去年2022年の年末にTwiiter上で答えた質問を記事に保存しておこうと思います。暇つぶしにどうぞ!
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#いいねの数だけアナログ絵描きが答える
去年の年末ですが、こんな質問に答えたので、せっかくだし記事に残しておこう!と。
このブログでは、画材の紹介は多いのですが、意外と自分の制作のことは語っていないので、たまにはこういう記事もいいんじゃないかと思っています。

何かの参考になれば✨
ちょっと内容を詳しくしつつお伝えしていきます。
アナログ画材の魅力が伝われば嬉しいです。
これがこの記事の元になったツイートです。
たくさんのいいね、ありがとうございました。途中途中コメントなんかもいただきまして、大変励みになりました。
1 アナログ絵を始めたきっかけは?
そもそも枯葉の小さい頃はアナログ画材しかなかったのです。透明水彩は高校生のとき、画材屋さんで出会いました。
最初に出会ったのはホルベイン透明水彩。
ちょうど同じ頃、少しずつデジタルで絵を描く人が出てきた、という感じだったと記憶しています。
2 好きなアナログ画材は?
透明水彩、色鉛筆、アクリル絵具
透明水彩は、他にはない高級感あふれる発色と、にじみによる絵具の流動性が気に入っています。気に入った色をパレットに出しっぱなしにでき、色々な組み合わせを同時に試せる利便性も好きなポイントです。

絵具としての性能が優れていると思うのはアクリル絵具。定着性のよさから、何度も重ね塗りができたり、ムラなく濃い色をひろげたりと、とにかくやりたいことがストレスなくできる。最近はインクタイプのアクリルもあるので、透明水彩の代用品としても優秀です。キラキラなど特殊なエフェクト、盛り上げが自由なのもすごい…とにかく無限の可能性を秘めているのがアクリル絵具。

色鉛筆は、水彩の補助として使うことが多いです。下書きから、細かい部分の描き込みなど、ここぞというところで威力を発揮しています。とにかく繊細な描写が可能で、水彩表現に厚みを加えてくれる。

3 苦手なアナログ画材は?
小学生のときに少しだけかじった油絵は乾燥が遅く、せっかちな私には向いてませんでした。
独特の臭いもちょっと苦手なポイントでした…。
なんとなく水性のものが好きですね。
4 使ってる紙を教えて!
ファブリアーノアルティスティコ(旧)、ランプライト、ストラスモア、ウォーターフォードあたりは展示用の絵によく使います。
ファブリアーノアルティスティコ(旧)細目…やや滑らかな紙肌と深い色が出せるのが魅力。廃盤になったので大量にストックしています。リニューアルしましたが似て非なる紙でしたね。
ストラスモア…残念ながら廃盤になってしまいました(2023年)純白に鮮やかな発色が魅力だったのに…こちらもいくつかストックしました。
ランプライト…柔らかい感触の水彩紙。そこまで重ね塗りには強くありませんが、リフティングができて魅力的な水彩紙。こちらもお気に入り。
ウォーターフォード…F6以上の作品でよく使っています。強い紙肌で重ね塗りにも強いです。ここぞというときの制作に。
でも基本どんな紙でもいけますね。紙によって描ける絵も違うので、そういう部分も楽しんでいます。
5 線画描くまでの過程教えて!
ノートにざっとラフ→小さな色ラフを作る→本番の水彩紙に直接下書き
これが1番丁寧に制作している時で、いきなり本番の水彩紙に線画を描くのが1番多いかも。
あまり線画を描くまでに、しっかりしたラフは作らないことにしてます。すぐに意欲を失ってしまうので。とにかく、絵を描くときは気持ちの鮮度の方を大事にしてます。本番の紙に1発書きできるように、たくさん絵の練習をしました。
ほんとにざっくりしか作らないんですが、これがアイディアメモですね↓これが一番アイディアの根幹となっているものです。1分以内で書き殴っているので雑ですが、じっくり描いているとアイディアが逃げちゃうんですよね。自分がわかる程度にメモしてます。

