もともとあったオレンジ色の記事ですが、あまり読まれていない記事だったので、今回新しく書き直ししました(ほぼ原型をとどめていない笑)色々なオレンジ色の絵具を比較してみました!オレンジの絵具はなくても大丈夫ですが、異次元の鮮やかさでつい欲しくなります。
Table of Contents
オレンジの絵具について
使う派?使わない派?
みなさんはパレットにオレンジ色の絵具を入れているでしょうか?枯葉は過去5年くらいその美しい色味に惹かれて、鮮やかなオレンジ色をパレットに入れていました。
ところが、あまりに減らない(=あまり使っていない)ので、ついに2023年のパレットではオレンジ色の絵具をメンバーから外してしまいました。オレンジ色の絵具はとっても綺麗なのですが、「使う派」と「使わない派」で分かれているようです。

ひよこちゃんはオレンジ色の絵具使う?

使う!オレンジ大好きだよ〜
ですが、世の中にはハッとするくらい美しいオレンジ色の絵具が存在します。なので、今回はオレンジ色の顔料に話題をしぼってお伝えしたいと思います。主に単一顔料の絵具をご紹介します。
美しい!オレンジ絵具
オレンジは赤と黄色の混色で作ることができます。

でもオレンジ色の絵具は混色のオレンジより数段鮮やか!発色もいいです。

もちろん、オレンジ色の花やフルーツはもちろん、明るめの人物の肌にも使うことができます。黄色とは一味違った下地の色にも使えますし、混色に使うこともできます。
オレンジは色相環の中では、三原色を混ぜて作ることができる二次色の一つですので、何気に重要な色です。
色々なオレンジ比較してみた
今回は顔料別にご紹介しようと思います。オレンジの単一顔料の絵具が豊富なのは、主に海外メーカーです。中でもシュミンケホラダムとマイメリ、ウィンザー&ニュートンは群を抜いていますので、鮮やかなオレンジの絵具を探したい時には、この3つのメーカーに注目してみてください。
PO20 カドミウムオレンジ
こちらはやや入手がしやすいオレンジ絵具です。カドミウム系のオレンジ色。とにかく鮮やかな発色ですが、やや不透明なのが好みの分かれるところかもしれません。ただ、溶けやすく伸びのよい色なので、扱いやすさがあることは否定できません。

色も赤と黄色の中間くらいのオレンジがスタンダードのようですが、メーカーによって微妙な色差がありました。
とくにシュミンケホラダムは3種類もあり、オレンジ〜朱色までかなり色幅も広いです。
ターナー | カドミウムオレンジ |
マイメリブルー | カドミウムオレンジ |
シュミンケホラダム | カドミウムオレンジライト |
カドミウムオレンジディープ | |
カドミウムオレンジレッド | |
じつはターナーの水彩絵具はすごくお得なものが多いです。カドミウムオレンジもその1色と言えると思います。
ホルベインにもカドミウムオレンジという絵具はありましたが、顔料がPR108でカドミウムレッドの方でした。こちらも色幅のある顔料であることが分かります。
PO43
オレンジレーキ(マイメリブルー)

マイメリでしか扱われていない、オレンジ。とても鮮やかで明るいオレンジ。オレンジといってもかなり赤よりで、薄めればピンクとしても使えそう。にんじんのような色。
割と明るくてかわいい色です。
PO62
こちらはやや黄色がかったオレンジです。伸びがよく少し透明感があります。画像ではエッジができてしまっていますが、ちゃんとムラなく塗ることができます。
混色してもきれいですよ。

ウィンザー&ニュートン | ウィンザーオレンジ |
マイメリブルー | パーマネントイエローオレンジ |
シュミンケホラダム | クロミウムオレンジヒュー |
PO64

枯葉イチオシのイミダゾロン系のオレンジ。とにかく色が鮮やかで半透明です。澄みきった鮮やかさで、混色ではこういうオレンジは出せません。一時期メインパレットの常連メンバーでした。
やや赤みが強いかな。

