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意外と知らない?展示の種類(企画展、半企画展、自主企画展、公募展)

展示の種類について、用語の使い方がバラバラに使われていて気になりましたので、一応まとめておきます。この記事を読むと作家活動がスムーズになると思います。

企画展、公募展のちがいとは?

展示に出てみたい、となったときよく「企画展」「公募展」などの名前を耳にすると思いますが、どういった区分なのかを知っていますか?もしかしたら、なんとなくで使っている人も多いかもしれませんね…

ギャラリーや業界ごとに同じ「企画展」という言葉でも違った意味で使われていることもあります。別にルールがあるわけではありませんが、やっぱりバラバラな意味で使われると話が噛み合わないことがあるんですよね。

作家さんにとって、展示の種類ってとっても大事なんです。この区分を知ると、作家活動がスムーズになり、自分の目指すものもはっきりしやすいと思います。

また作品を展示を見にきたり、作品を購入する方にも知っていただきたいです🙏訪問した個展がどのタイプなのかな?と思うだけでも少し視野が広がると思います!

ひよこ
ひよこ

知りたい!

個展の場合の展示種類

まず個展のお話をします。

個展の種類は3つに分けられます。

①企画展

②半企画展

④自主企画展

この3つです。必ずどれかには当てはまります。1つずつ解説していきますね。

①企画展

企画展と呼ばれる展示は、ギャラリーが企画して行う展示です。

作家は招待されますので、参加費無料です。ギャラリーは一流どころが多く、百貨店のこともあります。集客力の高い立地に加えて、高額な作品を購入するお客さんを抱えたギャラリーというのがポイントです。参加費無料なので、作家にとってはいいことづくめのように感じますが、作品が売れた時の販売手数料が高めです。企画したギャラリー側の手数料の配分が多くなっています。販売手数料は40%〜50%が一番よく聞きますが、百貨店になると 60〜80%になるようです。

ギャラリー側からすると、作品が売れなければ収益にはなりません。なので、誘われるのは売り上げの見込める作家だけとなり、人気作家であることが条件です。人気と言ってもSNSのフォロワーなどは全く関係がなくて、「販売実績があり、販売価格の高い作家」ということになります。作家はノルマとまではいかないが、「売れる作品をある程度の点数用意すること」が求められますし、売れないと展示のお声がけがなくなっていくシビアな世界です。

メリットは、販売や集客、売れた後の発送作業など、すべてギャラリー側が行うので、作家はある程度制作に集中できるところです。とはいっても、最近は作家によるSNSでの集客も求められている傾向ですね。でも自力で集客できないようなタイプのお客様と出会えるので、ここが一番のメリットかもしれません。一流ギャラリーで個展をするのはキャリア(経歴)にもなります。

デメリットは、販売手数料が高いので、作品が高価格で売れても、思ったほど収益に結びつきにくいことです。特に作品を描くペースが遅かったりすると苦戦するみたいです。また、価格もギャラリーや画商が決めてしまうので、作品の価格が上がり過ぎたのに、人気が落ちてきてしまった場合、後戻りできなくなるのも難しい点です。また顧客名簿もギャラリーが持っているので、自力での販売力がつきにくいです。

かれは
かれは

プロの作家さんはこのステージで頑張る方が多いです!

②半企画展

半企画展はギャラリーへのレンタル料と販売手数料を両方支払うタイプの展示です。

あとで詳しくお話ししますが、このタイプの半企画のグループ展というのが、世の中で一番多い展示です。この章では個展の話に絞りますね。

半企画展はちょうど企画展と自主企画展の中間くらいの条件の展示となります。まず会場を使用するためのレンタル料を支払う必要があります。このレンタル料は、自主企画と区別して少し安めに設定しているギャラリーもあれば、そもそも半企画の形でしか貸し出さないので一律の条件の場合とあります。

ポイントは作品が売れた時に、手数料を支払う形となっているところです。この手数料は20〜30%くらいとなっていて、企画展の手数料と比べるとかなり安くなっています。この手数料にはギャラリーから作家への色々なサービスが含まれているのですが、このサービスの内容がギャラリーごとによって違います。

たとえば

・ギャラリーのオーナーが必ず常駐してくれる(こういうギャラリーだと、作家が不在でも代わりに接客や販売をしてくれるので、全日在廊ができない人や遠方の人も個展ができますよね。)

・支払いにクレジットカードが使える(これは大きいです。最近現金は持ち歩かなくなりましたから。クレジット決済すると、手数料が引かれて売り上げが減るのですが、その手数料分をギャラリー側が持つのか、作家側がもつのか、ここもポイントです)

・売れた作品の発送をしてくれる(作品数が多い時はとても助かります。また、配送ではなくて、お客さんが取りに来ることもあります。いずれにしろ作家は助かる!)

