通販で行ったマットつき原画販売の備忘録です。額装原画と原画のみドローイング販売の中間の選択肢を考えてみました。額縁の在庫をあまり多く抱えたくない作家さんに1つのアイディアとして。よかったら参考にしてみてください。
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通販備忘録
最近考えていることですが、思いついたことは全部記事にして残しておこうと思っています。なぜなら忘れてしまうから!!そして、ギャラリーなどで話題になったときに、文字情報でまとまっていたら、「この記事に書いてあります!」と紹介しやすい。とにかく何でも記録しておくの大事だな、と思っています。
ということで、今回は7月の通販の振り返りというか、挑戦してみてよかったことを書いてみたいと思います。
7月通販をしたのですが、その時に初めて挑戦したのが、「マットつきの原画を販売する」ということでした。これが思ったより好評でした!
マットがついていないドローイング作品にも「マット希望のBoost」をされる方が多かったので、「マットつきの原画、結構需要あるらしい」と手応えを感じました。そしてマットのみ配送は、自分にとってもメリットがたくさんあったので、ぜひそれをまとめておこうと思いました。
マットつきを希望する人が多かったんだね!
原画販売を検討されている方に参考になれば!
作家のメリット
額縁の在庫を抱えなくていい
作品を全て額つきで販売しようとすると、作品ごとに額縁が必要になります。特に小さいサイズの絵は売れやすいので、数が必要となります。ところが、あまり額縁の在庫は抱えたくありません。すでに大きめの額が、少し溜まってきて家のスペースを圧迫しています。もちろん作品が全て売れれば額縁の在庫を抱えることはないのですが、枯葉の場合そういうわけでもなく…特に個展などでお披露目したサイズの大きい作品は、手元に残りがち)
額縁の在庫をたくさん抱えるのは費用的なリスクもありますし、スペースの問題もあります。
そこで額なしの作品販売ならば、額縁の在庫を抱えるリスクがないのです。
マットつきで販売する場合、マットは用意しておく必要がありますが、額代に比べるとマット代は安いですし、薄いのでたくさんストックしておいても邪魔になりません。すごく助かります!!
これからはマットのみたくさん買っておこうと思いました。
額縁を選ぶ手間や時間を制作にあてられる。
額装も1つ2つなら楽しい作業です。やはり額装は作品の世界観を拡張したり、格上げする効果があるので、とてもやりがいを感じるし、喜びのある作業です。
が、同時にかなりエネルギーを必要とする作業でもあります。小さい作品を通販する場合、とにかく作品数が多いため、どの作品にどの額を入れるか?サイズはどうするのか?足りない額はどこで買い足すのか?とにかく考えるのがとても大変で、時間もかかっていました。
加えて通販ではなるべく小さい額に入れたほうが、配送料を安くできるという事情もあります。なのでなるべくマットを入れずにギリギリのサイズに絵を裁断することも多かったです。これもストレスが高くエネルギーを必要とする作業でした。
これがマットだけならば、難しくないのです!マットも相性はあるのですが、額と違って後ろを開けて、裏板外してみたいな作業がないため、作品に当てて確認する作業も楽でした。なので、今回はこのあたりの時間のかかる作業が全部なくなったので、その分作品を作る方にエネルギーを回せました。
見栄えがする
今回思ったことですが、完全に額なしで販売するより、マットだけつけるだけでもかなり見栄えがすると思いました。どんな小さな作品でも、裸の状態よりは、マットがあった方が断然見栄えがします。特に背景白いドローイング作品などは、見栄えの問題で難しいと感じていたのですが、色マットをつけるとすごくよかったです。
また、今までマットなし額つきで飾った作品もマットをあててみて、やはりマットがあった方が綺麗に見えるなあと思ったりしました。額縁は強いデザインのものが多いので、どんなに小さいものでもちょっと余白(マット)がある方が落ち着いて見えるんですよね。
また、先ほどの裁断作業の続きになりますが、マットをつければ絵の端っこが上手い具合に隠れてくれるため、絵を裁断する必要がなくなるんですね。私は額装で隠れはするものの、絵の端っこも愛おしく思っていて、本当は裁断したくないんです。
額縁店でも絵の端っこは見せる額装でもいいのでは?と提案ていただくこともあって。こういう部分はマットで隠れて見えなくても残しておきたいと思っていたので、結果として残せてよかったです。
送りやすい
