本サイトはアフィリエイトやPRが含まれていることがあります。

作家さんが知りたいこと聞いてきました!コレクター山本冬彦さんへのインタビュー

な、なんと山本冬彦さんへのインタビューが実現してしまいました。作家さんにも、コレクターの方にもこの業界にいるすべての方に参考になるお話なので、長いですがぜひっ!

インタビューに至った経緯

作家活動していると、一度は名前を耳にするであろう有名なコレクターの方がいます。山本冬彦さんです。お会いしたことがなくても名前くらいは聞いたことある方が多いと思います。

山本さんはサラリーマンをしながら長いこと絵画のコレクションをしていて、退職後は「アートソムリエ」としてコレクションをしつつグループ展を企画し、若い作家さんの支援などを行なっています。またコレクターや作家向けに講演会なども多くされております。

で、枯葉との接点が生まれたのは、2022年のギャラリードラードの第12回創作表現者展で「山本冬彦賞」をいただいたこと。恐れ多くもこんな賞をいただきました↓作品はこちらの作品「星に想いを寄せて」です。

その時点ではお会いしたことはなかったのですが、たまたまギャラリーでお会いしてから「よければ事務所にコレクションを見にきませんか」と誘っていただき、「えっ、コレクションが見れるの!」とワクワクしながら見に行かせていただきました。その時に、絵を見せていただきながら、今の美術界の問題点や作家としてのマーケティング、をコレクター目線のお話で聞かせていただき、これは記事にできたら面白いだろうなと思いました。で、ダメもとでインタビューをお願いして見たところ、快諾していただき、今回の記事が実現したという経緯です。

今まで、雑誌の取材などは多かったそうですが、意外と作家がするインタビューということでまた違ったお話が聞けるのではないかなあと思っています。そして、作家さんからすると、意外とコレクターさんのお話って聞けないですよね?「どんな人が絵を買っているのかな?」「どんな風に作品を選んでいるのかな?」「購入したあと作品はどんな風に保管されているのかな?」など。知りたいことがたくさんあると思います。

SNSでは作家同士の情報はあふれているのに、肝心の作家活動を支えている消費者側のコレクターさんの発信ってあまりないんですよね。

長くはなってしまうのですが、ぜひ少しずつでいいので最後まで読んでいただきたいです。永久保存版です。

前半部分は山本冬彦さんの半生(最初のコレクション(1977年)から、現在の活動にいたるまで)後半部分は枯葉が作家として聞きたかった「今の作家さんへ伝えたいこと」となってます。

おそらく後半部分が作家さんの知りたいことだと思いますが、前半部分も前提となる美術の業界を理解するのに必要な部分なので飛ばさずにー🙏

はじめての絵画購入と画廊めぐり

運命の1枚と出会う

枯葉 今回はわざわざ時間を取ってくださり、ありがとうございました。まず、山本冬彦さんについて、知らない若い方もいらっしゃるので、コレクションの経緯やこれまでのこと、また今現在の活動について、お話しいただければと思います。

まず、一番最初のコレクションのことを伺ってもよろしいでしょうか。

山本さん 29歳のとき、マンションを買いました。壁がまっさらなので絵をかけたいなあと思ったのがきっかけです。(1977年)当時の勤務先は日本橋で、銀座に画廊がたくさんあるのは知っていましたが、敷居が高く入ったことはありませんでした。安い版画でも買おうかと思っていた矢先、目についたのが「銀座セントラル美術館」。(←いまはないのですが、銀座メルサに入っていたギャラリー)東京芸大と京都芸大の日本画のグループ展(双美会)が行われていたのですが、さまざまな年代の作家の絵が飾られていました。その中で気になった絵があって、じっと見ていました。それがインドの少女の絵です。

石踊紘一 「花を売る娘」1977年

枯葉 これが「花を売る娘」の作品ですね。

山本さん そうしたら後ろにスタッフの視線を感じました。これはまずい、逃げたい…と思ったのですが、何とか会話しないと、と思ったので一応「いくら?」と聞きました(当時は作品のそばに価格が書いていなかったのです)そうしたら…当時の月給くらいでした。

枯葉 月給!結構高いですね 笑

山本さん 当時はオイルショック後の不況のどん底だったので、絵も売れなかったようで「月賦でもいいですよ」と言ってくれた。それで月賦で作品を買うことにしたのが、最初の1枚です。

かれは
かれは

月賦は12ヶ月で支払う
分割払いのことです

山本さん スタッフは「山本さんは年も若いし、家に飾る絵を1枚買って終わりだろう」と思ったようなのですが、まさかこんなことになるとは…笑

枯葉 1枚買って終わりってパターンもありますもんね笑

山本さん 月賦で支払いに行くたびにセントラル美術館でやっている展示を見に行きました。たまたまセントラルは日本画、油絵、版画などさまざまなジャンルの絵を展示していたので、色々な種類の絵を横断的に見るきっかけになりました。

