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展示販売コラム 展示会で意外と評判がよかった作品の話(自分と他人の評価がズレとは)

X (Twitter)での長文ポストのまとめです。作品の展示販売の話です。個人的な体験と考察なので、気楽に読んでいただけたら🙏

自分と他人の評価がズレる?

こちらのポストのまとめとなります↓

いきなり誤字からスタートしてますが…

自分では「どうなんだろう」と思いつつ展覧会で意外と評判が良かった作品について考察してみます。

作品をたくさん描いて、展覧会に出し続けていると、自分で思っていたより「評判がよかった作品」というのがあったりします。もちろん作品はどれも全力投球で描いているし、気に入っている。(そもそも納得していない作品は展示に出していない)

でも仕上がってみて、「予定よりも色が強くなりすぎちゃったかな」とか「顔が怖いかもしれない」とか「テーマが好まれないテーマかも」とか「手数が少なく描けちゃった」とか、自信が持てないものもあるのです。

でも展覧会に出してみたら、「好き」とたくさん言ってもらえたり、購入希望者がたくさん出たりして、自分としては「ちょっと意外」だったりする作品。 今回は「自分の自信」と「評判」がずれた作品を挙げてみようと思います。

評判の定義

私の場合、SNSでコメントがたくさんつくタイプではないため、在廊のときに話題に上がったか、作品がお迎えされたか、また複数購入希望者がいたか、で「その作品が評判だったかどうか」を決めてることが多いです。

(ちなみにSNSでのいいね数やインプレッション数はアルゴリズムに左右されることが多いので、参考にする程度です。ここでの数と展示での反応も大きくズレることが多いです)

やっぱり、展示というリアルに作品と対峙する場面での反応を心に留めていることが多いですね。

具体例

「星の軌跡」

出来上がったときに、色が暗すぎて、「やってしまった」と思いました。暗い背景に、服の色も青、月の色も暗くて、華やかさに描けると感じ思いました。出来上がった瞬間は凹んでいました。

が、この作品は額装で化けましたね。ラーソンジュールのベルリンという金の額、色違いのダブルマットのおかげでとても華やかに。(マットの見せ方も細かく提案していただきました)額装の力は偉大です!

個展では初日に売約したにも関わらず、何名か購入希望者が出て、コメントや感想もたくさんいただけました。

出来上がった時の失望感とギャップがあって印象に残りました。

「別れを告げる花」

こちらもグレーの不透明の背景にくすんだピンクの取り合わせが、地味に感じて、一時期はファイルの中でお蔵入りになっていました。展覧会に出す予定もなかったのですが、娘たちが「この絵ぜったいにいいから額装して個展に出しなよ」と言ってくれたので、出すことにしました。

金色の額に入れたので、思ったより華やかになった感じはしました。ギャラリーのオーナーも太鼓判を押していただき、お迎えしていただけました。こちらも展示会中、たくさん感想をいただけて印象に残りました。

なんか他の人の感覚と自分の感覚ってズレているのかな、と思いました。意外でしたね…。娘のアドバイスも聞いてみるものですね。

「最良の日」

気に入っていた作品ではあったのですが、自分の作品にしてはややあっさり仕上がってしまったこともあって、個展での評判に驚きました。

このくらいあっさりでもよいのか…。しかも横顔とはいえ、顔がメインの作品だし…。

こちらも購入希望者が多くて、なんかいつも人気の作品が偏っちゃうなあと悩ましい気持ちになりました。

「雷鳴」

こちらの作品は気に入ってはいたものの、「雷が絵としては激しすぎるのではないだろうか」と不安に思いつつ、出しました。

(お天気がテーマの4連作でした)この作品だけ売れ残ることを覚悟していたのですが…意外や意外、この作品が4枚の中で一番人気でした。(好き、っていう人が多かったです)描きたいものをブレずに描いてもいいのか、とちょっと自信になりました。

4枚の共通点

今回X(Twitter)で、紹介した4枚の絵の共通項を色々な方に教えていただいたのですが、とても参考になりました!ありがとうございました。 こんな風に絵を見てくださっているんだな、と嬉しかったです。

