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透明水彩で身近なものを描く-ぶどう

透明水彩で、身近なものを描いてみよう、第4弾です。今回のテーマはぶどうにしました。

国産のぶどうの旬は秋ですが、輸入もののぶどうの中には年中スーパーに並ぶものもあります。比較的、入手がしやすいフルーツではないでしょうか。ただ、りんごやみかんのように日持ちしないので、買ったら、時間を空けずにさっと描いて、さっと食べてしまった方がいいです。

ぶどうの難しさと克服

ぶどうは数あるフルーツの中でも、絵に描くとかなり映えやすいフルーツです。ただ、それだけに、りんごやみかんに比べると、ちょっと描くのが難しいです。難しいポイントは

  • 小さな実がたくさんついているので、形が複雑。
  • 実が重なり合ったりしているので、その重なりを描くのが難しい。
  • 実の数が多いので、目で追うのが大変。
  • 色が複雑で、色作りが難しい。
  • 光が当たったところの光沢が半光沢で、表現が難しい

という感じです。ただ、慣れれば絶対に描けます!形は複雑なのですが、身のつきかたや、配置はそこまで正確でなくても大丈夫です。

複雑なものを描くコツ

こういった複雑なものを描くときのコツは、

「細部から見ない」

「全体をとらえる」

ということです。粒の一つ一つを順番に見てしまいがちなのですが、まずはぶどう全体の形を意識して画面の中に入れます。その次に実がついている、軸の部分を意識します。軸に実がついているので、中心部分を決める感じです。実に隠れてしまってよく見えませんけど、流れをつかむためです。

たくさん似たような粒々をたくさん、描いていくときは、目印の粒を一つ決めておきます。一番手前に飛び出して見えるようなぶどうを目印にすると良いです。紙に描いていくときは、まず目印のぶどうの粒を描いてしまいます。そのあと必ず、その目印のぶどうをチェックし、その目印のぶどうとの位置関係を見ながら、他の粒も描き入れていきます。何となく、色々な粒見てしまうと、混乱してしまうので、見失わないよう目印を設定しておくと描きやすくなります。

色作りのコツ

ぶどう=むらさき

という既成概念があるので、むらさきの絵具を用意してしまいそうですが、ぶどうを紫の絵具で塗るとイラストっぽくなります。分かりやすさはありますが、本物っぽくはないかな!

ぶどうの色は大きく分けて3種類。

①マスカット系(黄緑のぶどう)

黄緑のぶどうは比較的簡単で、黄色と緑を混ぜて黄緑を作ります。下地に黄色を塗っておくといい。影は少し青っぽくすると瑞々しい感じになります。

②赤いぶどう(赤紫〜黄緑がかったものもあり)


最も、私が好きなタイプ。キナクリドンレッドに青を少しだけ加えますが、色が鮮やかすぎるときは茶色も加えて調整します。かなり彩度を落とすのがポイント。鮮やかな紫では美味しそうに見えません。下地には必ず、黄緑を塗ります。

③黒いぶどう(ブルーグレー〜くすんだ青紫)

こちらも紫で塗ってしまいがちですが、ペインズグレーのようなブルーグレーを主軸にしていくと近い色になりやすいです。ブルーグレーに、赤と青の混色で作った青味の紫(渋い色)を少しずつ加えて調整。こちらも黄色か、黄緑を下地に塗っておきます。

と、色々書いてみましたが、文章では伝わりにくいかもしれませんね。とにかく、マスカット以外はイメージよりも少し渋い色にしていくのがポイントです。

光沢のコツ

光沢は、半透明なので、強いハイライトはいれず、リフティングでこすって色を半分くらい取るとちょうどいいです。もちろん不透明の白を塗ってもいいのですが、リフティングで表現した光沢がぶどうにはちょうどいい感じがします。水だけつけた筆で、少しこすったあと、綿棒やティッシュでそっと色を取ります。

この技法はできない水彩紙もあります。

ぶどうを描くのは楽しい

ぶどうはちょっと難しいモチーフだとお話ししましたが、とても描きがいがあって、達成感があります。慣れてくると、とても楽しいです!紙はコットン100%の水彩紙がおすすめですが、リフティングが全くできないほど、シミ付きの強い紙だと、ちょっと描きにくいかもしれません。エッジをぼかしたり、光沢をリフティンングで表現したりするとぶどうらしくなります。ぶどうの描き方まで書くつもりがなかったのですが、少しでも多くの方に絵を描くことを楽しんでもらいたいと思い、ヒントを書いてみました。

私はぶどうを描いている時が、一番楽しいかもしれません。絵になるフルーツですよね。美味しそうに描けたときの喜びといったら。。りんごのときと同じく他のモチーフ、(他の野菜や果物)と一緒に並べて描いてみるとまた対比が感じられて面白いです。

色々なことに気づきます。国産のお高いぶどうはシャンとしていて行儀がいい感じだけれど、輸入物の安めのぶどうはちょっとだらしない感じで愛嬌があります。私は、食べる目的というより、描く目的でフルーツを買うので、味よりも見た目優先です。変わった色のリンゴや、ぶどう、などついつい買ってしまいますね。そして描き終わった後で、ゆっくり食べます。そのため、家族に「早く描いて」とよく急かされています^^;