額縁探訪記は枯葉が色々な額装をレポート形式でお送りするシリーズ(多分)。こんな感じで額縁迷って決めたよ!というのをお伝えできればと思います。第一弾はオーダー額✨
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オーダー額とは?
突然ですが、額装ってしたことがありますか??絵は描いているけど「額装はしたことがない」とか「やってみたいけどやり方が分からない!」という方も多いんじゃないでしょうか?
展示に出されている作家さんだと、「額装はそこそこ経験ある!」という方もいると思います。
ですが、「額装はそこそこ経験ある」という方でもほとんどの方が「規格額」を使った額装なのではないかと思います。そう、枯葉も例外ではありません。今までかなりの作品を額装してきたのですが、その全てが「規格額」による額装でした。


額縁屋さんに行くと、まず目につくのが「規格額」と呼ばれるものです。何かというと、サイズとデザインが決まった額です。サイズは絵画ではお馴染みのFサイズとも、紙のサイズ(A4、B5)とも違う額独特の規格です。「インチ、八切、太子、四切、大衣…」のようなサイズです。規格額は種類が少ないが、価格が安いのが特徴です。
それに対して「オーダー額」は自分の好きなデザインを選び、好きなサイズで作ってもらう額です。「オーダー」と言ってもフルオーダーではありません。メーカーさんの提供するデザインから選ぶ「カスタムデザイン」です。

どうしても価格は高くなりますが、その分びっくりするほど選択肢は増えます。そもそも規格額はオーダー額の中からごく一部が展開されているもの。本当に一部なんです。オーダーだとその何倍もの選択肢の中から選ぶことができるんです。今まで、価格の問題がネックでオーダー額には挑戦できていなかったのですが、今年の個展で、思い切ってトライしてみることにしました。
今回オーダー額をお願いしたのは新橋の額縁店ファブリさん。最近ものすごく額縁の種類が増えているのと、マットも他のお店にないような変わった色合いのものがあるので、こちらでお願いしました。相談も丁寧に乗っていただけます!
お願いする作品はこちらの2点。
こちらの天使の作品(2年前のものです)とマルマンヴィフアールコラボの作品です。
「星の歌声」 「時を告げる歌」


どちらも自信作なので、それに見合った額装にしたいのですが、規格額でしっくりくるものがないんですよね。
「星の歌声」の額装
「星の歌声」この作品は2022年個人企画の展示に誘っていただいたときに、企画の「青零し」というタイトルに合わせて描いた作品。作品の色を青で統一し、スカートからは星が零れています。最初はこちらの額装。

↑この額はとても気に入っていたのですが、別の作品を入れて販売してしまいまいした。こちらはラーソンジュールのジュリエットのパールブルーなのですが、そもそも規格額では販売しておらず、たまたま限定販売されていたものをゲットしたということのようでした(つまり同じものはオーダーでないと手に入らない)サイズは八切、ちょっと手狭な感じもするんですよね。

↑その次はラーソンジュールのベルリン。ベルリン自体はとてもよいデザインなのですが、やや太めで直線的なデザインなので、割と作品もしっかりした感じが合うんですよね。この天使にはちょっといかつかったかな。あとサイズは太子なのですが、この作品にはちょっと大きすぎてマットが余っている印象。
困っているのがサイズ感でした。


この作品のサイズが[180×250mm]なのですが、八切額だとちょっと窮屈、一つ上の太子額だと逆に大きすぎる。その中間くらいのサイズ感だとほどよいんです。なのでオーダーでお願いできたらピッタリにできるなと✊
次にデザインの希望ですが
①細めの額にしたい(絵の中身がやや繊細なので細めの額がいい)
②模様がついた額がいい(装飾が強すぎるのもダメだけどシンプルすぎても世界観が伝えられない)
③色は白が白っぽい銀色がいい(クリーム色でも真っ白でもない、ややくすんだ白がいいな)
こんな要望にぴったりの額、規格額にはないんです!!あとでお話ししますが、規格額で白っぽい額って、本当に選択肢少ないです。あってもちょっと安っぽかったり…。
ということで規格額でしっくりこないときはオーダーだ!!

