よくブログでも登場する「定番カラー」という言葉。絵具をメーカー別に縦断して整理していくと、定番の顔料というのが見つかります。とにかくどのメーカーも100種類くらい色があって、どれを買っていけばいいか分からない!何を判断の基準にすればいいか分からない!という人も多いのでは?
今回は、ぜひ揃えておきたい、または知っておきたい定番の色をご紹介します。
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透明水彩は色名が分かりにくい
子供向けの絵具は「あか、きいろ、みどり、あお、ちゃいろ」など色がシンプルで迷うことはなかったのに…
いざ専門家用の絵具を揃えようとすると、「パーマントカーマイン」だの「クリムソンレーキ」だの「フタロターコイズ」だの呪文のような色名が並んでいて、一体どの色を選んでいけば分からないと思うことはありませんか?
いわゆる「赤」どれ?
赤でも、いっぱいありすぎてよく分からない…
専門家用の絵具はものすごく選択肢が多く、どのメーカーも100種近くあったりします。しかもメーカーによっても取り扱う色が違ったりします。そして同じ色なのに、メーカーによって名前が違う絵具もあり、分かりにくさに拍車がかかっています。
色々種類はあるけど、その中でも
定番はあるので知っておくと役に立つよ!
私は水彩絵具のブログを始めてから、絵具や顔料にちょっと詳しくなり、その中でどのメーカーでも必ず扱っていて、発色もいい絵具=定番の色、というのを見つけました。
これの定番色は、定番になるだけあって混色でも色が濁りにくかったり、発色に優れていたり、耐光性にも優れていてとても優秀♪
ええっ!知りたい知りたい♪
色名の紹介の前に
基礎知識からいくよ!
絵具は顔料が大切
色名と一緒に使用顔料もチェックしよう
絵具って色名で覚えるじゃない?
うん。「ビリジャンヒュー」とかだよね?
そう。でもね…
絵具は色名だけじゃなく顔料にも注目した方がいいの!
がんりょう??
顔料とはこれです!
チューブの横に英文字と数字の組み合わせで番号が書いてありますよね。(パンフレットにも書いてあります)これに注目!絵具は色のついた「顔料」という粉とアラビアゴムでできているのですが、この「顔料」によって色と性質が決まっています。
裏を返すとこの顔料が同じものは、別メーカーで違う名前であっても「同じ色」なんです。
じゃあ、ホルベインのビリジャンヒューはPG7って書いてある。
ってことは…
ウィンザー&ニュートンのウィンザーグリーンと同じ色かな?
そう!シュミンケホラダムのフタログリーンも同じ色だし、クサカベにビリジャンネオも同じ色だということが分かるよね。
顔料は、メーカーを超えた共通言語!この顔料番号さえチェックすれば、メーカーの枠を超えて絵具を選ぶことができるし、自分が買おうと思う絵具が手持ちの絵具で自作できるか、ということも分かってきます。
私もドットシートで6社以上比較していますが、違うメーカーの絵具であっても、同じ顔料の絵具であれば、ほぼ同じ色です。溶けやすさや透明度、着色力などの性質も同じ。
だから顔料が大事なんだね!
同じ顔料でも色が違う絵具、というのもいくつかあるので、全てではないのですが、それでもかなり手掛かりはつかめると思います。
単一顔料と混合顔料
次に、絵具には単一顔料と混合顔料の絵具があるということです。
混合顔料の絵具が存在する理由は、単一顔料で表現できない(混ぜないと作れない)色を作るためだったり、色を滑らかにする目的だったり、顔料にクセがあるのでそれを和らげたりという目的があります。
で、個人的な意見になりますが、初心者さんにおすすめなのは、まず単一顔料の絵具を優先的に揃えることです。
混合顔料の絵具は単一顔料の絵具同士で作れることもあり、一旦置きます。絵具は似た色味でも使用顔料によって使い心地がかなり違うので、まずは、この顔料はこんな感じか、と特徴を覚えておくと、比較しやすいし、次に揃える色を探しやすいです。
ふむふむ、フタロブルーはこんな感じ。
ウルトラマリンはこんな感じかあ…
定番顔料を紹介していくよ
で、やっっっと本題です。
前置き長くてごめんね。
今回はホルベインの色名で紹介します。各色のリンクも貼りますので、別のメーカーで同じ色を狙う人は参考にしてみてください。これらは顔料名も覚えておくと便利です。
赤系の定番色
まずは赤です。赤は新しい顔料も多く、とても迷いますが、まず外せないのがキナクリドン系の絵具です。種類も多く迷いますが、まず外せないのがPV19とPR122です。
- キナクリドンレッド(PV19)
基本の赤として使える万能な色。発色も強く鮮やかな色です。混色も得意。色味に幅のある顔料なので、他メーカーで買う場合は色味をチェックしてからがいいかもです。
- ピロールレッド(PR254)
真っ赤で、鮮やかさが半端ない。どこのメーカーでも売ってます。まだ比較した記事はないのでそのうち…
- キナクリドンマゼンタ(PR122)
鮮やかな赤紫。薄めるとピンク。
紫を作るのにとても大事な色。
- カドミウムレッドライト(PR108)
どちらかというと朱色。こちらの色味はバーミリオンや混合色もあって、それでもいいかなと思う。カドミウムレッド自体も色に幅があり、種類が豊富です。
黄色・オレンジ系
- カドミウムイエローライト(PY35)
カドミウムイエローは色に幅があり、レモンイエローから山吹色まで色々種類があります。
