長らく楽しみにしていた、マイメリブルー透明水彩の全色90色ドットシートを試すことができたので、その使用感や色のバランスをレビューしようと思います。2022年8月に全90色に1色ずつ詳しい解説をのせました!
Table of Contents
マイメリブルー透明水彩とは
マイメリブルーはイタリアの透明水彩です。大日本美術工芸社が代理店となっています。
マイメリブルーは、元々単一顔料の比率が多めの水彩ブランドでしたが、2020年に全面リニューアルし、全色単一顔料にリニューアルしました。色のラインナップなどもだいぶ変わりました。
単一顔料の絵具は、たった一種類の顔料から作られた絵具のことで、混合顔料の絵具に比べて、混色したときに色の彩度が落ちにくいとされています。
単一顔料の絵具の比率が多いメーカーは、扱っている顔料のバリエーションが豊富なので、たくさんの色の選択肢があるメーカーだということも言えます。

単一顔料だからこそ種類が多いって感じなのかな?
マイメリブルーは全ての色が単一顔料だということなのですが、本来顔料の色味というのには偏りがあるので、混合しないと表現できない色味というのもあるのです。なので、全ての色が単一顔料というのは、すごいこと!
「黄緑や焦げ茶はどのような顔料を使っているのか」など気になることがたくさんありました。
なので、そういうことも含めてお話ししたいと思います。
ドットシートについて
2020年のリニューアル後、ドットシートの販売がスタートになりました。
ドットシートは、全90色の絵具が少しずつ、ついているお試しシートです。絵具を買う前に、全色試す事ができます。色々なメーカーから出ています。1つの絵具の値段が高いメーカーほど、買う前に試しておくといいですよ。

↑マイメリ ブルーのドットシート塗ってみました!絵具は少しずつですが、のびがいい色が多いので、色を確認するのには十分でした。
キャンソンヘリテージ水彩紙が使われていて、塗りやすかったです。発色のいい紙なので、絵具の色が映えます。とてもきれい!
マイメリ ブルーの90色ドットシートは通販でも購入可能です。こちらでお試ししてみるのもいいかも。
全90色について、色のバランス
全90色ということですが、全ての色が単一顔料です。でも似たような色は少なく、それぞれ違う色で驚きです!
特に、マイメリブルーが得意なのは赤、黄色、青の三原色!
びっくりするほど、色が種類が多く、他のメーカーで見たことのない色がたくさんあって楽しい!

色のバランスは、はっきり言ってしまうと、偏っています。もっと具体的に言ってしまうと、緑と茶色が少なめ、というか色の偏りがあります。でもこれは仕方ないです。もともと、顔料は色が偏っていて、一色では表現できない色もあるのです。どうしても、と思う色は自分で作るか、他のメーカーで調達することができるので問題なし!
ただその分、純粋で澄んだ色味の絵具が多いので、色を鮮やかに使いたい時や、混色をしてオリジナルの色を作るのにはとても向いています。
マイメリ ブルーの使用感
スッと溶けやすい
とても滑らかで、スッと溶ける感じです。
柔らかい筆でもストレスなく絵具を取ることができます。この感じはちょっとシュミンケホラダムにも似てます。絵具の感触はやや柔らかめ(カチカチにはならない)ですが、どろっとすることはありません。ほどよいテクスチャーです。
ただ、何色かは、とても溶けにくい色もありました。これは顔料の性質がそうさせているので他のメーカーでもおなじかな。これは単一顔料にこだわり顔料独自の個性を大切にしているからだとも言えそうです。
顔料濃度が高い
顔料の濃度が高く、少しの絵具でかなりたくさん塗り伸ばせる感じがあります。
なので、少しの絵具でもたっぷり使うことができます。チューブのサイズが大きいこともあって値段もそこそこしますが、コスパは悪くないです。顔料濃度が高いためか、同じような色でも色が濃密で鮮やかです。
ムラが出にくい
伸びもよく、ムラなくきれいに塗れます。
とくに粒子の粗い色に関しても、粒子の散り方が均一で、均一なムラができます。ここはとてもマイメリの好きなポイントです。今まで粒子の粗い色は、塗ってもムラができ汚く見えてしまい苦手だったのですが、マイメリのウルトラマリンディープを使ってみて、180度見方が変わりました。
確かに粒子が粗いのですが、顔料の散り方がきれいなんです。(うまく説明できない)

