今回は白絵具の話です!水彩の白絵具の中身、チタニウムホワイトとチャイニーズホワイトの話題です。
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白い絵具の世界
チタニウムホワイト、チャイニーズホワイトの違い、知っている?
今回は白い絵具の話です。透明水彩に限らないのですが、主に「チタニウムホワイト」と「チャイニーズホワイト」のちがいについてです。このあたりの白の違い、なんとなくの理解になっているという方多いのでは?枯葉もその1人です。
そもそも透明水彩ではあまり白絵具は使われないので、そもそもみなさんの関心も薄いかもしれません。枯葉も歴代のパレットにも透明水彩の白の絵具が入っていたことはありませんでした。使うとしてもガッシュとか、アクリルの方がなじみが強いです。
今回、チタニウムホワイトとチャイニーズホワイトの色見本をしっかり作れたことで、2種類の白の違いもはっきり分かりました。これで使い分けもできると思います。各メーカーによって、名前も違ったりしますが、おおよその感じはつかめるようにしてあります。
白絵具は使わない
ここまでお話しして、「透明水彩って「白」を使っちゃいけないんじゃなかった?」と思った方!透明水彩の白絵具の是非についてはこちらの記事で詳しく解説しています。もちろん透明水彩の白を愛用される方もいて、それはそれぞれ自分の目的に合わせれば良いと思います↓
そして白絵具の性質がちゃんと分かると、もっと使いこなせるかも!というのが今回の記事。
場合によっては、ガッシュ不透明水彩の白がいいこともあるし、アクリル絵具も白がよいこともありますので、比べたものも紹介します。これで、白絵具への理解も深まるはず。
一口に「白」の絵具といっても画材によって色々な違いがあります。テクスチャーや濃さ、透明度などさまざまです。違う種類の絵具画材同士を組み合わせて使うこともできます。白の絵具を混ぜて使うか、仕上げにハイライトとして使うかでも、向いているものは違ったりします。
今回はそんな意外と奥が深い白の絵具を色々比較してみました。
チタニウムホワイトとチャイニーズホワイトのちがい
透明度の違い
透明水彩に関わらず、なのですが、大体どこのメーカーでも白は2種類です。チタニウムホワイトとチャイニーズホワイト。どっちがどっちがわからなくなってしまうのですが、
チタニウムホワイト=不透明のしっかりした白
チャイニーズホワイト=半透明の白、混色向き
とされています。チャイニーズホワイトの「チャイナ」は中国のことではなくて、「陶器」のことを指します。陶器の白って少し透明感があるんですよね。なので陶器っぽい白だからチャイニーズホワイト=半透明。って覚えましょう!
顔料を見てみましょう!ホルベイン透明水彩の白を持ってきました。
チタニウムホワイト=PW6 チャイニーズホワイト=PW6
となっています。
あれ、同じ顔料だよ?
ホルベインはどちらも同じなんだけど、それぞれ違う顔料を使うメーカーが多いの。
チャイニーズホワイトはややこしくて、PW4を使うメーカーの方が一般的。おそらくこちらが本来の色です。
たとえばこちらのウィンザー&ニュートンのチャイニーズホワイト。こちらは顔料表記がPW4です。
PW6チタニウムホワイト、PW6のチャイニーズホワイト、PW4のチャイニーズホワイト、それぞれどのくらい透明度が違うんだろうって思いますよね??そこで黒い紙の上で実験してみました。すると…
PW6のチャイニーズホワイトはあまり透明感はなくて、チタニウムホワイトとそこまで変わらないという結果でした。
一方PW4のチャイニーズホワイトはかなり透明感が強いです。黒い紙の上でうっすら膜を張る感じ。
PW4について
他にもPW4の白があるメーカーはこちら↓
シュミンケホラダム、セヌリエ、マイメリ、レンブラント、ダニエルスミス
なんとなく海外メーカーが多いですね。ターナーのチャイニーズホワイトはPW4とPW7の混合で、こちらも透明感がありました!
なので一口にチャイニーズホワイトと言っても、中身はPW6とPW4のものとあるので、買う前にどちらなのかチェックしてみるといいですね。
- チタニウムホワイトが不透明の白、チャイニーズホワイトが半透明の白
- チャイニーズホワイトはPW6とPW4のもの、両方ある。
- PW4のチャイニーズホワイト(こちらが本来のもの)の方が透明度が高い
ちゃんと透明感が欲しいなら、PW4のチャイニーズホワイトを探してみてね
2種の白の使い分け
チタニウムホワイトとチャイニーズホワイト、どのように使い分けするといいのでしょうか?
チタニウムホワイトが向く表現
白い絵具でハイライトを入れたい時にはチタニウムホワイト(PW6)がよさそうでした。とはいうもののチャイニーズホワイトもPW6を使ったものは、そこまで透明感があるというわけじゃないので同じような使い方はできそうです。(何度塗ってみてもそこまで差がなかった。)
チタニウムホワイトとチャイニーズホワイト、顔料がPW6だとどちらもそこまで変わらないね。
いずれにせよチタニウムホワイトはいくらか隠蔽力があるので
・ハイライトを入れる
・塗り重ねする
という表現に向いていそうです。
とはいうものの、透明水彩のチタニウムホワイトは不透明と言ってもそこまで不透明ではなくて、もっと白をはっきり入れたい、という場合は不透明水彩(ガッシュの白)を使う方が良いですね。
チャイニーズホワイトが向く表現
チャイニーズホワイトPW4はどうかというと、こちらはチューブから出した時点で、すでに半透明で、あまり真っ白ではありません。絵具もちょっと固くて(買ったばかり)のびにくいです。
こちらをためしにフタロブルーに混ぜてみました。すると…。白を混ぜたにも関わらず、透明感を保ったまま色が淡くなりました!
