今回はこれからイラストを描いてみたい人や別の画材を探している人へ、「透明水彩の魅力」を考えてみたいと思います。みんなで透明水彩始めよう!
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透明水彩をイラストに使うということ
私が透明水彩を始めたのは20年くらい前ですが、そのころは透明水彩でイラストを描く人はあまりいませんでした。イラストといえばマーカーやアクリル、ガッシュが主流だったように思います。透明水彩はどちらかというと風景スケッチや静物画を趣味で描く人のため画材というイメージでした。
でも最近は透明水彩でイラストを描く人も増えましたよね!
うんうん、嬉しいよね!
これから「透明水彩でイラストを描いてみたい」という方に向けて、透明水彩の魅力について考えてみたいと思います。他の画材と比較しながら、こんなところがいいよ、というのを説明していきます。始めてみるきっかけになれば嬉しいです。
- 絵具の透明性→線画を生かせる(不透明、油彩)
- 絵具なので、色を混ぜてたくさん作れる(マーカー、色鉛筆)
- 技法が色々あり、表現の幅も広い
- 手軽、隙間時間に描ける、汚れない
- 初期投資が安く済む
→透明水彩はイラストにとても向いている画材!
絵具が透明!下書きが隠れない!
透明水彩はその名の通り、絵具に透明感があります。なので、上から重ねて塗ると、下の色や下に書いた線がが透けて見えます。
これは、着彩の時にもとても生きてくる性質なのですが、それよりも下書きの線が隠れないという意味でもとても良いのです。
このイラストは下書きに鉛筆を使っています。かなり軽いタッチで描いていますが、上から色を塗っても下書きの線が消えていませんよね。
このように、透明水彩は下に描いた下書きの線を消すことなく、色を塗ることができるんです。
なので、線画を生かしたイラストとはとても相性がよいです。
不透明水彩や、アクリルガッシュは、絵具が不透明なので、線画の上から絵具を塗ると、せっかく書いた線は消えてしまいます。
鉛筆で描いた線を、塗り絵のような感覚で、上から透明水彩の絵具で塗っていけばよいので、気軽にイラストを描くことができます。
線を描いてから着彩、というのは
割と初心者でも取り組みやすい
絵の描き方だと思います♪
色を混ぜてたくさん作る事ができる
他にもイラストを描くのに向いている画材として、色鉛筆、マーカーなどあります。
ただ、色鉛筆もマーカーも、絵具のような混色は出来ないので、たくさん色数が必要です。
12色とかでは到底足りなくて、おそらく60色くらいでも、まだ足りない感じがすると思います。私は中学生の時、コピックでイラストを描いていたので、ずいぶん集め、80色くらい持っていましたが、それでも表現できる色味はごく一部だな、と思いました。もっともっと色数が欲しい!と思いました。色鉛筆も、本格的に描きだすと、100色あってもまだ足りないような感じがします。
もちろん色鉛筆もマーカーも、色を重ねることにより、新しい色を作る事ができますが、絵具に比べると色作りの自由度は低いです。
その点、透明水彩は手持ちの絵具が10色くらいでも、色を混ぜて色数を増やすことができます。
私は基本7色で2色の色を混ぜる組み合わせを試してみましたが、結構たくさん色が作れることがわかりました。(21種類組み合わせがあります)
混色に慣れていない人でも、7色の絵具で、200色くらいは作れます。
上手な人は500色くらい作れます。もちろん、14色くらいあれば、もっともっと色を作る事ができます。
また、グラデーションやにじみで、色を変化させたりすると、もっと複雑でたくさんの色を感じさせる事ができます。
上の4種類の葉っぱはそれぞれ2色の混色で描いていますが、にじみや重ね塗りも使い、色々な表情を見せることができることが分かると思います。
同じ色の組み合わせでも、重ね塗りと混色ではそれぞれ違ったように見えるので、もっと複雑な色の表現ができます。
色を自由に作れるので、鮮やかな色合いの絵も描けるし、渋い色を組み合わせた絵も描けます。テイストに合わせて色合いのイメージを変えることもできます。
技法が色々あり、自由度が高い
透明水彩は、技法が色々あります。
透明水彩独特の技法はこちらの記事にまとめてあります↓
この記事にまとめた技法は、人目見て「透明水彩だ」とわかるような特徴的な技法が多いです。
もちろん、この記事に描ききれなかった、技法もあります。
マスキングを使う技法、塩を使う技法、洗い出し、分離色などもあります。
このように透明水彩は技法の種類が多く、表現の幅が広いのも魅力です。
そして、技法の組み合わせによって、無限の可能性があります。
にじみをたくさん使うのが、透明水彩の画風とされてしまいがちですが、ウォッシュを中心に描いていくとまた違ったテイストになります。
上の作品を比べて見てください。上の作品はいかにも透明水彩って感じがしますよね。透明水彩のにじみや筆のタッチをたくさん残しています。下の作品はあまり透明水彩らしくはないかもしれません。はっきりしたペンの線画に、色はにじみを使わず平坦なウォッシュだけで仕上げています。同じ画材でも、全然タッチの違う絵を描くことができます。
ほんとだ、全然違うね!
