今回は最高級の筆、コリンスキーについてのまとめを作りました。
筆は値段がピンキリです。数百円で買えるものもあれば、1万円以上するものもあります。最近は、安いナイロン筆にも高機能なものがあり、必ずしも高価な筆でなくても気持ちよく絵を描けます。ただ、やはり自分のしたい技法によって色々な筆を買い足す必要が出てきたりします。コリンスキーの筆は、値段こそはるものの、多機能で万能なので、ぜひおすすめしたいものです。
自分が使ったことのあるものの中で、今入手可能なもの、使い心地がよかったものをご紹介します。
Table of Contents
コリンスキー って何者?
コリンスキー とはイタチの一種です。イタチはセーブルとも呼ばれます。
コリンスキー はセーブル(いたち)の中でも特にシベリアと北東中国に生息する種で、その毛を使った筆は、一番高価で、クオリティも高いそうです。
コリンスキーといったらコリンスキー 100%で出来た筆(コリンスキーはセーブルの一種)
セーブルといったらコリンスキー 以外のセーブル(イタチ)の毛を使った筆のことを指すことが多いです。
コリンスキーはセーブルの中でも特別な筆、という感じ
何がそんなにすごいの?
コリンスキー の素晴らしいところは
- 水含みがよい
- 弾力があり、コシがある
- 毛先のまとまりがいい
- 耐久力がある
の4点です。
水含みがよい
透明水彩では、水をたっぷり使います。筆が水をたっぷり含んでくれれば、途切れなく広い面塗ったり、ムラなくウォッシュができます。途中でパレットに色を取りにいかなくても、塗り続けることができます。
また、コリンスキーは水分だけでなく、絵具の顔料をキャッチする力も強いようで、色が濃く塗れていました。これは実際に試してみるまで知りませんでした。
これはすごい!
他にもリスの毛は水含みが良いのですが、柔らかすぎてコシがないので、細かい描写に向きません。
弾力があり、コシがある
また弾力があります。これは言葉では説明が難しいのですが、塗るときに筆を紙に押しつけても、離すと元に戻る力です。弾力があると、コントロールが効くので、思うように塗ることが出来ます。細かいところもきれいにはみ出さず塗ることができます。
最近、よく見かける新しいタイプのナイロン筆は、コシや弾力があり、コントロールができるのですが、水含みが物足りなかったりします。
つまり、コリンスキー 筆は、水含みと弾力という両立しにくい要素を2つとも持っている筆なのです❗️
だから描きやすいんだね!
筆には色々な硬さのものがありますが、初心者には弾力のあるタイプがおすすめです。コシがないもので細かいものを塗ったりするのには、意外に難しく慣れとテクニックが必要です。そして、水彩紙には弾きが強いものや凸凹が深いものもあります。そのような紙の場合、柔らかい筆は表面に負けてしまい、滑らかに塗れないことがあります。
毛先のまとまりがよい
毛先のまとまりは、細かいものを描いたり、きれいな抜きを作るのに大事です。
例えば葉っぱを描く時、毛先が揃っていると、きれいに葉っぱの先端を尖らせたり、太い筆なのに細い線をひいたりすることができます。
他にも山羊の毛は毛先のまとまりがよいのですが、柔らかすぎてコシがないです。なので、少しきれいに塗るには少しコツがいるかと思います。(そして紙も滑らかな方がいい)
コリンスキーのように、弾力と毛先の揃い、両方持っていると細かい塗りをしやすいです。
耐久力がある
ナイロン筆は一見強く感じられるのですが、先端が磨耗しやすいです。そして先端にクセがつきやすいです。
どのナイロン筆でも同じですが、値段が安いものの方がくせがつきやすいです。なので、絵を描く頻度が高いと何度も筆を買い直すことになります。
その点コリンスキーの筆は耐久性があります。
コリンスキー筆も摩耗します。でもやはり他の筆に比べると、耐久力があり、長く使うことができます。
先端へのクセは全くといってもいいほどつきません。一回、色鉛筆と一緒に小さい箱の中に収納してしまい、先端がひしゃげてしまったことがありました。ショックで泣きそうになりましたが、何度も水にじゃぶじゃぶ入れて、使ううちに結局、元の形に復元しました!コリンスキーの元に戻る力は本当にすごい、と思いました。
今度から気をつけます!
