Xでつぶやいたことをまとめておきます。作品の転売対策です。心穏やかな話題ではないので、読みたい方だけどうぞ。
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作品の転売問題
1点ずつ心をこめて制作している作家からすると、作品の転売は悲しい気持ちにはなるものと思います。ただ一方で、一度手を離れたものは完全にはコントロールできないという側面もあります。
そこで私が考える作家側ができる転売対策を考えてみました。 またアートにおける転売とはどういう意味を持つのかについても考えていきます。今回の記事、画像が少なく、文字ばかりになってしまい、読みづらいですが、どうぞおつきあいください。
対策①作品価格を上げる
転売者に利益を与えたくないと思うなら、まずは作品価格を上げる、これが一番大事です。高嶺の花で買った作品は、その価格以上では転売しにくいのです。少なくとも購入してすぐ転売、というのは避けられます。
ここでいう価格の高さは、相場より高い安いという話ではなく、「作品の人気度に対しての高い、安い」です。需要があるのに(市場では価値があるのに)それに対しての価格が安めである作家さんは、転売されるリスクは高くなります。なので、作品がある程度売れるようになったら少しずつ値上げをしていってください。目安は、初日に購入戦争が起きない、あっという間に完売しない、程度の価格がちょうどいいと思います。
これは人によって違うと思うので、現時点で売った価格よりも高い価格で転売が成立している場合は、少なくともその高い転売価格くらいまでは、価格を上げても大丈夫なはずです。(出品されていても転売が成立していなければ、価格は据え置きでよいと思う)
つまり本当の適正価格と、実際に販売している価格に乖離がある場合は、転売されやすくなります。
作品が売れるなら価格は少しずつ上げていきましょう!
時間が経って、作家さんが出世して作品価格が上がってから初期作が高額転売されることもあります。そういう場合は、市場価値が上がったからこその転売で、転売というより、名誉の二次流通と捉えた方がいいです。そこは、転売者は先見の明があったということで、利益を得ても正当だと私は思います。(その人が購入をしてくれたからこそ、作品価格が上がってる)そこまでくると、作家もしかたないととらえるしかないと思います。
対策②購入者をつきとめる
グループ展でギャラリーで売れたものは、ギャラリー側も作家に購入者の情報を教えてくれないことが多いです。これは個人情報を守るためです。が、ギャラリーによっては、購入者の許可を取った上で、作家にどなたが購入したか教えてくれるというところもあります。
実は私は出品するギャラリーでこの対応をしてくれるところをとても大事にしています。そのため3万以上の作品はほぼ購入者を把握してます。(その代わり、ハガキサイズ原画、ミニ原画やドローイングについては行方が分からないものも多いのですが、それについては諦めています)また自主企画個展で売れたものは、私が直接購入者とやりとりしているので、購入者の住所も把握しています。(していない場合もあるが、メールで連絡が取れるくらいにはなっている)
ギャラリーを介して販売して、購入者が全く分からないという状況よりは、心理的に転売されにくいと思ってます。
また、SNSでお迎え報告をお願いしてみるというのも1つの方法です。私はやたらとお迎え報告をおねだりしているのですが、それには、「作品の行き先がなんとなく分かる」と「安易な転売」を防ぐという二つの効果があると思っています。(単純に見返して嬉しいのもあります!もちろん!!ありがとうございます!)なので、これは購入者にお願いですが、購入した作品の「お迎え報告」をしていただけると作家はとても安心できます。SNSなどパプリックな場での報告が一番嬉しいですが、DMやメールで伝えていただけるのでも大丈夫です。
お迎え報告嬉しい!
安心もできます。
ちなみにBoothは閉店時でも、メッセージを送りあえるので、もし報告したいな〜と思った方はいつでも連絡待ってます!時間が経っても、SNSで報告してくださるのは、涙が出るほど嬉しいです!!