色見本全体を他のメーカーのものとも比べてみるのですが、やはり塗ったあとの滑らかな感じはシュミンケホラダムとマイメリがダントツでした。
耐光性の高い顔料が選ばれている
ざっと顔料を見ていて、気づいたのですが、耐光性がいまひとつ、という顔料が使われていませんでした。例えば、オペラのような蛍光色、赤系の色にも耐光性の低い顔料というのがあるのですが、そのあたりは使われていませんでした。
特に赤系は現代的な有機顔料がメインなので、リニューアルの時に耐光性の高い顔料に置き換わったりしたのかも。

色褪せに強いんだね!
頼もしい✨
このあたりもメーカーさんのこだわりなのかな、と思いました。
耐光性は気にしないという人もいますが、長持ちさせるためにも、同じような色なら耐光性の高い絵具を選ぶ方がよいと思っています。自分の作品を販売するなら、耐光性の高い絵具を使った方がいいですね。
珍しい顔料、色が多い
珍しい顔料が多いのもマイメリブルーの特徴です。
あらためて顔料を調べながら、色を塗ってみたのですが、マイメリにしかない顔料の絵具も多いです。またマイメリだけではないけれど、あまり扱われないレア顔料、同じ顔料だけど珍しい色味の絵具もたくさんあって、顔料の見本市のようです。

画材沼にハマっている人には
たまらない✨
なので、顔料に興味がある人や、珍しい色を使ってみたい人にもたまらないラインナップとなってます。
ちょっと癖のある色もありますが、鮮やかで汎用性が高い色もそろっています。ただ、色見本をみるだけでは違いがわかりにくい色も多いので、1色ずつ解説をしていきたいと思います。
マイメリブルーの全色レビュー&色見本
この記事は2021年1月に作成されましたが、2022年8月にマイメリブルーの代理店である大日本美術工芸さまの御協賛により全色提供していだき、全90色1色ずつ詳しくレビューを付け加えることになりました。なので以前のレビューよりも詳しくなりました
購入の参考にしてくださいませ。

詳しくなったんだ!
楽しみ✨

独断と偏見でおすすめ色には★をつけてます!
マイメリブルーの黄色、オレンジ

マイメリのオレンジと黄色です。黄色はとても種類が豊富ですが、オレンジも豊富です。

054カドミウムオレンジ (PO20)不透明■ 不透明で鮮やかなオレンジ色です。カドミウム系なので、とにかく発色が強く、ムラなく塗ることができるのが魅力。
061ピロールオレンジ (PO71) 透明□ シュミンケホラダムのトランスペアレントオレンジと同じ顔料(色はマイメリの方が鮮やか)透明感はかなり強め。重ね塗りに向くオレンジ。塗った時に濃淡が出やすい。
062パーマネントオレンジ (PO64)透明□透明感が強く鮮やかなオレンジ。やや赤よりで済んだ色味シュミンケホラダムのサターンレッドと同じ色。残念ながらスキャンでは読み取れないほど鮮やか。
オレンジ系の色は、スキャナで正確な色が読み取れませんでした(もはや諦め)もっと赤みが強くもっともっと鮮やかです。

カドミウムイエローの色は3色あります。カドミウム系の色には、強い発色、不透明性、ムラにならないなどの優れた特徴があります。カドミウムイエローミディアムの色は基本の黄色としてもおすすめ。
082カドミウムイエローレモン (PY35)不透明■不透明で発色の強いレモン色。
083カドミウムイエローミディアム (PY35)不透明■不透明で発色の強い黄色。基本の黄色としてもおすすめ。
084カドミウムイエローミディアム (PY35)不透明■不透明で発色の強い山吹色。上の2色のカドミウムと比べるとこちらの色は少し濃淡がつきやすいです。マイメリイントロセットにも入っています。
098インディアンイエロー (PY65) 透明□カドミウムイエローディープと似たような色ですが、もっと透明感があります。