今回、特に感じたのはコレでした!額装作品は割れものに該当しますので、梱包材も必要になりますし、梱包も慎重にします。
マットつき原画は厚めのクリアポケットに包み、普通の封筒で送ることができたので、正直なところ、かなり楽で助かりました。発送への時短にもなったと思います。
今までドローイングは、紙一枚で送っていたので、折れなどの事故が怖くて、結局厚紙を挟んだり、梱包材に包んだりしていて、額装作品とはまた別の気を遣っていました。
マットは分厚く折れたりという心配がないので、かなり安心して送ることができました。
購入側のメリット
額装のハードルが下がる
気づいたのですが、額装の何が面倒かというと、実はマットです。マットのカットに時間と手前がかかります。マットは作品に接しているので、微妙な色味や質感の相性もありますし、窓開けのサイズ指定も悩ましいです。そしてマットのカットはすぐにやってくれるお店もありますが、時間がかかる店もあります。
マットがついていれば、あとは額を選べばいいだけなので、思い立ってすぐに額装できます。額縁店が近くにないよという場合でも、額だけならAmazonでもラーソンジュールやデザインの良いフォトフレームが買えます。
マットがついていることでかなり額装のハードルが下がったのではないかと思っています。
作品は安めに購入できる
作品は額縁とマットの代金、交通費などを上乗せしています。額縁はそれなりに高価なので、作品代のうち額代が占める割合はかなり大きいです。(特に枯葉の場合、高価な既製額縁に入れがち)
マットつき原画の場合はマットの代金のみ上乗せしているので、作品自体はかなりお安めに設定することができます。もちろん購入者さんに、後に額装代金を負担していただくことになるので、同じと言えば同じなのですが、ただ「原画を購入するハードルの1つ、価格」が少し解消されるのではないかなと思っています。
作品を手に入れるために
払う金額は安くなるってことだもんね!
原画自体の購入のハードルは下げたい、という気持ちがあるので、これも1つメリットなのではないかなと思っています。
好きな額を選べる
額縁をあえてつけないことで、お迎えしてくださったかたが好きな額を選べるという楽しみもあったようでした。色々ツイートで拝見し、こっちがいいかな、この作品はこっち、など試行錯誤されているのを拝見し、こちらもとても楽しかったです。嬉しい!
結構額選びって楽しいんですよね。大きな作品だとちょっと緊張感もありますが、小さい作品だと、気軽だし着せ替えも可能。小作品の規格サイズだとデザイン性の高いフォトフレームに入れることもできるんですよね。展示の時は、どんな方が購入されるかはわからないので、落ち着いた額にすることが多いのですが(年配の男性が求めることも多いため)、今回購入者さんが選ばれていた額は華やかなものが多くて、こういう額装も合うんだな〜と勉強になりました。
枯葉は画材だけでなく額縁も布教したいので、額装にチャレンジしてくれる方が増えたら嬉しいなあと思っていました。今回、「原画のみは購入のハードルが高いけど、マットつきだったことで、好きな額に入れてみる体験ができてよかった」という感想も寄せてくださり、嬉しかったですね!
どの作品も、それぞれの額装がマッチしていて感動しました!!
マットつき原画販売の注意点(追記)
マットつきで販売するときの注意点を追記します。
それはマットの外寸が、額縁の規格サイズであることです。
この販売方法のよいところは、作品とマットがセットになっているため、購入者さんは、「規格額を買うだけでよい」という点です。
マットの外寸が規格サイズでないと、額縁をオーダーメイドで作らなくてはいけなくて、額装にかなり費用と時間がかかるため、「マットつき原画販売のよさ」が生きなくなってしまいます。
オーダーと規格額についてよく分からないよ!という方はこちらの記事もぜひお読みください。額装の基本をまとめています。
規格サイズというと、用紙サイズのA4やB5サイズを思い浮かべる方も多いかと思いますが、実は額縁は額独特の規格サイズというのが存在します。
主に、小さい方から、インチ、八切(やつぎり)、太子(たいし)、四切(よつぎり)、太衣(たいころ)、半切(はんせつ)、三々(さんさん)です。
あとはフォトフレームの規格になりますが、ハガキサイズ、キャビネサイズ、中判サイズ、というのもあります。
マットつき原画でおすすめなのは、ハガキサイズ、キャビネサイズ、インチサイズくらいまでです。このサイズまでは、A4の封筒に入りますしね。中判はあまり額の選択肢がないのでおすすめできないです。また、これ以上のサイズにするときは、ちゃんと額縁にいれて額装原画にして販売した方が良いと思います。