あのあと自分でも考えてみたのですが、「そういえばこの4枚は自分にとって新しいことを試した4枚」でした。この「新しいこと」というのは「技術的なチャレンジ」「画材のチャレンジ」「テーマのチャレンジ」など色々な種類のチャレンジがあります。

一枚目の「星の軌跡」は月の部分を2〜3色の色違いのゴールドで濃淡をつけてみました。いつも金や銀は1色でペタッと平面的に塗ってしまうので、これは「技術的なチャレンジ」でした。

二枚目の「別れを告げる花」は背景をアクリルガッシュのグレーと暗色でグラデーションにしました。その時までは暗い色で背景を塗ってしまうことが多かったのですが、この作品では、ブルーグレーのような中間色を使ってみました。なので、暗色1色に比べると鈍い印象になったのですが、そのおかげで前面の人物が浮き立ったのかなと。これも「技術的なチャレンジ」です。

三枚目の「最良の日」ははじめてアキーラを使ってみた作品です。アキーラで水彩風の絵も描けるということで、あえてアキーラだけで描いてみました。作品に文字を入れるのもはじめてです。こちらは「画材のチャレンジ」でしょうか。

四枚目の「雷鳴」は「テーマのチャレンジ」です。雲、雪、虹などは今までも描いたことがあったのですが、雷ははじめて描くテーマでした。雷を描けるか不安もあったのですが、自分では今まで描いたことのないものを描けて、とても新鮮でした。

新しいチャレンジは見ている人には分かりません。描いた人だけが、知っているものなのですが、なんとなくフレッシュな気持ちやチャレンジ精神みたいなものが作品に滲み出るのかもしれません。自分にとっての定番の良さも大事にしながら、新しいチャレンジもしていかないといけないな!と改めて思いました。

好きなものを描いてもいい?

というわけで、色々な作品を描いていくと

  • ①自信作 評判もよい
  • ②自信作 意外と反響なし
  • ③自信なし作 意外と評判よい
  • ④自信なし作 やっぱりだめか

どれかに入る気がしてます。

①は特に問題ないとして

②は結構迷いますね。こういう作品も多いので。時間をかけて売れていくパターンと、どうやっても売れないパターンがあります。でも描きたいなら周りからあまり反応がなくても、描いていきたいなと!作品が売れる、というのはご縁もあるし、たった一つの側面なので、作品の価値とは関係ないです。別に気にしなくてもいいのです!!

③今回はこのパターンですが、狙ってできることでもないので、自分で「よい、悪い」を勝手に思い込んではいけないな、と思いました。自分の目は当てにならない。

④は私の場合、こっそり自分のラインナップから外してます。色々挑戦してダメだったのは、露出度高い女の子の絵。一般的には売れ筋のはずなのに、私の絵だと全然ダメでした。(また描くとしたら、ちょっと違うアプローチにする予定)

また、評判というほどではないが、特定の方に刺さって大切にお迎えされていくということもあります。むしろそれが一番多いかもしれません。

もちろん周りの評判かと関係なく描くのが一番よいのですが、ほとんどの作家さんはプロに近づくほど「評判」とか「売れ筋」「需要」という言葉と無縁ではいられないと思います。

私も描くときに「売れそうな絵」を意識して描くことはないのですが、展示に出すときにはある程度「売れそうな絵」を選ばないといけないのでは?と思ってしまいます。描きたいものと需要の狭間で、心が揺れ動くこともあります。

描くものが全部世の中の需要とマッチしている場合はラッキーですが、私の場合はちょっとギャップがあることもあります。なので、自分では自信がなくても、意外に評判だった作品は印象に残ります。あまり意識しすぎるのもよくないのは重々承知ですが、うまく折り合いをつけていきたいなと思いました。

最後に:色々いただいたコメントの中で「感性は人それぞれ、描きたい絵を描くのが一番」というのがとても印象的でした。確かに!その通りです。描きたい絵を描きましょう。