099ネイプルスイエローミディアム (PBr24)半透明⬜️彩度の低いやさしい黄色。ややオレンジ色よりで、イエローオーカーのような黄土色にも少し似ている。今回とても気にいった色の一つ。
104ネイプルスイエロー★ (PY53)半透明⬜️ネイプルスイエローといえば、白が混ざった色が多いですが、こちらは白が入らない珍しいネイプルスイエロー。ちょうどひよこのような優しい黄色。優しい色を混色で作ることができます。メーカーさんによるとレア顔料だそうです。おすすめの色!
109ニッケルチタニウムイエロー(PY53)不透明■こちらもPY53でレア顔料ですが、ネイプルスイエローよりもレモンイエローです。少し珍しい発色のやさしいレモン色です。

110パーマネントイエローオレンジ(PO62) 透明□透明感のある明るいオレンジです。とても伸びがよい色です。ウィンザーオレンジ♪
112パーマネントイエローレモン(PY175)透明□イミダゾロンレモンイエローの顔料。このレモン色は定番色です。済んだ色味ですが、発色はそこまで強くないです。
114パーマネントイエローディープ(PY227)透明□やや山吹色の黄色。濃淡で表現できる色、温かみがあり自然物にも使いやすい黄色。この黄色もとても気になりました!

116プライマリーイエロー★(PY97)透明□なにげに珍しい顔料。マイメリ以外で見かけたことがないです。とても澄んだ明るいイエローで色もはっきりしています。三原色の黄色、という名前がついているだけあって、確かに純粋な黄色です。万能に使える黄色を探していて、カドミウムイエローに抵抗ある人はこの黄色おすすめ!
117ゴールデンイエロー(PY183)透明□こちらも珍しい顔料で、他で見かけません。ゴールデンと名前がついている通り、濃淡のある黄色です。濃く塗ると鮮やかな山吹色、薄く塗るとやさしい黄色で、重ね塗りにもよいです。
121イエローバナジウム(PY184) 半透明⬜️発色強めのレモン色。はっきりとしたレモンが好きならこの色もおすすめ。2021年と2022年のパレットに入れている色です。
122トランスペアレントイエロー (PY150) 透明□透明感の強い黄色。濃淡で色がかなり変わります。濃い部分は渋みの強い茶色っぽい色なのですが、水で薄めていくと鮮やかな黄色が出てきます。この顔料は他のメーカーでもありますが、マイメリのトランスペアレントイエローは特に色が鮮やかでした。

124ガンボージ(ヒュー)(PY139)透明□ソフトな山吹色。透明感があります。こちらも何気に珍しく、マイメリでしか見かけたことのない色です。
125オレンジレーキ★(PO63)透明□伸びのよい透明のオレンジ。赤よりのオレンジでにんじんみたいな色。とてもとても鮮やかなのでスキャナで色が読み取れません。マイメリでしか見かけたことのない色です。色見本と違う色だなあと思います。
黄土色系

131イエローオーカー (PY42)不透明■定番の黄土色です。下地や混色に大活躍な色です。イエローオーカーの記事を読んでみてください。イエローオーカー、地味だけど超優秀!
161ゴールデンオーカー (PY43)半透明⬜️何気にレアです。131イエローオーカーの方が一般的でこちらは合成酸化鉄。一方ゴールデンオーカーのほうは天然酸化鉄とのこと。発色は弱めだけどナチュラルな色味。粒子の粗い色で、微妙に分離しているようにも見えます。
161ローシェンナ(PBr7)透明□こちらもやや粒子感のある色でした。イエローオーカーよりもくすんだ色味。
マイメリブルーの赤
色見本の一覧です。


