珍しく、イチジクを買ってみたので、描いてみました。イチジクの旬は、夏の品種と秋の品種があるそうで、今回買ったのは夏の品種だと思われます。(今は8月の初旬なので)
今回は透明水彩でフルーツを描く企画。中でも、モチーフの並べ方のコツをご紹介したいと思います。皆さんもイチジク描いてみてね!
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あまり見かけないイチジク
あまりスーパーや八百屋さんでも見かけることの少ないイチジク。
夏のイチジクの旬は、6月下旬から8月上旬ごろだそうです。なので、ギリギリのタイミングでゲットできたのかもしれません。

美味しそう!
ちなみに秋のイチジクの旬は8月下旬から10月中旬くらいだそうですので、しばらく待っていれば今度は秋のイチジクを買うことができるかもしれません。
今回、買ってきたイチジクは、どう見ても熟れ過ぎで、赤を通りこして黒っぽくなっていました。身も柔らかく、切ったら崩れてきそうです。早く食べないと!

でも絵を描いてからね
まず配置しよう
フルーツや花、生物画は、配置が命です。この配置がイマイチだと、絵のバランスもイマイチになってしまいます。
納得いくまで何度でも、動かしてしっくりする並べ方を考えましょう!!
そして、あらかじめ写真に撮っておくとよいです。写真に撮って、長方形の枠の中に、モチーフを納めることで、「魅力的なバランスになっているか」確認することができます。
イチジクだけだと寂しいな〜と思ったので、冷蔵庫から梨を出してきました。


あれれ、ちょっと暗いかな?

そうなんだよね。。
赤や黄色がないと、ちょっと暗いよね。
イチジクの色が暗い上に、梨も思ったより渋い色だったので、何だか地味ですよね。
フルーツの絵では、赤や黄色、オレンジなど、暖色の鮮やかな色のものが最低1つは欲しいところ…
そういえば、桃が一個だけ余ってたなあ。


ちょっと明るくなった!
美味しそうな感じ♪

色は、さっきよりよくなったけど、
なぜかおさまりが悪い💧
色は華やかになったので、さっきより良さそうです。
が、今度は配置が難しくなりました。今回描く果物は、形や大きさにあまり差がありません。しかも数が4つなので、バランスを取りにくいのですね。
配置のコツは、モチーフとモチーフを斜めに並べることです。斜めの線を作ることです。縦や横に行儀よく並べてしまうと、単調になりすぎ、画面に動きが出ません(そして不自然)あくまでフルーツとフルーツを結んだ線が斜めになることを意識します。
それぞれのモチーフ同士の間隔も差を出すことです。等間隔に並べてしまうのも、不自然で、見ている人を不安にさせます。
が、4つのものを斜めになるように並べるのは結構難しい。何度も配置換えしますが、しっくりきません。何かが、足りない…
そこで…

冷蔵庫に1つだけ、
変な形のトマトが残ってたような…

それだっ!!

縦長のミニトマト、アイコを左に加えたら、ぐっとバランスがよくなりました。右の方から、左に視線が流れると思います。赤はとても、目立つ色なので、目が行きがちですが、ミニトマトは体積が小さいため、手前のイチジクの印象も殺していないと思います。

よし!これで行こう
下書き
下書きをします。今回は茶色の色鉛筆で。
使用する水彩紙は、ファブリアーノ・アルティスティコ(旧)です。(もう廃盤になりました)
色は鮮やかに発色し、リフティング(絵具をふき取る技法)はできないので、はっきりしたシャープな絵になりがちです。重ね塗りが得意な水彩紙なので、イチジクのダークな色を塗るのに良さそう、と思って、この紙を選びました。

直接紙に描いていきます。ざっくりとで大丈夫です。
一生懸命、細かい部分を見ようとすると、なぜか絵が小さくなる傾向にあります。また色塗りをすると、さらに小さくなったように感じるため、やや大きめを意識して描きます。
果物の絵は久しぶりなので、ちょっと苦戦しました。果物も、ただの丸ではなく、少しつぶれた形だったり、曲線の中にも角があるのでよく見て写します。

