2022年9月5日から9日まで、銀座の奥野ビルの銀座中央ギャラリーで開催されるATCサイズ展。今回も、色々な画材を使ってATCサイズの作品を作りましたので、ご紹介します。作品の紹介をさせてください。
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銀座中央ギャラリーのATC展
銀座中央ギャラリーは7月に公募展に出させていただいたギャラリーです。銀座のレトロ建築奥野ビルの4階にあるギャラリーです。今回はATCサイズの作品展をするとのことで、申し込みをさせていただきました!
銀座中央ギャラリーは、奥野ビルのギャラリーの中ではそこそこのスペースがあり、いつ見に行っても素敵な作品が飾られています。4〜6人くらいのグループ展から、個展、あとはギャラリー企画のATCやポストカード、サムホールなどの小さめの作品のグループ展も開催されています。
そんなギャラリーに、今回はATCサイズの作品を持っていきます。
ATCといえば!ATCを特集した記事を以前書いたことがあります!
さあみなさん復習!!
ATCとはArtist Trading Card (アーティストトレーディングカード)の略です。サイズは2.5×3.5インチ(64mm×89mm)と決まっていまして、元々はアーティスト同士の交流を目的として作品交換のためのトレーディングカードだったようです。日本ではあまり交換は主流ではなく、(私は交換もしてみたいと思っています!)どちらかというとお手頃な小作品として販売されることが多いです。
小さい作品はお手頃♪
そんなATC、枯葉は以前「ちょっと苦手…」と公言していたことも…。普段F4やF6サイズの紙に慣れているとですね、「ATCめっちゃ小さくね?」となるのです。「こんなサイズに何か描けるのか?」とも。実際紙を前にしてみると驚くほどの小ささ。
小さな作品として、豆色紙というものもあります。以前面積を計算してみたのですが、ATCと豆色紙は同じくらいの面積だったのでした。でもなぜか、同じくらいの面積でも、ATCよりも豆色紙の正方形のほうが描きやすい気がする!(私だけ?)構図のバリエーションも多いように感じました。
が!ARTsLABoさんの展示なんかみると、同じATCでも驚くほど皆さん細かく描かれている&構図のバリエーションも豊かっ。よし私も頑張るぞ!と思い今回のATCを頑張ることにしました。
テーマ設定してみたよ
色々作品を描いていて思ったのは…
枯葉の場合は「テーマや画材など少し縛りを作った方がやりやすい」
テーマ自由の作品展でも自分でテーマ設定した方が迷わないし、描きやすいし、クオリティも上がりやすいということに気付いてきたんです。
制約をかける方がやりやすいのかも
ちょっと不自由なくらいが楽しいのかな?
今回のテーマは「宝石と鉱石」にしてみました。
長女が少しずつ、鉱石収集にハマりつつあるので、それを横目で見つつ、影響され、今まで描いたことのないテーマにときめきつつ、鉱石の本を睨んだりしていました。
実は絵具にも「本物の鉱石」で作られた絵具があってですね。(沼の皆さんはご存知かと思いますが…)特に有名なのはラピスラズリでしょうか。昔は鮮やかな青の顔料はなかったので、高価な鉱石をくだいて絵具にしたりしていたのです。今はさらに鮮やかな顔料があるわけですが、「鉱石からできた絵具」というのは現代人の心を捉えるものらしく、今もラピスラズリやマラカイトから作られた絵具が高値で売られているんです。
ということもあって徐々に自分にとって身近になりつつある鉱石と宝石。描きたい石は山ほどあったのですが、いくつか厳選して作品に描きました。
ラピスラズリ
ラピスラズリ。和名だと瑠璃となりますが、いずれにしろ名前まで美しい。「lapis」はラテン語で「石」。「lazuli」はペルシャの鉱山の名前を起源としているそうです。
さまざまなメーカーからラピスラズリの絵具が販売されていることもあり、水彩沼には最も身近な鉱石ではないでしょうか。これは絶対に外せない、と思って選びました。
色は深い青ですが、ウルトラマリンブルーのような色。
黄鉄鉱のつぶつぶがキラキラとして、夜空のを連想する方も多いんじゃないでしょうか。まさに星浮かぶ夜空の世界。
雲や髪飾りの月の部分には、クサカベ工場見学で購入した螺鈿色を何色かしのばせており、いろいろ色のキラキラが見える仕掛けとなっています。
トルコ石
トルコ石はターコイズのことですが、ターコイズというとコバルトターコイズやターコイズブルーという色名を連想するかもしれません(水彩沼にとっては)
私は昔からこのターコイズカラーがとても好きなので、コバルトターコイズという名前の絵具でトルコ石を塗りました。個人的に、ホルベインのアーティストパンのコバルトターコイズがとても気に入っています。
とても鮮やかな色調なので、スキャンでは読み取れていません。とても美しいブルーです。
トルコ石の淡いブルーは、何となく古代文明のイメージがありましたが、実際に人類とはもっともお付き合いの長い石の一つだそうです。ロマン…✨
オパール