対策③作家が買い戻す
これは転売された後の対応ですが、作家自身が買い戻すという手もあります。特に安く売られていたり、オークションで安値で落札されそうな場合。この場合は買い戻しをした方がいいケースもあります。
作品が安く転売され、購入されるのは実はリスクです。それは、ギャラリーや作家が販売している作品が「本当の市場価値よりも割高である」という証明になってしまうのです。つまりギャラリーで買う方が割高で、転売品を買う方が安くてお得ということです。転売品を買う方がお得だよ、という状況は作家にとって不利な状況…
赤の他人に安く買われるよりは買い戻して、もう一回正規の価格で、作家本人から売った方がいいです。
もし作品を手放したい場合はちゃんとした価格で買い取るよ、という意思表示をしておくことで、作品整理をしたくなった人は作家本人に連絡するようになるかもしれません。
ある程度資金を用意しておかないといけないですが。(ただ、これも難しくて、販売手数料50%のところで売った作品は作家も作品価格の半分しか受け取れてないので、転売価格が安くなっていたとしても買い戻しはむずかしいこともある。)
今回「転売するなら安く売って欲しい」という意思表示をする作家さんが多くて、びっくりしたのですが、これは作家生命を絶たれることもあるので、めっちゃ危険なのでは、と思ってしまいました。転売されるなら高く売られないと今後作家としての価値を上げていくことができなくなります。
安く売られるのは、転売者に「多少損が出てもいいから、手放したい」と思われているということだから、いっそう悲しみは深いです。
セカンダリーマーケットの意義とは
色々な人の意見を見ていて、一つ誤解があるなあと思ったのは…
「グッズなどの転売」と「絵画の転売」がごっちゃにされて議論されているということ。
それぞれ、全く意味合いが違うのですが、かなり混同されていました。
多かった意見は「購入してからすぐに高額するのは、利益目的の転売じゃないか!許せん💢」というものでした。
そもそも絵画は購入してから時間をかけて、作家が有名になって価値があがったら売却するのが一番利益がでる方法です。
絵画購入は不動産や株と似ていて、投機の要素があります。(持っていれば持っているほどが上がることもある、全ての作品でそうではないが、そこのリスクもふくめて面白いと感じる人もいるらしい)なので、投資目的でアート作品を買う人もいます(特に現代アートに多い)海外ではその要素が強いので、アート作品の売買も活発だし、そのためお金もかなり動くと聞きます。
絵画作品を利益目的で買うなら、すぐに売却せずに、時間が経ってから売る方が利益が出るはずなんです。
日本ではそもそも利益をもとめてアート作品を買う人は、本当に少ないです。特に小さいギャラリーや価格の安い作品なら、やっぱりその作品が好きと思ったから買うんです。なぜ早期で売却するのかは分かりませんが、短期間で大量購入して大量売却するコレクターも確かに存在するので(コレクションを入れ替えていくタイプ)そういうケースも考えられます。
(もちろん作家さんが傷つかない方法でやって欲しいし、ある程度作品を所持して欲しいという気持ちはもちろん!あります。でもそれを完全に止める手立てもないのです。)
そういうこともあって、いわゆる限定グッズを転売したとか、生産数の少ない品物を買い占めて転売する、というのとは性質が全く違うのが絵画の転売です。それは1点ものであるということと、芸術作品が文化的に価値のあるものであるという社会通念もあります。
今回「転売者を擁護するのか!?」とお怒りを買ってしまったのですが、そういうことではなくて、色々な背景もわかった方が、作家さんがいたずらに傷ついてしまうことを防げるかなと思ったのです。
セカンダリーマーケットの意義
絵画の世界でも中古市場のことを「セカンダリーマーケット」と呼んだりしています。
ギャラリーが光の舞台だとしたら、セカンダリーマーケットは影の舞台。
光もあれば影もある…
買ってすぐの転売には批判的な人も多いですが、年齢を重ねて作品整理したくなったり、コレクターの死後、作品をどうするか問題もあるので、二次流通(セカンダリーマーケット)は悪とはいえないです。