また正方形の規格も存在はしますが、こちらもかなり額縁の種類が少ないので、特別な理由がなければおすすめしません。購入者さんの負担になるからです。
ハガキサイズドローイングにキャビネサイズのマットをつけたり、ATCくらいのミニ原画にハガキサイズのマットをつけたりするくらいがほどよいかな〜と思います。
↑こちらはATCより少し大きいくらいのサイズの作品にハガキ外寸のマットです。
↑ハガキサイズの作品に、キャビネサイズ外寸のマットを合わせています。このような細めのマットは切れません、と断られる額縁店もあります(お店による)
↑こちらはハガキサイズ(より若干大きい)の作品にインチサイズのマットを合わせています。かなりマット幅が大きいので、ダブルマット(マットを二重にする)で豪華に見せています。インチサイズのマットにするならもう少し作品は大きくてもいいかもですね。
マット幅でも印象がちがうね〜
最後に大切なことですが、マットを注文するときには「ハガキサイズのマットをください」というのではなくて、「ハガキサイズの額縁に入れたいので、それに合うマットにしてください」とお願いしてください。ハガキサイズぴったりだと、入らないことが多く、少し小さめに切ってもらう必要があるからです。額屋さんはわかってくれると思いますが、念の為額縁のサンプルを店頭に持っていくと安心ですね(今回サイズを間違えてしまったので注意喚起です!)
マットはどこで買える?(追記)
マットはどこで買えるのか?
それは額縁店です。個人がやっている小さい店舗、画材店にくっついている大型店舗、色々ありますが、おすすめは大型の店舗ですね。なぜかというと、大型の店舗はマシンカットを採用していることが多く、マットカットの時間が早いからです。(そしてたくさん発注しても嫌がられないw)ほとんどのお店で「マットだけカット」の対応をしてくれます。そして、お店によっては、カット済みのサービスマットを売っているお店もあります。(売れ残りの材料を使っていたりするらしく、安いことが多いです)
近くに大きな額縁屋さんがないよ!という場合は通販を利用しましょう。
額縁のお店マルニもマットのみの注文ができます。
https://www.art-maruni.com/index.php
たくさん同じサイズのマットを頼むと安いパックもあるみたいなので探してみてください(近々、私も利用する予定です!)
マットだけで飾れないの?(追記)
マットは額縁と作品の間に挟むものなので、それだけで飾ることはできません。
一応、マットつき販売というのは、購入者さんに額装していただくことが前提の販売方法です。
が、自分で描いた作品を気軽に飾るなら、マットだけで飾るのも悪くないかも…と思います。
ちなみに、スタンドつきの飾れるマットという商品もあります。「マットスタンド フォトフレーム」で検索すると色々出てくるので探してみてください。
額縁の表面に入っているアクリル板には、UVカットの効果がありますし、埃からも守れるので、長期的には、額装してもらえるのがベストかな〜とは思います。でもこういう商品もあるので、利用してみてもいいかもですね。
額装作品が基本!だけど…
とはいうものの、額装というのは、してみた状態を見ないと想像しにくい、という面があるので、ギャラリーの壁には「額装した作品」を飾るのが基本だと思っています。良い作品に見えるかどうかも、額装次第。
枯葉もSMサイズ以上は必ず額装した状態で、展示販売しています。
今回マットつきがよかった!というのはハガキサイズ以下のミニサイズ作品の話になります。小さな作品は単価が安くなりますし、数も多くなるので、額装や、配送に手間や費用をかけるのは、作家側、購入側双方にあまりメリットがありません。かといって、紙一枚ぺらっとした状態で販売するのも、価値を感じてもらいにくい一面があるように感じたので、間(あいだ)をとってマットつきはどうだろう?と考えたわけです。
額装作品と、ドローイング作品の中間くらいの位置づけですね。作品の内容もややドローイングよりも凝ったものをマットつきにしました。
次の通販や、個展会場でも引き続きマットつきの作品を販売してみようかなと思っています(マットまとめ買いしちゃいました)
とくに通販販売が多い作家さん、ぜひ検討してみて下さい。枯葉のケースで言うとかなり喜ばれました!すぐに作品飾ってもらえますし、購入者さんが額縁店に足を運ぶきっかけになるかもしれません。
また、枯葉のマットつき原画をお迎えして、実際に額装したよ!という方いらしたら、ぜひお知らせください!画像など送っていただけたら嬉しいです。(問い合わせフォームからお知らせくださったらメールアドレスをお送りしますので🙏