私も好きなインディゴという色をご紹介したいと思います。透明水彩の中でも愛用者が多く、色々な使い道がある素敵な色です。今回は、色々なメーカーのインディゴを比較してみたいと思います。
Table of Contents
インディゴとは
インディゴはもともと植物から取られた染料でしたが、今でもジーンズや衣服を染めるのにも使われています。天然インディゴではなく、合成インディゴがメインです。インディゴは絵具の顔料としても使われていたのですが、今では、絵具のほとんどのインディゴは名前だけで、中身はインディゴ顔料ではありません。青と黒を混ぜて作られた色です。唯一、本物のインディゴ顔料が使われているのが、マイメリとシュミンケホラダムのインディゴです。
インディゴは、濃いブルーです。色が濃いだけでなく、彩度も低く、かなり渋い色です。ほとんどのメーカーで売られていますが、メーカーごとにかなり色味が違います。名前も「インディゴ」だったり、「インジゴ」だったりします。
メーカーごとの顔料の違い
メーカーごとに色味と顔料の差があるので、ご紹介します。ただ、全ての色を持っているわけではないので、色の画像がついていないものもあります。
全部同じ色に見えるって?
実は肉眼で見てもかなり似た色だよ
ホルベイン
インジゴ(PB15,PBk6,PR122)
安価で安定しているフタロブルー(PB15)にランプブラックが混ぜられています。そこに赤紫色のPR122が加えられていて、赤みがプラスされている。濃い部分はかなり暗いのですが、薄く溶くと青味があります。
ウィンザー&ニュートン
インディゴ(PB15,PV19,PBk6)
こちらもフタロブルーに、赤とランプブラックが混ぜられているので、少し赤みが加えられた暗いブルーになっています。かなり暗い色です。ホルベインのインジゴとかなり似ているインディゴです。
クサカベ
インジゴ(PB15,PBk7)
フタロブルーと黒が混ぜられたシンプルな、ダークブルー。ホルベインと比べると緑よりのインジゴなのかと思いましたが、意外と色は似ていました。渋みのあるインディゴです。
レンブラント
インディゴ(PB15,PBk6)
フタロブルーと黒が混ぜられたシンプルなダークブルー。クサカベのインジゴと似ている構成。
ターナー
インディゴ(PBk6,PR122,PB15)
ランプブラックに、赤紫のPR122、フタロブルーPB15が混ぜられていて、ホルベインのインディゴと構成は同じですが、多分比率が違います。ホルベインのインディゴより、ちょっとだけ赤より。上品でいい色です。
15mlチューブのみ。5mlはありません。
セヌリエ
インディゴ(PB60,PB15:1,PBk7)
元々ダークブルーであるインダンスレンブルーにフタロブルー、黒が加えられています。他のインディゴと比べるとあまり鈍さがなく、やや鮮やかで明るめの色です。
シュミンケホラダム
インディゴ(PB15:1,PB66)
フタロブルーと、合成インディゴの混合顔料。混合インディゴとはいえ、インディゴが絵具に加えられていること自体が珍しいです。かなり暗く、グレーに近いです。ホルベインのインディゴと比べると、赤みがあります。
マイメリ
インディゴ(NB1)
驚きの天然インディゴ。インディゴの本来の色を使ってみたいという人にはおすすめの色。インディゴの単一顔料で、黒が入らないインディゴもとても珍しいです。単一顔料なのに、とても深みのある色で、オススメの色です。他のインディゴに比べると、青味があまりありません。人気色で売り切れになっているお店もあるそう。
ペインズグレー(Vat Blue1)
よく見たら、ペインズグレーも合成インディゴの顔料でした。こちらは、インディゴ(NB1)と比べてもかなり暗い色味です、こちらも大変珍しいし、おすすめの色の一つ。
ぜひ使ってみたいインディゴ
黒が混ぜられていない、本来のインディゴに近いものは、シュミンケホラダムのインディゴとマイメリのインディゴとペインズグレーになります。
特にマイメリのものは天然インディゴということで、とても珍しい色です。黒が入っていないにも関わらず、とても深い色です。色は、あまり青味はなく、ほとんどグレーといってもいいくらいです。黒やグレーの代わりにも使えますし、単色で影の色にも良さそうです。とてもおすすめです!
シュミンケホラダムのインディゴも黒が加えられていないのですが、独特の色の深さと渋さがとても素敵です。色味が強すぎないので重ね塗りにも向いていそうです。
インディゴの使い方
広い面を「暗い青」で塗る
インディゴは、ほとんどが、青と黒の混合色なので、手持ちの色で作れる色です。なので、いらないかなーという気もしてくるのですが、夜の空を塗るときなど大量に深いブルーが必要なときには、紺色の絵具はあるとやっぱり便利です。混色だとたくさんの量同じ色を作るのは大変なのです。
途中で色が足りなくなって、作り直すと、違う色になっちゃったりね
夜空を塗るときインディゴがぴったり。
グレーとして使う
また、インディゴは、青というより、青みがかったグレーに近い色です。とても彩度の低い色です。
なので、影をつける色としても使うことができます。冷たい硬質な影になります。銀色の表現(金属や、青魚など)にも使うことができます。赤や紫、青との相性もいいです。
パレットに入れる場所は、青のゾーンでもいいけど、グレーのゾーンがおすすめ♪
混色して深みのあるダークブルーを作る
また混色によって色々なトーンの深いブルーの表現ができます。
左はウルトラマリンブルー、真ん中はプルシャンブルー、右はパーマネントカーマイン(赤)との混色です↑
インディゴは単色でも、魅力的な色ですが、単色だとやや寂しく単調に感じられることもあります。より深みを持たせるためには、他の青や紫との混色が有効です。
私はインディゴをパレットに入れていることもあるのですが、ペインズグレー(青みがかったグレー)やインダンスレン系のブルー(ロイヤルブルーやデルフトブルー)で代用してしまうこともあります。でもインディゴは好きな色味だし、便利な色です。
最後に
インディゴの顔料分析してみると、各メーカーで、中身は違ったりするのですが、実際使ってみると、どれも似た色味なので(笑)どの絵具でも同じように使うことができます。
あまりこだわらない方がいいのかもしれません。紙にのせてしまうと、天然インディゴだろうと青と黒の混合だろうと、見ている人には分かりません💧
私は絵具マニアなので、ついつい絵具の中身(顔料)を気にしてしまうのですが、実際に絵を描く時には、色味や着色度や透明感の要素の方が大事なので、成分(顔料)は絵具を選ぶ(買う)時の判断基準の一つという感じです。
いつもマニアックでごめんなさい!参考までに〜