライトを外して、コバルトブルーを使ってみよう、と思ってパレット入りさせました(2024年1月)
そして、今まで色々は青顔料の記事を書いてきたのですが、最後に残っていたのがコバルトブルー。なんと言っても顔料が色々複雑で、まとめづらいし、難しい!かなり億劫ではあるのですが、最後の砦を崩していきたいと思います。(わかる範囲で)
今回紹介するのはコバルトブルー(PB28)、コバルトブルーディープ(PB74)、セルリアンブルー(PB35)、コバルトターコイズライト(PB28 or PG50)です。
コバルトブルー(PB28)とは?(ウルトラマリンとの比較)
コバルトブルーの顔料はPB28です。一番スタンダードなタイプは、コバルトブルーライトと呼ばれていることもあります(後で紹介するコバルトブルーディープと区別するために)

最初にコバルトブルーを使った時は、「なんて澄んだ色だろう!」と思いました。濁りが全くない澄んだ色。ウルトラマリンも同じくらい鮮やかな色なのですが、コバルトブルーにはあまり濃い部分がないのでより「澄んでいる」と感じますね。
色が似ているウルトラマリンと比べてみるとこんな感じです。
コバルトブルー | ウルトラマリンブルー | |
顔料 | PB28 | PB29 |
色の鮮やかさ | 鮮やか | 鮮やか |
色の深み | 明るい (たっぷり塗っても濃くならない) | 深みがある (たっぷり塗ると濃くなる) |
色相 | 青 | やや赤寄りの青 |
粒子 | 荒い | 荒い |
透明度 | 不透明 | 半透明 |
という感じです。コバルトブルーは、ウルトラマリンよりも優しい発色です。しっかり塗ってもそこまで色は濃くなりません。

チューブから出した色にも違いがあります。コバルトブルーは、そのままの青で明るいのですが、ウルトラマリンはより透明感があるので黒っぽいです。スキャン画像では似たような色に見えるのですが、肉眼だとはっきりした違いがあります!

比べてみるとやっぱりちがうんだ
混色でもちょっと違った雰囲気がありますね。色が濃すぎないので、混色しても色がソフトになる傾向があります。
こちらは↓紫陽花がコバルトブルーがベースになっています。いつもだとウルトラマリンブルーにしてしまうのですが。明るく澄んだ青が紫陽花にぴったりです。

こちらは↓コバルトブルーの色をなるべくそのまま使っています(少し赤も加えていますが)シンプルな構図だと鮮やかな発色が際立ちますね。

こちらは↓混色してしまっているので、色が分かりにくいですが、花や服に使っています。優しい青ですね。


コバルトブルーディープPB74
もう一つコバルトブルーの色味があります。こちらは顔料はPB74で少し違うものになるのですが、色は似ています。コバルトブルーPB28を少し濃くしたような青で、色も少し赤みが強い感じです。

ウルトラマリンブルーの場合、ウルトラマリンライトもウルトラマリンディープも同じ顔料(PB29)なのですが、コバルトブルーライト(PB28)とコバルトブルーディープ(PB74)は違う顔料です。
という特徴があります。こちらの色は実はパレットに入れたことがないのですが、粒子はかなり粗いです。ウルトラマリンディープよりもさらに粒子感があります。色はコバルトブルーライトよりも暗く、赤みがかっていることが多いですが、そこまで発色は強くないので、同じような水加減で塗るとやや薄づきになります。
下塗りなど色々な効果を出せそう。
ペイトさんの推し色でしたね!
まやさんの推し色でもあった!
フレンチウルトラマリンよりも粒状化する。。お二人の推しはW&Nのウルトラマリンディープだそうです(人の推し色が欲しくなる現象)
あとは、マイメリ、シュミンケホラダム、ターナーで売っています。意外と、この色はないメーカーも多いんですよね。
セルリアンブルーPB35
名前は全く違いますが、セルリアンブルーもコバルトブルー顔料だそうです。なので一緒にご紹介します。
色は空色でとっても明るい!ほぼ晴天の空の色。すごいのは顔料そのものが空色だといういこと。白は入っていないのです。なのでチューブから出した水色がそのまま発色します。あまり定着は強くないです。

