ホルベイン透明水彩の12色セットに入っている色、色のバランス、初心者へのおすすめ度を紹介していきたいと思います。追記して18色セットのラインナップと比較、枯葉が考えた12色もご紹介しています。
Table of Contents
ホルベインについて
ホルベインは日本の絵具メーカーです。透明水彩に関しては、日本ではホルベインが一番普及していて、全国の画材店で一番取り扱いが多いです。
なので、とても買い足しがしやすい!
そして、日本では一番ユーザーも多いので、Youtubeや教本などでも一番紹介される機会が多く、色も参考にしやすいです。
ただ、パステルカラー系の混合色も多いというのが、魅力的な反面、色の選択を難しくしているという一面もあります。
ともあれ、日本では一番手に入りやすくお値段が手頃なホルベイン、最初に12色セットを買ってみたいという方も多いと思いますので、中身に入っている色をご紹介します。
ホルベイン透明水彩12色セット
ホルベイン透明水彩12色セットの中身をご紹介します。ホルベイン透明水彩は、12色、18色、24色、24色、30色、48色、60色、108色セットがあります。
中身のラインナップはこちら〜
ホルベイン12色セットを1色ずつ解説
クリムソンレーキ
紫がかった赤です。チューブから出した色は明るいのですが、塗ってみると独特の渋みがあります。ダークレッドの色味は、よくある色なのですが、ホルベインのクリムソンレーキは、赤紫といってもいいほど、紫がかっているところが個性的で、ありそうでない色です。
植物にはこのような赤紫の部分が多くあるので、絶妙に使いやすいです。
青や黄土色、茶色との混色の相性もいいです。
ただ、赤として使うには、やや色が鈍いことも多いです。
バーミリオンヒュー
黄色がかった赤で、朱肉のような色です。少し透明感があります。
ホルベインには、バーミリオンという色もあるのですが、中身はカドミウムレッドですし、色味もバーミリオンヒューと大差ありません。(バーミリオンの方が上質とかではないのでご心配なく)
初めて買った透明水彩の一つで思い出深い色。
黄色や青との混色の相性もいいです。薄めるとサーモンピンクです。
イエローオーカー
定番の黄土色です。地味な色で、注目されることも少ないですが、汎用性が高い色です。下地作り、鈍い黄色として使う、混色で落ち着いた色を作る、茶色を作る、など、さまざまな用途で使える便利な色です。
ホルベインのイエローオーカーは色も落ち着いていて、塗りムラもおきず、とても塗りやすいです。
パーマネントイエローライト
半透明の黄色です。2つの黄色の顔料が混ぜて作られていますが、似たような黄色の混合なので、鮮やかです。ホルベインで買える黄色の絵具の中では、一番安価です。
ちょっとオレンジがかっていますが、くせなく使える明るい黄色です。
パーマネントグリーンNo.1
鮮やかな黄緑色です。
色がかなり鮮やかなので、そのまま草や葉を塗ると不自然になってしまうこともあります。他の色と混色したり重ね塗りすることで、自然に見せることができます。
自然に見える黄緑として、サップグリーンもおすすめです。
ビリジャンヒュー
鮮やかで、透明感の強い青緑。
ビリジャンという色もありますが、全く別の色です。ビリジャンは伝統的な粒子の荒い緑で、ビリジャンヒューはより現代的で、耐光性や発色に優れた代替色です。(ビリジャンの方が優れている、というわけではなく、性質が全く違った別の色です)
粒子が細かく滑らかで、色も鮮やかなので、混色に向いています。
この色はフタログリーンという名前で呼ばれることが多いです。
この色の使い方を詳しく知りたい方は、こちらの記事を↓
コバルトブルーヒュー
鮮やかな、透明感のある青です。
ウルトラマリンとフタロブルーの混合色のようです。ウルトラマリンの粒子の粗さが抑えられているので、混色もしやすいです。色味も「いわゆる青」で分かりやすいと思います。
プルシャンブルー
深みのある、独特のブルー。
濃く塗ると深みのある藍色、薄く塗ると爽やかな水色。表現できる色の幅が広く、色々な使い方ができます。
コバルトブルーヒューよりも、色が渋いです。
バーントシェンナ
定番の赤茶色。
下地に使ったり、混色して落ち着いた色を作ったりするのに使います。同じような赤茶色にライトレッドがあります。グリーンや青とも相性がいいです。
バーントアンバー
バーントシェンナよりももっと暗い、「いわゆる茶色」
茶色の基本色。茶色は自然界に最も多い色なので、よく使う色です。混色して、色々な茶色を作ったり、薄めてベージュとして使ったり、色々な使い方ができます。影の色としてもよく使います。
アイボリーブラック
半透明の黒。
黒でありながら、あまり強い色味ではありません。混色して使うのに向いています。
ダークカラーを作るときに使うことが多いです。初心者のうちはあまり多用しすぎないようがいいです。
チャイニーズホワイト
半透明の白です。
チャイニーズホワイトは半透明で混色に向きます。下の色を覆い隠す力は強くありません。
どんな組み合わせ?