ぴったりの額が見つかるかな?
まず額。色々あったのですが、こちらはイメージ通りのものがあって、すんなり決まりました。ラーソンジュールのシャルムのホワイトです。シャルムは金、銀、黒は規格額があって、よくお世話になっていますが、こちらの白のみ規格額がなくてオーダーのみ。
この細さと適度な装飾、めっちゃよい。色も真っ白ではなくて、ややグレーがかってます。そしてツヤがなくてマット。

次はマットをどうするか決めます。ここが結構難しくて。
マットは額と作品の間に入るので、両方を繋ぐ役割があります。結構作品の印象もマットの色で変わってくるので、おろそかにはできません。白い額の場合、白いマットを当てると寝ぼけた印象になってしまうことが多いです(合うこともありますが)でも作品の色との相性もあるので、なかなか難しいです。
この作品の場合、額縁にはグレーっぽい色味のマットが合いそうだけれど、あまりに色が濃いと作品の色が寝ぼけてしまう感じでした。


なので、ブルーグレーのマットの内側に真っ白なマットを入れてダブルマットにすることにしました。こちらのブルーグレーのマットはラーソンジュールのマットだそう。少し値は張りますが、絶妙におしゃれな色がそろっていて、つい選んでしまう!
マット幅も一番バランスのよい35mmくらいをお願いすることに。

一応もう一つ銀色の額もあててみて、少し迷いましたが、初志貫徹で。
で出来上がったのがこちら!!↓

一番最初の額装(白の額に白のマット)だと天使が寂しい感じに見えることもあったのですが、ブルーのマットが入ると暖かい雰囲気に見えませんか?模様の形も作品に合っている感じがします。オーダーでないとこの額を選ぶことはできなかったので嬉しい!!
「時を告げる歌」
こちらはヴィフアールコラボの作品です。このようにヴィフアールのパッドの表紙の作品として描きました。中目を選んだので、作品のイメージカラーを緑に統一しました。

そういう経緯もあって、緑っぽい額をつけようかなと思って、まずご提案いただいたのが、こちらの額。サムトレーディングの新作額だそうです。

季節ごとに新しい額が発表されてるんだって✨
太さも透明水彩にちょうどいいし、どのカラーも可愛い!

最初は緑かなーと思ったけど、あんまり色は合ってない感じ。よいなと思ったのが、水色と黒の額。でもふんぎりつかず。
色々似た雰囲気の額を出してもらって迷います。うーん、どれもいいんだけどちょっと決め手に欠けるかな。

個人的にはこれも強く惹かれたのですが、ただちょっと無難な感じというか。規格額にも似たようなデザインのものがあるせいか特別感に欠けるというか。
あれも、これも、と色々出してもらううちに本格的に分からなくなってきました。

オーダー、思ったよりも選択肢が多くて、沼が深い!とにかく迷う。また、マットの選択肢も多いので、額×マットの組み合わせでまさに無限大♾️ そこに面金やマットの加工の選択肢も含めると、頭がパンクしそう。
で、終盤になり、ん、これいいかも?とピンときたのが左下の白い額。こちらもサムトレーディングの新作フレーム。想定よりも額の太さが太いのですが、装飾の植物が作品のコンセプト(新しい芸術が芽吹き、才能が開花する)というものにピッタリなんじゃないかなという感じがしてきました。マットはオリオンのワーグマンが貼られたマットにしました。

で、出来上がったのがこちら!


とっても素敵!!
なんだけど…ちょっと白っぽすぎた??サンプルで見た時はとってもいい感じに見えたのですが、四角い額の形になってみると面積が増えるので、ちょっと白が太すぎたかな??

