今回はイラストを透明水彩で描くための線画について、お話ししたいと思います。
線画とは、絵のアウトラインをしっかり描いて、塗り絵のように色を塗っていくときの、「線の部分」のことです。
線画を何で描くかで、絵の雰囲気もかなり変わります。
今回は、色々なパターンを書いてみます。
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鉛筆で薄く描く
鉛筆でさっとアウトラインだけ描く方法です。主線を作らず、面で塗っていくので、線画も薄く目立たないように描いていきます。
B、 2Bなど少し柔らかい芯だと、曲線が描きやすいと思います。
かならず、練り消しを用意して、描きすぎてしまったところは薄くします。
あんまり濃く描かないほうがいいのね
鉛筆の黒い芯がつきすぎると、絵具を上からのせたとき、汚くなってしまうことがあるからです。
この方法の時は、塗りがメインなので、絵具で塗りながら、形をはっきりさせていきます。
風景を描く、静物を描く、など、現実の風景を描く場合は、あまり下書きを描き込みすぎると透明水彩の良さが出ません。目印をつける感覚で、弱めの線で描いていくといいです。
鉛筆、シャーペンではっきり描く
線画をしっかりつくってから塗ります。下書きの線を生かした描き方です。
イラストに向きます。絵が細密な場合も良いです。
が、そこまで、線画の色は濃くないため、後から塗った水彩とうまく溶け込ませることができます。
鉛筆、シャーペンは少し硬めのHBくらいがよいかもしれません。
複雑なものを描く場合は、別の紙に下絵を描いて、トレス台でうつしたり、カーボン紙でうつしたりします。
鉛筆を線画に使う時のデメリットは、描いたものをこすると、黒鉛が広がって紙が汚れてしまうところです。汚れたところに上から明るい色の絵具を塗ったりすると、キレイに見えません。少し、練り消しで鉛筆の線を薄くしたり、汚れないようにする工夫が大事です。
鉛筆で線画を描くのは、初心者にも描きやすい方法です。鉛筆は多くの人に使い慣れた道具なので、紙の上で滑らせやすいし、間違えたところは、消しゴムで消すことができます。ですが、こすりすぎると紙を傷めてしまうので、練り消しを使うのがおすすめです。
ファーバーカステルの練り消しが柔らかく、紙を傷めにくいです。おすすめ〜!
鉛筆は紙を汚さないように注意です!
B〜HBくらいが、描きやすいかな。
あとは意外に、線がはっきりします。線画をくっきり見せたいのでなければ、鉛筆の線は薄くするか、次の章でご紹介する色鉛筆で線画を作るのがおすすめです。その方が、透明水彩の繊細な色彩と線画をなじませることができます。
色鉛筆で描く
こちらはどんな画風にもよいです。鉛筆の代わりに色鉛筆で線画を作成します。
はっきり下書きの線を生かすこともできるし、限界まで水彩となじませることもできます。
この方法のよいところは、上にのせる絵具の色に合わせて、下書きの色を選ぶことができるところです。
肌に合わせて、顔を茶色の色鉛筆で描くととてもなじみやすいです。逆に補色にして印象を変えることもできます。
おすすめの色は、焦げ茶色、茶色、赤茶色、赤紫、グレー、ネイビーなどです。黒い色鉛筆も鉛筆の黒とは違った味わいがあるので、とてもいいです。
また鉛筆のように黒鉛で画面がよごれません。
ただ、鉛筆のように消しゴムで消えないので、大幅の修正はできません。
私が線画によく使っているおすすめの色鉛筆↓ これ、中々優れもので、6本好きな色を選んで買うことができるそうです!
赤茶色や焦げ茶色がおすすめですよ!
ペンでなぞる
鉛筆の下書きをペンでなぞり、線画を作る方法です。
ペン線画は、かなりはっきりした線画になります。
アウトラインがはっきりしているので、絵がはっきりして見やすいです。
線画を作るのに手間がかかりますが、その分塗りはややあっさりしていても見栄えがします。制作にかかる時間も少なめです。
ペンを使える水彩紙は限られます。
凹凸がありすぎる紙だと、ペンが引っかかったりします。上のイラストはランプライトを使用しています。コットン紙の中では比較的滑らかさがあり、ペン入れしやすかったです。ワトソンやヴィフアールのような水彩紙もおすすめです。
使えるペンも限られます。耐水性のペンでないと、上から水彩をのせたとたん、ペンがにじんでしまいます。
かなりはっきりした線画の上に、塗り絵のように透明水彩の絵具で色を塗る感じにもできるし、ペンであいまいな線をかいて、水彩で補完していくこともできます。
線がはっきりしているので、分かりやすい感じにはなりますが、より記号的にはなります。
ペンの色も、黒だとよりはっきりした感じになるし、茶色やグレーだと少しソフトな印象にすることができます。ペンの太さを変えて、雰囲気を変えることもできます。
この方法を採用しているのは、イラストを描く方が多いですが、風景スケッチでもペンで下書きした上に水彩で塗る方法を紹介した本を見たことがあります。なかなか独特で面白かったです。
透明水彩の線画に使うことができる耐水性のペンは意外と種類が少ないです。
私がよく使うのはサクラのピグマシリーズです。こちらは廃盤が決まった色やサイズが多く、まさに涙ものですが、セピアの0.03は引き続き販売があるようなのです。おすすめカラーです。
あとはコピックのマルチライナーもよく使われます。こちらはブラウン系の淡い色の方が馴染みやすく透明水彩の線画にはおすすめです。私はブラウンやウォームグレー、赤紫が好きです。
ウォームグレーも人気があります。
グレーや茶色のミリペンについてはまとめた記事があるので、ごらんください↓
まとめ
たかが線画だけど、されど線画!
透明水彩の場合、線画をどのようにするかで、絵の雰囲気もかなり変わってきます。
- 縁取りをはっきり描いて線画と塗りをしっかり独立させる
- 縁取りを薄く描いて、線画と塗りを馴染ませて曖昧にする
この2つのパターンは、見た目や印象に大きい差があります。どちらが自分の表現に合うのか、じっくり考えてみる必要があります。線画をはっきりさせるパターンと線画をはっきりさせないパターンでは、透明水彩の塗り方も大きく変わってきます。
下記の記事では、同じ絵を、ペンで線画を作ってから塗ったパターンと、色鉛筆で線画を作り馴染ませながら塗ったパターンを比較しました。ぜひ読んでみてください。
単純に線画に「何の画材を使うか」ということより「線を生かした表現か、線を生かさない表現か」で分けて捉えてみる方がいいかもしれません。同じ色鉛筆でもペンのようにはっきりアウトラインを描く方法もあるからです。この記事でも「1鉛筆で薄く描く」と「2鉛筆、シャーペンではっきり描く」では大きく印象が違ったはずです。
透明水彩は、絵具自体に透明性があるので、線を生かす絵とは相性がいいと思います。ただ、やり方は1種類ではなく、かなり選択肢が広いと思います。他の作家さんの絵を見るときも、線をどのように処理しているのか?じっくり観察してみると勉強になりますよ!
ちなみにアンケートを取ってみました。鉛筆や色鉛筆を使うという人が多かったようですが、絵によって使い分けるという人も。
本当に色々なやり方があるので、探してみてくださいね!
自分の過去の絵を見ると、塗りはそこまで変わっていないのですが、線はかなり違います。今回ご紹介した方法は全て試しているのですが、どの方法もそれなりの良さがあり、これが決定打というのはありませんね。
線のことは深く考えたことがなかったなあ。
色々試してみよっと♫