画像の色は嘘です!!
画像の色の3倍くらい鮮やか✨

もっともっと綺麗な色なんだよ〜
スキャンでは読み取れない色です(というかPC上のカラーパレットにも同じような色がありませんでした。)実物は「蛍光色??」と思うほど鮮やかで、もはや眩しいです。レモンイエローやオペラとも相性良いです。ぜひ実物を確かめてください!
マイメリブルー | パーマネントオレンジ |
シュミンケホラダム | サターンレッド |
シュミンケホラダムの中ではお手頃な方かな??
PO71

一時期、シュミンケホラダムの人気色でしたね〜。ピロール系のオレンジ。これも枯葉、一時期パレットに入れていました。かなり透明感の強いオレンジです。濃い部分は色が深く、薄めると明るいオレンジです。透明感が強すぎるので、塗りムラができがちです。サターンレッドに比べると黄色よりです。ちょうど真ん中のオレンジです。

透明感にこだわる人には
この色がオススメ!

みかんカラー🍊
色は思ったより鮮やかではないのですが、インクのような透明感が独特で人気色なのも頷けます。
マイメリブルー | ピロールオレンジ |
シュミンケホラダム | トランスペアレントオレンジ |
PO73

オレンジといってもかなり赤よりのオレンジ。むしろ朱色といってもいいかもしれない。こちらもかなり鮮やかな発色で眩しいです。(画像の色は嘘なので実物買ってください!)

もっともっと鮮やか!

目がちかちかしちゃう
伸びがよくムラなく塗りやすいのが特徴。この色、赤の代わりにパレットに入れてみたいですね。
セヌリエ | セヌリエオレンジ |
ウィンザー&ニュートン | ウィンザーオレンジ(レッドシェード) |
ちなみにホルベインのブリリアントオレンジは、このPO73とPY110というイエローオレンジの混合色です。こちらも十分に鮮やかな発色で、色もくせがないため初心者さんにもおすすめです!入手もしやすいですしね。
・ブリリアントオレンジ

トランスペアレントオレンジ(W&N)
こちらはウィンザー&ニュートンのジュエルカラー5色のうちの1色です(もともとは期間限定カラーだったものが定番になったようです)

シュミンケホラダムのトランスペアレントオレンジとは違うものです。
顔料はDPPとありますので、ジケトピロロピロールのようです。

ぴろろぴろ…?
富有柿のような深みと赤みのあるオレンジ。独特の深みと濃さがお気に入りです。こちらもすごくすごく綺麗な色味で、推し!
おまけ パッションオレンジ(クサカベ)
こちらは蛍光色の入ったオレンジ色なので、かなり鮮やかです。

蛍光色のオレンジはとてもユニークだと思います。この色が欠かせない!という作家もいるそうです。が、やはり耐光性に不安があるので、すごくおすすめするわけではないのですが、ただ手頃で入手しやすいこともありますので、あまり気にしない人には使ってみて欲しいかも。
枯葉イチオシのオレンジ絵具
この中で特にお気に入りなのは、シュミンケホラダムのサターンレッドですね。混色では絶対に作ることのできない彩度がお気に入りです。乾燥させた後も、スッと溶けやすいのがさらにイチオシのポイントです。適度に透明感もあり、澄んだ色味ですね。1色選ぶならこの色です。
また、ウィンザー&ニュートンのトランスペアレントオレンジもすごく好きな色です。こちらはサターンレッドよりも深みのあるオレンジで、濃い部分はかなり赤みもあります。こちらもすごく魅力的な色だな〜と。赤の代わりに使うこともできて重宝します。
個人的な意見なので、聞き流してもらって結構ですが、ちょうど黄色と赤の中間くらいのザ・オレンジという感じの色(ちょうどみかんやオレンジのような色)よりも、少し赤みがかったオレンジ、または少し黄色がかったオレンジの方が使い出があると感じました。
これは枯葉があまり「鮮やかなオレンジ色」をそのまま使うことがないからかもしれません。もしオレンジ色あまり絵に取り入れないかも?という方いたら、参考にしてみてください。
オレンジ絵具の使い道を考えてみた
とはいうものの、オレンジ絵具の使い道を考えてみました。あまりに絵具自体の色が素敵なので、それを活かした作品も描いてみたいと思いました。
オレンジを全面に使ってみた
オレンジの絵具を全面に使った絵を描いてみたんですよね。オレンジだと渋いオレンジが比較的他の色とも馴染ませやすいのですが、鮮やかなオレンジだとどんな色と合うかな?

