風邪ひき水彩紙をマルチサイジングで復活できるか?やってみました。
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水彩紙の風邪について
梅雨から夏にかけて最も警戒しないといけないのが、水彩紙の風邪ひきですよね。すでに水彩紙をダメにしてしまった💧という方もいるかもしれません。今年もジメジメしている日が多かったです。
そこで今回はすでに風邪をひいてしまった水彩紙を復活できるか、やってみたいと思います。
水彩紙の風邪ひきとは「湿気により、水彩紙に施されているサイジングが劣化して、効かなくなること」です。
風邪ひきを判別する方法
描く前にその水彩紙が風邪をひいているか判別できる方法がホルベインで紹介されていました。すごく分かりやすいです!
いつも下書きを書き終わって、いざ着彩!のタイミングで「あ〜〜っ風邪ひいてるっ😭」となることが多くて、凝った下絵を描いたあとに気づくと本当に悲劇なんですが、描く前に分かれば本当にありがたいです🙏
ということで枯葉もやってみましたよ。
こちらの水彩紙はウォーターフォード中目。すでに風邪をひいています。
こちらにスポイトで水滴を落としてみました。すると… 5秒くらいで「シュン」と吸い込まれていきました。この水滴の吸い込まれるスピードで風邪ひきの具合も分かりますね。この水彩紙は完全にサイジングがなくなっているので、どんどん吸い込まれていきました。
ちなみに水が裏まで貫通しています。
こちらが新しいウォーターフォード中目↓こちらは水滴を丸く落としていくと、かなり長い時間綺麗な丸い形がキープされ、絵具が吸い込まれるのにはかなり時間がかかりました(30分ほどキープできたら合格だそう)こちらは1時間経っても形が少し平べったくなる程度で、水滴の形をキープできてました。
サイジングが効いている証拠!!
絵を描かなくても判別できるのはありがたいですね。今度から怪しい水彩紙や古い水彩紙には試してみたいと思います。
皆さんもぜひお試しください
風邪をひいてしまうと?
絵具を塗ったときにどうなる?
風邪をひいた水彩紙に絵具を塗るとどんな感じになるか?これも気になりますよね。
こちらはさきほどの風邪をひかせてしまったウォーターフォード(中目)。昔はウォーターフォードは風邪をひきにくい水彩紙でしたが、最近はなんだか弱いですね。こちらはスケッチブックで購入したのですが、なんと最初から風邪気味でした。
それはしょんぼり。
この水彩紙に絵具をのせてみると、絵具がすぐに吸い込まれて塗り広げるができません。
通常だと、絵具がしばらく紙の表面に留まるので、塗り広げができます。
・塗り広げが全くできない(コピックで塗っている感じ)
・色がいつもより濃いめ
・粒状化のような斑点模様ができる(サイジングのムラのようなもの)
こんな感じになります。
なんか変だと思ったら風邪気味かも?
はっきり風邪をひいていると分かりやすいのですが、完全にではなけれど、少しサイジングが弱くなっている「風邪気味」の状態も存在します。
これはなかなか判別が難しいのですが、使い慣れている水彩紙だと「なんか変だな」という違和感を感じたら風邪気味のことが多いです。
描いていて違和感を感じることが多いです
・塗り広げがしずらく、塗った跡が残りやすい
・色が鮮やかに発色しない
・粒状化色でないのに、粒々が目立つ、など
ただ、風邪のひきかけなら、全く絵が描けないということもないです。乾くとそこまで粒々も目立ちません。なので、早急に描き上げてしまうのがおすすめです。
なんとか、ギリギリという印象でした。
風邪ひき復活できるのか?
すでに風邪をひいてしまった水彩紙は元に戻すことはできない、とされています。がっかりですよね。サイジングが劣化しているからです。
元には戻せないの…?
でも、いい方法があるよ!
が、もう一回サイジング剤をかけることはできます。サイジング剤、ちゃんと売ってます。ホルベインの「マルチサイジング」です。こちらを使って風邪ひき水彩紙を復活できないかやってみようと思います。
こちら小さいボトルが廃盤となり、大きいボトルのみとなりました。
マルチサイジングのかけ方
①原液を全体に塗る、とあるので、薄めずにたっぷり筆に付けて塗りました。細かな筆で塗るよりもこれは刷毛や大きな平筆で一気に塗り広げた方がムラなくできそうです。
(ただホルベインさんの動画では、1:1で水で薄めてよいとのことだったので、薄めて塗る方が塗りやすいかもしれません。)
②この段階ではムラになっていて不安になりますが、そもそも風邪をひいた水彩紙ですので、マルチサイジングも吸い込まれてしまいます。これでよしとします。
③乾かします(半日〜1日かかる)
乾くと色は消えて、紙の色に戻ります。
マルチサイジングをかけるとどうなる?
パッとみた感じでは変化がないのですが、どのようになったのでしょうか?
水滴を垂らしてみます。すると…
サイジングなしの方は、すぐに水滴が吸い込まれてしまうけれど、サイジングを塗った方は水滴が紙の上でキープされています!
おおっ✨
すごい!!
ですが、喜んだのも束の間、5分ほどは水滴はキープされたのですが、その後、ゆっくりと吸い込まれていきました。水彩紙の状態がかなり悪いので、一度塗っただけでは元には戻りませんでした。
絵具を塗ってみます。すると…
塗り心地はかなり変わっていました。サイジングなしの方は、絵具がムラになり、斑点状の模様ができて、塗り広げもできないのですが、サイジングを塗った方はちゃんと絵具が紙の上に留まって、にじみも作ることができました。色も鮮やかに発色しています。
これならばちゃんと絵は描けそうです。
紙の状態がそこまで悪くなければもう少しちゃんと復活させてあげられそうな感じもしました。ただ、元通りになるわけではないみたい。
ちなみに描き途中の絵の上に、サイジングをかけても大丈夫みたいです。
最後に
というわけである程度復活できるということが分かってホッとしました。もちろん元通りにできるわけではないので、応急的な処置にはなりますが!
元通りってわけじゃないんだね
水彩紙は風邪をひかせない、というのが一番大切です。なので、色々な風邪ひき対策は知っておいて損はありません。こちらの記事も必ず読んでください!
もしひいてしまった!という場合は、マルチサイジングをぜひお試しください〜✨