ぎゃらりいあとさんで開催される「桜と共に散る」に出品する作品の紹介をさせてください。
作品にまつわるエピソードをしようと思いますので、ご興味持っていただける方はお付き合いください^^
Table of Contents
展示の概要
今回のテーマは春の終わり、季節の儚さ、春に感じられる死、ということで、桜を中心にした切ない春の風景を描こうと思いました。
色はピンクと水色を中心にするということが自分の中で決まっていて、色々な配色を試しました。

ピンクと水色がテーマです!

春らしくて可愛い色の組み合わせ♪
ピンクも一辺倒ではなく、暖かいピンク、冷たいピンク、落ち着いたピンク、など色々な色を、作品のテーマに合わせて選びました。
木花咲耶姫 コノハナサクヤヒメ
タイトル:木花咲耶姫 コノハナサクヤヒメ
サイズ:165×260mm
画材:透明水彩、アクリル絵具、色鉛筆、ウォーターフォード紙(ナチュラル)
制作年:2022年2月
桜をテーマをした作品は、今まで3枚だけ。なんとなくですが、2〜3月にしか描けないような気持ちがしていました。(やっぱり真夏や秋には描く気はしないので…)
今回は今まで溜めたアイディアをたくさん出してみようと思いました。
一番描きたい、と思っていたのが、「木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)」
「サクラ」の語源となった、日本神話に登場する美しい女神です。

木花咲耶姫は、天照大神の孫、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)に見初められ、妻となります。木花咲耶姫の父、大山津見神は姉の石長比売(イシナガヒメ)も一緒に嫁がせようとしますが、ニニギノミコトは醜い石長比売を拒否、送り返してしまいます。大山津見神は「岩のように強靭な生命力を持つ石長比売を娶れば、ニニギノミコトは末代まで永遠の命を得られたのに」と残念がります。結局、木花咲耶姫とだけ結婚したので、寿命は人間の寿命ほどになってしまったそう。
なんだか、神様だけど人間味のあるエピソード…ニニギノミコトの気持ちも分からなくはないですが…表面的な美は永続しないということなんでしょうね。
木花咲耶姫の命は桜の花のように儚かったようです。桜も開花からあっという間に散ってしまいます。美しいけど本当に儚い。
ほんの一瞬だけど、一気に花を咲かせる桜。儚い命と至高の美と一瞬の輝きに想いを馳せて、描きました。

初めて描くテーマだったので、とても新鮮で喜びがありました。
神話ってストーリーやキャラクターがいるけど、姿形は自分の想像で描けるので、とても楽しいです。どう描いても正解がないので、逆に想像を広げることができます。日本神話、あまり知らないお話もたくさんあって、もっと調べて描きたいと思いました。

どうしてももう一枚描きたくなり、ミニバージョンを描きました。こちらもドローイングとして出品しています。
開花の魔法
タイトル:開花の魔法
サイズ:135×195mm
画材:透明水彩、色鉛筆、ウォーターフォード紙(ナチュラル)
制作年:2022年2月
3月になると、桜の開花予想が出ます。東京の開花予想は、今年は3月20日。ちょうどこの記事を投稿する今日が3月20日なのですが、東京のあちこちで桜の開花が観測されました。
桜はポツリポツリと咲き始めるというより、一気に開花します。咲き始めると、あちこちの桜が一斉に花を開く様子は、毎年の事ながら圧巻だな〜と。
合図をかけられたように一斉に開花する、その様子が魔法にかけられたようだ、と思っていたので、こんな絵を思いつきました。

最初はウグイスを描こうと思っていましたが、毎年あちらこちらで見かける黄緑色の鳥をなんとなく絵の中に描きいれ…ん?黄緑の鳥はメジロでしたね(笑)いつもウグイスとメジロを混同してしまいます。

黄緑の鳥はメジロちゃん♪
メジロは花の蜜を吸うのが好きらしく、よく梅の木や椿の木にとまっています。なので、春の妖精のお供はメジロにしました。緑が少ない都内でもよく見かける鳥で、今年も公園で何度か見かけました。コロンとしていて、とってもかわいい。

私の絵ではおさげの女の子は珍しいのですが、とても気に入っています。(次女はたらしてる髪型の方が可愛いのに〜と言っていました)