赤はどれ?
ホルベインの12色セットで、一番賛否が分かれると思うのは、赤のチョイスです。
この12色セットの色を見て、95%くらいの人はこう思うはず。
いわゆる「赤」ってどれ!?
クリムソンレーキもバーミリオンも、それぞれ使い出のある色です。ただ、クリムソンレーキはかなり紫よりの暗めの赤ですし、バーミリオンは黄色よりの赤です。
いわゆる「赤」がないんです。(クリムソンレーキとバーミリオンの中間くらいの色)
真っ赤が欲しいときは、クリムソンレーキとバーミリオンヒューを混ぜると作ることができます。意外と鮮やかで力強い赤です。
ただ長い目で見ると、どこかの時点で赤の買い足しを考えることになると思います。
ということで赤の買い足しの参考になる記事を貼っておきますね↓
ホルベイン透明水彩のセットは、12色セットよりも18色セットの方がおすすめとしてトピックにあがることが多いのですが、それは18色セットにはローズマダーという赤が入っているというのが大きいと思います。これに関しては次の章で詳しく紹介します
風景画には最適
ただ、風景画を描かれる方は、あまり「真っ赤」を使う機会は少ないそうです(紅葉くらい?)私も、風景画の技法書で「ライトレッド(赤茶色)、イエローオーカー、青の3色あれば風景画が描ける」という内容のものを読んだことがあるくらいです。赤じゃなくて赤茶色でいいんだ!とびっくりしたのを覚えています。
思ったより色々な色を作ることができたので、楽しめそうです。
ホルベイン12色セットの青について
コバルトブルーヒューはこのレビューのために、初めて買った色です。ウルトラマリンとフタロブルーの混合なんてどんなものだろうと思っていましたが、色は鮮やかだし、それぞれの色のクセも緩和されていて意外と使いやすいかも、とも思いました。色も中間くらいの青ですね。フタロブルーレッドシェードより、やや赤いかな。
プルシャンブルーは大好きな色なので、この色が12色セットに入っているのは嬉しいです。深い色味に特徴があり、使いこなすのに慣れが必要ですが、色々な表現ができて面白い色です。
定番中の定番、ウルトラマリンブルーは12色、18色セットにも入っていません。
粒子が荒い色なので、外されちゃってるのかも💧
ホルベイン12色セットの緑について
ビリジャンヒューは色鮮やかな青緑ですが、大抵どの12色セットにも入っています。そのままでは人工的な色味で使いづらいのですが、混色してひと工夫することで、使い出のある色になります。
詳しく知りたい方はこちらを↓
パーマネントグリーンNo.1もちょっと色が明るいので、パーマネントイエローやイエローオーカーと混ぜてみたら、とてもキレイな色が作れました!楽しい!!
ホルベイン18色セットと比較!
