シュミンケホラダムの透明水彩絵具、使ってみたい色がたくさんあるのですが、カタログで見ても色がわからないので、サンプル(ドットシート)を買って、色見本を作ってみました。
Table of Contents
シュミンケホラダムってどんな絵具?
ドイツの絵具メーカーの透明水彩ブランドです。
値段は1つ1000〜2000円くらいします。水彩絵具の中ではとても高価です。
全140色です。
オックスゴールというものが添加されて入れていて、他のメーカーの絵具にはない独特の感触があります。
他メーカーにはない特徴
溶けやすく、筆で取りやすい
これが一番使いやすいポイントです。シュミンケの絵具は、水をふくんだ筆でスッと溶けます(ヌルッとした感じ)
筆で何度もごしごししなくても、色を筆につけることができます。
ウェットインウェットでは、時間との勝負のこともあります。スピーディーに描き進めていきたい時には、この「スッと溶ける」という特性がとても大事になってきます。もちろん色にもよるのですが、シュミンケホラダムの絵具はどの絵具も、ある程度溶けやすく調整されています。
そのおかげか、筆も傷みにくいです。やっぱり、何度もごしごししてしまうと、筆の先端が曲がってきてしまうので。
- 色が濃い
発色自体は意外にも、あまり他メーカーと変わらないのです。同じ顔料であれば同じような感じです。
ですが、シュミンケは「スッと溶ける」という特徴があるので、少ない水で絵具を取ることができます。
たっぷりの水で絵具を取ってきたときと、少ない水で絵具を取ってきたときでは…
水が少ない方が、絵具は濃くなりますね!
なので、シュミンケホラダムの絵具はとても発色が良く感じます。
透明水彩では、全体が淡いと寝ぼけた感じになりやすいので、濃く塗るところはしっかり、濃く塗ってメリハリを出した方が、映えます。ですので、この特性もとても使いやすく感じるポイントです。
とにかく一つ一つの動作のストレスがなくなるのと、筆にたくさんの絵具を含ませやすいから濃くぬれる、これがメリットだよ!
ムラなく塗れる
オックスゴールのおかげなのだと思いますが、シュミンケホラダムの絵具はとても滑らかです。
塗った時にまったくムラになりません。
普通は絵具によって、ムラになりやすいもの、なりにくいものある(顔料の影響)のですが、シュミンケホラダムの絵具は全ての色がムラなくキレイに塗れます。
なので、シュミンケホラダムで描いた絵は整った感じになります。
もっと力強くしたい!というときは、物足りなく感じるかもしれません。
ただイラストの場合は、整った感じに仕上げたいことが多いと思うので、シュミンケホラダムの絵具、とても相性がいいと思います。おすすめです。
ムラなく塗りたいときはそのまま塗ればいいし…
ムラを作りたいときはウェットインウェットなどを使えばいいよ。
使い分けできるのが、シュミンケの優秀なところだね♪
シュミンケホラダム全色ドットシートって?
ではドットシートの話に移りたいと思います。ドットシートとは、実際に絵具の色試しができる、サンプル品です。全色の絵具のサンプルが少しずつ、ついています。実際に塗ってみることができますが…。
ただ、シュミンケホラダムのドットシートの絵具は本当に少しずつなので、慎重に塗った方が良さそう。
シュミンケホラダム全色レビュー(140色紹介)
これからシュミンケホラダムの絵具を色別にレビューしていきたいと思います。
その中からおすすめの色もご紹介しますね。
初心者にも、おすすめの色に★をつけているよ。参考にしてみてね
シュミンケホラダムの黄色・オレンジ
シュミンケホラダムの黄色とオレンジは単一顔料の絵具がメインで、似たような色であっても一色ずつ、性質が異なり、違う色として使う事ができます。特に黄色は、不透明のもの、透明のもの、彩度が高いもの、低いものそれぞれ揃っていて、自分の表現に合ったものを選ぶ事ができます。
オレンジも色々なメーカーの中で一番種類が豊富です。
黄色のおすすめ色
黄色はものすごく種類が多くて、本当に迷います。特に透明感の強いイエローの品揃えが、他のメーカーよりも多いんです。
215 レモンイエロー★ 透明感と伸びがいいレモン色です。わりと珍しい顔料です。基本の一色としておすすめ。12色セットにも入っています。
207 バナジウムイエロー 発色強め、かなり冷たい色合いのレモン色。不透明なので、好みが分かれると思いますが、青系との混色にとてもよいです。