・集客をがんばってくれる(毎週開いているようなギャラリーだと固定客がついていることが多いです。中にはDM送付をしてくれるギャラリーもありますし、SNS集客に力を入れているところもあります)

かれは
かれは

ギャラリーによってかなり差があります!

ひよこ
ひよこ

話し合いや質問も大事だね

このようなサービスがあることもあるし、ないこともあって、予約の前に事前に確認が必要です。逆にこのようなサービスが全くないのに、手数料を要求するギャラリーは注意が必要です。特にオーナーが常駐しないギャラリーでは、販売手数料を取るのは本来おかしいのですが、そういうギャラリーもとっても多いので注意が必要です。

この半企画の個展はギャラリーによってびっくりするほど条件が違うので、事前に確認が必要ですし、場合によっては交渉も必要です。

③自主企画展

こちらはギャラリーのレンタル料(使用料)を支払って行うタイプの展示です。支払うのはレンタル料のみで、作品がいくら売れても販売手数料はかかりません。本当に場所だけ借りて、あとは自分で設営も全部やります。ギャラリーのオーナーは常駐していることもあれば、全くいなくて鍵だけ借りるパターンもあります。個人的には常駐しているところの方がおすすめです(万が一の体調不良ってこともありますし…)

ギャラリーを丸々1週間貸し切るのにはそれなりの資金がいるので、全員に勧められる展示ではないのですが、ある程度お客さんを自分の力で集められるのならこの方法が一番有利だと感じます。特にSNSで人気を得ている人だと自力で集客できるので、独自にファンを作れている人は、このタイプの展示が一番自由度が高いです。

メリットは、作品が売れた時の収益が多くなることです。が、レンタル料を支払うので、ある一定額以上売り上げないと収益は出ません。作品販売の売り上げが一定額を超すと、自主企画展が一番利益が出るのです。なので「自分で作品を売ることができる人」はこの自主企画がおすすめです。あとは、展示に自由度があることでしょうか。企画展になるとギャラリー側から作品を売ることを求められます(無言の圧)なので、売れ筋の絵とか、大きさを外さないことを求められます。が自主企画ならばどんな作品を出そうと自由なのでそこもいいですね。

デメリットは、全日在廊が必要になること。ここがネックになる人が多いと思います。あとは営や販売、配送も自分ですることです。特にクレジットカード決済ができないと、かなり不利になるのでクレジット決済端末の導入も考えなければいけません。配送も1つ2つならば大した手間ではありませんが、10を超すと大変になってきます。このあたりも自主企画をやってみると大変さが身に染みるので、手数料を支払ったらギャラリー側が代行してくれる半企画や企画のタイプの展示もありがたいと思えるんですよ。また、集客も自分で行うので、そこも人によってはネックになるかもしれません。

昔は企画展の作家の方がランクが高い、という印象だったのですが、最近はSNSで自力集客が可能になってきたことで、企画展でランクアップを目指しつつ、自主企画の個展を積極的に行う人気作家も増えてきました。

ひよこ
ひよこ

時代も変わってきてるんだね

個展の形式のまとめ

今までの個展の形をまとめるとこんな感じ。

形式レンタル料作品売却時の手数料集客、販売、その他事務メリットデメリット
企画展無料40〜80%ギャラリー側が主にするよいお客さんと出会える、キャリアになる、制作に集中できる手数料が高い、価格、作品の傾向など自由にできない
半企画展あり(少し安め設定のことも)20〜30%ギャラリーによる、要相談自由度と手間のバランスがよいギャラリーによってサービスのばらつきがある、交渉次第
自主企画展あり0%作家側がする自由度が高い、売り上げが全て自分のものになる在廊、販売業務が大変、自分で集客しないといけない

どの展示もメリットデメリットがあり、よく自分で調べたりしないといけません。

ひよこ
ひよこ

調べるのも大事なんだ!

グループ展について

グループ展についても、企画展、半企画展、自主企画展の区分は同じです。

①企画のグループ展

②半企画のグループ展

③自主企画のグループ展

①企画のグループ展

個展の時と同じで、企画のグループ展というのも存在します。はたから見ていると、全部同じに見えてしまうのですが、自分のことで言うとこの展示は企画展でした。

参加作家は招待されて、参加費は支払いません。その代わり作品が売れた時の販売手数料は40%など少しお高めです。こういうタイプのグループ展は、ギャラリーか、企画者が企画しているものなので、似たような傾向、似たようなレベルの作家が集まることが多く、必然的に展示のレベルが高くなります。なので同じグループ展でもコレクターの期待値が高くなります。