ホルベインでは、カドミウムイエローレモン、カドミウムイエローライト、カドミウムイエローペール、カドミウムイエローディープのバリエーションがあります。
際立って発色の良い不透明の黄色。
- イミダゾロンイエロー(PY154)
- イミダゾロンレモン(PY175)
黄色系は顔料が色々あり、メーカーによっても扱う色は様々です。よく見かけるのは、カドミウム系とイミダゾロン系。有毒と不透明を気にしないのであればカドミウム系が一番発色がいいです。その次がイミダゾロン系かな。発色はカドミウムイエローに負けますが、適度に透明感があり鮮やかです。
ちょっと黄色も種類が多く悩みますね
緑
- ビリジャンヒュー(PG7)
- バンブーグリーン(PG 36)
両方ともフタロシアニン系のグリーン。ビリジャンヒュー、バンブーグリーンの名前はホルベイン透明水彩での名前で、他のメーカーでは別の名前で売られています。このブログではフタログリーンと呼んでいることが多いです。
・フタログリーン(ブルーシェード)PG7
・フタログリーン(イエローシェード)PG36
のように表記されている絵具シリーズもあって、この呼び方が一番明快で分かりやすいので、私は頭の中ではこの2つの顔料はセットで認識しています。
発色と透明度に優れますが、この人工的な色味を嫌う人は多いです。ですが、とても優秀な色だということに気づいたので、みんなもパレットに入れよう!使い方も紹介しています。この記事は全水彩民に読んで欲しい。
この2色は双子みたいな感じなので、どちらでもOKで、どちらかでOK
青緑や、粒子の粗い色を入れると他にも定番色はありますが、今回は紹介しません。ちなみにサップグリーンやフーカーズグリーン、オリーブグリーンなどの便利なくすみグリーンは、これらのフタログリーンと別の色を混ぜて作られています。
青系
青はほとんどが定番色ですが、代表的なものといえばフタロブルーとウルトラマリン。どちらも鮮やかで安い顔料なので、混合色にもよく使われているのでチェックしておくといいでしょう。
- フタロブルー(イエローシェード)(PB15:3)
- フタロブルー(レッドシェード)(PB15:6)
フタロブルーの2色に関しては、イエローシェードが三原色のシアンに近く、混色の必須色。
- ウルトラマリンディープ、ウルトラマリンライト(PB 29)
ウルトラマリンは粒子が荒い絵具なので、全体的にざらっとしてますが、それでも色によっては粒子の荒さが違います。ウルトラマリンライト<ウルトラマリンディープ<フレンチウルトラマリンで、粒子が細かくなっていく傾向(あくまで傾向)記事が詳しいですね!
あとは
- プルシャンブルー(PB27)
- ロイヤルブルー(PB60)
- コバルトブルー(PB28)とセルリアンブルー(PB35)
これらも定番色です。プルシャンブルーはクセはありますが、深みのある独特のブルーでおすすめです。買い足しにとてもおすすめ。深みのあるロイヤルブルーも人気色です。
青の絵具はたくさんあるように思えますが、実は種類が少なく、大体6種類です。
青は顔料にクセのあるものが多いので、混合色の方が便利なケースもあります。
どの青もキレイでワクワクするね♪
紫
- パーマネントバイオレット(PV23)
定番中の定番の紫。どこでも見かける一般的な紫。これも覚えておくと便利。
迷ったら、とりあえずこの紫。
茶色系
- イエローオーカー(PY42)
黄土色
12色セットにもよく入っている色です。地味な色なのでパッとしないと思うかもしれませんが、とても活躍する色です。
- バーントシェンナ(PR101)
オレンジがかった赤茶色です。
- ライトレッド(PR101)
赤みの強い赤茶色です。
- バーントアンバー(PBr7)
いわゆる茶色。この色じゃなくてもいいけど、茶色はよく使うのであると便利です。割とざらざら感のある絵具です。
この中でも特に重要なのが、イエローオーカーとバーントアンバー。次にバーントシェンナとライトレッドの赤茶系。
あとはローシェンナやローアンバーも定番の茶色ですが、今回は手持ちがなく割愛しました。こちらはイエローオーカーのような明るめの茶色です。
黒
- アイボリーブラック(PBk9)
- ランプブラック(PBk6)
定番の黒のようですが、こんなおすすめもあるので、こちらの記事も読んで欲しいです↓
終わりに
ということで、定番の顔料についてまとめてみました。
定番といっても、もっと他にもあると思ったのですが、混色や発色の都合で使いやすいものだけ選びました。
どの色を紹介するか迷いました〜💦
参考までに。
もちろん好みもありますのでそれぞれですが、絵具売り場で迷ってしまったという方はぜひ参考にしてみてください。
12色セットや18色セットに入っている色と重複している色もありますし、入っていない色も多いです。
特に絵の描き始めは色が多すぎても使いこなせないので、基本カラーを手頃な値段で買い揃えて、その後に珍しい色や鮮烈なカラーを少しずつ加えていくのが、効率よいと思います。
私もホルベイン10色くらいでスタートして、少しずつ増やしました。
今でこそ、私も手持ちの絵具が増えてしまいましたが、普段使っているのはこの記事で紹介した絵具がほとんどです。
顔料の知識はあると、とても便利です。今回の話と少し重なりますが、顔料の知識をまとめた記事もおすすめなのでぜひ読んでみてください♪
単一顔料:1つの顔料のみで作られている絵具
混合顔料:2〜3種類の顔料を混ぜて作られた絵具