むむっ
簡単そうに見えて意外と難しい…
ただ、アウトラインだけを描けばOKで、果物の暗くなっているところや細かい模様は描きません。
透明水彩は、下絵を描きすぎると、きれいに見えないので、塗りながら細かいところを描きくわえていく感じです。
下塗り
フルーツや野菜を描く時は、必ず下塗りをします。
下塗りをするのとしないのでは、仕上がりにかなり差が出ます。
下塗りをする理由は、
- 色の重なりで色に複雑さを持たせる
- 統一感を出す
という感じです。
何色で塗るのがいいのかは悩ましいですが、明るい色のフルーツなら、黄色やレモン色がいいと思います。

今回は、全体に渋い色のフルーツが多いので、グリーンゴールド(マイメリ)という変わった黄色を塗りました。少し黄緑っぽい渋い黄色です。透明感があります。(キャラクターの絵では、ちょっと持て余している色だったので、たっぷり塗りました)

ただ、桃だけは、カドミウムオレンジライト(シュミンケホラダム)という、山吹色を塗っています。桃は黄色とピンクなので、グリーンゴールドでは渋すぎてしまうからです。
色塗り
まず、ざざっと色塗りをします。
1回の着彩では、色が足りないことが多いので、後で重ね塗りしますが、とりあえず本物の色に近い色を作って塗ります。

- 梨の色は、意外と難しいですが、黄緑より黄土色に近いのかもしれませんね。イエローオーカーやサップグリーンを混ぜました。この中で、一番大きいので、あまりインパクトが出ないようにざっくり塗りました。主役はイチジクです。
- イチジクの色は何色とも言えない、不思議な色ですが、渋い紫なのでしょうね。赤と青を混ぜるのですが、なるべく渋い紫を作れる組み合わせで作りました。
こちらの記事で、どの組み合わせなのか探してみてくださいね。全部、基本色で作れます。
ちょっと濃さと色が足りないので、後で重ね塗りですね。
- 桃はドライブラシ気味で、ガサガサ赤を上から重ね塗りです。ドライブラシは、フルーツや風景画では活躍する技法ですね。黄色いところと赤いところの境界をどう描くか、がポイントだと思います。
- トマトは、赤を塗りかさねしました。下塗りのグリーンゴールドが効いていて、ちょっと渋くなってますが、他の果物と統一感が出せたと思います。
色塗り(重ね塗り)
色が足りないところは、塗り重ねて色を濃くしたり、鮮やかな色を加えています。適度に、紙の地が感じられる程度まで塗ります。あまりに重ねすぎても、きれいに見えないので、塗りすぎには注意です。
透明水彩らしい、にじみやバックランなど、独特の技法が、紙に現れていてもいいと思います。

不透明水彩による仕上げ
イチジクと梨には黄緑や黄色の斑点がついているのですが、それは透明水彩では表現が難しいので、後から不透明水彩で重ね塗りすることにしました。もちろんマスキングで抜いてもいいのですが、今回は梨の斑点が多すぎるので、後から描きこむことに。
黄色や白のハイライトは、後で入れたいな〜と思うことがあるので、不透明水彩も「白、黄色、赤、青」の4色だけ持っています。

今回はニッカーのニューホワイト、クロームイエロー、プルシャンブルーの3色を混色して、斑点を描きこみました。

これでイチジクの水彩画が完成しました。
余裕があれば、色々な配置を試してみるのもアリです。

そこまでリアルさを追求しなくても大丈夫。

よく見て美味しそうに描こう♪
イチジクは、絵に描いたあとに美味しく頂きました。ちょっと熟れすぎで、柔らかかったですが…
秋ごろにもう一回くらい描けたら、と思います!