チタニウムホワイトを混ぜた場合と比較すると、こんな感じで不透明に近くなります。
フタロブルー(透明)+チャイニーズホワイト(PW4)→透明感のある水色
フタロブルー(透明)+チタニウムホワイト(PW6)→半透明の水色
よくみると色の鮮やかさもちょっと違う!PW4のほうが鮮やか。パステルカラーをつくるときに、透明感をたもったまま、色だけ淡くなって欲しい、というときに使えそうかも。
こういうわけだったんですね!透明色の色を、透明感を損なわずに淡くしたい時にはPW4の方を使ってみたいと思いました。(シュミンケホラダムのセルリアンブルーヒューや新しく出たペオニアピンクもこのパターン)
PW4の方も買っておこうかな…
不透明水彩(ガッシュ)の白と比較
透明水彩の白では、隠蔽力が足りない!もっと白さ(隠蔽力)と不透明感がほしい!という場合におすすめな、不透明水彩の白も手に入れておきましょう。
とくにハイライトに使いたい、色のついた絵具と混ぜてあえて不透明なパステルカラーを作りたい時に活躍すると思います。
透明水彩と不透明水彩って混ぜても平気?
大丈夫だよ!
透明水彩と不透明水彩は同じ成分で作られているので、混ぜて使っても何も問題ありません!!ここが便利ポイントですね。
これで表現が広がると思います。
こちらはニッカーデザイナースカラーの白。ホワイトとパーマネントホワイト。ちなみにどちらもPW6の白ですが、ホワイトの方が不透明で、パーマネントホワイトの方がやや滑らかで混色向き。と伺ったもののそこまで差がないかなあ。
ただ、パレットに出しっぱなしにしておくとものすごい勢いでひび割れを起こし、粉々になったあと、パレットからはがれていきます。なので、使う分だけパレットに出して使い切るか、紙パレットを使うのがよいです。
同じ理由で厚塗りすることができません。厚塗りするとひび割れます。適度な濃さでぺったり塗りましょう。
枯葉は透明水彩を使うとき、透明水彩の白絵具を混ぜるのではなく、不透明水彩の白を混ぜることもあります。やっぱり顔料濃度が高いので、しっかり白くなりムラを抑えることができるのがお気に入りですね。
またアクリル絵具の白についても、よい絵具がたくさんあるのですが、また別記事でご紹介したいと思います。
白の顔料色々
ここでメーカー様(クサカベの技術部の方)にPW6とPW4の顔料の違いについて教えていただきました!
PW6 酸化チタン
白の中では一番よくお見かけする顔料。不透明感のあるしっかりした白色です。白といったらこれなんですよね。ピンクや水色の絵具にもこちらのPW6が入っているのをよく見かけます。実は厳密にいうと「ルチル系」と「アナターゼ系」の2種に分かれるそうですが、見かけるのはまず「ルチル」の方。隠ぺい力、着色力が高く、耐光性に優れるという特徴があります。色見本を作っていて、なんともいえない安定感があると感じました。とりあえず1本はお家にキープ!
PW4 酸化亜鉛
ジンクホワイトともいう。チャイニーズホワイトではなくジンクホワイトという名前で売られていることもあります。こちらは、隠蔽力、着色力はやや劣る。半透明の性質があるので、混色して半透明色を作るのに便利!PW6に比べるとなんだか不安定な感じです。でも透明感を活かしたい透明水彩ではこちらの白も便利だなあと。
顔料のことも分かると選びやすくなります。不透明水彩でもアクリルでも油彩でも基本はこの2つの顔料です。特にPW6は必ずどの絵具でも入っているので、覚えておくと便利!
PW6の方がよく見かける!
チタニウムホワイトとチャイニーズホワイトどっちが混色向き?
ちょっとややこしかったのでまとめます!
水彩では、白の絵具は「チタニウムホワイト」と「チャイニーズホワイト」の2種類があります。
チタニウムホワイトは隠蔽力のある重ね塗り向けの白、チャイニーズホワイトは透明感があり混色向きの白、と言われることが多いです。
チタニウムホワイトはどのメーカーでも同じPW6の顔料を使ったもので、白がしっかりしてて不透明です(透明水彩の場合完全な不透明ではなく、半透明くらいの感じ)
問題はチャイニーズホワイトの方。
- 透明感の強いPW4を使ったチャイニーズホワイト
- 不透明なPW6を薄くしたチャイニーズワイト
両方のパターンがあるので、顔料表記をチェックすることが大切です。PW4のチャイニーズホワイトはかなり透明感が強く、混色しても不透明にはなりません。透明感をキープしつつ色を淡くすることができます。
ちなみに混色はどちらの白も向いていて、チタニウムホワイトを混ぜると不透明でマットな感じ、チャイニーズホワイトを混ぜると透明感をキープできる、という感じで使い分けできればよいかなと✨
透明水彩の白絵具も活用していきたいですよね。やっぱりハイライト入れたり、飛沫を飛ばしたりとにかく便利なので。
白関連の記事も貼っておくのでご興味ある方はどうぞ〜🖐️
これで白絵具に詳しくなったね!
透明度は
PW4チャイニーズホワイト>PW6チャイニーズホワイト>PW6チタニウムホワイト