雅心東紅という日本画の筆をレビューします!水彩にも使えます。
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雅心東紅とは?
使いやすい筆を探し続けてはや4年。ブログを始めた当初は、安めのナイロン筆を愛用していて、あまり筆のことも知りませんでした。その後ブログで紹介するために、積極的に情報収集をして、たくさんの筆を購入して、使ってきました。
そこで分かったことは、「筆によってかなり違う!できる技法やできる塗り方そのものが違う」ということでした。
特に価格が高めの獣毛筆はかなり性能が違います。
できる技法も幅広いよ
ちょっと高いけど使ってみたいな!
今まで水彩では難しいと思っていた、重ね塗りの技法やムラなく塗る、少しずつ色を変化させながら塗る、細部の塗りなど、1本の筆で全部できてしまうものもありました。
今回ご紹介するのは、日本画の筆。もちろん水彩にも使えます。私が愛用している「特選東紅」の廉価バージョン「雅心東紅」です。少しお手頃なタイプとなります。特選東紅はちょっと高い筆になるので、まず導入として雅心東紅も知ってほしいな!と。
特選東紅と雅心東紅を比較しながら紹介していきたいと思います。
東紅シリーズ共通の特徴
どちらも芯がイタチ。周りを覆っている外毛が羊毛となっています。芯がイタチであることで、芯がしっかりしていて、コントロール性が抜群です。これが羊毛オンリーの筆だと、柔らかすぎて、フニャッとしてしまい、コントロールがすごく難しくなります。周りが羊毛なので、保水力もあるし、先端がきれいに揃ってシャープです。細部の描写にも最適。
つまり!イタチと羊のいいところどりしたハイブリットな筆なのです。
いいところどりした筆✨
なので、色々な塗り方が持ち替えせずにできるのです。これを使うようになってから、すごく表現の幅が広がったと思います。
①コントロールしやすい
②保水力がある
③柔らかさがあり、下に塗った絵具を削りにくい
④先端の揃いがよく、細くまとまるため、細部描写がしやすい
⑤穂先が長すぎず、しなりやすいため、微妙な塗り方ができる
欠点は強いていうなら
①先端が削れやすいので、先端の細い部分が摩耗してしまう(ヘビーユースする人は注意)
②独特の柔らかさがあるので、ナイロン筆に比べるとコントロールが難しい
これが、どちらの東紅にも共通した特徴です。
では特選東紅と雅心東紅のちがいも見ていきましょう!
見た目の違い
雅心東紅と特選東紅をならべて置いてみました。筆の見た目はあまり変わらないのですが、先端の長さは少し違います。
雅心東紅のほうが少し長い。そして少し先端が鋭利です。
色も特選東紅は、羊の毛でしっかり覆われていて、白い色。雅心東紅の方は先端が中のイタチの毛が出ていて、茶色っぽいです。
雅心のほうがちょっと細長い感じみたい
保水力の違い
保水力を比べてみました。とはいっても含ませ方で結構ちがうので、あくまで参考までにという感じです。
これは特選東紅の方が水含みは少しいいみたいです。
雅心東紅の方でも十分の水含みで、描いていて物足りなさを感じることはありません。
ただ、特選東紅の方が水含みがよすぎて、水分量のコントロールが難しい!というお声も多くて。それは私も感じたことがあります。
どちらも色がしっかり濃く出ていますが、特選東紅の方はさらに色を濃く取ることができました。これ、ナイロン筆だとここまでしっかり絵具の粒子をキャッチできないことが多くて、色が不必要に薄まってしまう原因だったりします。
こうしてみると、どちらもすごくいい筆ですね。
細部描写
どちらかというと雅心東紅の方が、より細かい部分を描くのが得意な感じでした。先端がかなり細いので、抜きと入りがシャープに仕上がります。特に先端を細々動かすような動きが得意ですね。
特選東紅も、細部描写は十分できますが、比べてみるとこちらの方が少し丸っこいです。が、その分曲線的な塗りに強いというか。紙の上で滑らかに動きます。そして、筆を根本までつかって、色を変化させたり、水分量を調整しながらぼかしたり、どちらかというと繊細なテクニックに対応します。
ただ、驚くほどの差はないです。どちらも使いやすい!
硬さ
見た感じはほぼ同じですが、触ってみると、特選東紅の方が、みちっと詰まっている感じがしました。雅心東紅のほうが、中身は痩せている印象ですね。あと、よくみると特選東紅の方は真っ直ぐな毛だけで構成されていますが、雅心東紅のほうはちょっと曲がった毛も混ざっているんです。やっぱり特選東紅の方が、上質な筆という感じです。
このあたりが水含みや描きごこちに影響しているかもしれませんね。
そして、雅心東紅の方が少し硬いです。なので、ナイロン筆やコリンスキー筆が気に入っている人にはこちらがいいかもしれません。初心者の方もこちらの方がよいかもしれません。
特選東紅は柔らかいです。イタチの芯毛があるので、羊毛100%筆に比べるとコシはありますが、全体としてはしなやかですね。柔らかい分、微妙な調節ができる感じです。
こちらのポストでも少し硬め、とあります。
みなさんの意見
X(Twitter)でも意見を募ってみました。どちらも使ったことのある方が2本の筆の使い心地の差を教えてくださってます。
こうしてみると雅心東紅の方が使いやすい!と感じている方が多いみたいです。もちろん作品との相性もあるのですが。小回りが聞いてコントロールがしやすいんですよね。
価格の差
雅心東紅
小 | ¥1,600+税 |
---|---|
中 | ¥1,800+税 |
大 | ¥2,000+税 |
特選東紅
小 | ¥3,200+税 |
---|---|
中 | ¥3,600+税 |
大 | ¥4,300+税 |
特大 | ¥6,700+税 |
実は以前は特選東紅も雅心東紅もそこまで価格差がなかったのですが、現在、倍くらいの価格差になってますね。そういう意味では雅心東紅は、かなりコスパがよく感じます‼️
値段はけっこうちがうんだね!
どちらがおすすめ?
どちらも使ってみてそれぞれよさがあるので、どちらの方が優れている!というのは一概に言えないですね。個人的には特選東紅の滑らかでたっぷりした毛の感じがやっぱり好きですが、ワークショップで塗り絵の講座をした時は雅心東紅がとても使いやすく感じました(受講者さんにも好評でした)
雅心東紅:お手頃、小回りがきく、コントロールしやすい、線画のあるイラスト向き、細部表現向き
特選東紅:水含み、絵具含みがよくたっぷりにじませられる。境界をぼかす、大きく塗り広げる、濃く塗るのに向く、ソフトエッジな絵に向く。小回りもきく。ただ、少しコントロールには技術がいる。
こんな感じかなと。
自分の作品に合いそうな方を選ぼう
どちらもおすすめ!
初心者には雅心東紅かな?
特選東紅はそれなりにお値段しますし、そこまで微妙な塗りはしないかな、ということであれば雅心東紅の方がしっくりくるかもしれません。小さめのイラストだったら、中か小で十分だと思います。私は中を愛用しています。いい筆があると、水彩はグッと楽しくなりますし、単純に上達もしやすいです。
ぜひ基本の1本にいかがでしょうか?
他には似た筆としてこんなものがあります。
特選東紅(やや柔らかく、滑らか)
自在皆宣(もっと先端がシャープ)
蒼鷹(ニッカーの筆ですが、こちらは名村大成堂の製造)