と、ここまでお話すると、18色セットの方とどちらを買うか迷う、という方も出てくるかもしれません。そんな方のために18色セットとの比較もしてみたいと思います。
18色セットのラインナップはこんな感じ。
・クリムソンレーキ
・ローズマダー★
・バーミリオン
・ジョーンブリヤン★
・パーマネントイエローレモン★
・パーマネントイエローディープ★
・ビリジャン
・パーマネントグリーンNo1
・パーマネントグリーンNo2★
・コバルトブルー
・コンポーズブルー★
・プルシャンブルー
・ミネラルバイオレット★
・イエローオーカー
・バーントアンバー
・バーントシェンナ
・アイボリブラック
・チャイニーズホワイト
★がついている色が、12色セットにはない色です。
先ほどご紹介した通り、赤は、クリムソンレーキとバーミリオンに加えて「ローズマダー」という色が入っています。真っ赤というより、シックなローズカラーですが、とても素敵な色です。お花を塗ったりするときに使えます。
黄色は大幅に違います。12色セットではパーマネントイエローライト1色でしたが、18色セットではパーマネントイエローライトはなく、パーマネントイエローレモンとパーマネントイエローディープの2色構成になっています。
加えて、12色セットになかった色として、ジョーンブリヤンがあります。この色はいわゆる肌色のような淡いオレンジ色で、キャラクターイラストを描かれる方はこの色を使われている方が非常に多いです(枯葉の場合は、ややリアルよりの人物なこともあって、肌の色にジョーンブリヤンは使いません)あったら便利な色として紹介されることが多いので、18色セットに入っているのは嬉しいですよね。
グリーンは、12色セットに組まれていたビリジャンとコンポーズグリーンNo.1に加えて、コンポーズグリーンNo.2が入っています。緑だけで3色もいらない気がするのですが、植物を描かれる方は使うかも。
青は空色によさそうなパステルカラー、コンポーズブルーが入っています。この色は白が入っているパステルカラーになります。
12色セットには紫は入っていませんが、18色セットにはやや渋みがあるミネラルバイオレットが入っています。鮮やかさではパーマネントバイオレットが上ですが、ミネラルバイオレットも人気色ですね。
意外と18色セットも思ったよりクセのあるセットでした。12色セットよりバーリエーション豊かですが、人によっては、ちょっと使わないかなと思う色が入っているかもしれません。
枯葉がホルベインで12色セットを作るなら…
もし枯葉がホルベインの絵具で12色セットを作るならこんな感じにするだろうと思います。
妄想するだけなら自由…✨
画材屋さんで買うなら
バラ買いもあり!
キナクリドンレッド、バーミリオンヒュー、カドミウムイエローライト(イミダゾロンイエローでも可)、サップグリーン、ビリジャンヒュー、ピーコックブルー、ウルトラマリンライト、パーマネントバイオレット、イエローオーカー、インディアンレッド、バーントアンバー、ペインズグレーです。
セット売りしている12色セットに比べるとお高くはなりますが、この組み合わせだと捨て色がないです。これらの色は私のパレットの常連なのですが、組み合わせによって幅が出しやすく、表現できない色域がほとんどありません。ピンク色をよく使うのであれば、ここにキナクリドンマゼンタかオペラ(色褪せしやすい色ですが)を加えると、さらに良いと思います。
ここで紹介した色はほとんど全てに解説記事がありますので、それを読むと詳しく理解できると思います。
キナクリドンレッド、基本の赤、彩度が高く赤としてもピンクとしても使えて、混色でも活躍(赤の中では比較的新しい色となります)
カドミウムイエロー、彩度が高く不透明な黄色、他の色との混色でも色が消えにくく頼りになる黄色
サップグリーン、何かとよく使う、便利すぎる黄緑色。やや渋みがあり自然な色。
ビリジャンヒュー。使い方が分かると、手放せなくなる。そのままでは鮮やかすぎるが、混色で万能なグリーン。
ピーコックブルーはフタロ系の鮮やかなブルー。三原色のシアンに近い青。持っておいて損はない。
ウルトラマリンも欠かせない基本の青、やや粒子が荒いのがなんだけど、鮮やかさでは負けない。
紫は、実は作るのが難しい色。パーマネントバイオレットはパレットに入れておきたい
黄土色も便利な色なんですよ!地味だけど。欠かせない基本色の一つです。
インディアンレッドは酸化鉄(PR101)の赤茶色の一つ。パレットに一つは入れておきたい。色はメーカーによって色々あるので比べてみるのも楽しいかも。ライトレッドでも可。
バーントアンバーも基本の茶色ですね。こちらの記事では枯葉の推し色、シュミンケホラダムのバーントアンバーを紹介していますが、メーカーごとの色比較も載せています。
黒は、真っ黒ではなく青みを帯びたペインズグレーをおすすめ!混色でも色がくすみすぎないので便利です!