びっくりするほど粒子は粗いです。

もっけもけ!
そして、顔料がPB35のものとPB36のものがあります。色は似たような感じですが、PB35のほうが粒子がさらに粗いです。
(ちなみにPB36は、同じ顔料で青緑の色味も存在します。(そちらの方がよく見かけるかも)ややこしいので、今回は紹介しませんが、コバルトブルーグリーンやコバルトグリーンダークなどの名前がついています。)

どの色と混色しても分離します!それなりに癖はありますが、色は淡い青なので、絵に取り入れやすいです。独特の粒子感があり、この色にしか出せない効果もあります。
コバルトターコイズPB28、PG50

ややこしいのが、コバルトターコイズ。コバルトターコイズの顔料はPB28とPG50があります。左の5つはPB28、右の2つがPG50。色は少し違う感じもしますが、ほとんど同じ。

さっきのコバルトブルーもPB28だよね。
ややこしい!
どちらにも遭遇します。
これまたややこしいのですが、PG50はコバルトターコイズだけでなく、コバルトグリーンの色も存在します。コバルトグリーンも、濃いめのグリーンから、ミント色までさまざま。このあたりは顔料の番号を見ているだけではよく分からないです。

コバルトターコイズはPB28もPG50もどちらでも似たような色味なので、あまり顔料を気にせずに、塗り心地や粒子の大きさなどで選べばいいと思います。
コバルトブルーヒューについて
コバルトブルーは価格が高い顔料なので、似たような色を他の安い顔料で再現した「廉価版コバルトブルー」というものが存在したりします。
ホルベインのコバルトブルーヒューや、シュミンケホラダムのコバルトブルーヒューなどがそれにあたります。

ホルベインのコバルトブルーはPB29,PB15
コバルトブルートーンはPB29,PW4
もちろんそれぞれ素敵な色ではありますが、顔料マニアとしては、ぜひ本物のコバルトブルーも使って欲しいですね!
顔料が色々ある訳
コバルト系の顔料は、コバルト+何かの金属 で構成されていて、この金属の種類によって色が決まるそうです。同じ金属でも色が違ったりするそうで、同じ顔料番号でも色にバリエーションが生まれるのだそう。
なのでコバルト系の色に関しては、顔料番号も大事だけど実際の色味を見て、購入を検討するのがよいです。顔料だけだと色が分からないことが多いので!色名、顔料、色見本、この3つを確認しましょう!!

確認大事!
コバルトブルーは比較的青顔料の中では歴史が古いです。コバルトブルーは錬金術から生まれた色。語源は「コボルト」小悪魔からだそうです。悪魔なブルー。他の顔料にはないような鮮やかな色ばかりです。印象派の画家たちも愛用していたことで有名です。
顔料の粒が大きいので、紙の奥に吸い込まれにくくて、色の鮮やかさを保ちやすいのが、コバルト系青の特徴です。私は今年コバルトブルーをパレットに入れていますが、ぱっと目をひく彩度で、とても素敵な青なので、ついつい手が伸びます。

どのメーカーで買うのがおすすめ?
コバルトブルーの色はどのメーカーのものでも、彩度が高く美しい色味です。が、ウルトラマリンブルーとは違って、ちょっと水に溶けづらいのが、唯一の難点かなあ?
私の愛用は、こちらのホルベインアーティストパンの固形タイプのコバルトブルーペールです。とっても水溶けがよく、濃いめに発色するので、気に入っています↓
コバルトターコイズライト、コバルトバイオレットライトも同じように溶けやすいので、こちらの固形を愛用しています。質の割に価格が安いのも、おすすめできるポイントです。コバルト系の色はどの色も高いので、無理して海外メーカーで買わなくてもいいかな、と思います。
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