額は白、マットは珍しくグレーです。とても不思議なピンクがかった暖かいグレーです。マットの色はピンクにしようか、空色にしようか、ベージュにしようか、最後までとてもとても迷いましたが、絶妙な色になったと思います。
別れの挨拶
タイトル:別れの挨拶
サイズ:110×150mm
画材:透明水彩、色鉛筆、ペン、ウォーターフォード紙(ナチュラル)
制作年:2022年3月
実は同じ名前の絵を描いたことがあるのですが、そちらももうもう公開する予定がないので、新しい絵に名付けました。
絵の中のストーリーはあれこれ想像していただけると嬉しいです。

背景が気になるというお声を頂いたので、少しだけ解説しますと、湖の向こうに煉瓦造りの教会がある、という設定です。
桜は枝垂れ桜で、リアル描写ではなく、文様のように描いてみました。
私は最近日本の絵画にとっても興味があり、少しずつ画集を集めています。中でも「桜」の模様を集めた画集がとてもお気に入りです。よくよく見ると、桜が咲き誇る光景の絵でも、桜の花は模様のように平面的に描かれていて、リアルとデザインのバランスが絶妙だなあと唸ってしまいます。今まではなるべくリアルに立体的に描くのが技術的に高いと思いこんでいましたが、日本の絵画ってそういうものから外れているのでとても面白いです。平面的にペタっと描かれているけど、動きや流れ、躍動があり、リアルに感じられる。
私もそういうものを描きたいなあと、今、勉強中です!

ちなみに、この絵は白い部分が少し立体的になっていたりします。なかなかこういう部分は画面からは伝わらないので、実際に見ていただけたら嬉しいです。
山桜の精
タイトル:山桜の精
サイズ:105×148mm
画材:透明水彩、色鉛筆、ペン、ストーンヘンジアクア紙
制作年:2022年2月
私にとって桜といえば、ソメイヨシノですが、これは江戸時代に交配によって生みだされた栽培品種とのことです。母はエドヒガン、父は日本固有種のオオシマザクラ。日本人は桜好きなので、次々色々な品種が生み出され、それら園芸種をまとめて里桜というそうです。

一方、山などで自生している野生の桜もあり、それらは山桜というそう。
ソメイヨシノと山桜は見た目、似ているようですが、大きく違うのは山桜は赤みがかった葉と花が一緒に咲くところです。ソメイヨシノは園芸種なのでタネで増えることはなく、接木で増やすのに対して、山桜は野生の桜なので種子でどんどん子孫を増やします。
どこかで、赤い葉と共にさく山桜を見たように思うのですが、やはり野生の品種だけあって、生命力があるようにも感じました。野生の桜に魂が宿っていたらこんな感じでは…と色々想像しています。

ちょっと遊んでミニサイズの絵も描きました!(こちらは出品していません)
また会う日まで
タイトル:また会う日まで
サイズ:105×148mm
画材:透明水彩、色鉛筆、ランプライト紙
制作年:2022年2月
卒業シーズンですね。ついこの間も子供の卒業式に出席したばかりです。成長が嬉しいと共に、一つの節目として寂しいような感じもしています。

私は別れの時に使われる「また会う日まで」というフレーズがとても好きです。
実際には同じように「また会う日」はなかなか訪れないのですが、それでも「さようなら」だけでは寂しいので、「また会う日まで」って素敵だなあと思います。「また会う日まで」の続きには何が続くのでしょうか。また会う日までお元気で、という感じかな。あえて言わないところもいいですよね。
絵の中にどんなストーリーがあるか、は想像にお任せします。
桜は入学式の日まではもたないことが多いので、私にはお別れのイメージが強い花です。桜が一気に散りだすと、昔のことやらなんやら色々思い出してなんとなく切ない気持ちになります。

それはそうと、スキャンし忘れました笑
着物の柄は甘めの冷たいピンク、帯は鈍い水色にしてみました。着物の柄もいつも悩むのですが、今回は桜に流水紋を自分で考えてみました。着物の柄は何かを参考にしていますか?という質問を時々頂きますが、色々振袖のチラシとか、雑誌、古い文様図鑑など色々参考にしてます。自分なりにアレンジしたり、絵の雰囲気と色彩に合わせています。
幸福への祈り
タイトル:幸福への祈り
サイズ:150×150mm
画材:透明水彩、セザンヌ紙
制作年:2022年2月
若い頃には全く関心がなかったけれど、最近関心のあるテーマとして「幸運」と「幸福」というものがあります。

