久しぶりに筆の記事を書きます!今回はお手頃な筆、彩色筆をご紹介します。ナイロン筆とは違いしなやかさがあるので、1本あると便利かも。
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彩色筆とは
彩色筆は日本画の筆です。その名の通り、絵具での彩色に使うことができる筆です。素材は羊毛で、水含みがよく、毛先の揃いもよいです。細かい描写から、広い面の塗りまで、幅広く使うことができるので、日本画だけでなく水彩画にも愛用者が多い筆です。
特に名村大成堂の彩色筆は、宮崎駿さんの愛用筆としても有名ですよね。
私は10年くらい前に一度購入したのですが、いまひとつうまく使いこなせず、放置気味になっていました。また最近新しい彩色筆を書い直して、認識を新たにしています。
彩色筆の特徴
バランスのよい形でオールラウンダー
形からしても、太すぎず細すぎず、長すぎず短すぎず、尖りすぎず丸すぎず。とてもバランスのいい形状です。なので、やっぱり塗ってみた感じも、やっぱり万能です。どの場面でも使える筆で、細かいところも、広いところも一通り塗ることができます。
なので初心者さんにもおすすめできます。
水含みがよく揃いがよい
羊毛筆は水含みがよいです。同じくらいのボリューム感のナイロン筆と比べても水をよく含んで広い面をストレスフリーで塗ることができます。さすがにリスには負けると思いますが…
そして毛先がきれいにそろうので、細かい部分を塗ったりするのにも使いやすいです。
柔らかくコシがない
ここまでいうととてもコスパのよい筆だという感じなのですが、弱点もあります。それはコシがなく柔らかいのでコントロールが難しいという点です。初心者さんだと、筆のコントロールにも四苦八苦だと思いますが、羊毛の彩色筆はコシが少なく、微妙なコントロールを要求されます。塗って、紙から筆を離した時の元に戻る力も弱いです。ナイロン筆やコリンスキー筆は、もとの形状に戻ります。
その辺りがちょっとネックなのでやや人を選ぶかもしれません。
でもメリットもあります。柔らかくコシがないので、重ね塗りの時に、下の色を削りにくいということです。重ね塗りするときに、水彩紙によっては、下の色が削られてしまってうまく重ね塗りができないということがあると思うのですが、彩色筆でそっと色を重ねれば、きれいに重ね塗りできます。
また境界をつくらない柔らかいにじみも得意ですね。
向いている水彩紙
荒目の水彩紙よりもやや細目よりの水彩紙の方が向いています。荒目の凸凹の水彩紙だと、柔らかい筆は弾かれてしまい滑らかな線が描けないという現象がよく起こります。
特選東紅でもその現象は起きていますが、彩色筆はさらに柔らかいので、塗ったところの境界がギザギザになりがち。荒目の水彩紙にはコシが強めのナイロン筆の方がきれいに塗れたりもするんです。
彩色筆に限らないですが、全体として獣毛筆は滑らかな紙の上で本領発揮する感じがします(そもそも和紙が滑らかですもんね)
3種類を使い比べ
3種類の彩色筆を紹介
今回入手したのは、名村大成堂の彩色筆、中里の彩色筆、呉竹の彩色筆です。
よく見かける名村大成堂の彩色筆。ふわっとしてます。
中里の彩色筆は価格が衝撃的でした。コスパ最強!
呉竹も筆あるんですね。どちらかというと水筆のイメージが強いかも。私が買ったのは水墨画用のみたいですが、普通の彩色筆もあるみたいです。
塗り比べ
どの筆も遜色ありませんでしたが、呉竹のものはややコシがあって塗りやすかったです。鹿毛
中里の彩色筆は価格は安いのですが、先がきれいに尖り、細かい部分も塗りやすかったです。リピートしたい!
名村の彩色筆はバランスがよく、水含みもよいです。
もう少しコシがあってシャープな筆が欲しい、という場合は特選東紅がおすすめです。芯にイタチの毛が使われているということなので、彩色筆よりもコシがあって戻りがよく、シャープな塗りもできます↓
東紅特選は優秀な筆ですが、お値段張りますのでね…。いやおすすめではあるのですが!(値上げ前にまとめ買いしました)
もっともっと柔らかい筆、となるとリスになりますが、こちらももっとコシがなく細かい部分ではなく、広い面のふわっとした塗りに適した筆となります。お値段そこそこするわりに、耐久性がないので、そこそこの値段で柔らかめの筆を使ってみたいなという方には彩色筆も悪くないですよ。