オレンジ色と相性がいいのはどんな色?
意外と真っ黒と相性が良い感じがしました。黒と赤も魅力的なんですが、枯葉の絵柄にはちょっと強すぎるのです。黒とオレンジは程よいコントラストがあってかっこいい配色ですね。特にオレンジ色が鮮やかだと際立ちますね。渋いオレンジだと茶色のように感じてしまうことも多いので、これは明るさが際立っていいと思いました。

あとはグリーンやくすんだ青とも相性がいいですね!こちらもサターンレッドを使ったミニ原画です。

こちらは全面に、とはいきませんが、お気に入りのサターンレッドを、同じく透明感の強い鮮やかな赤絵具キナクリドンスカーレットと一緒に使ってみました。似たような彩度なので、対比が心地よいです。紺色を締め色に使いました。オレンジ色を使う時は濃いめの色を一緒に使うと、対比ができて魅力的になりますね。


オレンジ色を隠し味に使ってみた
最近、この使い方もいいな!と思うようになりました。オレンジ色を全面に濃く塗るのではなくで、淡く薄塗りして重ねるやり方です。主に肌の部分に少しだけアクセントとして使うのですが、微妙に血色が浮いてくる感じでとても綺麗だと感じました。主に赤みの強いオレンジで試しています。




オレンジ色はスキャナで取り込みにくい色なので、ちょっと良さが伝わりにくいのですが、実物見ると明るい暖色がふわっと浮いてきてとても綺麗に見えました。この使い方はもう少し追及したいです!
また、彩度の低い絵に少しだけポイントで使う使い方もいいですね。赤ほど目立つ感じにならなくて穏やかな感じに仕上がります。

そういえば金木犀はオレンジの花だった。
オレンジ色を他の色と混色する
オレンジ色は橙とも呼びますが、この色は三原色を混色してできる二次色の一つです。緑、紫と同じように、割と色相環の中で重要なポジションにいる色です。なので、混色のことを考えてもかなり色々な使い方ができるはずなのです。

色々試してみて、これいいなあと思ったのが、二次色同士の混色でした。
オレンジ色×緑との混色とオレンジ色×紫との混色です。
緑との混色はフタログリーンと混ぜるもので、少し黄色っぽいオレンジとの相性が抜群でした!綺麗な色が作れました。

紫との混色はピンクっぽい茶色が作れてこの色もとても素敵な色でした。


この2つがおすすめ〜!
オレンジ絵具不要説
鮮やかなオレンジはなくても困らない
オレンジの絵具は、あってもいいし、なくてもいいものだと思います。
素敵なんだけど必需品とは言い難い。なんだろう嗜好品っぽい絵具というか…。なので12色セットや18色セットには入っていないというのがその証拠だと思います。同じオレンジの色相でも、茶色や赤茶色、淡い肌色のようなペールカラーの方が何倍も使う色だと思います。

でも好きなの、オレンジ🍊
まあ、オレンジ色が固有色のものって少ないんですよね。みかんやオレンジは思ったより鮮やかな橙色ではないし、お花くらいかな?と思いました。
赤+黄色で代用可
紫(パープル)の場合、赤と青を混ぜて、鮮やかな紫を作るのが難しいので、紫の絵具を持っていた方がいいかな、と思うのですが…
ただ、オレンジの場合は、赤と黄色を混ぜて、そこそこ鮮やかなオレンジが作れてしまうのです。なので、あまりオレンジを単品で使わない人はいらないような気もします。
(枯葉はオレンジをピンク〜オレンジ〜黄色の夕焼け色のグラデーションで使うことが多い、こういう場合は赤と黄色があれば済んでしまう)