そのうちに、銀座の画廊にも行くようになって、色々な作品を見に行く習慣がつきました。ちょうど当時は土曜日が半ドン(仕事が午前中で終わって午後休み)だったので、画廊巡りにはちょうどよかったのもあって、すっかり習慣になりました。最初の10年は、特に何点コレクションしようというのはなくて、たまたま気に入ったものがあったら買う、という感じでしたね。サラリーマンなので、いつもはそこまで余裕がないので、ボーナス後とかね。

枯葉 最初の作品が月賦だったことで、ギャラリーに通うきっかけができたのかもしれませんね。

山本さん そうかもしれません。最初に求めた作品が大きくて(10号)価格が高かったのですが、普通のサラリーマンだと安めの版画からコレクションをスタートすることが多いんですよ。そこから油彩、日本画みたいにランクアップする。それが、よりによって最初から1番高いものから入ってしまった笑

コレクター同士の交流会

山本さん 最初の10年はなんとなくコレクションをしていました。画廊に通ううちに、画廊が同じようにサラリーマンコレクターを紹介してくれるようになりました。サラリーマンコレクターは自分だけだと思っていましたが、意外と同じような仲間がいた。ただ、画廊もコレクターも「版画」「油彩」のようにジャンルごとに縦割りでした。作家が縦割りなのはよくある(今でもある)のですが、コレクターも縦割りになっていて、自分のように横断的に作品を見る者が少なかったのです。

枯葉 作家が縦割りなのは今でもあるあるですね!コレクターも縦割りだから交流がないんですね。

山本さん なのであまりコレクター同士で知り合う機会がない、それで作ったのが「サラリーマンコレクターの会」です。それで、毎月情報交換したり、作家のアトリエ訪問したり、楽しんでましたね。で、年1回買った作品を持ち寄ってコレクション展をしたりしたんですよ。

枯葉 すごく楽しそうです!ネットがない時代ならではですね。

山本さん そうこうするうちにセントラルの宮坂さんが「画廊宮坂」をオープンしました。そこで「山本さんの個人コレクション展をしないか?」と持ちかけられ、最初のコレクション展が実現しました。それまでコレクション展といえば、企業やお金持ちのコレクションでしたから、いち個人のサラリーマンのコレクションということで、結構評判になり、雑誌や新聞に取材を受けるようになりました。最初は気に入ったものがあれば買う、という感じで、取材を受けるたびにどんどんコレクションの数が増えていきました。

枯葉 ちなみに今は何点くらい?

山本さん 1500点くらい。倉庫と自宅と事務所に置いてます。

ひよこ
ひよこ

せ、1500点⁉️

サラリーマンとアート活動の両立

異業種交流会

山本さん サラリーマンとしての本業、趣味のコレクターとしての顔と別に、もう一つ社外活動をしていました。それが異業種交流会です。

山本さん 最初は合繊会社に就職したんです。入って数年してオイルショックが起きて、社内で一気に人員整理が始まったのです。自分は社長室に配属、誰をリストラするのか決めるのが仕事になりました。サラリーマンっていくら大会社でもいざとなったら会社が生き残るために、あっさり首切りをする。そういうのをまざまざと見てきたんです。外から見たらエリートコースかもしれないが、このまま何年いても何の能力も身につかないと思いました。

なので思い切って転職したんです。今とは違って転職は珍しい時代でした。転職を決めたのは大東京火災。実はこれは絵の話にも関わってくるんですよ。

枯葉 どういうことですか?

山本さん 当時もう結婚してたんだけど、前の会社の社宅から出なければいけないことになったんですよ。それで、新しく家を買ったわけ。

枯葉 あ、それが最初のコレクションの話に繋がるんですね。(家買った→壁寂しい→なんか絵買いたい→「花を売る娘」購入)

山本さん そう。転職がギャラリーめぐりのきっかけになったんです。

前の合繊会社は、多様な人が社内にいたんだけど(研究、工場、デザイナー、営業、事務など)、今度は保険会社だからみんな同じような事務。転職したけど結局、配属先は総合企画室というまた会社の中枢。

枯葉 転職しても結局、同じような部署だったんですね。

山本さん このままでは視野が狭くなってしまうと思って、異業種交流会に参加するようになりました。色々な会社の人と交流を持つようになりました。同じサラリーマンでも、会社がちがえば風土もちがう。とても面白かったです。そのうちそちらでも取材を受けるようになって「ネットワーキングの方法」というサラリーマンでもできる人脈作りの本も出しました。(40歳くらい)画廊でコレクター展をしたのと同じくらいの時期でした。

さすがにこちらの本はAmazonで探すことはできませんでした!1988年初版

平日の昼は本業の仕事、夜は異業種交流会、週末は画廊巡り、自分には3本の柱があって、当時はかなり忙しかったです。

奥野ビルについて

山本さん 時々画廊めぐりで奥野ビルには訪れていたんだけど、たまたま部屋が空いたので、アート活動の拠点として借りてみたんです。当時はまだ住人がいて、画廊も少なかったけど、その方が亡くなったのを皮切りに表参道の同潤会ビルのようなアートビルにできたらいいな、と5階のギャラリーのオーナーと画策しました。その目論見の甲斐もあって、少しずつギャラリーも増えていって今のような形になりました。