赤の中には赤茶色も入っていてわかりにくいのですが、カタログの番号順に並べました。
詳しい解説つきの画像↓

167パーマネントカーマイン★ (PR176)透明□鮮やかで伸びのいいローズピンク!基本の赤としてもおすすめ。マイメリ以外では見かけない色かも(ベンズイミダゾロン)
174クリムソンレーキ (PR149)透明□力強い赤で衝撃を受けた色。ピロールレッドとも似てますが、もっと深みがある真っ赤。発色が強いです。ペリレン系の色なので耐光性も高いです。こちらもマイメリのみ。
176ローズ(アリザリン)マダー (PR187)透明□やや優しい発色。深みのある上品な赤です。レトロな配色にもぴったり。ホルベインのローズマダーとも似てますが、マダー系の顔料ではなく、モノアゾ系。こちらの方が耐光性も高いようです。
178パーマネントマダーディープ (PR179)透明□ペリレンマルーンと同じ色。血液のような生々しい赤。渋みの強い赤ですが、肌の表現に加えてもなかなかいい感じです。ペリレン系。

180キナクリドンレーキ (PV19)透明□PV19のなかでも赤紫のタイプ。冷ややかな青よりも赤です。伸びがよく滑らかです。イントロセットに入っている色です。
182ローズレーキ★ (PV19)透明□PV19の中でも、明るいピンクのタイプ。定番色ですが、とても彩度が高いです。乾くと彩度が落ちてしまうのですが、これは鮮やかなままです。基本の赤としてもいいし、うすめてピンクとしても優秀なおすすめ色。この色を検討するときは同じ顔料の256プライマリーレッドマジェンタと比較してみるといいかも。
186マジェンタキナクリドン (PR202)透明□こちらもマイメリ以外で見かけない珍しい赤。キナクリドン系の色。ちょうどマゼンタカラー。この色を検討するときは、紫のカテゴリーにいる473ベルチーノバイオレットと比較してみるといいかも。

224カドミウムレッドオレンジ (PR108)不透明■オレンジレーキと比較するとこちらのほうが落ち着いた色。不透明で強い発色が持ち味です。
226カドミウムレッドライト (PR108)不透明■かなりオレンジよりの朱色です。不透明で力強い発色です。塗りムラができにくいので、グラデーションや広範囲のウォッシュにも向いてます。
228カドミウムレッドミディウム (PR108)不透明■あたたかみのある赤で、少し渋みがあります。不透明で力強い発色です。

250トランスペアレントレッド (PR101)透明□茶色のカテゴリーに移したいっ。酸化鉄カラー。この色はオレンジ寄りで、酸化鉄カラーにしては色が淡いです。わりと珍しい色かも。ベージュとして、下塗りにも活躍しそうです。
251パーマネントレッドライト (PR168)透明□珍しいマイメリでしか見かけない色。透明感のある、朱色で、肌の赤みなどの重ね塗りにもよかったです。
253パーマネントレッドディープ (PR177)透明□こちらもマイメリのみの珍しい絵具。深みのあるローズレッドですが、透明感があり発色もそこまで強くないです。重ね塗りで色を加えるのがいいかも。
256プライマリーレッド・マジェンタ★ (PV19)透明□182ローズレーキと同じ顔料なので色が似ています。こちらのほうが少し色が明るいです。かなり彩度が高いです。この色は基本の赤としておすすめしている色です。

257ピロールレッド (PR255)透明□「ピロールレッドだ!」と思ったのですが、他メーカーのピロールレッド(いわゆる真っ赤の絵具)254サンダルレッド(PR254)の方なのでお間違いなく。こちらもパイロール顔料なのですが、254サンダルレッド(PR254)と比べると、よりオレンジよりの朱色。カドミウムレッドとも似ていますが、こちらのほうが明るくのびのいい色でした。おすすめ。
258キナクリドンレッド (PR209)透明□ホルベインのキナクリドンスカーレットと同じ色。赤というには色が浅く、どちらかというとピンク。水で溶いていくと、透明感のある美しい色。混色でつくることのできない色で、明るい色が好きな人にもおすすめ。
262ベネチアンレッド (PR101)不透明■酸化鉄の赤茶色。この色も定番色です。そこまで赤みは強くなく落ち着いた色です。発色が強く、不透明です。酸化鉄カラーは一つはパレットに入れたい!
263サンダルレッド★ (PR254)透明□真っ赤のピロールレッド。こちらの記事でも紹介してる定番色です→ピロールレッドの果てしない赤さを語る とても鮮やかな赤で、誰もが「赤」をイメージしたらこの色が浮かぶと思います。