色ラフも小さく作ってます↓ATCくらいのサイズかな。こちらもざっと。表情とか服装は本番を描きながらじっくり決めるので、ここで決めておくのは全体のバランスと色合いだけです。ここまでが、本番の線画までにやる作業です。

これが出来上がりの作品ですね。

色々参考にならなくてすみません。
6ペン入れの画材は何?
あまりペン入れはしないんですよね。
ピグマのセピア0.03やコピックマルチライナーのセピア0.05は部分的に使うこともあります。
最近はリキテックスリキッドを入れたオリジナルのペンをよく使います。ATCなどの小作品でとにかく早く仕上げたいときには、一気にペン入れしてから着彩することもあります。

ペン入れ自体は得意な作業ではないですし、境界もはっきり描かないことが多いので、あまり積極的にペンは使いません。
7 愛用している消しゴムは?
消しゴムは使いません。 使うのはねり消しですね。 スレッドではスタッドラーのグレーのねり消しが滑らかで気に入っていると書いたのですが、間違えていて、私のお気に入りはファーバーカステルの練り消しでした。
作業中、練り練りしたり、みょーんと伸ばして手を動かしていると…
脳が活発になって作業が捗る気がする…(気のせいかも)
8 アナログ絵の好きなところは?
出来上がった作品でいえば、マチエール、素材の面白さがあるところ。
アナログ画材はどんな薄塗りのものでも支持体と画材の層の厚みがあり、いわば立体作品です。なのでマチエールの面白さは、どの画材であっても存在します。
SNSやブログの画像ではあまり伝わらないですが、実際に見ると、紙の凹凸や絵具の重なり、キラキラの反射や盛り上げなど、目で見て感じる面白さがいっぱいあり、また感動があります。
作業工程でいえば、とにかく早いところ。思ったことをすぐに反映させられて、自由度が高いところ。
9 アナログ絵の苦手なところは?
習熟するまでに時間を要するところ。
これにつきます。とにかく作画に変形や拡大縮小、左右反転、戻る、ができないので、1発で形を決めるような技術が必要になってきます。納得いくレベルまで画力を持っていくのに、とにかく時間がかかると思いました。
戻すことができない、やり直しが利かない分、1発書きの直感力みたいなものは養われるのかも…
ただ、下絵やラフをデジタルで作成するなど、うまく併用していくことでそれも克服できるのかもしれませんね。
10アナログ絵を描いててよかったことは?
展示ができることですね。
やっぱり額装して、会場に飾られると何とも言えない幸福感がありますね(特に個展がよいです)
お客様の家に飾られている写真を拝見するのもまた別の幸福感があります。描いていてよかったな〜としみじみ思います。

見にきてくださった方、ありがとうございました!!
11デジタル絵やろうかなって思ったことある?
そう思ったことが15年前くらいにあって、ペンタブ買って数年くらいデジタル絵も描いてました! 一時期ハマったのですが、色々描いたあげく、やっぱりアナログ画材が恋しくなって、それ以来はアナログ一筋です。
こんな感じの絵を描いてました(古い絵なのでバランスおかしいのはご容赦を)



