最近獣毛筆不足!ということで、各メーカーさんが、ナイロン筆でコリンスキーに近いものを開発されているという噂。今回はクサカベのアクアレッロをご紹介します。
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クサカベのアクアレッロ
マカロン、ハルモニア絵具と一緒に頂いたアクアレッロ。(こちらはPR提供対象ではありません。私がよいと思ったので、自主的にレビュー書いてます)
結構使いこんでしまったため、汚い笑
きれいなうちに写真撮ればよかったです。まあ、それなりに使ってみないとレビューはできないので、そこが難しいのですが。そいえば、私の筆のレビューはどれも筆汚いですね。気に入っている筆ほど汚いです!
言い訳…
クサカベより、アクアレッロとサインという筆が2021年の12月に新発売されております。質問箱でも、「サインとアクアレッロのレビューをして欲しい」とリクエストがありました。
(いつも全てのリクエストにお答えしたいと思っていますが、予算や時間の都合上できないことも…なのでこのようなチャンスに恵まれた時は飛びつくことにしています。ゆったりと見守っていただければ☺️)
アクアレッロとサインの違いは、軸の長さのようです!アクアレッロが短軸、サインが長軸。アクアレッロの方がサイズも豊富です(太いものがある)
私は短い方が好きなので、アクアレッロ派かな!
アクアレッロ、サインの魅力
以下クサカベのHPから引用させていただきました。
どんな筆なんだろう??
★本物のような表現力★
天然のコリンスキーを超越するPBT化学繊維を使った筆です。PBT化学繊維とは、リス、山羊、牛耳毛、豚、マングースなど様々な獣毛に勝る化学繊維です。
★優れた機能性★
こしがあり毛先がよくまとまるのが特徴です。水の含みもよく、弾力性、操作性、保水性のすべてにおいてコリンスキーを超越したかのような理想の表現力を実現した筆です。
★高い耐久性を実現★
15000回の摩耗テストに対しても穂先の品質を維持しています。天然毛では起こる可能性が高い毛切れ、毛折れ、毛抜けを克服しました。
どうやらコリンスキーの使い心地を目指した筆のようです。最近獣毛不足ですからね〜。すごく深刻…
もともとコリンスキーの筆はものすごく値段が高く、しかも最近どんどん高くなってきているので、人工毛で使い心地がいいものが登場してくれるのは、ありがたい限りです。
私が水彩はじめたて(かなり前20年は経ってる)の頃のナイロン筆は、獣毛筆とは雲泥の差でした。ボソボソしてまとまりにくく、水も吸わないし、細い部分なんて絶対塗れません。筆メーカー名村さんに伺ったところ、昔のナイロン筆は、水は吸ってくれても、それを紙にちょうどいい量落とすのが不得意(キャッチはできるけどレリースが苦手)だったそうです。最近の特殊ナイロンは水分を蓄えるのと同時に、水分を少しずつ手放すのが得意になって、だんだん獣毛の使い心地に近づいてきているそうです。
なるほど〜。
キャッチもレリースも上手に✨
確かに、昔のナイロン筆、紙に絵具がボタっと落ちる感じ、覚えがあるなあ。。
ちょっと前まで、安物ナイロンか、獣毛お手頃だけどまとまらない馬毛、めっちゃ使いやすいけど超高級コリンスキーの選択肢から選ぶ感じでした。
なので、最近色々なメーカーさんから新発売される「新しい特殊加工のナイロン筆」って本当にすごい!超高級コリンスキーは手に入れづらくなりそうですが、その代わり「そこそこに描きごこちのいい筆が安価に手に入る時代、到来!」って感じですかね。
期待しましょう!!