270ドラゴンズブラッド (PBr25)半透明⬜️独特のネーミングで厨二心をくすぐられます。酸化鉄の赤茶色とも似ていますが、やや優しい発色で、透明感もあります。ベンズイミダゾロンの顔料でした。
276ポッツォーリアース★ (PR102)半透明⬜️天然酸化鉄の珍しい赤茶色!かなり優しい発色で、ベージュとして使うのにもとてもよいです。くすんだピンクとしても。マイメリならではの色を買いたい人にも おすすめの赤茶色です!
278バーントシェンナ (PBr7)半透明⬜️やや弱い発色。この色だけはちょっとムラになりがちでした。淡さを生かして下地や混色にも良さそうだと思いました。
赤の基本色として使えそうだと思ったのは、
176 ローズ(アリザリン)マダー、182 ローズレーキ、256 プライマリーレッドマジェンタ、263 サンダルレッド
赤系は、どの色も発色がよく、伸びが良かったです。カドミウム系以外はほとんどが透明色で、粒子も細かく滑らかな色です。
どの色も美しいので選ぶのが、迷うほどです。
マイメリブルーの緑

もともと緑の顔料は少なくて、どのメーカーもほとんどの緑の絵具を複数の顔料を混ぜて作っています。とくに便利な色味である、サップグリーンやフーカースグリーン、オリーブグリーンは混合しないと表現できない色です。
ところが、マイメリは単一顔料のため、これらの便利系の緑色がありません。サップグリーン、フーカースグリーンに使われている顔料はPG17で、他メーカーではオキサイドグリーンとして売られている色です。

なるほど!緑の色は他のメーカーと違う色があるんだね✨
でも緑の顔料だけでこれだけ種類がたくさんあるのは「正直言ってすごい!」と思いました。
ここから1色ずつ紹介します。

296グリーンアース (PG23)透明□ 発色よわよわの色①いわゆるテールベルトの色です。絵具を乾かしてから、水で溶かそうとしても、ほとんど色がつきません。色も弱くあまり発色しませんが、もともとそういう顔料です。乾燥させずにそのままチューブから出して使うのがおすすめです。淡い発色を生かして、他の色と混ぜたり、肌の赤みをおさえるために使ったりします。
316コバルトグリーンライト★ (PG50)不透明■ とても気に入った色。こちらも珍しい色です。単一顔料で濃いめのしっかりした緑。フタログリーンよりも落ち着いていてナチュラルな色味。翡翠の色✨少し粒状化するのがまた面白いです。おすすめ色!
317コバルトグリーンディープ (PG50)不透明■ 316コバルトグリーンディープの色よりも少し濃い色味。同じような感じで、植物を塗るのにもよさそうな自然なグリーン。やや不透明です。
318コバルトグリーンブルー (PB36)半透明⬜️ こちらもやや珍しい色。くすんだ青緑で、少し粒状化します。渋めの緑を作る時にも使えるし、影色としても実用的な青緑。