色々コリンスキー を比べてみた
今までレビューを書いたコリンスキーの筆を比較してみます。
エスコダ コリンスキー1212タイミーセーブル
8号丸筆。
中々よい筆。まさに水含みと弾力を両方実現しています。
この筆の一番の特徴は先端がかなり細いこと。このおかげで、かなり細い線を描くこともできます。
広い面も塗ることができるし、細かいところも描くことができます。一本で、面相筆の役割も果たすので、塗っているとき、筆を持ち替える必要がありません。
ただ、先端が細すぎるので、凹凸の激しい紙だと、先端がまけて思うようにコントロールできないこともあります。
まとまりもよく、とても使いやすいコリンスキー筆です。
ラファエル8404 8号
8号丸筆。
今まで買った筆の中で一番高価でした。
驚いたのは、毛のボリューム感です。他の8号サイズの筆と比べても2倍くらいボリュームがあります。
そのおかげか水含みがすばらしく、広い面を塗る時も便利です。
ただコリンスキーの中でも柔らかめなので、細部を細かく描くためにはもう一本筆が必要かもしれません。
最初はその水含みがし過ぎて、戸惑いますが、使い込むうちにちょうどよい感じになってきます。
ラファエルの6号サイズくらいが、一般の8号くらいのボリュームですので、少し細めの筆を買う方がいいかもしれません(そう考えるとそこまで価格差はないのかも)
ちなみに、コリンスキーのブランド品は、このラファエル、レオナルド、ウィンザー&ニュートンのNo.7シリーズ、ラウニーあたりだと思います。
名村大成堂 SK STARS 6号
6号筆。
少しコシがあるタイプのコリンスキー。ラファエルよりも少し固めです。
お値段も若干リーズナブルなので、初めてコリンスキーを買う人にもおすすめ。
コシがあるため、コントロールがしやすく、取り回しが楽なので、大活躍しています。
SK STARSは小さめの筆がメインで6号が最大サイズです。
名村は他にも、SK STARS、EU Kolinsky、SK-Mercury、Sk-Meteor、という4タイプの水彩用コリンスキー筆を販売しています。
何号がおすすめ?
もちろん用途にもよりますが、どうせ買うならば、思い切って4〜8号くらいがおすすめです。
水含みの良さを存分に味わえますし、いつでも使える基本の筆にすることができます。
先が細くなっているコリンスキーであれば、2号くらいの細筆の役割を兼ねることができます。また個人的には0〜3号の細い筆は、ナイロンの細い筆でも十分だと思います。
少し大きめの筆の方が、水含みの良さを感じることができます!
細かいところを塗る時も、長〜い線を描けるよ。
注意するのは、メーカーによって筆の太さは違うので、同じ8号でもかなりボリュームが違います。しかも売られている時には、筆はノリで固められているので、実際に使ってみるまでよくわかりません。ラファエルのコリンスキーは、お値段もそれなりでしたが、毛のボリューム感も桁違いでびっくりしました。8号を買ったのですが、6号でも充分だったかも。
値段の高い筆は細い毛がたくさん使われているのかもしれません。
コリンスキー筆買ったほうがいい?
興味ある方は是非、おすすめします!
私が思う透明水彩の道具の優先順位は…
- 水彩紙
- 筆
- 絵具
です!
どの水彩紙を選ぶかは、使える技法も変わってくるので、とても大切です。でもあくまで消耗品なので、全てを高級品でそろえる必要はないと思います。
一方筆の場合は、一度購入すれば、しばらく使うことができます。(もちろん消耗品ではあるのですが、水彩の筆は、そこまですぐに消耗しないので、長く使えます)
特に、コリンスキー筆は、耐久性もあり、大事に使えば何年も使えます。
水含みがいいリス毛の筆、コシがあるナイロン筆、機能を求めて、色々な種類の筆を買うと、かえって費用がかかることも。上質なコリンスキー筆が一本あると、他の筆を買う必要がありません。先が細くなっているものは、細い線も描けるので、面相筆の役割も果たします。筆一本で、絵が全部描けてしまうのです。なので、色々買うよりかえってコスパがよいかも?
色々買うと結局高くつく…💧
コリンスキー筆、おすすめメーカーは?
コリンスキー筆も価格にひらきがあり、同じ8号筆でも、3,000円~1,0000円くらいです。
結論から言うと、3,000〜5,000円くらいのものでも大丈夫です。
高価なものほど毛のボリューム感もすごいです。単純に毛の量で価格差が出ているのかもしれません。
もちろん高いものは上質ですが、少しリーズナブルなタイプでも十分描きやすい、というのが今のところの実感です。
8号が3,000〜5,000円くらいのコリンスキーを販売しているメーカーは、ピカビア、エスコダ、ターレンス、名村大成堂などです。
8号が10,000円以上のものは、ラウニー、レオナルド、ラファエル、ウィンザー&ニュートンのシリーズ7です。
使ってみると、色を塗る作業がとっても快適に、そして楽しくなると思います。是非検討のヒントにしていただければ!!
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