色使いに迷う方におすすめの本をご紹介します。この本はデザインのための色彩の本で、一見、透明水彩や絵とは関係がなさそうなのですが、色彩理論や目的別の効果的な配色の手法が、数多く収められており、良書です。ただ、廃盤なのでおすすめするかちょっと迷ってました。
内容が難度が高く、ボリュームもあるので、本気で勉強したい人におすすめです。
Table of Contents
なぜデザインの本なのか
今回紹介する本は「配色の手法」という本です。
透明水彩の技法書は本当にたくさんあるのですが、その中でも配色や色の組み合わせ方について、説明してくれる本がほとんどないなあ、と。これは常日頃思っていることです。
特に水彩画の場合は、風景や花を描く本が多いので、配色というより見たままの色をつけるような感じになってしまうのかな。
絵の色合いって、結構大事だよね
色彩は絵の中では結構目につく要素だと思っているのですが、なかなか良い技法書がない。
なので、色のことは色のことで、まとまった本を探すことにしました。絵の技法書ではなくて、デザインの配色系の本の方が、色彩理論について詳しいんです。その中でも気に入ったのがこの本。割と難しいので、1回読んでもよくわからないところも多く、何度も読み返しています。
詳しいけど、その分ちょっと難しいです。
でもとても役に立つ!
色彩理論というと色相環のこと?
色彩理論というと色相環のことかな?くらいに思っていましたが、実際にはかなり複雑なんですよね。
色って、赤、黄色、青、のような色相だけじゃなく、彩度や明度も絡んでくるので、そのあたりの話になると、自力では認識できないんですよね。
私の悩みは、効果的に色を使うことができていないこと。一つ一つの色はきれいなのに、効果的に色が扱えてないので、ごちゃごちゃまとまりがなく見えてしまい、主役がかすんでしまうことも。色合いについては、褒めてもらうことも多かったですが、得意な配色を繰り返してしまい、マンネリ化も。
色は、好きな要素ですが、課題を感じやすい要素でもありました
「色彩は、生まれつきの感覚やセンス」という話も聞きますが、それではなんとも悔しい。
でも本を読んでみて、知識として知っておくだけで、かなり磨くことのできる要素なのではないかと思いました。絵を描く時に、色彩に迷う方や苦手意識がある場合は、色彩理論を学ぶことでかなり色が扱えるようになると思います。
色使いうまくなりたいな♪
色彩は感覚とされがちですが、意外とセオリーがあるので、知ってしまえばかなり違います。また、いつもの色になってしまい、マンネリ化してしまう、使う色に偏りがある、という場合も、色彩理論を学ぶことで、自分の色を広げることができます。
この本には、色相環の詳しい説明もありますが、それに加えて、補色やトーンの解説、イメージ別の配色やトーンなど幅広くのっています。
この本のいいところ
この本の素晴らしいところは、色彩理論が分かりやすくまとめられているだけでなく、効果やイメージ別に配色のコツが収められているところです。かなり実践的な内容で、実際の広告を例に、「このようなイメージにしたいときは、このような配色がよい」というように、目指すイメージに沿った配色例がのせられています。あくまで広告デザインのための本なので、広告の配色がメインですが、絵も広告も一枚の画面で表現するという点では同じなので、かなり参考になります。
「こういうイメージにしたい」というゴールがある場合は、それに一番効果的な配色というのがあります。例えば、「都会的なクールな配色にしたい」場合にはそれに一番適した配色があるということです。
確かに、かわいいイメージにしたいとき、かっこいいイメージにしたいとき、それぞれで色は変えた方がよさそうだね
他にも、レトロなイメージ、都会的で無機質なイメージ、高級感があるイメージ、目立たせたいとき、複雑な構造を持つときなど、イメージから配色を逆算した方が、効果的です!
絵や広告は伝えたいイメージによって色を変えた方が効果的なので、目的のイメージ別に配色のコツがのっているこの本は、とても参考にしやすかったです。
そして、この本のもう一つの良いところは、色彩と配色の知識を理論から説明してくれているので、応用が利くところです。ほとんどの配色本が、配色の例がのせられているだけで、その色が選ばれている根拠が書かれていないので、応用が効かないんです。この本は、配色例ものっているし、どのように色を選んでいるか、という説明も書いてあって、自分で色を選ぶときのコツも分かります。
その分、ちょっと難しいところも多く、一度読んだだけではよく分からないところもありました。
ただ、全ページ写真と配色がのっているので、ページをめくっているだけでも楽しいです♪
色彩センスは磨ける?
色彩はセンスと思われがちで、私もそうなのかな、と思っていましたが、実はしっかりとした理論があるんですね。
美しく見える色合いや、魅力的な配色は、ちゃんと根拠があるんだな〜と。
配色センスは知識で獲得できます!
なものの形を正確に取る、や自由な発想で絵を描く、という要素にはそれ相応の練習と時間も必要ですが、色彩は本を読んで知識を得るだけで、磨くことができる感じがしました。
絵って、半分くらい色彩でできていると思うのです。たとえ、モノクロで白と黒だけでも。
絵の内容よりも色彩に惹きつけられてしまうことも多いです。絵を見るとき、一番最初に目に飛び込んでくるのは色彩だそうです。きっと好みが出るのも色彩でしょう。
スケッチや写生をするとき、絵の色は現実の色をなるべく正確に写し取らなければいけないという思ってしまいがちですが、実際に絵の色は自由に決めてよいのですよね!
絵の中に使う色は、自分が見せたいように自分の都合の良いように変えてしまって良いのだと。
ただ、その時に「このように見せたい」というゴールが自分なりにあると、色を決めやすいかも。と思いました。
終わりに
色彩理論を学べる本であれば、この本に限らず一冊あるととても便利です。絵のための色彩理論の本より、意外とデザインの本の方が、役立つ感じがします。
名画の配色などを解説している本も持っているのですが、昔使われていた絵具と今の絵具では色が違うので、もっと現代的な色彩の本の方がいいと思いました。色彩には流行や時代背景もあるので、(また単純に印刷技術、絵具の技術)なるべく新しいものを参考にしていく必要があると思います。
追記:残念なことにこの本は廃刊になってしまいました。でもとても良い本なので、復刊されないかなと!古本で在庫があるので、興味のある方ぜひ。私は図書館で借りて、あまりに便利な本なので、何度も借りていましたが、やはり手元にあった方がいいと思い、古本で買いました✌️