322キュープリクグリーンライト (PG36)透明□ このブログでもお馴染みの定番のフタログリーン。フタログリーンイエローシェードにあたる色。とても鮮やかな色でそのまま使うと不自然になりがちですが、さまざまなトーンの混色ができます。やや黄色より。
324キュープリクグリーンディープ★ (PG7)透明□ このブログでもお馴染みの定番のフタログリーン。フタログリーンブルーシェードにあたる色。とても鮮やかな色でそのまま使うと不自然になりがちですが、さまざまなトーンの混色ができる万能色。やや青より。
325 フッカーズグリーン (PG17)半透明⬜️ いわゆるフッカーズグリーンの色ではありません。ほとんどのフッカーズグリーンはフタログリーンと別の色を混合した渋みの緑です。マイメリのフッカーズグリーンの中身はクロミウムオキサイド。が、この色はかなりグレーに近く独特の色。珍しい色だなあと。植物の色というより、ミリタリー感のあるグリーン。
328コバルトグリーン (PG26)半透明⬜️ 粒子が荒く、粒状化が激しいので分離色を作るのにもおすすめ。この色があるのはシュミンケホラダムとマイメリだけ。くすんだ青緑。

333グリーンゴールド (PY129)透明□イントロセット(5色セット)にも入っている、ちょっとクセありの黄緑色。黄緑といってもかなりレモン色に近いです。なのでレモン色の代わりに使ってみてもいいかも。私は植物を描く時に下地に塗ったりします。適度に明るさがあるのと、染み付きの強い色なので重ね塗りにも向いてます。記事→グリーンゴールドと仲良くなりたい
348ビリジャン (PG18)透明□ 発色よわよわの色②淡くてとにかく色がつきにくいです。グリーンアースと同じく、チューブからそのまま出して使います。個人的にはちょっと粒状化するので、面白い味が出せる色として気に入ってます。
350ターコイズグリーン (PB16)透明□フタロ系の青緑。マリンブルーの色と同じような感じ。定番色です。強い発色で深みがあり、とても鮮やかです。
358サップグリーン (PG17)不透明■ こちらもいわゆるサップグリーンの色ではありません。サップグリーンはフタログリーンに黄色が混ぜられている黄緑色、というのが多いです。こちらは中身はオキサイドグリーン。これもフッカーズグリーンと同じくミリタリーなグリーンという印象です。
マイメリの青

青系は、どのメーカーでもそこまで違いがないのですが、マイメリブルーの青はちょっと珍しい色もありました。

359ベルリンブルー★ (PB15:1)透明□ 珍しいフタロブルーです。PB15:6のフタロブルーよりもやや落ち着いた赤みのフタロブルー。この顔料を使った絵具は他にシュミンケホラダムの484フタロブルーという色がありますがマイメリのベルリンブルーはもっと色も濃くて鮮やかです。シュミンケホラダムのPB15:1はこんな感じ→万能色484フタロブルーについて
368セルリアンブルー (PB36)半透明⬜️ やや黄みがかったコバルト。ザラザラ感はあまりなく、適度な色の濃さです。少し使ってみましたが混色にも使い勝手がよかったです。
372コバルトブルー (PB36)半透明⬜️ こちらは368のセルリアンブルーとも少し色が似ていますが、もっと粒子が荒く、ざらざらしています。色もよりくすんだ色です。こちらも少し質感を加えてたい時に重宝します。この色も心惹かれた色の一つでした!
373コバルトブルーライト (PB28)半透明⬜️ 澄んだ青色。ウルトラマリンと似た色だけど、もっと明るい色。コバルトブルーにしては滑らかで、色もしっかりしています。

374コバルトブルーディープ (PB74)半透明⬜️ 373コバルトブルーライトと似たような澄んだ青ですが、もっと深みがあります。そしてもっと粒子が荒いです。
377ファイアンスブルー★ (PB60)透明□ いわゆるインダンスレンブルー。紺色ともいうべき濃いめの青で、どのメーカーにもあるような定番な色です。が、結構メーカーによって違う色なので、お試しするのが楽しみでしたが、ファイアンスブルーはとても深い発色で驚かされました。濃く塗るとかなり濃いめの色もでます。おすすめ色!
381コバルトブルーグリーン★ (PB36)半透明⬜️こちらも分離力をつくるのによささそうな、くすんだブルーグリーン。粒子が粗めです。どちらかというと緑の仲間かもしれません。そのまま塗っても美しい色です。色だけだとこの色はかなりお気に入りの緑です。
391ウルトラマリンライト★ (PB29)半透明⬜️ウルトラマリンといえば粒子が粗めの絵具ですが、こちらは粒子細かめのしっとりしたウルトラマリン。強めの発色です。基本の青の一つとしておすすめ。