こういうタイプのグループ展だと、ある程度作家は作品を売れることを期待されるのですが、まあ、売れないこともあります。ただそこで好成績を残すと、次も招待されますし、別のギャラリーから声をかけられることもあります。チャンスも多い印象です。別の作家目当てのお客さんに見つけてもらうこともあります。

作品の価格もだいたい揃いますね。極端に高いのも見かけないし(価格が高い作家同士で企画展が組まれる)極端に安い人もいないです。

見ている人には分かりにくいかもしれませんね。人気作家がたくさん集まって、展覧会の名前に「企画」の文字が入ると、だいたい企画タイプのグループ展です。作家からすると、レベルとの高い展示に混ぜてもらえてありがたいのですが、そのぶんレベルの高いライバルが増えるので、作品販売はそれなりにシビアになりますね。でも勉強になることが多いです。

最近ちょっと気になっているのが、本来の「企画展」の条件ではないのに「企画展」の名前がついた展示が増えてきていることです。「企画展のお誘いです」とあるので、「参加費無料の展示かな?」と思っていて詳細を読んだら実質は「参加費を支払う、半企画のグループ展」ということがとても多い!細かいことだけど、それで作家さんとも話が噛み合わないことが多く「まぎらわしいな〜〜」と密かに思っています。

かれは
かれは

言葉の意味も色々変わってきているね

②半企画のグループ展

日本では半企画のグループ展が、ほぼ全てを占めます。ギャラリーが企画した展示やイベントに、作家が参加費を支払って参加し、作品が売れたら販売手数料を支払います(20%〜30%くらいが多い)

作家が参加費を支払い、販売手数料も支払うタイプの展示はすべて「半企画展」という認識で間違いないのですが、この中でもいくつかタイプがあります。

・ギャラリー側が作家を選んで誘う企画よりの展示(先ほども話が出ましたが、このタイプの展示を「企画展」と呼ぶ展示が増えてきてる)

・誰でも参加可能な公募タイプの展示(作家が自由に応募して参加する。この中でも作家を審査するタイプと無審査のタイプがあります。)

・コンテストタイプの展示(審査あり、賞が出る)

などがあります。そのほかにも私が知らないタイプの展示があるかもしれません。

よく「作家サイドがお金を支払って作品を売るなんてけしからん!」みたいなことをいう作家がいるのですが、ギャラリーも家賃や会場代を支払ったり、その他運営にはお金がかかるので、売れるかどうかわからない作家を扱うには、参加費を徴収して、ある程度担保しておく必要があるのです。それに不満があるならば、「出せばある程度の価格で売れる」ような強い作家になるしかありません。そうすれば企画画廊が取り扱ってくれます。または、自分でギャラリーを借りて、自主企画の個展をするのがいいです。

半企画展のグループ展のメリットは、とにかく参加のハードルが低いことです。審査を行うところ以外は、申し込めば誰でも参加できるので、初めて展示に参加する場合はこちらのタイプの展示になるかなとと思います。(企画よりの展示に参加するためにはギャラリーから声がかかる必要があるので、それまでにキャリアを積む必要があり)多くの場合参加費も安いです。

ひよこ
ひよこ

気軽に参加できるのがいいよね

デメリットは、多くの参加者の間で埋もれがちなところです。参加ハードルが低いところほど、参加作家も多くなり、作品価格も安い方に流れがち。なので自分の作品に価値をつけていくのはとても大変だし、時間もかかります。参加しても参加してもあまり活動が進まない場合もあります。特に静かな雰囲気の絵や繊細な絵をを描く人は、他の作品との中で埋もれがちですね。

③自主企画のグループ展

自分でギャラリーを借り、自分で参加者を募り、行うタイプのグループ展です。誰かが主催するグループ展に参加する立場だと、半企画展となりますが、自分が主催する立場になると、「自主企画のグループ展」となります。

昔に比べて、自分でグループ展を主催する人は減ったような感じがするのですが、本当は「もっと増えてもいいのに」と思います。自分でグループ展を主催する人が少ない理由はなんとなく想像がつきます。それは、「とても大変だから」これにつきるでしょう。

個展だと自分の作品だけなので、管理も大変ではないのですが、複数の作家が集まると、荷物の数も多いですし、やり取りも増えますので、かなり大変になります。設営や在廊も大変なのですが、一生懸命やっても文句を言う参加者もいたりします。

ただ、ギャラリー主催のグループ展だけではなく、個人主催のグループ展も独自の視点での展示でとても面白いのにもっと増えてほしいですね。私も今後1回くらいはグループ展を主催してみたいです。

公募展とは?