ピンクにこまったらこちらの色もおすすめです↓
あとはこの12色にお好みの色を足していけばいいかなと思います!!
まとめ
透明水彩始めるならホルベインおすすめ
ホルベイン透明水彩は一番お店でよく見かけるメーカーです。なので、手に入りやすいし、値段も手頃です。
ホルベインで透明水彩を始める、という人はとても多いです。私も高校生の時、初めて透明水彩を買ったのですが、そのときに選んだのはやっぱりホルベインでした。近所の画材店(もうなくなりました)で取り扱っていたのはホルベインとウィンザー&ニュートンのもので、ウィンザー&ニュートンのものはちょっと高かったこともあり、ホルベインのものを買いました。高校生でも十分買える値段だったのが、とても有り難かったです。
その後7年ほどは、100%ホルベインの絵具にお世話になりました。そこから徐々に違うメーカーの絵具を使うようにもなりましたが、出た結論は。。。
- 絵具は手に入りやすいものがいい
- 手頃な値段のものでスタートするのがいい
- メーカーの差よりも顔料の差の方が大きい
特に、定番の色(顔料)は、安いメーカー、高いメーカーほとんど差がないよ
ホルベインはどこの画材店でも買うことができ、値段も手頃、高品質がとても魅力的です。
1本ずつ買うのもアリ
ただ、ホルベインの場合は、小さめの画材店でも必ず買うことができるので、店舗が近くにある場合は、さきほどおすすめした通り、1本ずつ選んで購入するのもよいです。
12色、18色セットの内容がピンとこなかった場合は、バラ買いの方がいいです。
枯葉12色セットもご紹介しましたが、もっと数をしぼるとすると7色です。
こちらの記事で紹介している色は、私が高校生のときに透明水彩を始めてから、20年間ずっとパレットに入り続けている色です。そしてどのメーカーにも必ず売っている定番色でもあります。鮮やかな色と渋い色がバランスよく作れる組み合わせです。(もちろん、全く同じでなくても大丈夫)
好きな色や使いやすい色は、人によって違うので、最低限の色を抑えて、そこから必要に応じて買い足しするので十分です。こちらの記事はホルベイン108色の全色に解説を入れてご紹介します。次の1本を買い足しするときに参考にしていただければ!
他の12色セットとも比べてみよう!
ただ、近くに画材店がなく、通販で買うという方は、セット購入の方が楽でおすすめです!あとは絵の具を選ぶのは難しくてちょっと…という方もぜひセット商品を。
透明水彩の12色セットの内容はメーカーによってかなり違います。
なので、他の記事も読んで色々比較してみてくださいね。
ターナーとクサカベの12色セットもお手頃でおすすめなのでぜひチェックしてみてください!
はじめまして。メッセージ失礼いたします。
クサカベの12色セットの方の記事も見たのですが、クサカベのほうが色は淡いのでしょうか?
ホルベインを購入しようかと思っていましたか、パステルカラーのような淡い表現が好みなので悩んでおります。
12色セットに関してはクサカベの方が色が淡いということはありません。
ただ、クサカベの方が、乾燥後硬くなる傾向にあるので、溶かしたときに色は淡くなるかもしれません。
色のラインナップを見て、お好きな方で良いと思いますよ!