せっかくオーダーしたのに申し訳なさすぎる…
せっかくオーダーしたのに…ファブリさんで一緒に選んだのに…と思いつつ帰宅したのですが、ちょうど描きかけだった作品があって、「こっちの絵が合うのでは??」と思い、持って帰ったオーダー額の中に入れてみたら…


ぴったり!!
「雨上がりの音楽」をこちらのオーダー額に入れることに。
そして「時を告げる歌」の方はどうなったかというと…。SEOフレームの格子柄の金の額縁に入れることにしました。こちらの作品は
・少し太さがある額
・金色の中でもくすんだ面積が多くてピカピカしないもの
・曲線的模様より直線模様
が合うみたいでした。

なんでなんでしょうね〜〜本当に不思議。お店で金の額縁を当てた時は今ひとつしっくりこなかったんですよね。同じ金でも、くすんだ感じやピカピカしたもの、細いもの、太いもので全く変わってきますからね。
とにかく結果オーライではありますが、「額装難しい!!でも楽しい!!」を痛感しました。
どちらも10月の個展に持っていくので、お楽しみに✨(作品はどちらも販売いたします)
オーダー額どうだった?
価格は張るが、満足度は高くなる
とっても満足度高かったです!!ただ、やはり価格はいつもの額装の3〜4倍くらいになるので(ものによるのでもう少しお手頃にもできるし、高いのはもっと高い)現時点全ての額装をオーダーにするのは難しいかなとも思います。
もちろん規格額の中にピッタリの額が見つかることもあります。そんな時は価格の面からもそれで100%満足なのですが、中にはどうしてもピッタリの額が見つからないこともあります。そんな時に、規格額の中から妥協して選ぶという選択肢もありますが、オーダー額を選択肢に入れられるとかなり可能性が広がると思いました。
枯葉の場合も今まで7割くらいは規格額の中にしっくりくるものがあって、それで十分かなと思っていました。が、やはりサイズやデザインなど、どこをどう探してもしっくりくる額が見つからない作品もあるんです。なので、オーダー額も選択肢に入るとかなり変わってくるなと思いました。
特に白い額。白の額ってあんまり需要がないのか、規格額では種類が少ないんですよね。ちょっと可愛い感じが強すぎたり、シンプルすぎたり、他の色と比べて安っぽさが目立つ色でもあって、白の額ってデザインがいいのが少ないな〜って思ってました。オーダーだと、白でもデザインや塗装が凝ったものが多くて、本当に選びがいがあります。

↑ラーソンジュール、サムトレーディング、K-Primoの白額を並べてみました。どれもオーダーでしか買えない額だけど、いつか予算をそろえて制覇してみせる✨
なので、次回の展示もまたオーダー額に挑戦してみようと思います。
下調べしてから行こう
オーダー額はとにかく選択肢がめっちゃ増えるため、とてもとても迷います。普段は規格額のことだけ考えているので、主要な規格額についてはほとんど頭の中に入っています。逆に言うと規格額は種類が少ないので、全部覚えてしまえるくらいの数しかないんです。
が!オーダーになると、びっくりするくらい選択肢が増えるので、頭がパンクしそうになります。もちろんある程度予算で区切りますが、でも数が多すぎてパニックになります。

今回、「星の歌声」天使の作品に関しては、何回か額装して展示していたこともあり、「こういう額が探したい」というプランが頭の中にあったので、わりとスムーズに決まりました。が、もう一つの「時を告げる歌」の方はノープランで挑んだため、なかなか決まりませんでした。額装って、お店で相談に乗ってもらえるのでノープランで行って問題ないのですが、自分の場合少し下調べをしておいてもいいかもと思いました。(作家さんは自分の作品の伝えたい世界観があると思うので特に)
さきほど紹介したラーソンジュールも検索しやすいカタログがあるので、暇な時に色別にチェックして気になるものをメモしておいてもいいかもと思いました。水彩作家が好きそうなオーダー額があるのは、ラーソンジュール、サムトレーディング、K-Primoあたりかな。カタログのリンク貼っておくのでぜひ!
まず普通の額装を知りたい方はこちらもね↓