今回は透明水彩の塗り方についての記事です。Twitterで質問を募集していますが、その中で「水彩境界を出さずにきれいに塗る方法」ついての質問がありましたので、詳しく解説したいと思います。
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水彩境界とは
絵具が乾くと、塗ったところのふちに絵具が溜まって、ふちどりのようになっていることがあります。
この現象を「水彩境界」と呼んだりしています。
「エッジ」という言い方の方が一般的かもしれません。
「水彩境界」はもともとデジタルツールの用語らしいのですが、透明水彩でも浸透している言葉のようなので、このサイトでも、この言葉を採用しています。
質問の内容
いただいた質問の内容は「水彩境界を出さずにきれいに滲ませたいのですが、うまくいきません。出さずにきれいに塗るコツなどはありますでしょうか」
というものでした。
この水彩境界は透明水彩らしいのですが、やっぱりムラなくきれいに塗りたい場面も多いので、厄介に感じている方も多いと思います。
乾いてみると、謎のふちどりが!
水彩境界を出さないコツ①水分量を減らす
一つは筆に含ませている水分を減らすことです。水が多すぎると、乾くまでの時間に絵具がふちにドンドン流れてしまいます。
筆にたっぷり絵具をつけたあと、ティッシュや水分で筆の水分量を調節します。水分量が少なすぎてもカサカサしてしまうので、ちょうどいい水分量は感覚で覚えなくてはいけません。
感じとしては水たまりになってしまうのは、ちょっと多いかなあ。気持ち少な目を意識してみてください。
にじみを作るときも、同じです。水分を少し減らしてみるのがコツです。
この水加減が慣れるまで、むずかしい〜!
ちなみにこれが水少なめ、と水多めで塗ってみて、乾いたもの。かなり見た目に差が出ていますよね。
これはウェットインウェット(にじみの技法)
左は水少なめの上に水少なめでにじませています。右は水多めで塗ったあと、水多めでにじませています。乾くのにもかなり時間がかかりました。
逆に水彩境界をはっきり出したいときは、塗ったところにドンドン絵具と水分を追加します。
水彩境界を出さないコツ②水彩紙を変える
パルプ紙は、あまり水分を吸わないので、絵具が紙の表面を漂っている感じです。それでいて薄く塗ったところは乾くのが早いので、ふちに絵具が溜まりやすいです。それがそのまま水彩境界になります。
なので、水彩紙をコットン100%のものに変えてしまうと、解決しやすいです。コットン100%の水彩紙は、絵具を吸い込む力が強いので、水加減が多すぎなければ、水彩境界は出にくいです。ムラなく塗る、水彩境界を出さずににじみを作る、のはコットン紙の方が得意です。
特に水彩境界が出にくいのはストラスモアではないかと思っています。にじみどめが強すぎないので、絵具を水彩紙がぐっとその場でキャッチし、絵具が動き回りません。上の画像でも、水やや少なめで塗ったときは、ほぼ完璧に水彩境界は出ていません。水多めの場合でも、そこまで水彩境界ははっきり出ていないので、許容範囲ではないかと思います。
ウォーターフォードも試しましたが、こちらはまあまあでした。水少なめに塗ればほぼ完璧。水多めで塗ると少し水彩境界は少し、出ますがパルプ紙と比べると、上出来なのではないかと思います。
あとは、ちょっと値段が張りますが、セザンヌという水彩紙もにじみどめの具合が程よく、絵具をコントロールしやすいです。
水彩紙のコットン100%とは何ぞや?という方はこちらの記事で詳しく解説しています。
水彩境界を出さないコツ③白混ぜちゃう
これは裏技です。「どうしても水彩境界出したくない」という場合は、白絵具を少量混ぜてしまうのもアリです。
詳しくは白の使い道の記事で紹介していますが、この方法も手軽にできるので、場合によっては使えると思います!
記事内ではパステルカラーを作るとき、白を混ぜた方がムラにならない、ということを紹介しているのですが、よく画像をみたら、白を混ぜた方は水彩境界もできていませんでした。
水彩境界ができてしまったら
気をつけていても水彩境界はできてしまうことがあります。
できてしまったら、水分少なめの空筆で、サッとなでつけて、ぼかしてしまうといいです。
ただ、強い調子でやると、削りすぎてしまうので注意。水を含みすぎた筆でなぞると、バックランが起きたり、一気に崩れたりすることがあるので、慎重に。場合によっては、あまりイジらない方がいいこともあります。
あとウォーターフォードのような定着の良すぎる水彩紙では、この方法はあまり効果がありません。塗ったところの絵具を取ることができないので…
水彩紙によって、得意なこと苦手なことがあるので、使いながら、技法と紙が合っているか考える必要があります。
水彩境界は…
水彩境界は、初心者の頃悩んだことの一つだったので、質問をいただいた時「そういえば!」という感じで思い返しました。
初心者のときは、水加減の調節が一番むずかしいもので、筆に水をつけすぎてしまう傾向がある気がします。ちょうど良い水加減は、水彩紙によって違います。特に安めのパルプ紙では、ちょうどいい水加減の幅が狭く、コツが必要です。(ちょっと少なめにしないときれいに塗れない)
高価な水彩紙になるほど、水加減はたっぷりでも少なめでもどちらでもきれいに塗ることができて楽です。
安い紙ほど、水加減の調整はむずかしいです💧
私は、水彩境界の問題は、水彩紙を変えてしまうのが一番手取り早い方法だと思っています。
なので、「うまく塗れないなあ」と感じている方は、ストラスモアをはじめとしたコットン100%紙、ぜひ試してみてください。わりとあっさり悩みが解決しまう気がします♪