今回はウォーターフォードという水彩紙についてお話したいと思います。
比較的メジャーな水彩紙なので、聞いたことがある方も多いかもしれません。
ウォーターフォードとは
ウォーターフォードは透明水彩の本場イギリスの水彩紙です。
コットンパルプ100%の水彩紙なので、コットン紙のカテゴリにはいります。
この紙は色が2種類あります「ナチュラルホワイト(クリーム色)」と「ホワイト(白)」
どちらも使ったことがありますが、単なる色ちがいかと思ったら、使い心地が微妙に違います。
「ナチュラル」と「ホワイト」の違い
どういう違いかというと、乾くスピードです。「ナチュラルホワイト」の方が、ゆっくり乾きます。
「ホワイト」は若干ムラになりがちです。ちょっとコツがいるのです。
色は「ホワイト」の方が色が鮮やかに見えます。「ナチュラル」は落ち着いてシックに見えます。
初心者は「ナチュラル」の方が、扱いやすいのでおすすめです。
後述しますが、発色にも差があります。
ウォーターフォードの特徴
- にじみがきれいにできること
- 一度色が乾くと、しっかり定着するので、重ね塗りをしても下の色が溶けたりしない
- リフティングができない
- 色が濃く塗る
- 発色はやや抑えめ
- 紙肌はちょっと粗め
- 乾きがゆっくりで、グラデーションや、ウォッシュがきれいにできる
- とても表面が強く、マスキングも問題ない
総評


重ね塗りにめっぽう強い
特に特徴的なのは、絵具の定着の良さです。色をのせて乾いた後は、しっかり定着して動きません。
なので、重ね塗りはとてもきれいにできます。そして、何度も重ね塗りができます。

上の画像を見ると、赤の上にレモン色を重ねているのですが、レモン色の方に赤の絵具が全く溶け出していない事がわかります。
その代わり、色を取るリフトという技法ができません。いくら色をこすっても色が取れません。なので、少し修正したい、と思った時もできません。輪郭をぼやけさせることもできません。上の段の右から2番目の細い青の線がリフティングを試しています。

確かに絵具が取れていないね〜
染みこみがゆっくりで、きれいなにじみができる
絵具が染み込んでいくスピードがゆっくりです。なので、にじみは大きめに広がり、とてもきれいにできますが。絵具が広がっていきやすいので、変化をつけて塗ったつもりのところが気づくとフラットな塗りになっていることがあります。
染みこみがゆっくりなので、水をたっぷり使う作業は、とても余裕があります。広範囲のグラデーションもきれいにできるので、とても重宝します。

ウォーターフォードのにじみはかなりキレイ!!
発色は「ナチュラル」と「ホワイト」で差がある
ホワイトはかなり鮮やかな色合いですが、ナチュラルの方は落ち着いた発色です。
特に、赤と青は鮮やかさに差が出やすいです。

ただ、全体に色を塗っていくと、そこまで差は感じません。
発色に関しては、好みもあるので、どちらが優れているとも言えないです。ホワイトのはっきりした発色も爽やかでよいのですが、ナチュラルの落ち着いた発色も、深みがあり、とても素敵です。

どちらがいい、とも言えないね。
描く絵にもよるよ。
個人的な感想
透明水彩らしい技法が、使いやすいので、よく使う紙です。特に大きめな紙を買っています。
重ね塗りや、ウェットインウェットといった「いかにも透明水彩」なテクニックが、使いやすい!紙です。
特に重ね塗りは、この水彩紙が一番むいています。とてもきれいに色を重ねることができます。

ただ、リフトができないので、ソフトな表現はあまりできません。
少し絵が固くなりがちです。
色も、濃い目にのりますし、どんどん重ねられるので、あっという間に重厚感のある色合いになります。
力強い表現にしたい、重厚な雰囲気、ハードエッジの絵、端正な雰囲気にしたい、という人にはとてもよい水彩紙で、おすすめです。
紙の凹凸が、割と荒いので、色鉛筆を使うとざらざらとした質感になり、滑らかな感じにはなりません。ただ、色鉛筆の色も濃くつきます。
ペンも少し引っかかるかもしれません。
パソコンにスキャンした時も、少し凹凸のせいで、絵が暗く見えます。
私は、主に大きめの作品を描く時に、この紙を使っています(F10〜)
何度も色が重ねられるし、背景の大きな部分にきれいにグラデーションがかけられたりします。

しっかりコントラストをつけたり、複雑な物を描いたりする時に、とても良いです。
特に「ナチュラル」はクラシックな感じや重厚な雰囲気を出すのにぴったりで、気に入っています。
「ナチュラル」と「ホワイト」で描き心地は違うので、両方試してみることをおすすめします(^^)