おすすめの水彩紙や愛用の水彩紙を教えてください!という質問が多いので、記事にしてみようかなと思います。具体的な作品も一緒だとイメージしやすいかもなので画像も一緒にのっけますね。
Table of Contents
おすすめの水彩紙とは?
「いざ、おすすめはどれ?」
「愛用の水彩紙はどれ?」
と聞かれると結構返答に迷います。

知りたい!おすすめの紙✨
というのも、どの水彩紙も一長一短で、ベストはないからです。ある程度の水彩紙になると、どれも使い心地はよいですが、「ベストマッチか?」と、聞かれるとそうでもない。
今まで個別の水彩紙の解説はたくさんしてきたのですが、どの水彩紙をよく使っているか?はTwitterでちょこちょこ発信してる程度でまとめたことがなかったので、こういう記事も何かの参考になるんじゃないかと思ってます❗️
私にとっての使いやすい水彩紙の基準は
- 重ね塗りができ、深みのある色もだしやすい
- 紙の凹凸が深すぎず、ペンや色鉛筆との併用のしやすい
- にじみがきれいに広がる
という感じです。絵もまあまあ細かいのですが、コミックイラストほどはっきりした絵柄ではないので、適度に風景画や静物画で使われるようなざっくりした塗り方も取り入れています。
なので絵柄によっては「参考にならない…」ということもあると思いますので、個人の感想や好みとして、楽しんでいただければと思います。

楽しみだな〜✨
どんな水彩紙が登場するかな?
ではいってみたいと思います!
ストラスモア(2023年廃盤になりました)
ストラスモアはどちらかというとイラスト向きの水彩紙ではないかと思います。ウォーターフォードやアルシュのようににじみが大きく広がる水彩紙ではありませんが、その分コントロールがしやすい!おきたい場所におきたい色をしっかり置きたい。そんなときには頼りになります。乾くのも適度に早いので作業もすいすい進みます。

バランスの取れた水彩紙✨
また紙の色も真っ白なので、発色もとてもよいです。特に青や紫、ピンクが鮮やかにでます。絵具の鮮やかさを生かしたいときには最適の水彩紙です。


紙の凹凸は適度にありますが、そこまで凸凹が深くないのも特徴。そのため、ペンや色鉛筆の線も描きやすいです。かといってそこまでつるつるでもないので、広範囲のウォッシュもムラにはなりません。何となくですが、にじみやウォッシュを生かした、風景画のようなスケールの大きい絵よりも、繊細な作業の多いイラスト系の作品に向く紙だと思います。
※残念ながらストラスモア水彩紙は2023年に廃盤になってしまいました。ですが、記事自体は記録のために残しておこうと思っています。今後メーカーさんの新製品開発のお役に立てることを信じて。
ファブリアーノアルティスティコ(細目)(繊細な描写に)
ファブリアーノアルティスティコはリニューアルが入ったため、違う描きごこちの紙になったと思っていたのですが、メーカーさんによると紙自体は変わっていないとのことですのでご紹介します。ただ、枯葉の愛用のリニューアル前の細目は日本に輸入されていません!
ただこの水彩紙に描いている作品がとても多いので、推しではあります。


とにかく繊細で細密な描写に向いています。広範囲にウォッシュをするのはコツがいるのですが、色はそれなりに深みが出ます。かなり濃く色をつけることも可能です。ただ、乾きが早くにじみもそこまで広がらないので、アルシュやウォーターフォードのようなにじみにはならないです。

が、その分とても繊細で微妙な描写ができます。ペンや色鉛筆との相性もよいです。重ね塗りはとてもしやすく、何度でも重ねられるので、じっくり制作したいときにも向いています。髪の毛の描写や洋服のしわ、植物の細かい描写など、細かく描きこみたいときはファブリアーノアルティスティコの細目を使います。
重ね塗りが得意な分、リフティングはあまりできません。その分、ややシャープな表現になりがちです。

紙の色が白く美しいので、余白を生かした表現にも向いています。
色見本を作るときにも使っています。
新しいリニューアルバージョンのレビューはこちらから↓
ランプライト(柔らかい表情がでる)
ランプライトはたぶん、枯葉の絵ととても相性の良い水彩紙です。。価格も手頃なためか、探してみたら作品の数も多かったです。

この水彩紙の持ち味は柔らかさのある表現です。

やさしい感じの水彩紙だね!
とにかく、ランプライトは顔が描きやすい!肌の表現と相性がいいです。


ある程度重ね塗りが可能ながら、エッジをソフトにぼかせる水彩紙なので、柔らかい描写に向きます。髪の毛の柔らかさや、濡れたような目など、ランプライトでしか描けないものも。
ただ、濃い色をドンと置くような塗り方をすると、ムラになりがちです。背景をがっつり描くような絵だとウォーターフォードとかのほうが向いているかも
気になるほどではありませんが、発色はやや落ち着いています。その分、まとまりのある色合いに。