下書きの時点では「真珠」とするつもりでしたが、寒色系の背景にして、石を虹色で塗りたい衝動が出てきて、制作の途中で「オパール」に変更しました(何名の方から「ムーンストーン」だと思った、とご意見いただき、それもよかったなあ、と…✨)
オパールを表現するのに使ったのは、これもやはりクサカベの螺鈿色。偏光カラーなので、オパールにぴったり。
このオパール独特の虹色に輝く遊色が美しくて、幼い頃強い憧れを持ったことを憶えています。
オパールは結晶ではないので、鉱石ではないのかもしれません。でもこの柔らかさがとてもきれい。
今回は女騎士にしました。画面が大きかったら馬も描きたかった。
琥珀
琥珀も鉱石ではないですが、宝石ですね。琥珀は天然樹脂の化石です。樹脂が固まったものなのに、石なみの硬度というからびっくりです。
樹脂というだけあって、はちみつのような濃い黄色や、場所によっては濃いオレンジ、褐色のところも。透明感があり、色は1色ではなく複雑で深みのある色です。
大昔の葉っぱや虫が取り込まれていることもあるということですが、中には気泡や水が入っているものも。大昔の空気が保存されてるとか…すごくないですか。
樹脂といえば水彩の展色材もアラビアゴムという樹脂でしたね。
背景は深みのあるオレンジがかったゴールドにしました。
今回は着物の和装女子にしました。紺色のマット、金の額との取り合わせが気に入っています。
真珠
真珠は貝が作ったものなので、これも鉱石ではないですね。枯葉は鉱石ではない宝石が好きなのかも。真珠の柔らかい反射はとても絵に描き映えします。でも難しい!
色も純白のものから、クリーム色、淡いピンク、グレーなど色々ある!
もちろん完全な球体のものが一番価値があるのでしょうが、私はちょっといびつだったりするものも、海に浮かぶ泡のようで美しい、と思ってしまいます。
昔の肖像画では女王様や王妃様が、死ぬほどたくさんの真珠をドレスと一緒に身につけていますが、ものすごく高価だったんだろうなと思います。今はイミテーションも増えて、あまりありがたみもないのが悲しいけど。
王冠、襟飾り、小鳥には、クサカベの螺鈿色グリーンを塗っています。傾けると黄緑色になるのでぜひ見てみてほしい!
黄緑に光る絵具はクサカベの螺鈿色グリーンです。とても美しい✨
翡翠
翡翠の歴史も古いみたいです。
装飾品や実用品にも使われてきた石。
翡翠が描きたかったのは、マイメイのコバルトグリーンライトが翡翠っぽい色だったので、「これは翡翠を描かなくちゃ」と意気込んだわけなのです。この色好き!緑のなかで一番好きかも。ちょっとざらざらする色なのですが、ちょうど翡翠っぽくないですか。
今回気づいてしまいました。緑と黒と金の組み合わせ好きだということに!
背景は、ファインテックのゴールドです。あまりキラキラはしないのですが、顔料が濃く不透明なのが背景によかったです。すごくおすすめです〜!
珊瑚
コーラル。珊瑚も有機物なので鉱石ではないですね!
これも絵具を選んでいるとよく見かける色なのです。絵具や色鉛筆によくある「コーラルレッド」や「コーラルピンク」などの名称。なので絵描きにはちょっと馴染みがあったりします。
コーラルレッドは、少しオレンジがかった淡い赤(もしくはピンク色)のことをいうようです。
この色にぴったりなのが、キナクリドンスカーレットという色かな、と。今年のパレットに初めて入れた色です。透明感があり、赤というには色が浅く、水で溶くと鮮やかなピンク。もうすぐ使い切れそう。
天藍石
こちらは空色の石で、白い紋様が雲のようにも見えます。名前がよくないですか、天藍石って。ラズライトとも呼ばれます。
ラピスラズリが夜のイメージなら、こちらは昼!穏やかな晴れた空。なので反対のイメージで描きました。
画像では分かりませんが、背景はキラッキラにしました。空から光が溢れ出すイメージ。
背景や洋服がざらざらしたように見えると思いますが、これはセルリアンブルーというコバルト系の青色の絵具です。まさにこの石にぴったりのイメージの絵の具でした。
黒曜石
もう一枚飾れるっ!と思って急遽追納した作品です。思い立ったのが土曜日の夜、追納したのが月曜日の午前中でした。
もう一枚描くなら黒曜石にすると決めていました。そして額もサムトレーディングのロッサ(黒)がいいな、と。(合わせてみたらぴったりでした)
追納のツイートをしたところ、それを見て来てくださったお客様が!追納して本当に良かったと思いました。
瞳は緑と鳶色に光りミステリアスな感じに。他の作品とは違う表情にしたかったので、凛とした強い眼差しにしました。
展示情報
ということで、展示の情報です!
小さなATCサイズの作品✨
どんな作品が集まるのかな?
私も楽しみです❗️
ATCサイズ展
期間:9月5日(月)〜10日(土)
時間:12:00〜19:00(最終日のみ17:00)
会場:銀座中央ギャラリー(奥野ビル)
〒104-0061東京都中央区銀座1丁目9-8 奥野ビル4階411号室
TEL:090-2919-8651
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