年に1度だけパレットを空にして、新しく絵具を選び、パレットに出す、という習慣を何年も続けています。毎年、パレットに入れている色は違うのですが、その時にどういう基準で絵具を選んでいるか?そんなことをお話ししてみようと思います。
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パレットのはなし
私が使っているパレットはこれです。10年くらいは使っていると思います。
時々色を入れ替えたくなりますが、このようなパレットだと色を入れ替えたりするのはちょっと難しいです。そこで、年末にパレットの絵具を使い切ってしまい、新しく絵具を詰め直しています。
この記事でパレットの絵具入れ替えの様子を詳しく紹介しています。
毎年、来年のパレットはどんな感じにしようかな?と迷います。
次の年に使う絵具を選ぶ作業!
これがとても楽しいのですが、1度パレットに絵具を入れてしまうとしばらくは変えられないので、慎重にもなります。
どうやって色を選べばいいんだろう?
パレットの仕切りの数から考える
仕切りの数は26こ、上段13色、下段13色入れることができます。
私が持っているのは穴アリなのですが、穴なしもあるんですね!混色スペースが広い!!
26色というのは絵を描くのに充分な色数ではないかと思います。私としてはちょっと多いかな、という感じです。なので毎年、「必須色16色くらい+チャレンジ色11色」くらいで考えています。
どうしても必要な色、ということで考えてみると15色くらいになるのではないでしょうか?
気になる色を全部入れれば50色くらいになりそうですが、大体役割が被ってしまう色が出てくるので、大抵は一番使いやすい色だけが減っていきます。人間にコントロールできる数はそう多くないので、少し厳選した方が一つ一つの色のお付き合いも濃くなる、というのが私の実感です。絵を描いている間に迷いを減らしたいというのもあります。
いっぱい色が並んでると迷っちゃうんです…💦
そういう考えでいくと26色もやや多い感じがします。毎年、役割が被る色が出てきてしまい、一方の色だけが減っていくという現象がよく起こっているからです。
なのであくまで絵を描くための色を「厳選していく」という事を意識しています。
色の選び方ー基本色を選ぶ
まず骨組みを組み立てていきます。
絶対外せない基本色
もし無人島に絵具を7色しか持っていけないとしたら…どんな色を選びますか…?
むむっ?
それは悩ましい…
分からないですが、多くの人は、赤、黄色、緑、青、茶色、あたりは必須だ!と感じるのではないでしょうか。
ちなみに私の考えた基本7色はこんな感じです。
なのでこれらの色は必ずパレットに入れています。入っていないこともあるのですが、これらの色に代わる色を選んでいます。(例えば今年は、キナクリドンレッドを外して、ピロールレッドとキナクリドンマゼンタで代用しています。)
フタロブルーは一度だけ外した年があったのですが、やっぱり作れない色があってとても不便で、結局パレットのすみっこに出しました。なので、やはりこの色は必要な色なんだと、と思いました。
これらの色を選んでいるのには理由があります。
この中では三原色はマゼンタ、カドミウムイエロー、フタロブルーです。この3色は作れない色味です。(正確に言えば、黄色はレモンイエロー、赤はキナクリドンマゼンタの色味がより三原色に近いですが、キナクリドンレッド、カドミウムイエローの方が感覚的な赤、黄色に近い色のため、より使う頻度が高いです)
フタログリーンは黄色と青の混色で作ることができないほど鮮やかな色です。色々な黄色やオレンジと混色することで、あらゆる緑を作れるので、入れてみました。
ウルトラマリンも混色で作ることが難しい色味です。そうは見えにくいかもしれませんが、かなり鮮やかな色で、欠かせない色です。混色のことも考えると、フタロブルーだけでは作れない色も多いです。フタロブルーが黄色よりの青なら、ウルトラマリンは赤よりの青です。ウルトラマリンブルーは私のパレットでも一番減りの早い色です。
茶色は、三原色から作ることが難しい色味です。その割によく使われる色なので、基本7色に入れています。ここではバーントアンバーを紹介していますが、もっと渋みのある色でも良さそうです。
イエローオーカーも、自然物を描く時によく使われる色で、下地に、混色にと大活躍の色です。いちいち混色で作るのは手間がかかりますので、必須色に入れています。
これらの7色のことをもっと知りたい方はこちらも。(何度も紹介してますが念の為!)