よく聞くのが「公募展」というものだと思います。この「公募展」も色々な形があって、色々な意味で使われているので、はっきりした定義はないようです。私が見かけたことがあるのはこんな感じ。

①古くからある公募団体による公募展。「〇〇会」のような名前の公募団体(大抵成り立ちが古いものです)が広く作品を公募する展示です。参加費を支払って入選すると、大きな美術館の1室で飾ってもらったり。賞がもらえたりします。作品は50号とか100号とかやたらと大きいのが特徴で、作品は販売しません。年配の方が「公募展」というとこのタイプをイメージする方が多いみたいです。

②ギャラリーや企業によるコンテストタイプの公募展。こちらも条件を満たせば誰でも参加できるものです。審査があり、賞が出たりします。最近は投票で票を決めるようなものもあります。これも販売ができるものとできないものに分かれますが、ギャラリー主催のものは販売できるものが多いです。

③誰でも応募可能なタイプの公募展。展示、販売、交流が目的の展示。審査があって、参加者を選ぶものと、審査がなく申し込めば誰でも参加可能なものがあります。また、公募展としつつ、テーマがあってそれにちなんだ作品を持ち寄るような展示も増えてきました。

公募展も参加料を支払い、作品が売れたら手数料(20〜30%)を支払うようなスタイルが多いため、ほとんどが半企画のグループ展となるかと思います。

一口に「公募展」と言っても展示を行う目的や形式もさまざまです。ただ共通しているのは「新人発掘」を行う場であるということが多いです。新しい作家さんが、入ってこれるようにしたスタイルが公募展という感じです。ただ、その言葉の使われ方はふわっとしていて曖昧ですね。

枯葉庭園の個展遍歴

枯葉の個展の遍歴を残しておきたいと思います。

①2008年個展 青山。自主企画のつもりで会場を予約したら、実際には半企画の形で、ギャラリー側は何もしてくれないのに、「売れたら手数料をいただきますね」の契約内容でした(当時情報がなくて、よく分からなかった)クソギャラリーだったので、すぐに潰れました。会場自体は広くて、雰囲気もよく、立地も素晴らしかったです。初個展のよい思い出。

②2009年個展 青山。イラストレーション専門のギャラリー。半企画ですが、DMのデザインから、展示のテーマ、作品の傾向などかなり細かい指摘(とダメ出し)をいただき、それに沿った個展をしました。業界の仕組みや足りないものなどかなり色々教えていただきました。今はそういう面倒見のいいギャラリーって減りましたね。

③2011年個展 銀座奥野ビルの新人向けの登竜門のギャラリーで半企画展。コレクターへのDM送付など集客に力を入れていた。ギャラリーについているコレクターが作品購入をした場合、手数料として20%支払うが、作家のお客さんが購入した場合は手数料を取らないという珍しい方式を取っていました。面倒見のいいギャラリーでしたが、オーナーが亡くなり閉廊しました。

ここで10年ほどブランクがあります…

④2022年個展 代官山。自主企画の個展でした。ギャラリー自体は企画展も行うギャラリーですが、貸しで個展を行う人が多いようでした。自主企画といいつつ、オーナーは在廊してくれるので安心感がありました。展示風景の写真を撮ってくれたり、SNSでの宣伝、販売の協力など手厚かったです。通販は自家通販だったので意外とスムーズでした。

⑤2023年個展 銀座奥野ビルでの半企画展。その前の年にギャラリー主催の公募展で賞をいただいたので、その副賞として個展を開催することになりました。ギャラリーのお客様、通りすがりのお客さん、自分で集客したお客さんとバランスよく集客できたと思います。販売手数料の中に、通販や販売のこと、配送、接客など色々なことが含まれていて、有り難かったです。

⑥2024年個展 原宿デザインフェスタギャラリーでの自主企画の個展。小さな部屋で3日のみだったので、コンパクトでした。設営など協力が一切ないのと、代わりにいてくれる人がいないので、全く部屋から出られないのがやや難でしたが、会場費も抑えられるので、これも1つのやり方かなと思いました。

そして7回目の個展、これが来週の月曜日からはじまります!!

枯葉庭園個展「星空の旋律」

2024年10月28日(月)〜11月2日(土)

12:00〜19:00(最終日17:00まで)

銀座中央ギャラリー411号室https://chuogallery.com

5回目のギャラリーと同じギャラリーです。どんな感じになるのかお楽しみに!詳しくはこちらのページに↓

最後に

というわけで、わりと知らない方も多いみたいだったので、展示の種類について説明してみました。個展でもグループ展でも、その形でもそれぞれメリットデメリットがあります。今の時代はその情報を生かして、自分に合うところを選んでいく時代だと思います。

何かお役に立てますように!