最初は部屋は借りていても、結局サラリーマンだから週末くらいしか来れなかったけど、退職後入り浸るようになりました。(今回インタビューが行われたのが、まさにその部屋)

「山本さんは絵のコレクションもして、銀座で部屋まで借りてお金持ちですか?」と聞かれることがあるんだけど、「そうじゃない。アートに関して一点集中しているから。他のサラリーマンがするようなゴルフとか麻雀とか飲み会には行かない。車も持たない。アートに限らないけど、1点に集中すれば、サラリーマンでも結構なことができる。」

枯葉 山本さんは「絵画の購入」に一点集中して、これだけのコレクションを築いてきたんですね。また、銀座に拠点があったことで情報も集まりやすくなったのかもしれないですね。

会社での椿のコレクション

山本さん これは54、5歳くらいなんですけど、たまたま会社で広報部長をやったことがありました。その時はあいおいニッセイ同和損害保険(3社合併した)でしたが、元々自分のいた大東京火災の創業者が「椿」が好きで「椿の作品のコレクション」をしていたんです。それを企業メセナ(企業が行うアートの支援活動)として、全国の美術館やデパートで展示をしていて、その広報として展示の手伝いをしていました。

大会社って有名な絵画のコレクションを持っていることが多いんだけど、ジャンルがバラバラなので、経営が傾くと美術品を売っぱらってしまう。だけど、大東京火災は、コレクションを椿に絞っていたこともあって、こじんまりはしているけど、コレクションを売ることなく保持していました。いまは3社合併して、あいおいニッセイ同和損害保険になっているんだけど、合併することによって、社風が薄まってしまって、椿のコレクションのことを知らない社員も多くなってくるわけです。それで売られてしまうんじゃないかいう心配もあって。

創業者の孫が、椿のコレクションを披露する場所を作ろうとなり、日本橋にアンペルギャラリーを作ったのです。かといって、1年中所蔵の椿作品を飾っておくこともできない、と。全国に美大がいっぱいあるから東京で発表の場を提供する、ということにしました。

100万以内で買える椿の作品を会社で買ったりもしたんですよ。(総務課で依頼されて絵の目利きとして)テーマが椿と決まっているから、ものすごい知名度の人と、中島千波さんとか、色々なクラスの人が交じっていてね。

枯葉 会社のお金で買える、ってことですよね。楽しそう…。ジャンルを絞っている分、色々なクラスの作品を集めても統一感が出ていいコレクションになりますね。

山本さん 社花として特別な花だったこともあって、自分にとっても椿は特別な花なんです。自分が集めるのは人物画がメインなんだけど、椿の絵はどうも惹かれて欲しくなっちゃう。

椿に絞ったコレクションも続けていけば価値のあるものになっていくけど、だけど、時代の変化でなかなかそういったことも維持されない。会社も社会も変わっていくからだんだん消えていきますね。時代ってそういうことなんですよ。そういった経験もかなり潜在的に影響を受けています。

コレクション展と「週末はギャラリーめぐり」の出版

山本さん 60歳手前。会社の広報で、佐藤美術館と関わりができ(新宿、会社が近かった)佐藤美術館企画展やるときに付き合いができました。30年くらいコレクションをしたので、コレクション展をやりましょうという話になりました。

最初は10歳上下を同世代として、同世代の作家を買っていた。最初は若いから、高くないから買える!けど、だんだん人気が出ると、値上がりして買えなくなる。追っかけられなくなる。同じ人を追いかけるのは、サラリーマンでは無理だ、ということに気づいたので、常に若手(大学生〜30歳くらいまで)の作家で、自分のコレクションを作ったり、応援したりしてきました。消えていく人もいるし、有名になって出世する人もいる。色々な作家の活動を見てきました。

とにかく、佐藤美術館のコレクション展はかなり評判になりました。

ちょうど半年後「週末はギャラリー巡り」という本を出しました。内容はサラリーマンができる画廊周り。美術の本は出ていても評論家が書いたものが多くて、画廊めぐりの本なんてなかった。本を出すきっかけになったのは、サラリーマン向けにアートの講座をやったことでした。その中に筑摩書房の人がいて、「サラリーマン向けの画廊巡りの本を書いて」と言われたんですね。ちょうどリーマンショック(2008年)のちょっと前で、アート業界は好景気。バブルの終末期は必ずアートへの関心がくるんですよ。株、不動産の後、アートが儲かるらしいぞ、ってね。だから普段絵なんか興味のない人がアート業界に来る。僕は過去3回バブルは見てきているから、必ず弾けると思っていた。

弾けた時にアートの世界に投資目的の人が消えて、本当に好きな人が残る。そういう人たちのために「本を書こう」と思いました。単行本ではなく新書だったらずっと形として残るだろうと思いました。

案の定バブルは弾けました。

結構反響があったんですよ。この本片手に画廊巡りをする人がいたり、地方の人にも売れたようです。

サラリーマンをリタイアしたあと、自分の活動3本柱のうちアート活動が残りました。今でもコツコツ絵を集めています。

created by Rinker
¥851 (2025/03/20 17:41:36時点 Amazon調べ-詳細)

↑※こちらの本は現在廃刊になっていますが、まだ古本で買えるのでご興味ある方はぜひ。このインタビューとも内容重なっていますが、作家さんが知るべき内容やギャラリーのガイドもついています(なくなっているギャラリーもありますが)かなり具体的で興味深い内容でした!

