モンバルキャンソンのレビューをします!
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モンバルキャンソンとは?
モンバルキャンソンはマルマンから出ているキャンソン社の水彩紙となります。黒い表紙が目印です。わりとよく見かける水彩紙なので、どんな水彩紙なのかレビューしたいと思います。
こちらのモンバルキャンソンの素材はパルプとなっています。

パルプ100%なんだね✨
パルプとコットンの違いはこちらの記事を参照してください。
パルプの水彩紙だと、どうしても定着が弱いので、重ね塗りが難しくなるのですが、こちらのモンバルキャンソンもそのような傾向です。が、色はとても鮮やかで発色がいいのですし、にじみもきれいに広がるので、気に入る人もいると思います。
素材 | パルプ100% |
紙の色 | 白色 |
発色 | 鮮やか |
地の滑らかさ | わりと滑らか(下書きしやすい) |
にじみ | まあまあよく広がる |
乾きのスピード | やや早い |
重ね塗り | 下の色が溶けがちで、あまり重ね塗りはできない |
リフティング | かなりリフティングできる。 |
価格 | パルプの水彩紙としては高め、ランプライトと同じくらいの価格感 |
その他 | 分離色が分離しやすい、バックランしがち |
モンバルキャンソンの特徴
はっきりとした発色
まず、色がはっきり出て鮮やかな発色です。コットン紙の場合少し抑えられた発色になることも多いので、これはとても頼もしい要素です。紙の色も白いので、特に赤や青の発色がとてもきれいに感じました。


はっきりしたきれいな色合いです!
コントロールの難しさ
まず、ムラなく塗るウォッシュの技法がちょっと難しいです。ムラなく平坦に絵の具が乗らないので、濃いところ淡いところできてしまいます。逆にとると、濃淡を生かしたランダムな仕上げにはとてもよいです。初心者の方はちょっと戸惑うかもしれません。
ムラなく塗るには、水分量が多くならないように注意します。絵具を水で薄めすぎないのもポイントです。

またバックランも起きやすいので、水彩らしさをうまく活かすような画風には向きそうです。

水彩っぽいランダムな塗りになるのがいいね!
モンバルキャンソンで、色をムラなく塗りたいなら不透明水彩(ガッシュ)を併用するのも一つの方法です。特にニッカーのデザイナースカラーはとってもきれいに塗ることができます。
重ね塗りは難しいが、リフティングを活かした表現も
一つ注意した方がいいのは、パルプが原料になっているためあまり絵具が浸透しないことです。そのため重ね塗りをすると、下の色が溶け出してしまい、なかなかうまくいきません。ただ、時間が経つとある程度定着する色もあるので、1日しっかり乾燥の時間を置いてみてください。
色にもよりますが、だいぶ色は重ねられるようになっていました(赤の上に黄色をのせてます)↓

ただ、その分リフティングはしやすいので、塗ってから色を拭って白抜きしたり、修正したいところの色を取ったり、ということがしやすいです。自分の表現に合わせて、技法を選んでいけるといいですよね。
キレイににじむ
パルプのくせに、と言ったらなんですが、思いのほか大きくにじみ、そのにじみもとってもきれいです。色々なにじみを作ってみたんですが、どれも悪くない!
ただし、あまりいじくりまわさないこと。乾くのが早いので、絵具を途中で足しすぎると、時差で最初に色を入れたところが乾いてしまい、きれいににじみません。


きれいににじんでるね

発色もコットン紙に比べてパキッとした発色なのもあって、気に入る人もいそうだなあと!
分離色がよく分離する
流行りの分離色がよく分離します。これはパルプ紙の特徴ではあるのですが、モンバルキャンソンも例外ではなく、分離色の色がとても分かれやすい!分離色を活かした作品を描きたい、というときにおすすめ。特に紙の白さも相まって、分離色の繊細な色も忠実に表現できてます。

流行りの分離色、とても綺麗に使えます!

明るめの分離色で試してみたい✨
こちらがシュミンケホラダムのグラニュレーティングシリーズ。

こちらがクサカベの分離色ハルモニアシリーズ。

どちらも色の分離がよく見えて分かりやすいです。
モンバルキャンソンの作例
「何度でも願う」

この作品を見ても分かると思うのですが、発色はとてもいいです!青、鮮やかではっきりしてますよね。あとは背景の街なのですが、粒状化色もよく質感が出てますね。

個人的には、少しずつ少しずつ重ねるような描き方よりも、最初から色をしっかり入れていくような塗り方に向いていると思いました。初心者さんには少しコツがいるかもしれないのですが、経験値がありそれぞれの水彩紙の特性をよく理解している方には、なかなか面白い水彩紙だと思います。最初から大きな水彩紙で買うのはおすすめではなくて、小さいサイズからお試しして欲しいと思います。
また、透明水彩だけではなく、不透明水彩やアクリル、色鉛筆などで描くのにも良かったです。価格はパルプの割にそこまでお安いわけではないので、初心者🔰さんは、ウォーターフォードやランプライトなどのコットン紙を買うことを優先しても良いと思います。参考になれば✨