何年か前、雑誌(NationalGeographicだったかな)で、こんな記事を読みました。自分を犠牲にしてでも周りの人の幸福を願うタイプの人が人口の5%くらいいて、その人たちは自分の幸福を感じる力が強いという内容でした。自分の臓器を病気の人のためにドナーとして差し出す人や、自らの危険を顧みず踏切で立ち往生してしまった人を助けに行く人が紹介されていました。彼らの脳はとても幸福を感じやすいようです。うーん。深い。

う〜ん。難しいね…
それを読んだ時は、私はきっとそこまでできない!と思ってしまいました。でも個人の幸福感と、誰かの幸福を願うことはどこかで繋がっている、そう思うようにもなりました。
なので、時々、幸福や祈りをテーマとした作品を描いています。
今回の絵はほとんどがピンク色なのですが、この絵だけ水色にしました。ピンクも幸福を感じさせる色なのですが、私の中では淡い青も幸福を感じさせる色です。
夜桜の歌
タイトル:夜桜の歌
サイズ:78×78mm
画材:透明水彩、色鉛筆、ウォーターフォード紙(ナチュラル)
制作年:2022年3月
出不精なこともあり、今まで、わざわざ夜に桜を見に行くことはありませんでした。歳を重ねるにつれ、桜なんて毎年咲くし…という気持ちになってしまうんですよね。

ただ、旅行先で見に行った夜桜は印象に残りました。疲れていましたが、せっかくなので、ということでホテルの近くの日本庭園まで見に行きました。夜桜といっても、電気で照らされているのですが、昼間見る桜とは違い、ぼんやりとして光を放っていてなかなか幻想的でした。旅行先だったので普段立ち寄る場所ではなかったので余計にそう感じたのかもしれません。暗いところで白いものは、わずかな光でも反射して、光を放ちます。桜の花自体が光っているように見えました。暗いところで見ると、花とは対照的に桜の幹がおどろおどろしく見えたのも印象的でした。

いいなあ!見にいってみたい。
夜桜🌸
写真に撮ってみても、暗いせいかブレブレで、全くダメでした。なので、しっかり目に焼き付けようと努力しました。写真に撮って全然ダメなものは絵を描くに限る!

今回はミニ原画にしてしまいましたが、今度は大きな画面で描いてみたいなと思います。
ドローイング色々
ドローイングとして販売するものはこんな感じです。どれもドローイングというより、作品として額装しても良かったのですが、時間もスペースも足りませんので、額なし作品として見ていだけたら〜(ドローイングは本来素描作品のこと指すんですが、そういうのがとても苦手で。線画が苦手なんです。)
ドローイングは簡易的な作品として制作してます。ATC1枚とポストカードサイズの絵が3枚です。

- 木花咲耶姫のミニバージョン
- 桜の妖精
- 木漏れ日の少女
- ATC桜と富士山
作品解説について
こんな感じになりました。作品解説はしない方がいい、見る側に委ねるべきとする作家さんもいます。私の場合、在廊して作品解説をするのも喜んでいただけることも多いですし、何より私自身が作家さんの作品解説を聞くのが好きなんです。企画展では、在廊することができないことも多いので、代わりに作品解説をブログに残しておくことにしています。少々語りすぎかなあとも思っていますが、ブログの記事に残すことは自分の記録にもなります。
賛否あるかとは思いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
桜と共に散る(企画公募展)
期間:2022年3月23日(水)~3月28日(月)
時間:12時~20時(最終日18時まで)
会場:ぎゃらりぃあと
住所:〒530-0023 大阪市北区黒崎町14-19
作品の申し込みはあとさんのwebページでお願いします↓
桜と共に散る(企画公募展)
期間:2022年3月23日(水)~3月28日(月)
時間:12時~20時(最終日18時まで)
会場:ぎゃらりぃあと
住所:〒530-0023 大阪市北区黒崎町14-19
作品の申し込みはあとさんのwebページでお願いします↓
ぎゃらりいあと桜と共に散る