12 部分的にデジタル使ったりする?
全工程アナログで仕上げています!
13 おすすめのホワイト教えて!
ペンだったらサムトレーディングのカラーマスター。 白色度が高く、なめらかな線が描きやすい。
絵具だったらホルベインのスーパーオペークホワイト。 顔料の密度も濃く、白色度が高い。真っ白でおすすめです。
アクリリックインクでも同じものを発見!これもいいですね。今度買おうっと…
14 用紙の間に紙をはさんだり、手袋する?
しないですね… あまり手が紙に触れないように描いていると思います。
15絵を描く前に手を洗う?
あまり意識したことはないです。気づいたら絵を描いていることが多いので…
16画材以外に必須アイテム教えて
ccdスキャナ
紙の裁断機
これなしでは創作活動が出来ないと思うほど必須アイテムです!
いやこれも画材かな…?周辺器具??
17アナログ絵が捗るオススメ作業用BGM
音楽を聞くことはほとんどないです!(昔はよく聞いていたのに)
ただ、ドビュッシーとかラヴェルとかピアノ曲好き。
最近知ったビルエヴァンスのPeace Pieceという曲が気に入っています。勝手に思ってるだけですが、枯葉の作品世界にぴったりだと思う…
18アナログ絵が捗るオススメ飲み物
コーヒー(ブラック)、紅茶など、カフェイン飲料の方がシャキッとするので、作業中はよく飲みます。(甘い飲み物が苦手)
ですが、取りすぎて夜寝付けなくなることもあるので、ミントティーやルイボスティーも飲んでます。

飲み過ぎ要注意!
何が一番好きかと言われるとアールグレイ…メーカー違いでよく買ってます。
19アナログ絵が捗るオススメ食べ物
絵を描いているときはあんまり食べないかなあ。作業の合間にときどき何かつまみます。
個人的にはおやつとしてカカオ多めのチョコレート(カカオ72%くらいが黄金比だと思う)や和菓子が好きです。絵描いてると糖分恋しくなりますね。
なぜかこれをリピ買いしてしまう…↓
20 おすすめのアナログ塗り方教本
塗り方ではないのですが、メアリーホワイトさんの「水彩で描くポートレート」という本が、制作全体のことに触れていて内容が濃く面白かったです。画力が凄まじいので、なかなか真似はできませんが、読み物としておすすめです。
水彩で濃厚なものも描けるんだなあと1つの参考になりました。
21アナログ絵を描く時に気をつけていること
アナログはやり直しできないので、つい色が薄くなってしまったり、遠慮がちなタッチになりがち。
失敗を恐れず、大胆に! 色もしっかり載せる!
ことを気をつけてます。
失敗したら描き直せばいい!そんな気持ちで挑んでいます。

失敗してももう1回描いてみる!
22自分の絵を額に入れて飾ったことある?
よく展覧会に出す絵を、搬入前5日くらい飾ってます。
飾ってみて妙にしっくりくる絵は、お迎えがくることが多いのが不思議です。 展示のあるなしに関わらず額装はオススメです!



絵は縦になっている状態が、正しいあるべき姿だと思っていますね。
額装でそれが実現する感じです。アナログ画の醍醐味とも思っています(額装については、しない派の人も多いので、このあたりは感性や目指すものの違いなんでしょうね)
23アナログでカラーラフを描く?
5の線画の項目とも重なりますが、小さいサイズで作ることがあります。
サムネイルスケッチと呼んでます。 しっかり作りこみ過ぎるとモチベーションが下がってしまうので、全体の雰囲気がわかる程度に作っています。
24ずばりアナログ絵の魅力とは?
構想から、作業工程、完成物、額装という名のラッピング、展示会の開催、交流、販売など、全ての工程がおいしい。
何なら絵を描かなくてもいいと思うんですよね。 画材を集めたり、色見本作ったり、色遊びだけでも十分楽しい。絵を描くことを料理に例えるなら、ただ素材を切って味わうだけでも十分みたいな…

アナログ画材って、やはり素材なので何でもできるわけではない。できること、できないことあってそのせめぎ合いみたいなものの中で生まれるものの魅力、というものもある気がします。
作品との出会いも一期一会ですね。
そして、展示や鑑賞者さんとの交流がさらに自分を新しい世界に連れて行ってくれると感じてます。
25世界の中心でアナログ愛をさけぶ
きままに作品描くもよし
画材を集めるのもよし
展示会に出すのも販売するのもよし
アナログ画材には色々な楽しみ方、色々な可能性があります。
このブログをきっかけにアナログ画材に興味を持っていただける方がいたら嬉しいです(アナログ画材はじめたよ!などの報告もお待ちしています)

アナログ画材大好き💓