お値段もお手頃なのでなんだかんだリピート率が高いです。コスパはかなりよいと思います。
この水彩紙、F6以上で描いたことがないのですが、大作だとどんな感じになるのか気になります…。今度チャレンジしてみたいな〜と思います。
ランプライトは国産の水彩紙。ここだけの話、国産水彩紙のほうがロット差が少なく、安定感があるような感じもしてます。そんな意味でもおすすめの水彩紙の一つですね
ウォーターフォードナチュラル中目(なんだかんだで頼れる)
なんだかんだで、困ったときはウォーターフォードです。紙肌も強いので、何度も重ねたりしたいときや描き込みをたくさんしたいとき、にじみを大きく広げたいときにはウォーターフォードに頼ります。とくに背景をがっつり描くときなどはこの紙が一番向いていると思います。
なので余白がないみっちり描かれた絵はウォーターフォード率が高いですね。


紙肌が粗めで凹凸が深い分、にじみも大きく広がりますし、色も濃くのせることができます。


何となく、強くはっきりした表現に向いている紙かなあと思います。
風景画を描かれる方が愛用していることが多いです。空や海など広い面をきれいに塗ろうと思うとウォーターフォードかアルシュが活躍しますね。
ただ、顔など繊細な部分には、凹凸が目立ってしまうので、どちらかというと人物の顔メインで描くときにはランプライトのほうが好きだったりもします。

乾くのもゆっくりで、初心者でも使いやすい水彩紙!
またこちらは細目、中目、荒目と3種類の目と色も白とナチュラルで2色あり、種類も豊富な水彩紙で、それぞれ描きごこちも微妙に異なります。なので、それぞれにレビューが必要かもしれません。
私のお気に入りはナチュラル中目です。このあたりは好みでしょうか!
A4企画があるのもありがたい!↓
ワトソンホワイト(気楽に描くときにはこれが一番!)
最近見直しているのがワトソンホワイト。

ワトソンも広く人気の水彩紙✨
重ね塗りがっつりできる高級紙を使い慣れてしまうと、物足りなさもありますが、ホワイトワトソンの豆色紙をたくさん描いていたら、これもいい水彩紙だな〜と認識を新たに。
大きな作品には向かない気もしますが、F3くらいまでだと活躍します。
少しずつ慎重に重ねる塗りかたではなく、一気に色をのせるとうまくいきます。






小さい水彩紙だと、目も細かくてちょうどいい!目の荒いホワイトアイビスの豆色紙はとても描きづらく、ワトソンに変えて「描きやすい!」と感動したのでした。
それ以来、豆色紙作品はほとんどワトソンホワイトの豆色紙を利用しています。発色もよく小さいサイズだと凹凸感も適度で絶妙に使いやすいです(高級水彩紙のものより、かえって好き)


過去にはこんな作品もワトソンホワイトです。


高級紙に比べてにじみは不揃いに出るので、それが面白いとも言えます。
深い色を広範囲に塗る、重ね塗りを何度もする、といったことができない水彩紙ですが、価格が安めなので、練習には最適です。絵具が紙の奥の方に入り込まないためか、発色は案外鮮やかです。
また色見本もワトソンホワイトで作っています。素直な発色で絵具本来の色が見やすいのと、中庸な紙目、真っ白で安価な水彩紙がレアなこともあって、こちらを選択しています。

ワトソンのレビューはこちらです↓
セザンヌ中目(こちらも2024年に廃盤)
※こちらは2024年に廃盤が決定しました。とても残念ですが、記録のために残します。
好きな水彩紙ではあるのですが、なにぶん作例が少ないので、推し水彩紙にするか迷いました。
にじみの感じが一番好きです。決して派手なにじみではないのですが、乾くととても整った表情になります。置きたいところにきれいに絵具がのります。
また乾くのはゆっくりなので、じっくりにじみやウォッシュを調整しながら塗ることができます。

他の水彩紙にはない、穏やかな表情がありますね。とても使いやすいのですが、ややこ綺麗にまとまりすぎてしまうのが弱点と言えば弱点かもしれません。

これもセザンヌですね〜↓
あまり際立った特徴がないのですが、そのぶんバランスにすぐれた水彩紙ではないかと思います。価格はアルシュなみですが、アルシュとはまた違った使いやすさがあるので、ぜひ色々な絵柄の方に使ってみて欲しいと思います。個人的には推し!です。
オリオンさんのポストカードアソートパックには、12種類の水彩紙が入っていますが、このセザンヌ水彩紙も3枚入っているので、使ったことない人はぜひ試してみて欲しいなと思います。価格がお手頃でおすすめです↓
こちらは枯葉のレビューです↓
アルシュ細目(神にじみ)
こちらで紹介するのはアルシュの細目(真ん中の目)です。
以前は苦手な水彩紙ナンバーワンでしたが、久しぶりに使ってみたら、微妙に表面の感じが変わっていたので、使うようになりました。具体的に言うと、表面の凹凸が少しなだらかになり、ペンや色鉛筆の併用もやりやすくなりました。
弾きの強さもオックスゴールでカバーできることが分かりました。
アルシュといえばとにかく「神にじみ」です。
ぞっとするくらいきれいなにじみを作ることができます。