山本冬彦さんによる企画展

山本さん 2015年、銀座三越がリニューアルして新しいギャラリーを作ったんですね。美術部の人と知り合いになったんだけど、若手作家の展示をしたいけど、肝心の作家の伝手がない。「いい作家知らない?」と声がかかったので、何人か若い作家を集めて紹介しました。若い作家はみんな「デパートでやれるの?」と喜んでいましたね。

山本さん 作家にとってデパートは憧れの舞台ですからね!しかも銀座三越だし。

山本さん けっこう話題になったんですよ。なので来年もぜひ!と期待されたりして。でも展示をするうちに裏側も知るようになって。

枯葉 えっ、何ですか。

山本さん 結局作品が売れても作家さんの手元にいく金額がすごく少ないんですよ。10万で売れても2、3万しか作家さんのところにはいかない。デパートは自力で作家を集められないので、間にギャラリーを入れるんですよ。それで、デパート、ギャラリー、作家の三者で売り上げを分けるから少なくなる。

枯葉 そういうシステムなんですね。

山本さん これではあんまり作家さんに支援にならないということに気づいて。それでいくつかのギャラリーで、作家さんを集めて企画展をするようになりました。それが今でもずーっと続いているんです。作家さんにたくさん売り上げがいって欲しいので、参加費は無料、売れたら相当の割合の売り上げを作家さんが受け取る、という形の企画展を作って新人の作家さんの発表の場を作っています。たくさん頼まれるので、条件を統一して、その条件でもやりたいというギャラリーに限られるので、いま5箇所くらいかな。

企画展は、コレクターの目で横断的に選ぶことを意識しているので、油彩も日本画もイラストもジャンルも出身大学も、バラバラにミックスしていますね。

枯葉 化学反応が起こりますね。参加する作家の方も新鮮でしょうし。

山本 作家も画廊も縦割りになっているんだけど、今は見る人も横断的に見るようになっている。作家にも自分のいる団体やジャンルだけでやっていればよかったけど、「今は絵画だって工芸の人もライバル」と。もっと広い目に見て欲しいですね。

往来のデパートの作家とかは院展入選とかで縦社会で、そこでの立場で号2万とか価格が決まっている。肩書で価格を勝手に決めているだけで、マーケットとはなんの関係もない。日本で絵で成功するにはいい美大を出て、団体展にはいってサラリーマンのように地位が上がっていくと値段もあがっていくうまくいったら文化勲章をもらえる、こういう世界だったけどいまはそんな時代じゃないよ。ごちゃ混ぜにしたのもサラリーマン時代の異業種交流会のときの経験があるから。

枯葉 その時の感覚が生きていますよね。

山本さん 実体験でわかって欲しい。同じサイズでも、油彩で5万くらいで日本画だと10万くらい、版画だと1万くらいという感じです。それぞれの社会の中で縦割りで作家も生きているから何にもおかしなことはないと思っているわけ。でも同じ展覧会で出してみると、普通の人が見ると「なんで日本画だけこんな高い?」と疑問に思ったりする。「あれ、だったら油絵2点買う方がお得じゃん」とそういう見方をする。

作り手は他の作家の作品見て、技巧的な部分ばかり見てしまうけど、買い手の立場で見てごらん。必ず絵と価格を見なさいよ、と。

アートは確かに芸術品ではあるけれど、値段をつけて発表する以上アート商品でもある。だったら、どんなものを作って、どこで、いくらで売るかは考えなくてはいけない。マーケティングを含めてね。

美術大学では学生時代に学部生が発表なんてとんでもない、なんて刷り込まれたりしてるんです。先生方は作家業で生計を立ててるわけじゃないから、絵の売り方なんて知らないし、教えない。

作品で、一番大事なのは質、でも高すぎたら売れないし、大きすぎても売れない TPOみてどういう商品にするか。やってみて、売れたら売れた理由があるし、売れなかったら売れなかった理由がある。それを次に活かしていくことです。

そういうことを分かって欲しいと思って、わざと混ぜています。

山本さんに質問してみた

山本さんが作品を買う時の基準は?

