今回は、画材店に取り扱いも多く、値段も手頃で手に入れやすいヴィフアール水彩紙のレビューをご紹介します。
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ヴィフアール水彩紙とは
ヴィフアールはマルマンの水彩紙で、数少ない国産の水彩紙のひとつです。
紙目は、荒目、中目、細目の3種類。それぞれ、茶色、緑、青と色分けされていて、とても分かりやすいです。形状も、ブロックタイプ、パッドタイプ、リングタイプなど、様々なタイプがあります。
画材店の取り扱いはとても多く、ほとんどの画材店で見かけると思います。本格的に使える水彩紙の中では、値段はとても手頃です。
よく見かける水彩紙だね
素材はパルプが中心だと思われますが、竹が配合されていると聞いたこともあります。(確実な情報ではなく、申し訳ないです💧)
昔はコットマンという名前の水彩紙だったので、私は今でもコットマンと呼んでしまいます。(途中で、製品名を変えて、ヴィフアールになりました)
今回のレビューは中目が中心です。
ヴィフアールの特徴
- 色はクリーム色
- 発色はやや落ち着いている
- 紙肌がソフトで、細密な線が描きやすい
- 少し弾く
- 吸い込みはゆっくり
- 重ね塗りはしにくいが、リフティングができる
- 表面が弱く、マスキングで破れることが多い
ヴィフアールってどんな水彩紙?
にじみどめが強く、吸い込みがゆっくり
にじみどめがしっかりほどこされているので、絵の具が紙に吸い込まれるのに少し時間がかかります。なので、広範囲のウォッシュやグラデーションも余裕を持って塗ることができます。水分が多すぎると、エッジがはっきり出てしまうので、水分量を調整しながら、塗るといいです。
にじみどめがしっかりしているせいか、「弾きが強い」というレビューも見かけますが、弾きが強い水彩紙は他にもあるので、わたしはヴィフアールは「少し弾く」程度かなあ、と思っています。
この価格帯の水彩紙の中では、平塗りがとてもきれいにできます。
発色はやや落ち着いている
紙の色がクリーム色であるということもあり、発色はやや落ち着いています。あまり派手な感じにはなりませんが、落ち着いていて、私は好きです。
ヴィフールの紙の色はクリーム色なのですが、あまり黄色っぽくなくて、個人的にはとても良い色だと思っています。絵の雰囲気によっては、真っ白より合うこともあると思います。
紙肌がソフト
荒目は表面の凹凸があるタイプ、中目は少し凹凸があるが滑らかタイプ、細目は全く凹凸なしツルツルタイプです。
表面の感じは、目の荒さによって違うけど、どのタイプも下書きはしやすいよ
ヴィフアールは一般的な水彩紙と比べると、表面の凹凸はあまりない水彩紙です。
荒目であっても、そこまでボコボコではないです。
そのためか、とても下書きがしやすいです。鉛筆がひっかかりません。色鉛筆との併用もスムーズです。ペンでなぞるのもしやすいです。なので、水彩以外の画材も一緒に使いやすいです。
重ね塗りはしにくい
全く重ねられない、というわけではないのですが、下に塗った色の上に重ねようとすると、下の色が動いてしまうことが多いです。なので、ヴィフアールで、色を重ねて濃くするような技法は、ちょっと使いづらいかな。。(ただ、この価格帯の水彩紙はみんな重ね塗りが苦手な傾向がありますので、仕方ないです…)
濃くしようと思うところは、最初から、濃いめに塗っておくといいと思います。
色を濃くのせにくい傾向もあります。あまり濃い色にはならないです。
なので、淡彩風の色彩が向いています。深い色をたくさん使いたいときはウォーターフォードやストラスモアなどがおすすめです。
重ね塗りができない一方、リフティングができるので、間違えてしまったときにも修正ができます。リフティングを生かした技法もできます。
マスキングが苦手
ヴィフアールの表面は少し繊細なので、マスキングで破れてしまうことが多いです。
以前Twitterで情報を募ったところ、ほとんどのメーカーのマスキング液で、紙が破れてしまうとのことでした。ちなみにマスキングは、メーカーによって粘着力の強さが違うので、「このメーカーのものは大丈夫だけど、このメーカーのものは破れてしまう」といったことが起こります。ビンタイプとペンタイプでも違ったりします。
皆様が寄せてくださった情報をまとめるとこんな感じでした。
ミツワ | × |
ホルベイン(瓶タイプ、ペン) | ×(薄めればOK) |
シュミンケホラダム(瓶タイプ、ペン) | ×(薄めればOK) |
ウィンザー&ニュートン | ○ |
ホルベインとシュミンケホラダムのマスキング(瓶タイプ)は薄めて使えば、大丈夫だった、と教えてくださった方もいらっしゃいました。ウィンザー&ニュートンのマスキングは、私が今使っているものですが、薄めずに使っても紙は破れなかったです。大丈夫でした!粘着力が低いみたいです。
思い出の水彩紙
高校生の時に始めた透明水彩ですが、始めてから2年ほどは、画用紙と家に大量にあったケント紙(超ツルツルの紙)に絵を描いていた私…その後やっと画用紙に出会う(←遅い)
水彩紙というものの存在に気づいていなかったです。今とは比べものにならないくらいリサーチ力が低かった(笑)
画用紙で描きにくいな〜もっといい紙ないのかな、と探していて初めて出会ったのが、コットマン(ヴィフアール)の中目でした!描きやすさにびっくりしたのを覚えています。同じ絵の具でも、紙によってずいぶん違う。水彩だけでなく、色鉛筆のノリまで違う。
3年くらい、水彩紙じゃないものに描いてたから、最初にヴィフアールを使ったときはびっくりしたよ!
「水彩紙って面白い」と思わせてくれた水彩紙でした。
なので、とても思い出深い水彩紙なんです。今ではもう少し機能の高い水彩紙も知っているけど、久しぶりに使うとやっぱり落ち着く。。自分の絵はヴィフアールからスタートしたので、ヴィフアールが得意なことが自分の表現になっていきました。
初期の絵はほとんどヴィフアール。
ヴィフアールで四つ切りサイズの紙も買って大作を描いていたりしました。
今では重ね塗りできる水彩紙を中心に使っていて、それに慣れてしまったので、ヴィフアールで大作は描かなくなりました。(というより描けない💧)
ヴィフアールはソフトな表現が得意。なぜか、ヴィフアールで描いたものは、ランプライトで描いたものと似ている。サイジングの具合が似ているのかもしれません。素材は違うんですが。。なので、ヴィフアールが気に入った人は、もしかしたら、ランプライトも気にいるかも。こちらは重ね塗りもできるので、もう少し機能が高めです。
こちらはヴィフアールと同じように入門用として紹介されるワトソン
↓紙肌は全然違いますが、こちらはお手頃値段にも関わらず、重ね塗りできます!