今回は透明水彩で描くときに、「こんなものもあると便利だよ♪」な道具をご紹介します。
すでにご存知の方も多いと思いますが、今回のテーマは水筆ペンです!
Table of Contents
水筆ペン、何が便利なの?
あまり絵を描く時間が取れないとき、準備や後片付けが面倒なとき、ちょこっと落書きしたいとき、野外でスケッチしたいとき…
ありますよね?
水入れに水を汲みに行き、時々水を替えにいき、最後は水を捨てて、水入れをていねいに洗って…

ちょっと面倒なこともある…

夏場は水入れがぬるぬるしちゃうことも…
そんなとき、便利なのが水筆ペンです!

水筆は、水が入ったタンクから水が出てくるので、水入れが必要ないんです。なので、ちょこっと色を塗りたいときはとても便利で、筆ペンの感覚で透明水彩を使うことができます。準備も後片付けもいらないので、まさに時間が少ない時や野外スケッチにも便利。気軽に透明水彩を使うことができます。
特に、野外に持ち歩くときは、この水筆と小型のパレットだけあればOK。どこかに水を汲みに行く手間なし。

ちょこっと色見本を作ったり、小さい絵を描くときなら、これ一本で描けちゃうかも。
水筆ペンの使い方
わざわざ解説が必要なほど、複雑なものではないのですが…(笑)
構造は簡単で、筆の後ろ側に水をいれるタンクがついていて、そこに水を入れて使います。

タンクを押すと水が筆から出てきます。水加減の調整をしたいときや、筆を洗いたいときには、タンクの部分を軽く押せばOKです。
水は入れっぱなしになりがちですが、使うたびに入れ替えた方が良いと思います。
水筆ペンの難点
水入れを使わない=筆をじゃぶじゃぶ洗えない
ということなので、とにかく水加減の調整がむずかしいです。種類によっては、水のタンクからどんどん水が出てくるものもあって、あっという間に色が薄まってしまうことがあります。また、混色がしづらかったり、色を何色も使いたいときには不便だったりします。

ふむふむ…
弱点もあるんだね
また、サイズも細めのものが多いので、あまり大きいサイズの紙に描くのは不向きです。塗った跡がムラになりがちです。あくまで小作品向きです。
なので、用途は、気軽な小作品や小さめのイラスト向き、という感じです。
水筆はとても気軽に使えるのですが、応用が効きづらく、微妙な塗り方をすることはできません。なので色々な筆を使ってみた私からすると、水筆は気軽だけど、できることは少ない筆という感じです。

こんなことにも使える
水筆ならではの使い方もあります。
①有毒系の絵具に使う
また、カドミウムイエローのような有毒顔料の場合、筆を洗った水入れの水をどう処理するか迷う方も多いと思いますが、水筆なら水入れで筆を洗わなくても、タンクの水と雑巾できれいにできるので、処理が圧倒的に楽です。
②マスキング液を使う
マスキング用の筆にするのもおすすめです。マスキング溶液はすぐに固まってしまい、筆が一瞬でボロボロになります。マスキングを使うときには、水筆のタンクに、洗剤を1滴混ぜた洗剤溶液を入れておき、筆の毛を界面活性剤で覆っておけば、マスキング液がこびりつきにくくなります。なので、とてもおすすめの使い方です。
マスキングについては他にも色々ありますのでぜひ…
③水彩色鉛筆に使う
あとは水彩色鉛筆と一緒に使うのもおすすめです。水彩色鉛筆を溶かすのに、そこまでたくさんの水は必要ないので、水筆はとても便利ですね。
④オックスゴールを少し入れておく
オックスゴールを少し混ぜておいた水を、水のタンクの中に入れておくのも活用法の1つです。オックスゴールを少し混ぜておくと、水彩紙との馴染みがよくなります。水彩紙の弾きが強い時にはお試ししてみてください。
水筆 描き比べ
水筆も色々なメーカーから出ていて、どれにしようか迷うかもしれません。いくつか買ってみたので、使い比べしてみました。


呉竹、スタッドラー、ぺんてる、サクラ、名村大成堂の馬毛水筆です。サイズは応用が効きやすいように全て大サイズを購入しています。

①呉竹の水筆ペンが一番よく見かけるかもしれません。サイズは大・中・小の3つですが、平筆タイプもあって、バリエーション豊富です。最近面相タイプも出て、細部の描写によいみたいです。
私も一番よく買うので数本持ってます。特徴はしなやかでコントロールしやすいことです。ただ、描き心地は少し大味。そして、クセがついたり、摩耗するのは早めです。
②スタッドラーの水筆ペンも同じくらいの価格で手に入ります。こちらは呉竹のものよりコシが強くてかためです。こちらも描き心地は大味なので、あまり細かいところまで行き届く感じではありません。水のタンクから少しずつ水が出てきて、水の調整はしやすいです。こちらもおすすめです。
③ぺんてるのヴィスタージュも愛用者が多いです。こちらは水タンクが少し膨らんでいるので、押して水を出しやすいです。この水筆は、上記の2つに比べてしなやかで先端が細くなります。なので、細部の描写や入り抜きを大事にするような塗り方だと、こちらの水筆がおすすめです。
ただ先端が柔らかいので、凹凸の大きい水彩紙だと先端が負けてカサカサしてしまうこともあります。あとはなぜか絵具の粒子がはっきり出やすいです。
④サクラの水筆ペン
こちらはそこまで見かけないのですが、かなりコンパクトなサイズを発見しました。サクラの水筆は、柔らかめの弾力です。なので、柔らかい筆が好きな場合はこちらも気にいるかもしれません。
⑤名村大成堂の馬毛水筆
最近買ってみて、お気に入りになったのがこちらの馬毛の水筆です。水筆はナイロンのものが多く、どれも描き心地がよいですが、全体的に毛が硬いのと、消耗が激しいのが気になっていました。馬毛ということで、しなやかさとやわらかさがあるので、とても使い心地のよい水筆です。特に獣毛筆に慣れている方は、こちらが一番違和感を感じないかもしれません。
よく揃い、描画もしやすいです。
こちらの水筆は水タンクの部分のねじが逆回しになっているので、注意です(はじめて使うとき、あれ?外れない??と焦りました💦)
後日しっかり塗ったものです。こちらもご参考までに!

お値段もお手頃なので、1本あるととても重宝します。毛先のまとまりも良いので、下手な筆を買うなら水筆が描きやすくおすすめです。
初心者にもおすすめ
こちらのXの投稿ではたくさんの方が、おすすめの水筆を教えてくださいました!使いこなしものせてくださっているので、必見ですよ✨
水彩歴が浅い方からプロの方まで、幅広い方が水筆を愛用されていることにはびっくりしました。
持ち運びにも便利ですし、お手頃な価格なのでまとめ買いされる方も多いみたいでした♪
ちなみに100均にも売っているので、まずそこからデビューしてみてもいいかもしれません。ちなみに100均の水筆は水が出てくるスピードが早く、クセもつきやすかったので、クオリティはまずまずというところですが、安いので試しに買ってみてもいいと思います。

お出かけにも持っていける!
水筆は水彩デビューする方にもおすすめです。他の筆に比べると手頃な価格で手に入りますし、コシがあってコントロールがしやすいです。水入れを用意しなくても描けるのは、最初はとても気楽に感じると思います。まるでマーカーで描いているような気軽さです。
ぜひお気に入りを見つけてみてくださいね。
①水加減の調整がむずかしい
②たっぷり混色するのはむずかしい
③大きな面を塗るとムラになりがち
④使える技法が少ない