でアクアレッロの話に戻ります。
アクアレッロの特徴ーPBTという特殊素材、コシがあり、よくまとまる、水含みがよい、耐久性に優れる
ということです。これだけ聞くとコリンスキーよりいいんじゃないか?って気がしてきますが…まあそこは検証していかないと!ですね。
描き心地(コリンスキーと比べちゃった)
アクアレッロの穂先はこんな感じです。
一般的なナイロン筆と同じような感じです。先はとがりすぎず、かといって丸くもなく。
感触はナイロンにしてはやや柔らかめかな?かたさの具合はちょうど名村のPCセーブルと同じくらいに感じました。名村のノルムやアルテージュより柔らかめ、アクアレストよりは硬めくらい。
穂先はちょっと長めですね。でも長いからコントロールしにくいということもなかったです。この長さは水含みの良さに貢献しているような感じもしました。
アクアレッロは、さっき話した筆が水分をレリースするのがうまいという感じで、ドバッと水分が落ちてくることはなく、出力が安定してます。キレイに均一な塗りができました。適度に弾力があるので、コントロールもしやすいし、弾きの強い水彩紙や荒目にも穂先が負けないのは使いやすいです(こういうところはコリンスキーよりいいかもですね)
このアクアレッロは6号なので、ちょうどサイズ感が同じコリンスキー筆イサベイ6号ちゃんと比較してみることにしました。
こうしてみると穂先は、かなりアクアレッロが長めですね。穂先の形状はアクアレッロはそこまで鋭敏ではなく、イサベイもこの型はそこまで穂先が細くないタイプなのですが、それでもアクアレッロと比べると穂先はスマートですね。それが描き心地の違いに影響していました。
鋭敏な入りや抜きはやっぱりコリンスキーの方が断然良いですね。葉っぱの先っぽのシュッと尖っている部分は、コリンスキーの方が尖らせやすいです。また頑張れば細い線もひけます。なので細い筆に持ち替えなくても細かい部分が塗りやすかったです。
水含みはそこまで違いがなかったですね。アクアレッロも充分水を吸ってくれてます。
ただ、意外!と思ったのが、平塗りをした時の色の均一さ(ムラにならない)がアクアレッロの方が上でした。(↑比べてみてね。)
コリンスキーの方が色は濃いのですが、ムラになったり、塗ったところに白いポツポツが出てたり。(多分水彩紙が少し弾いている)ちょっと強弱がつきやすいみたいです。
アクアレッロの平塗りは見事ですね〜。好みかもしれませんが、特にイラストだったらこっちの方がキレイに塗れるかも…
ただ、やっぱり筆先でちょこちょこ細かい動きをさせると、なんだかクセがつきそう。(人工毛は筆先にクセがつきやすく、曲がってしまうものが多い)とはいうものの1ヶ月くらいガシガシ使って、今のところクセはついてません。大丈夫です。ちょっと経過観察していこうと思います。
人工毛もかなり優秀になってきた
アクアレッロを使って、「人工毛もここまできたか。かなりコリンスキーに近づいてきた!」と思いました。普段使う分にはそこまで獣毛筆との違いを感じません。
が、コリンスキーと同じような感じかと聞かれると、まだまだ差はあるかな、とも思いました。やっぱりしなやかさがちょっと違う…。コリンスキーは柔らかいんだけど、弾力がある感じなので、柔らかい滲ませ方ができたりするんですよね。
ただ、そんなことも言ってられない時代がすぐそこまできてる感じ…
今回はアクアレッロが得意なことも知れたのでよかったです。コリンスキーはちょっと個体差があることもあって、たまにハズレ?と思うこともあるので、人工毛の方が安定感があるかもです。
うまく使いわけしてもいいかも!
最近のナイロン筆は安いものでも、そこまでハズレはないです。ですが、同じ人工毛でも微妙にクラスがありまして、今回のアクアレッロは人工毛の中でもやや高級な部類といっていいでしょう。と言っても1本8号1万近くするコリンスキーに比べるとだいぶお手頃。現実的なお値段です。
8号で1600円くらい。名村のラフィーネやノルムと同じくらいのクラスでしょうか。ラフィーネやノルムよりもクセがないようにも感じました。特に用途を選ばない感じ。
初心者さんにもおすすめしたいですね〜。これで耐久性があったら言うことなし、なので、まだレポートしますね。
最近獣毛不足が深刻なので、それに替わるような筆も紹介できたらと思っています。