208 オーレオリンヒュー 透明感の強いイエローでは、209トランスペアレントイエローが有名なのですが、私はオーレオリンヒューがお気に入りです。
225 カドミウムイエローミドル★ カドミウムイエローも色々種類があるのですが、この色が「まさに真っ黄色」で絶妙です。とてもお気に入りです。不透明の強いイエローですが、しっかりムラなく塗れるので、初心者にもおすすめ。
219 ターナーズイエロー ちょっと彩度の低い、優しい黄色。黄色が苦手な人にもおすすめ。
オレンジのおすすめ色
オレンジの種類はシュミンケホラダムが一番多いです。特に透明色が豊富。
227 カドミウムオレンジライト★ 黄色に近い明るめのオレンジ。ちょっと珍しい色味かも?黄色の代わりに使ったり、重ね塗りしたりと汎用性が高く、便利です。
218 トランスペアレントオレンジ★ ファンが多い透明オレンジ。凄まじい透明感ですが、カラーインクのようですが、鮮やかさはカドミウム系のオレンジの方が上です。
359 サターンレッド★ とても鮮やかなオレンジ。赤よりです。鮮やかすぎて、使いどころに悩みますが、すごくきれい。
シュミンケホラダムの赤
シュミンケホラダムは赤も種類が豊富です。しかも似たような色味がたくさんあり、かなり迷います。透明感や着色力、伸びが違うので、できれば全色ドットシートでお試しした方が、失敗がないかもしれません。この中から、絵具を選ぶのが難しいなあ、という感じです。基本色だけご紹介します。
赤のおすすめ色
349 カドミウムレッドライト★ 便利な朱色です。シュミンケホラダムのカドミウムレッドは粒子が細かくてきれいに塗れます。
341 ゼラニウムレッド、342 バーミリオンライト とにかく可愛い、明るい赤。強い透明感があり、カラーインクのよう。
363 スカーレットレッド★ 真っ赤。どのメーカーでも売っている定番の赤で、鮮やかな赤です。
353 パーマネントカーマイン★ 安定のPV19。深みのあるタイプで、ホルベインのローズマダーの発色をよくした感じ。落ち着いていて使いやすい赤。12色セットにも入っている基本色。
351 ルビーレッド PV19だけど、明るく透明感があります。少し鮮やかです。
352 マゼンタ ちょっと珍しいマゼンタカラー。少し溶けにくさがありますが、艶やかなローズレッド。
367 パープルマゼンタ★ かなりおすすめ。深みのある赤紫ですが、薄めると鮮やかなピンクに。耐光性の低いオペラの代わりにも。
シュミンケホラダムの青
シュミンケホラダムの青は、同じ顔料であっても、粒子の大きさや色合いが違うものがあります。混合カラーの青も何色かあります。また、シュミンケホラダムの青は、あまり色味が強すぎないので、混色や重ね塗りの時に力を発揮するものが多いです。全色塗ってもみると綺麗でうっとりですね〜。
青のおすすめ色
どれも、いい色なので迷います。。
495 ウルトラマリンバイオレット★ きれいな青紫。混合色ですが、とても珍しい色なのですが、使いやすさもあり、シュミンケホラダムの絵具を試してみたい、という方にもおすすめです。
482 デルフトブルー★ ファンの多い紺色。中身はインダンスレンブルーなので、珍しくはありませんが、独特の赤みがかった紺色が美しく、人気色なのもうなづけます。
477 フタロサファイアブルー★ 中身はフタロブルーレッドシェード。シュミンケのものは色味が強すぎず、塗りやすい。
487 コバルトブルーライト 澄んだ青。すごくきれい。きれいすぎて混色するのがもったいないです。
494 ウルトラマリンファイネスト★ 粒子があまり大きくないウルトラマリンで、混色しても分離しにくいです。とても重宝します。
484 フタロブルー★ 個人的に気に入っている青。色味が強すぎず、使い勝手がよい。混色にも向いています。
481セルリアンブルー★、479 ヘリオセルリアン 中身はフタロブルーイエローシェード。鮮やかなシアン色。479ヘリオセルリアンは、顔料そのままの色、481セルリアンブルーは少し白が入り、PB15の強い色味が和らげられていて、使いやすさがあります。初心者におすすめ。
シュミンケホラダムのグリーン
シュミンケホラダムのグリーンは、気の利いた便利な混合色も多く、選びがいがあります。
グリーンのおすすめ色
519 フタログリーン★ 定番色。12色セットにも入っています。鮮やかすぎて、そのままでは使いにくいので、混色担当。使い方はこちらをどうぞ。不人気の色 フタログリーン 使い方が分かれば強い味方に!