スキャンや写真にうつらない色
そして、鮮やかなオレンジはスキャンや写真がもっとも読み込みを苦手とする色です。オペラという蛍光色や紫系の色も難しかったのですが、こちらは技術の進歩か、かなり読み取れるようになってきています。ですが、オレンジ色は本物の色が全く読み取れていません。鮮やかさだけでなく、色調もなんだか違います。
なので、今回の記事も画像を用意しながら

もっと鮮やかなのに!!
と地団駄踏んでいました。伝わらないのが本当にもどかしいです。
でも、作品にオレンジ色を使った時も同じことが起こるのです。せっかく鮮やかなオレンジ色を使ってもSNSや印刷では渋い色になってしまう。これはもどかしいですよね。もちろん展示で実際に見て「うわっ」となると思いますが。最初に見てもらうのはSNSが多いので、頭を抱えると思います。これがオレンジ色の絵具を全面に推せない要因にはなってます。
でも使って欲しいオレンジ絵具
枯葉がオレンジ色の絵具に出会ったのはここ5年前です。(それまではオレンジ色がなくても特に不自由は感じませんでした。)
ハマったきっかけはシュミンケホラダムのトランスペアレントオレンジでした!インクのような独特の透明感と発色にやられてしまいました。そこからサターンレッドに移行し、さらに深みへ。
やはり実際に塗ってみるとその彩度や澄み切った色味の美しさがわかるので、つい魅了されてしまいますね。この彩度は凄みがあります。
オレンジ色をのものを塗るだけでなく、重ね塗りや下地色、混色など色々な用途を考えてみると、活躍するかもしれません。もちろん目指している色彩やよく使う色との相性もあります。なのでオレンジ大活躍してます!!という方の使い道もぜひ聞いてみたいですね。
後日談 オレンジの活用法を聞いてみた
Twitterで聞いてみたところたくさんご意見お寄せいただいたので、記しておきますね。めちゃ参考になりました!!
kekoさんの教えてくださった用途にオレンジの使い道3つがまとまっていました!
主に
①混色で使うパターン
②肌色として
③オレンジ色が固有色のものを描く
あと気になったのは、茶色のものの下塗りにオレンジを使ったり、オレンジ色を淡い茶色として使うやり方ですね。茶色が明るく感じて、いいなあと思いました。
あとは配色の問題だと思いますが、オレンジの使い方が上手い!と思ったものをご紹介していきます。
暗めの配色。焦茶色×暗めのオレンジ。このような配色でオレンジを使っているのは細井さんだけでした…。秀逸な配色!
チヒロさんのアリスは水色+白に差し色としてオレンジ!(補色)親指姫は赤やピンクにオレンジが馴染んでいます(同系色)。どちらも差し色ですが、参考になる使い方!
じょんじょんさんも配色上手い!全体を茶色系でまとめつつ、オレンジがサブカラー、グリーンが差し色になってます。すごい。
セキさんの配色も秀逸。コバルトターコイズ?と白がメインになってて、オレンジが差し色ですが、オレンジが際立つ素敵な配色!!
つぶさんの金木犀も量としてはボリュームがあるのですが、全体が白とグレー系の無彩色でまとめられているのと、上の方に固められているので、爽やかになっていますね。
madoさんのオレンジの使い方は、柔らかい感じです。特に4枚目の淡いオレンジとグレーぽい緑の組み合わせとても素敵に感じました!
ちたにあさんのオレンジははっきり前面にオレンジを打ち出してますね。差し色として使う方が多かったので、勢いがあって目をひかれました。すごい。
他にも紹介したい作品があったのですが、あまりツイートを貼り付けすぎると記事が重たくなってしまうので(多分十分重たくなってる)このあたりで。
すごい!魅力的なオレンジの使い方が満載で、とても勉強になりました!!暗い色と合わせることばかり考えてましたが、意外と明るい色と合わせている方も多くて新鮮でした。
ご協力ありがとうございました!!
①混色する(補色である青と混ぜて、グレーを作るという意見が多かった)
②肌色のベースや赤み、アクセントとして
③オレンジ色が固有色のものを塗る(チューリップや金木犀、みかん、柿、人物だと髪色、風景だと夕焼け空が多かった)