山本さん フィーリングですね。

ただ、絵そのものを見ることを大事にしてる。

でも日本人の多くは、その作家の肩書きとか賞歴とかそういうのを気にして「絵そのもの」を見て判断できる人は少ない。だからこそ、日本ではコレクターが増えない。肩書きを気にして見るのは、もはや美術鑑賞なんです。日本では「美術館での美術鑑賞」は発達してる。それはもう名前が出て評価が定まった人の作品を解説付きで見て、「いいな」なんて思う。そういう「美術館での美術鑑賞」と「画廊での作品鑑賞とコレクション」は違う。作品を買うっていうのは身銭を切ってするもの。ゴルフや競馬行ったりそういう色々な娯楽の中から選択して行われるもの。だからそれなりに買う方は真剣。だから、作品もその真剣さに対応するものを作っていかなければいけない、ということですね。

枯葉 そこにさっきおっしゃっていた価格や大きさの要素が入ってくるということですよね。大き過ぎれば買えないし、追いかけられないほど高くなれば選べない、と。

山本さん そういうことです。特に日本画なんかは、サイズが大きいものが多かったんですよ、20号とかね。今は10号だって売れないですよ。

枯葉 サイズが大きくなると難しくなってきますよね。やっぱり4号とか、3号くらいがメインになってくると思います。

山本さん 価格も10万超えると、若いコレクターは買えなくなる。現代アートなんかは投資目的で買う人がいるからまた別ですけど。

今売れるのは投資目的の人が買う現代アートと、あとは若いコレクターが買うような10万以下のもの。特にアニメやイラストが好きな人が買うようなものですね。

画壇系の人たちはもともとマーケットから離れてしまっているから厳しくなるでしょう。

枯葉 絵を売るノウハウもなかなか伝達されていないという感じですね。

山本さん そういった作品の売り方も、ベテランから若い作家に伝達されていないので、教えてあげたりしてますね。私はコレクターで、業界人ではないので、好き勝手なことが言える笑

枯葉 ありがたい!どんどん教えてください。

価格が上がりすぎたらどうすればいい?

枯葉 価格が上がりすぎて、身動き取れなくなるという話を聞きますが、そうなった時はどうしたらいいのですか?

山本さん 別に関係ない、下げたらいいです。上がった価格を下げてはいけないというのは、百貨店や画廊の都合です。絵を「アート商品」とするなら、あくまで普通の商品と同じ。だったら普通の商品と同じ経済論理で動かなくてはいけない。例えば、外国から輸入したワイン。デパートなら、10000円、スーパーでは8000円、ディスカウントショップで買えば5000円。同じ商品でも、販売ルートによって価格は違うし、商品ならそれは普通のことです。

枯葉 お客さんは場所によって価格が変わるのは、知っているけど納得して買うんですもんね。

山本さん そうでしょ。それって普通のことじゃないですか。

他にも一度つけた価格を下げてはいけない、というのもありますよね。これも不動産で例えてみましょう。バブルの時は億ションだった物件も景気が悪くなると価格は下がる。景気が悪くて売れ行きが悪かったら下げればいい。商品なら普通のことです。売れなければ安くすればいいのです。困るのは画商さんと団体展の先輩方でしょうね。これからも若い人はマーケットの勉強をして、したたかにやっていかなくてはいけない。

枯葉 最近はネットの力を利用して自分でも集客できるようになっているので、少しずつ変わっていく感じがしますね。

価格はいくらくらいから設定していくといいのでしょうか?

枯葉 新人は号10000円とか、聞きますけど、どのくらいからが戦える価格でしょうか?

かれは
かれは

絵の業界には、サイズ(号)によって価格を決める基準があります。

ひよこ
ひよこ

号10,000円は、3号の作品なら3万円ってことかな?

山本さん 学生さんなら、日本画なら号8000円、油絵なら号5000円とかでもいいんですよ、最初は。

よくこれも若い方に言っているのですが、団体展での地位とか肩書とかそういうものは、価格に全く関係ない。ただ、作品価格の基準を積み上げ式にしたらいけないんです。例えば、材料費がこれくらいかかったとか、これくらい手間がかかったとか、こういうものを作品価格に含めて、「最低5万くらいにしたい」という風にやると、売れませんよ。最初の何年かは「赤字生産」を覚悟してやるということです。特に学生時代などを利用して、赤字生産期間中にファンを増やしておけ、というのを言っています。そうすれば、卒業後も追いかけてくれるファンがいるかもしれない。

完売に近い状態が作れたら、値上げしていく。そこで生き残れるかが決まるという感じじゃないでしょうか。作品が売れたら、どういうものを作っていくかをそこで決めていく、もちろん価格も含めてです。

最近は、若い作家さんで「号2万くらい」の人は大体デパートを経験しています。「デパートでやったことがある?」と聞くと大体「そうです」と返ってくるんですよ。何人かの作家仲間のうち、自分だけがデパートに誘われたりすると、大抵は大喜びする。「デパートでやれて、しかも他の作家より高い価格で出せる!」ってね。だけど、行きはよいよい、帰りが怖い。デパートも売れればまた声をかけてくるけど、売れなかったらそれっきり。2度と声はかからないし、そうすると高い価格だけが残る。そうするとその後、仲間でグループ展をやろうとなっても価格が一人だけ高いから結局売れない。だからどこにも発表の場がなくなって消えていくんです。