透明水彩はとても懐が深い画材なので、扱える技法の幅も広いです。
使う技法によってタッチに個性を出すことができます。
また、色鉛筆やペン、マーカーなど、他の画材と併用できます。透明水彩は、透明感があるので、他の画材で描いた後に、塗っても下に描いたものが透けて見えます。なので、重ね塗りにとてもよいのです。
透明水彩自体も分厚く塗れないので、透明水彩で塗ったあとに、他の画材をのせることもできます。可能性は無限大です。
特に、透明水彩だけでは、細かい部分の描写が難しかったりするので、そこを別の画材で補うこともできます。
どの技法を選ぶかによって、描けるものも変わってきますし、他の画材との組み合わせることで、自分にあった表現にできるのが、透明水彩の良いところでもあります。
手軽、すきま時間に描ける、汚れない
とにかく手軽に描けます。透明水彩のすごいところは、パレットに絵具を出したら、そのまま洗わないで、乾燥させて保存できるところです。
透明水彩の絵具は一度乾いてしまっても、水のついた筆で、なでれば絵具を溶かして使う事ができます。これは不透明水彩にも、アクリル絵具にもない特徴です。
なので、一度パレットさえ作っておけば、いつでも好きな時に、準備なしに絵具を使う事ができます。
一回一回、絵具をチューブから出す手間がありません。なので、準備と後片付けが、圧倒的に楽!
忙しくて、まとまって絵を描く時間が取れない、という時にも、パレットを出すだけで絵を描き始められるのはとても有難いです。準備に時間と手間がかからないということは、絵を描く心理的ハードルをぐっと下げてくれます。私が何年も絵を描くことを続けてこられたのも、この「透明水彩の手軽さ」によるものが大きいかもしれません。
そして、絵を書いている最中に、作業を中断してもいいのです。絵具は、また溶かして使えるので、スキマ時間に少しづつ進めていくこともできます。まさに忙しい人にうってつけ。
また、透明水彩は、洋服や机も汚れにくいです。絵具もチューブから出したままのドロッとした状態で使わないので、うっかり触って汚れる、という事態が起こりません。机に飛び散った絵具も、雑巾でふけば、大抵きれいになります。(もちろん机の材質にもよりますが)
手軽だけど、本格的なものが描ける!
初期投資が安く済む
透明水彩はあらゆる画材の中でも初期投資がかかりません。
先ほど言ったように、絵具は10色くらいで十分始めることができます(私の絵具はたくさん持っていますが、メインで使っているのは12色くらいです)
アナログ画材は絵具選びも楽しいので、徐々に色数が増えてしまう傾向はありますが、最初は少なくても大丈夫です。保証します!
そして透明水彩のチューブは長持ちなので、すぐにはなくなりません。1本使い切るのに思いのほか苦労すると思いますよ(笑)
パレットは長く使うならアルミ製も素敵なのですが、コストを抑えたければ100均のパレットでいいです。筆も子供用のぺんてるやサクラのセーブル筆、または水筆などでも大丈夫ですし、画材屋さんさんで1000円前後の筆1本買っておくとかなり長持ちです。アクリル絵具のように、筆はそこまで消耗しません。
水彩紙だけは、ちょっといいものを入手しておくと、使える技法も増えて楽しいと思いますが、今は色々な水彩紙を一気に試せるアソートパックも売られていて、あまりコストをかけず自分に合った紙を試すことができます。
色々な画材を試しましたが、透明水彩は本当に気軽に始められます。必要最低限の画材を揃えるのにはそこまでコストがかかりません。
とは言っても、だんだん色々欲しくなっちゃうんだよね…
最後に
透明水彩はとても気軽で、かつ幅の広い画材です。
透明水彩を使うと、色々なタイプの絵を描くことができます。もちろん、風景画やスケッチもとても楽しいのですが、自分のアイディアをイラストにするのもとても楽しいですよね。
自分のアイディアを絵にできたら楽しいよね。
私は子供時代は、買ってもらった色鉛筆と、お小遣いで買ったコピックで、イラストをよく描いていました。コピックや色鉛筆でイラストを描くのもとても楽しい。
でも、高校時代に透明水彩に出会って「とても自由度の高い画材」と思いました。使い方次第で「自分の描きたいイラスト」を描くことができる画材だと思い、少しづつ透明水彩に切り替えました。
ただ、透明水彩は、描く紙や、絵の具によっても、出来栄えが左右されるので、かなり画材の知識が必要です。そして、意外とその情報がまとめられている教科書的な本がありません。
イラスト上達のためには、形を正しくとらえるための「スケッチ」練習も、必要ですが、画材の使い方も大切です。何か「分からない」と思った時に、別の記事も読んでみてくださいね。