これはアルシュの細目で塗りましたが、このにじみの感じがなんともいえません。やっぱり皆さんがアルシュ、アルシュと大騒ぎする理由がようやく飲み込めました。
これは製作過程ですが、この時点で描き込みをしなくても完成度の高い塗りになってます。。(アルシュが自動的にやってくれる)
ランダムに色をのせてもうまく整えてくれちゃうんですよね。ただ乾くと色は少し淡くなりますので、少し微調整は必要になります。
この2つの小作品もアルシュですね↓こちらはあまりにじみを生かしてないのでなんともですが、深みのある色もきれいにのっていますね。

また、こちらの大きな作品もアルシュの細目です。横の長さが50cm以上ですが、やはりゆっくり乾く性質と絵具が均一に伸びる性質のおかげで、背景の色がとてもきれいにまとまりました。大作にはアルシュだなって思いましたね。

あとはこちらの作品はアルシュのよさが詰まった作品ですね。あまり濃く色を乗せすぎない方が、アルシュのにじみがきれいに出ると思います。粒子の広がり方が均一です。

やっぱりすごい水彩紙だな〜と思いました。
アルシュはかなり価格が高めの水彩紙なので、できれば大きなサイズを切って使う方がお得です。私は全紙サイズを切って使いますが、場合によってはロールで購入でもいいかもしれません。

確かにかなりの価格!?
ときどき画材店によってはお試し価格でカットされたものやポストカードサイズのパックがあるので、それでお試ししてみてもいいかもしれません。個人的にはあまりに小さい作品にアルシュはもったいなくて、少し大きめのサイズになると本領を発揮します。
ストーンヘンジアクア水彩紙new!(深みのある発色)
あまりに廃盤品が多くて悲しかったので、ここ数年(2022〜2024年)でよく使うようになった水彩紙をもう一つご紹介します。それがストーンヘンジアクア水彩紙の荒目です。
こちらの水彩紙の特徴は深みのある色がしっかりのること、重ね塗りがしやすいということです。にじみはアルシュやウォーターフォードのように大きく広がる系ではないのですが、コントロールしやすいので、きっちり手堅く色を乗せていきたいときに重宝する水彩紙です。
最近とてもよく使うようになったので作例も多いです。


背景の夜空や人物の影の部分など、はっきりコントラストがついているのが分かると思います。なので、自然と深みのある表現になるなあと思ったりします。水彩紙の色は真っ白ではないのですが、かといってナチュラル色ほど色もついていないので、暖かい色合い、冷たい色合いどちらでも合いますね。


紙肌が極端に弱いので、あまり消しゴムをかけない方がよかったり、マスキングが使えなかったりと弱点もあるのですが、それを上回る素晴らしい水彩紙です。
クオリティのわりに価格もまだそこまで高くないので、そのあたりもおすすめポイントですね。
5枚入りのA4パックがおすすめです!気楽にお試しできるので。
最後に
というわけで、よく使う水彩紙について語ってみました。

個人の主観なので
参考までに〜!
といっても、色々ブログでレビューを描く関係上、いろいろな種類の水彩紙を買うことが多く、「結局どの水彩紙でもそれなりに描ける」という感じになってしまいました。あまり水彩紙にこだわりがなくなってきた感じでしょうか。
ただ、やっぱり「この表現にはこの水彩紙じゃないと」というのも、少しありますね。特に大きめの作品になると、水彩紙ごとの違いを感じやすいです。

いい水彩紙だと
ほんときれいに塗れて楽しい♪
「高い水彩紙だからよい」というものでもないのですが、紙は材質の違いが、そのまま描き心地に直結していることもあり、やはり価格の高いものはある一定以上のクオリティを持っていると、感じざるを得ません。
水彩紙も廃盤が多くなり、また価格改定により値上がりしつつあります。かなり厳しい状態が続いていますが、特に価格が高めのものはみんなで買い支えていかないと、どんどん選択肢が減ってしまいます。ぜひ色々お試ししてもらえたらな〜と思います。
今回紹介したものの中で使ったことがないものあったらぜひぜひ挑戦してみてください!
紙カテゴリーにいやというほど水彩紙のこと、紹介しております。お時間あるときにぜひぜひのぞいてみてください。