できればこの色も!準基本色8色
他にもほぼ毎年欠かさず入れている大切な色があります。基本7色ほどではないけど、これらも私にとってとても大事な色です。
カドミウムレッドライト
朱色です。基本7色のキナクリドンレッドがやや青寄りの赤なのに対して、こちらは黄色よりの赤です。キナクリドンレッドと黄色の混色で作れないこともないですが、よく使う色味なので、便利。カドミウムレッド以外にも似たような色はあるので探してみてもよいと思います。
ベネチアンレッド
赤茶色です。PR101という顔料で色々なメーカーから、色々な色味の絵具が売られていて、とても味わい深い顔料です。色味もとても便利ですが、発色の強さや不透明感も独特で、混色するととても深い色が作れたりします。ここ10年くらいはパレットに必ず入れています。よく使います。下の記事でまとめてみたのでぜひお気に入りを探してみてください。私が好きなのはシュミンケホラダムのイングリッシュベネチアンレッドです。
キナクリドンマゼンタ
キナクリドンレッドよりももっと青みの強いマゼンタカラーです。こちらが三原色のマゼンタにより近い色です。なので、この色しか作ることのできない色味も存在します。冷たいピンクや、鮮やかな紫を作る時に活躍します。
レモンイエロー
こちらも三原色のイエローにより近い黄色です。頻度や使い勝手は、カドミウムイエローミドルの方に軍配が上がりますが、レモンイエローにしか作れない色味もあります。私も毎年パレットに入れていますが、そこまで多く使う色ではありません。色々なメーカーから、色々な顔料で売られています。
サップグリーン
大体の色はフタログリーンで作ることができますが、あると便利なのがサップグリーンのような少しだけ渋みのある黄緑色。自然を表現する時には、黄緑は使う頻度がとても高いです。私はほとんどパレットから外しませんが、2020年だけはオリーブグリーンを入れることにしました。
プルシャンブルー
独特の深みを持っている青色です。少し渋みはありますが、薄めるととても美しい空色に。濃い部分と淡い部分で別々の表情を見せる魅惑的な青です。必須なのか、と言われると迷いますが、フタロブルーとも、ウルトラマリンとも違う表情を持っているので、よく使っています。
パーマネントバイオレット
紫は混色で作りづらい色なので、絵具として持っていてもいいかもしれません。紫自体も便利な色です。使う頻度にもよるかもしれません。私はよく薄めてラベンダー色のような感じに使ったり、青と混ぜて青紫を作っています。
ペインズグレー
真っ黒の絵具の代わりに、便利に使える青みのグレー。濃く塗って黒のようにも使えるし、淡く塗ってブルーグレーにも。緑や青、意外に黄色とも相性がいいです。ちょっと暗色にニュアンスを加えるのにも。代わりにインディゴ でもいいですね。
基本色と準基本色
基本7色と準基本8色、これらを合わせて15色となりました!
私はこれで大体のものは描けます!一番パレットの中でしっかり減る色ですし、毎年必ず入れているので、使い道や混色のパターンなど把握できている色です。そして珍しい色は入れていないので、どのメーカーでも揃えられる色でもあります。
全部並べてみるとこんな感じ!
私のパレットの中ではこれらの15色が、骨となっています。最も欠かせないのは基本7色ですが、準基本色の8色も色彩を広げていく上で、とても大事です。
絵具の揃え方に迷う、という方はぜひ参考にしてみてください。
参考にしてみよっと♪
色の選び方ープラスアルファの色を考える
骨組みの色がなんとなく決まったら、そこにさらに追加する色を考えます。
追加する色は、「使ってみたい色」「あると便利かも?な色」「特徴があって面白い色」「好きな色」など、どんな視点で選ぶのもOKです。ただ、基本の色とあまり役割が被らないようにするといいと思います。
例えば、透明色が多いなら、思い切って不透明色を選んだり、基本の色は粒子の細かい色が多いなら、ガツンと粒子の荒い色を選んでみるのもいいアイディアです。絵具にはそれぞれ色々な性質を持っています。似たような色でも、着色度が強かったり、粒子の大きさ、透明度、色の深さ、のびなどかなり違いがあることもあります。
色々な性質の色を加えてみると、パレットが賑やかになります。
粒子の荒い色
例えば粒子の荒い色は、画面にアクセントを加えるのにぴったりです。この質感を嫌う方もいるので、そのあたりは好みになりますが、私はここ数年とても楽しく使っています。
絵具の表記にGのマークがついているメーカーもあります。粒子の荒い色を「粒状化色」といったり、「グラニュレーションカラー」と言ったりします。
粒子が荒い色はアクセントにぴったり。
例えば、ウルトラマリンディープ、コバルトブルーディープ、コバルトグリーン、マルスブラウン、ポッターズピンクなどがその代表格。この記事でも詳しく解説しているので、ぜひお試しを。
透明感の強い色
透明感が強く、明るい色はどうかな?
透明感が強すぎる色は、独特の渋みがあることもありますが、使ってみるととても面白いです!
パステルカラー
パステルカラーをよく使うという人も多いですよね。よく使うなら便利!
ラベンダーとかピンクとか可愛い色だね!
白が混じっているわけではないのですが、とても鮮やかでおすすめなのがコバルトターコイズという色です。鮮やかなミント色で、画面のアクセントにとてもよいですよ!
暗色、濃いめの色
暗色もいいですよね…!欠かせない色ではないような感じもしますが、とても便利。絵に奥行きを与えてくれます。
特におすすめなのはインダンスレンブルー(PB60)この色は暗すぎず、適度に深い濃紺としておすすめの青です。
こちらも特集記事があるのでぜひ、見てみてください。
単色ではあまりきれいな色にはみえないかもしれませんが、赤系の暗色もとっても便利だったりしますね。個人的に気に入っている色が、ウィンザー&ニュートンのペリレンバイオレット。
残りの11色は好きに選ぼう
基本の色が15色なら、あと11色は変わった色を自由に入れることができます。毎年絵具を選ぶ時にとても迷うし、ワクワクしながら考えています。
11色は毎年入れ替えています。中には気に入って毎年のように使う色もありますが、他の色でも代用が効くような色が多いんです。でもこういう特徴のある色が入っていると、とても新鮮で楽しいですし、表現の幅が広がります。
まとめ
もちろんパレットに入れる色はもちろん使いたい色を入れる、でいいと思います。
その時に「必須色」や「基本の色」を軸にしてみて、そこに「遊びの色」を加えてみると使いやすくかつ楽しいパレットが作れると思います。
基本の色同士を混ぜてみたり、基本の色に遊びの色を混ぜてみたり、色々なチャレンジが楽しいです。
何か参考になれば嬉しいです。
こちらの記事は具体的なパレットの作り方です↓