枯葉 なるほど。それが若い作家さんが筆を折る一つの要因になってしまうんですね。

山本さん だから作家さんに言うんですよ。ちゃんと実力がデパート価格になってきてからデパートにいくなら問題ない、と。だけど、誘われたからと言って安易に出すと後が大変だよってね。

枯葉 でも、私ももしデパートに誘われたら嬉しくて、ホイホイ行ってしまうと思います 笑

山本さん 最近だと、デパートでやるってなると、本人も喜ぶんだけど、(作家の)親が喜んじゃうの。

枯葉 笑 想像つきます。

山本さん そうでしょ?もうみんなね、古〜い世代の価値観でやっているからね。今は時代が変わってきていますよ。

枯葉 若い人も知らないといけないですね。

売れ筋について

枯葉 自分の描きたい絵が、世間の売れ筋とは違う場合はどうしたらいいですか?

山本さん それは本人の考え方だと思うんですよ。今は逆に、作家が世間の売れ筋を追っかけるから、みんな同じ絵になってしまう。今、日本で作品が売れてるのは、油絵だったらスーパーリアル(写実系)、日本画だったら美人画、みんなそこを目指すから似てくる。それは商品だったら、売れ筋の二番煎じ、三番煎じをやるっているのは正しいことかもしれないが、続くかは分からないですね。

枯葉 だったら、もっと自分の持ち味を大事にしてもいいということなのでしょうか。

山本さん うんうん。そうですよね。

山本さん 絵を描く環境にいると、なんとなく似てしまうというのはあると思うんです。同じようなものを見てしまうから。SNSもそうかもしれない。だから、もう少し違うところを見なきゃいけないのかなって思ったりします。

山本さん 一番考えなきゃいけないのはね、マーケティングも大事ということ。絵の生産者はたくさんいるよね。毎年美大からも大量に卒業生出てるし。で、絵のお客さん(これは見る人じゃないよ、買う人ね)は少ない。誰も育ててないし。こんな業界、構造不況業種です。需要が少なくて供給が多いのだから。だから淘汰されてしまうのは当然ですよね。

だから市場を見て、マーケティングのことも考えなくてはいけないし、本来ならば学校でも美術マーケティングを教えなくてはいけないのです。

企画展で作家さんに気づいて欲しいこととは?

枯葉 山本さんが展示に誘う人の基準ってありますか?

山本さん もう有名になった人は自分で売っていけるので、誘わないというのはある。

色々企画する時は、「作家さんにこういう気づきをしてほしい」というのがあって。やっぱり絵は芸術作品でもあるけど、値段をつけたら「アート商品」なのだということ。アートだけど、同時に「商品」。売るのだったら、そこにはマーケティングを含めた戦略が必要になる。どの場所で、どのようなサイズで、いくらで売るのか。いまだ「商品としてのアート作品」を批判する人もいるけど、若いこれからの作家さんにはその辺りを意識してもらいたい。

枯葉 戦略をたてる、ということですね。

山本さん 特に危機感を持ってもらいたいのは、作品価格が高めになりがちな日本画系の作家たち。今は、商業ベースでやってきたイラスト系の作家たちも、一点ものの原画を売るアート業界に参入してきているんですよ。彼らは和紙をパネル貼りしてアクリルで描いたりするんだけど、これが素人目には日本画に見えたりするんです。価格は日本画に比べると、かなり安めについたりするから、販売では有利になったりしますよね。だから日本画ですごい、と思わせることをしないと商品として勝負できないんです。それを日本画の人たちに分かってもらいたい。だから絹本に描く、とか裏彩色する作家が出てきているんです。

枯葉 確かに絹本や裏彩色は、最近よく見かけるかもしれません。日本画の技術でしかできないことをしていく、ということですよね。

山本さん そう。だからアートの生産者には、競争相手がどんなことをしているのか見て、付加価値をつけるようにしていかないといけないんです。そこを学んで欲しい。

ネットを利用することの大切さ

山本さん また今はネット時代。これまでは作品を描いたら画廊や画商さん任せだったけど、今はファンもネットやSNSでつかんでいく時代。それを上手に利用している作家は、やっぱり人気になっていくよね。それができない人はなかなか難しいです。

枯葉 そうですよね。やっぱりSNSを積極的に利用して、制作過程を動画で流したり、配信したりできる人はファンも掴みやすいんですよね。私の個展もいわゆるコレクターではなくて、今までギャラリー巡りをしたことのない方も見にきて、作品を購入してくださるケースが増えてます。

山本さん そう。そういうことでいうと、作家も最近はタレント化しているということが言えます。発信力があって、女性だったら美人とか、男性もイケメンとか、喋るのが上手いとか、そういう人の作品が売れやすいというのはあります。そもそも作品そのもので判断できる人は少ないですから、どうしてもそうなりますね。だから特に若い時に、安い価格でいいからどんどん作品を売ってファンを作るのは大事なことですよ。

