パルプベースを使ってみました。水彩の新しい表現を広げてくれる画材であったので、みなさんにご紹介したいと思います。
Table of Contents
パルプベースについて
みなさんはパルプベースをご存知でしょうか?
こちらは私が2022年にクサカベ工場見学で購入させていただいたパルプベースです。これは何かというと、「水彩紙の紙肌をもった下地材」です。つまり、通常なら水彩では描けないような木製パネルやキャンバスであっても、このパルプベースを塗ると、水彩で色をつけることができます!
これ、とっても面白い画材です!
これを塗ると、キャンバスにも水彩で絵を描けるよ
へえ!面白そう✨
私もお店で、作例が置いてあったので興味を持ったのですが、なかなかSNSでもこちらを活用した作例が探しにくく、どのように使ったら魅力的なのか掴みきれませんでした。結局2年ほどかけて色々な作品を描いてみたので、それをご紹介できればと思います。
個人的には水彩の可能性を広げてくれる面白い下地材だと思いました!
パルプベースは紙の質感を持った下地材
カタログから拝借すると、このパルプベースは「紙肌を表現できる水性ジェッソ」とのことです。ジェッソはキャンバスなどに塗られる下地材のことを言います。普通のジェッソは主にアクリル絵具や油彩の下に塗るものですが、こちらのパルプベースは紙のような質感があるので、水彩を描くのにも適しています。
パルプベースは、水彩だけではなく、アキーラ、アクリル、油絵具、パステルなど他の画材でも描くことができます。
確かに乾くとざらっとしたマットな感じで、紙っぽい質感があります。胡粉も入っています。
こちらのパルプベースは荒目、中目、細目の3種類があります。枯葉が購入したのは「細目」です。目が荒いほど、ザラザラと凹凸がある感じみたいです。お好みもあると思いますが、最初は細目からスタートしてみるといいかもしれません。
とりあえずは細目でよいと思います✨
パルプベースどうやって使う?
パルプベースは下地材なので、支持体に塗ってから、絵を描くというのがメインの使い方になると思います。が、このパルプベース、ザラザラっとしたテクスチャーがとても面白くて、絵具を上から塗らなくても十分見栄えします。なので個人的には「白い絵具の代わり」として使うのも、よい方法だと思いました。1つずつ王道の使い方からご紹介しましょう。
①キャンバスの上に下地材として塗る
「紙以外のものにも水彩で描いてみたいなあ」と思うことありませんか?そういうときはアクリル絵具で描けばいいのですが、水彩で描けたら面白いな、とずっと思っていました。通常キャンバスの上に、水彩で塗ることはできません。
キャンバスと言ったら、アクリル絵具か油絵具だけど…
ですが、このパルプベースを塗れば…!
キャンバスに水彩画が描けるはず。というわけで、丸いキャンバスを買ってみました。
この上にパルプベースをペインティングナイフを使って、塗っていきました。
もちろん、刷毛など使って平坦に塗っていくこともできるのですが、ちょっと盛り上げたり、あえてテクスチャを作ることができるのも、このパルプベースの面白いところ。
ところどころ凹凸を作って、ラフにしてみました。とりあえず1日乾燥させます。どんな作品になるか楽しみ!
色鉛筆で下書きをします。パルプベースは吸収性があるということで、色鉛筆でも弾くような感じはありません。もちろん、紙の上に描くのとは違いますが、いつもと似たような感覚で描けました。修正したいところは練り消しも使えますし。
水彩をのせてみます。水彩がすぐに吸い込まれることもなく、ちゃんと表面に留まっているのが分かりますか?紙に描くのと同じ感じです。
色をどんどん載せていきます。にじみを作ることもできます。結構水彩らしい感じに塗ることができてびっくりしました。それでいて、下地に盛り上げをしているので、自然とランダムな濃淡ができてとても面白い感じ。
ちなみにそこまで絵具は吸収されないので、定着はやや弱い感じ。なので修正もリフティングもできます。そのぶん、しっかり重ねていくのにはちょっとコツがいる感じ。場合によっては、不透明水彩を一緒に使ってみてもよいと思います。
キャンバスに水彩画が描けました!
もちろん、紙に描くのとはまた違った難しさがあって、思うようにいかない部分もあるのですが、全体としては、この漆喰のような独特の質感に重みがあってとてもよい!!水彩であって、水彩離れしたこの感じ、とても新鮮に感じました。
ちなみにサイドにもパルプベースを塗って、絵を描きました。こういうことができてしまうのも、下地材のおかげです。
キャンバスなのに、ちゃんと水彩っぽい!
ちなみにこちらの作品は新橋の額縁店ファブリのPR記事のために描きました。ボックスフレームに入れていただくことになったので、額装も楽しみにしていただけたらと思います。(ファブリの記事に登場する予定✨)
②紙にパルプベースを塗る
パルプベースは、キャンバスや木製パネルなど、いつも水彩で描けないようなものの下地材として使うと、本領を発揮できるのですが、もちろん紙の上にパルプベースを塗って、その上から絵を描くこともできます。
要領は同じ。パルプベースをペインティングナイフや筆で、水彩紙の上に塗ります。凹凸を残しておくと面白いです。紙の場合は全面に塗る必要はなく、盛り上げたいところだけ塗るのでOK。
この作品は顔の周りだけ、避けました。
深い色もちゃんとのるし、にじみもできます。下地の凹凸があるので、いつもより質感を感じる仕上がりに。
まだまだ、荒削りですが、とっても面白い効果が出せると思いました。
③白の絵具として使う
最近、パルプベースを白の代わりに使うのもいいな〜と思ってます。なぜなら、盛り上げができて、ザラザラの質感にできるから。壁の漆喰みたいなテクスチャーにできるのが面白くて、部分使いすると目を惹きます。
たとえばこの作品はベールの縁飾りをパルプベースをのせて表現しています。
こちらの作品の雲にも塗ってみました。厚く盛れるので、白さが際立ちますし、質感もあって表情が豊かになる感じがします。
優秀だった!
というわけでパルプベース、とっても優秀でした。色々使い道があって、それを考えるのも面白い!
水彩作品の最大の弱点は、「展示で並べたとき、作品が軽い感じがする」というものがあると思います。水彩自体顔料濃度が低いので、色も淡くなりがちですし、他の画材に比べると、物足りなく見えてしまうこともあります。(それの繊細な感じが魅力ではあるのですが!)
パルプベースを使うことで、また違った作品ができる感じ
壁紙みたいで面白い!
が、今回キャンバスにも描くことができて、いつもの水彩作品よりしっかりした感じに見えて、とても嬉しかったです。立体的だとまた見え方が全然違いますよね。また、平面作品でも、質感を加えられるのは、魅力的だと思いました。
パルプベースは、水彩作品の新しい可能性を広げてくれる、とても面白い下地材でした。
今回は細目を使ったので、中目や荒目も試してみたいです。が、繊細なイラスト作品なら、とりあえず細目で間違いないと思います。100mlと350mlがありますが、とりあえず100mlでOK。開封すると、ちゃんと蓋を閉めていても、徐々に硬くなります。ので、早めに使い切ってしまうのが吉。硬くなってくると伸びにくくなります(それはそれで盛り上げやすくて面白いですが)
ではでは気になる方はぜひお試しください🙏