514 ヘリオグリーン 519フタログリーンと同じような使い方ができます。
534 パーマネントグリーンオリーブ★ 深い森のような色。植物や風景に。12色セットにも入っています。
530 サップグリーン★ こちらも植物や風景の定番色。黄緑です。
524 メイグリーン★ 若草のような黄緑。フレッシュで、きれいな色です。一時期よく使っていました。
シュミンケホラダムの茶色、グレー
茶色もグレーも、かなり種類が多いです。どれもおすすめですが、定番の色を中心に。
茶色のおすすめ色
655 イエローオーカー★ 定番の黄土色(この色はわざわざシュミンケから買わなくてもいいかも)
650 スピナルブラウン オレンジ系の珍しい茶色。風景や、小物、食べ物、動物など。何かと便利。
649 イングリッシュベネチアンレッド★ 何度もリピ買いしているイチオシの赤茶色。シュミンケのベネチアンレッドは、他のものより、色も明るく粒子も細かいです。
668 バーントアンバー★ こちらも何度もリピ買いしているイチオシの茶色。深みがあって美しい。最愛の色! シュミンケホラダム 688 バーントアンバー
グレー、黒系のおすすめ色
782 ニュートラルチント シュミンケのニュートラルチントは赤紫がかった不思議なグレー。独特の色味が美しくおすすめです。
787 ペインズグレーブルーイッシュ★ 青味の強いグレーです。783シュミンケペインズグレーも買ってみたのですが、こちらは青味のグレーではなく、普通のグレーでした。
全色並べると
全色並べると、このような感じです。圧巻ですね。
ラインナップの特徴
シュミンケホラダムはとにかく種類が多い
シュミンケホラダムのラインナップは、はっきり言ってマニアックです。とにかく色数が多いです。
同じような色が何色もあって、パッと見ただけでは見分けがつきません。一見同じような色でも、実際に塗ってみたり、混色に使ってみると違う性質の色だったりします。同じような色でも、顔料によって透明度に差があったり、色の濃さや着色度に差があったりするのです。
なので、実際に全色並べて塗ってみないと違いがわからないものも多いですね。
初心者や、まだ自分の表現方法が確立していないときには、膨大なバリエーションの中から自分の表現に合った色を選ぶのは難しいと思います。
一方、「肌に重ね塗りしたいから、透明感のある黄色がかった赤が欲しい」とか「岩を描くのに粒状化する茶色が欲しい」といった、具体的に欲しい色のプランがあるときは、シュミンケホラダムはその要望に応えてくれるんです。(大抵あるんです、欲しい色が)
作家サイドのマニアックな要望に応えるメーカーなんです。
最初はよく違いが分からなかったけど、性質の違いが理解できると、自分の表現に合った使い方が見つかりやすいよ
また扱っている顔料の種類もとても多く、シュミンケホラダムにしかない色というのも多いです。混合色も使い勝手の良い色味が多いです。
初心者が使いやすい色もある
ただシュミンケホラダムは、決して、プロ向けの商品というわけでもなく、むしろ初心者の方に使いやすい色もたくさんあります。
例えば、フタロブルー系は、強すぎる色味で扱いが難しい事が多いのですが、シュミンケのフタロブルーはどれも、色の強さがちょうどよく混色もしやすいので、初心者の方にもおすすめなんです!プルシャンブルーも同じです。
あとはカドミウムレッドなども滑らかで、きれいに塗りやすく、絵具の扱いに慣れていない方にもおすすめです。
ウルトラマリンバイオレットも色味自体も美しく、気分が上がりますが、影表現にも重宝する実用的な色でもあります。
初心者に扱いやすい色も多いんだね♪少しずつ買ってみようかな〜(高いけど)
透明色が多い
こちらは代理店の丸善美術の方から、伺ったこぼれ話。
シュミンケホラダムは、他メーカーと違い、重ね塗りをする絵画技法をルーツに持つメーカーだそうです。
重ね塗りするのには、あまり不透明の絵具より、透明性の高い絵具の方が、下の色が透けるので向いているとのこと。
透明色のラインナップが多いのは、そのせいなのかも?
もちろん不透明色も多いのですが、透明色の種類が多いです。同じ色でも、透明色と不透明色と、両方選べるようになっています。
「重ね塗りをしながら色を濃くしていく」のに向いているのかもしれません。シュミンケの絵具の発色はそこまで強くない、というか、極端に濃い色は少ないんですよね。どちらかというと、フラットにきれいに塗れる。ので、重ね塗りをたくさんしても汚く見えないんです。
たくさん重ね塗りしたい人にはいいかもね。
もちろん、他メーカーでも、問題なく重ね塗りはできますし、私はシュミンケの不透明色も結構好きで愛用しています。
技法×メーカーはあまりこだわらなくていいと思います。あくまでこぼれ話です。
最後に
シュミンケホラダムの難点は、値段が高いことと画材店の取り扱いが少ないことかな、と思います。1色ずつ通販で試してみるのもいいかもしれません。
それぞれの色の違いは分かりにくいので、シュミンケホラダムの全色ドットシートはおすすめですね!
買い足しならこちらの記事が役に立つかな?
12色セットも無駄な色がなく、おすすめです。高いけど!