枯葉 そうやって作品だけでなく、お客さんを引っ張ってくる力みたいなものが大事になりますね。

山本さん 今の若い子達は、小冊子みたいのをどんどん作るじゃないですか(自分で作る作品集)絵はがきだって簡単に作れる。そうすると高校生くらいのファンでも、絵は買えなくても、買えるじゃないですか。そうやって、裾野のファンを広げることができるわけですよ。上手いやり方ですよね。

枯葉 奥が深い感じもするけど、商品だって考えると、当たり前のことも多いですね。普通の商品のように、作って売るところまでしなくちゃいけない。

山本さん 美大にだってビジネススクールが必要ですよ。マーケティングを教えないと。

なんでこういう活動を続けているかというと、まだまだ絵を肩書とかプロフィールで見ていいて絵そのもので判断できる人がいないから。それを作らない限り、日本でコレクターは増えない。美術館で教養として鑑賞する人は増えても、自分の家には本物の絵は1枚もかかっていない。絵はお金持ちとか投資家や買うものだと思っていて、自分には関係ないと思ってる。庶民の人の家に行っても1、2点くらい絵がかかっている、そういう風にしなくちゃいけない。

今ここにも絵がかかっているでしょう。なんにもキャプションとかつけていないの。そうすると、子供は「これが好き」とか「なんか怖い」と素直に言う。でも大人は黙っちゃう。情報がないから。下手なことが言えないと思っているんですよ。素直に「これが好き」とか言えばいいのにね。それじゃ絵は買えない。

枯葉 そういえば前回の個展で、プロフィールとか展示コンセプトとか飾り忘れちゃって。それでも「これがいい」ってお迎えしてくださる方もいたので。それが本来の形なのかなって思ったりします。

山本さん そうですね。最近この奥野ビルも外国人の方が多いじゃないですか。それで、ふらっとギャラリーに入って作品を買い求めたりする。そういう見方ができないといけないんですよ。彼らは肩書きや名前すらよく分からないで、気に入ったものを買うんです。日本人もそうならないといけないですね。

枯葉 今はネットの世界もいいのかなと思っていて、ペンネームで活動する人はいるじゃないですか。ペンネームだから男か女かも分からないし、年齢も出身大学も分からない。それでもいいなと思ったらフォローするし、作品も買うかもしない。そういうのが、だんだんバイアスなしに作品を見ることにつながっていくのかな、と思って。

山本さん 団体展にいて、作品価格が下げられなくなっている作家たちにいうんですよ。「ペンネームにして別名義で作品を展示して売ればいいじゃない」と。そこでつく値段が本当の市場価格。またデパートで高値がついていてもそれは市場の価格とは関係ない。また今作品が高値で売れているといてもそれはあくまで時価。あと50年後はどうなるか、分からない。だからクールに見なさいよ、ということです。

作家の人間性について

枯葉 山本さんが作品を買うときに重視するのは、あくまで作品そのものということで、あまり人間性とかは重視しないですか?

山本さん そうだね。あまり人間性は見ないかな。長いこと追っかけている作家は、親しくなったりもするけど、ほとんどはあんまり。展示誘う時も、会ったことがない作家もいるんです。作品見て面白いな、と誘う。だから展示が始まって初めて会う人も多いですね。

枯葉 山本さんみたいに作品だけ見て買う人は少なそうですよね。多くはやっぱり肩書きとか容姿とかキャラクターを見ちゃいますもんね。

山本さん 逆にいうと、そんな時代だから発表はとにかくしなくちゃ。作品を見てもらわなきゃ見つけてもらえないからね。PRする方法は何でもいいと思いますよ。それこそ容姿やキャラクターを使って、知ってもらうきっかけになるなら、何でもいいと思います。でもね、「最後は作品次第だからね」とは色々な作家に言ってます。

色々時代に合わせて、流行に合わせるというのも一つの手だし…

ただ作品発表はしていかないと見てもらえないですよ。ネットで出すというのもそうだし、色々な公募展があるから積極的に出すとか。従来のようにいい団体公募展に入るだけが成功の道ではないよ、とは色々な作家に伝えています。

古美術を見なさい

枯葉 山本さんはあまりオークションとかでは買わない感じですか?

山本さん 古くから自分が好きな作家で、世間で評価されなかった人もいるから。当時は買えなかったけど今なら、と言う感じで買うことはたまにあるけど。ほとんどはギャラリーめぐりで購入します。

最近は絵を買う人たちに「ジャンルを超えて見なさいよ」と言うんですよ。今流行りのものを追っかけるんじゃなくてね。それで「古美術を見なさい」と言っているんです。ほら、これ見て。

枯葉 値段がついてる!