年齢を重ねたコレクターは自分の膨大なコレクションをどうするか悩みの種みたいですし。たとえお子さんがいる方でもお子さんがコレクションの引き継ぎを希望しないこともあるので、死後コレクションがセカンダリーマーケットに出ることはありえます(枯葉の家でも祖父母宅にあった絵画作品を古物商にまとめて買い取ってもらったことがあります、捨てるわけにはいかないし…でもほとんどお値段つかなかったです)
もちろん生活環境が変わる、ライフステージが変わる、経済状況、さまざまな事情で、作品は手放されることがあります。その時に捨てられるのではなくて、次のオーナーに引き継がれていくというのが、作品の理想の姿ではないでしょうか。
売られるよりは、捨てられる方がいい、という作家さんの意見もあったのですが、作家自身はそれでよくてもファンはどうでしょうか?「いや、待って!捨てられるくらいならぜひ買わせてもらいたい!」という方もいると思います。
そういう意味でもセカンダリーマーケットは受け皿として必要です。
セカンダリーマーケットで作品の購入者が利益を得ることに「抵抗を感じる人」が多いのは、いわゆるグッズやチケットなどの商品の転売ヤーへの嫌悪からだと思います。もちろん転売目的の購入は論外ではありますが、「絶対に転売を禁止!」としてしまうと作品は最終的に廃棄される運命となります。それは作家さんとファンが望む世界でしょうか?絵画作品にとってのセカンダリーマーケットは、永続的に作品を残していく手段でもあります。
個人的には捨てられてしまうより、次のオーナーに渡る方が幸せな場合の方が多いと思いますしね。 作品が転売された作家さんは、これを自分の作品の価値を上げていくチャンスだと前向きにとらえたらいいのではないかと思います。(なかなか難しいことではあると思うけど)
なかなか難しい…
転売見かけても報告しないで
あとひとつ、フリマやオークションで作家さんの作品が転売されているのを見かけても、報告しなくてよいと思います。報告されても悲しい気持ちになるだけで、作家ができることはありません。
できることがないんです…
悲しくなっちゃう
③の買い戻す、というのが作家にできる唯一のことですが、この意見は私以外の誰からも出なかったので、たぶん実行する作家はかなり少数であると思います。資金もかなりプールしておく必要があります(私は見つけたら、できるかぎり買い戻しを実行するつもりです)
なので、見つけてもそっとしておいてください。作家自身もオークションサイトやフリマで自分の作品を積極的に探さないことをおすすめします。見つけてもやる気を削がれるだけかと思います。もし見つけてしまったら、転売が成立するかどうかを見守り、成立したら、それ以降作品価格の値上げを。あるいはメッセージをいれて「やめてください、悲しくなります」とお気持ち表明をすることくらいでしょうか。(してもどうにもならない感じがしますが、以後転売に慎重になってくれるかも)
枯葉庭園の作品について
自分の作品についても考えてみました。
もし枯葉庭園の作品を整理したくなったら…
まずご連絡いただけたらと思います。買ったときの金額でよければ私が買取します。または、私の方からフォロワーさんや今まで作品購入していただいた方の中から、購入希望者を募ってみることができると思います。
あとは…特に希望はないです。というか、どうにもできないですね。せめて時間が経った時に、販売した時の価格以上の価値が出て、「あの時お迎えできてよかった!」と思ってもらえるように、作家活動を頑張っていくだけです!!
それと関係してなのですが、作品証明書を作ってみようかな(今までの作品の分も)と思ったりしています。
ゆくえの分からない作品はいくつかあるので、「自分がお迎えしたよ〜!」の連絡はいただけるとめっちゃ喜びます、いつでも!
前に進もう
X(Twitter)内の作品販売と展示に関する情報交換コミュニティにて、作家、購入者双方からのとても参考になるご意見をいただき、ありがとうございました。私の方としてもとても勉強になりました。作家さんごとに色々ご意見あるかと思うのですが、少しずつみんなで考えていけたらいいよね、と思いました。難しい問題なだけに。
図も少なくて読みにくかったと思いますが!前向きな気持ちになったら嬉しいです。決して、誰かを悲しませるために書いているわけではないので、誤解なきようお願いします。私は作家なので作家さんの味方!!!!