山本さん 教科書に載っているような人たちの絵が買えるんですよ。

枯葉 ええっ!買えるんですか??これ。

山本さん 入札だからね。(自分の買いたい価格を提示して、一番高かった人が買えるシステム)誰も申し込みをしなかったらこのままの最低価格で落ちるんです。軸装が多いの。だから安くなるんですよ。だから買う人は、やたら高い作家の作品を買うならこっちで価値のあるものを買えることを知って欲しいですよ。

枯葉 買えるんだと思ってませんでした。わー!素敵。酒井抱一も買えるの!?(欲しいなあ)

山本さん だからね、買う方はジャンルだけでなく時代も含めて選べるんですよ。タレントと作家が違うのは作家は作品が残るんですよ。だから古い人もみんなライバルになる。みんな同じところ見ちゃうから、知らないと思います。だから買う人にも描く人にも、「時々古美術を見に行きなさい」って言っているんです。若い作家には、作品の勉強にもなると思いますよ。

枯葉 そう思います!勉強になりますよね。

作家に必要なのは?

枯葉 これからの作家さんは与えられた条件を呑み込むんじゃなくてもっと自分の頭で考えることが求められますね。価格しかり、条件しかり。あとは交渉する力も必要ですね。

かれは
かれは

考える力が大事ね。

ひよこ
ひよこ

まずは知らなくちゃ!

山本さん そう、個人個人に交渉する力がないので、負けちゃうんですよ。あとはもっとしたたかにやれということです。値段をさげていいですか?なんて、お伺いをたてたらだめっていうに決まっている。勝手に値下げすればいい。自分の頭で考えることが大事なんですよ。最終的には作家は作品を「卸す」のが理想だと思います。あとはギャラリーやデパートがそこに利益をのせて売ればいい。今は流通が強いから、作家は叩かれて無茶苦茶な条件を飲まされているんですね。

枯葉 まずは若い作家さんはこのシステムを知らないといけないですね。知らないと、言われたまま「そういうものなのかな〜?」と思ってしまいそうです。

額装について

額についても伺おうと思って写真を撮らせていただきました。

購入した作品は時々入れ替えて飾るので、飾っていないものは箱に。こうやってみるとかぶせ箱ではなく差し箱の方が作品の出し入れがしやすそう。作家名は山本さんが書いているそうです。

額って重要ですか?と伺ってみたところ、「自分は額は凝る方だから、若い作家の額なしパネル作品を買って、自分で額装することも多い」「定型のサイズの好みの額をまとめ買いしておいて入れたりしている」「オーダーで凝った額装にすることもある」とのことでした。

「作家が額装したものも気に入らなければ、出して別の額に入れたりする。元々ついていた額は取っておいてまた別の作品をいれることもある」そういう意味ではキャンバス作品は定型サイズだと都合がいい、とのことでした。一方、水彩作品のような平面のものはマットを入れられるから、不定型でも大丈夫なんですよね。

かれは
かれは

イラスト作家はA4パネルで描く人が多いから気をつけて、とのことでしたよ。

ひよこ
ひよこ

作家さん!参考にしてね。

最後に

しばらく山本さんのコレクションを見せていただきましたが、全員違う作家さんなのに、なんか共通したものがあって面白かったです。色彩の感じや雰囲気が似ているんですよ。うまく言えないんですが、コレクションも集まるとそれ自体が1つの作品みたいで面白いです。

このインタビュー2023年の12月に行われました。1時間くらいさくっと質問をして帰るつもりでしたが、結局3時間くらい濃密なお話を聞かせていただきました。このあと盛大に体調を崩し、2024年は企業案件が立て続き、牛歩の歩みで進めていたのですが、ようやく書き上がりました。

山本冬彦さんの半生から、日本の美術業界のこと、若い作家が注意することなど、かなり貴重なお話でした。枯葉は野良の作家なので、美術公募団体や、有名ギャラリー、デパートでの展示の経験はなく、主にネットで集客しているので、本当に知らないことばかりで目から鱗が落ちました。

「絵の販売」っていうと、作家は「いい作品とは何なのか」とか「どうやったら評価されるのか」とか「絵の技法」をふわふわ考えてしまいがちです。山本さんは「絵を売るにはマーケティングと戦略が必要だ」と「ライバルに勝つ工夫が必要だ」とはっきりおっしゃっていましたが、作家にはこういうビジネス的な視点が全く抜け落ちているケースが多いです。これからの時代、チャンスは誰にでもあるので、そのあたりをしっかり考えていきたいですよね。

かれは
かれは

作ることだけじゃなくて、売ることも真剣に考えないと!

ひよこ
ひよこ

とっても勉強になった✨

山本さんはコレクターとして、縦断的な視点でクールにこの業界を見つめてきた方です。なかなか直にお話を聞く機会はないと思うので、ぜひ読み返していただけたら嬉しいです。

これからプロを目指す若い作家さんに、特に読んで欲しいです。また、若い作家さんの親にあたる方にもぜひ読んでもらいたいです。美術業界のことって、一般の方には馴染みがなく、外からは全く分からないので。ぜひ共有していただけたら嬉しいです。