392ウルトラマリンディープ★★ (PB29)半透明⬜️イントロセットに組まれている色の1つ。粒子の粗いウルトラマリンは苦手だったのですが、この色で一気に好きになりました!ざらざらっとしていますが、粒子の散り方がきれいでとてもいい味が出ます。混色次第で、グレーっぽい色にしたり、くすんだ紫やくすんだグリーンも作れて、無限に広がっていく色。おすすめです!colors2021 の作品で使ったのでぜひご覧ください→COLORs2021で使った色を紹介
400プライマリーブルーシアン★ (PB15:3)透明□ 三原色のシアンの色。とても鮮やかな水色です。この色も乾いても色の鮮やかさが保たれていてびっくり!定番の色なのでどのメーカーでも買えますが、この色もとても発色がいいので気になります。
402プルシャンブルー★ (PB27)透明□この色も定番の色なので、どのメーカーでも買える色です。なので特に期待してなかったのですが、こんなに深みがあるのはマイメリだけかも。プルシャンブルーは独特の凝集(モケモケした感じ)があることが多いのですが、わりと滑らかだったのでこのあたりも気に入りました。たぶんお迎えします…!
412ターコイズコバルト★ (PB28)半透明⬜️ やや緑寄りのターコイズコバルト。鮮烈な発色で色もわりと濃いめです。人気色なのもうなづけます。ちなみにカタログの色とはかなり違います。3倍くらい鮮やかな色でした。

417セルリアンスカイブルー (PB35)透明□ いわゆるセルリアンブルー。かなり粒子が荒く、明るい水色。どの色と混ぜても分離するので、分離色を作ってみるのもありですね。
422インディゴ★★ (indigoNB1)半透明⬜️ とても珍しいインディゴ顔料。独特の渋みと深い色味が特徴。いい感じのブルーグレー。そのまま塗ってもいいし、混色にも便利です。ここ最近はまっていて2021、2022年のパレットに入っています。もともとインディゴ は好きな色でしたが、マイメリのインディゴ を知ってからはこの色が定番となりました。2022年パレットの記事
431フタロターコイズ (PB15:4)透明□こちらも珍しいフタロブルーの兄弟。ほんとに珍しいです。どちらかというと青緑で350ターコイズグリーンと似たような色です。
440ウルトラマリンバイオレット (PV15)半透明⬜️ 発色は弱めですが、美しい紫の色調。やや粒子が粗い色です。
441ウルトラマリンブルー (PV15)透明□ 名前が紛らわしいですが、ウルトラマリンバイオレットの顔料。色は珍しい青紫の色調です。こちらもやや発色は弱めです。
マイメリの紫

紫は4色です。青のところにあった440ウルトラマリンバイオレットと441ウルトラマリンブルーを合わせると6色です。

458 マンガニーズバイオレット (PV16)半透明⬜️ かなり粒子の荒い、個性的な紫で、どの色と混ぜても分離するので、分離色を作りたい人にはおすすめ。色は赤みのくすんだむらさき。
463パーマネントバイオレットブルー★ (PV23)透明□ かなり深い色味で驚きでした。ディオキサジンバイオレットなので、定番の紫顔料です。とても美しい色味。混色で深い色も作れました。メーカー別の比較をしたい人はコチラ→大事な紫を紹介する
466キナクリドンバイオレット (PV55)透明□ 粒子が細かく伸びのよい色。赤紫色です。混色にも向いてます。
473ベルチーノバイオレット★ (PR122)透明□ この色も定番の赤紫。紫というより、青みの赤。薄めて冷ややかなピンクを作ったり、混色するのにも使う。オペラの代用品としても使うことができる。マイメリのベルチーノバイオレットは色も明るく澄んでいてとても好き。こちらもメーカー比較をした特集記事があるので比較したい方はどうぞ→ピンクにぴったりの絵具キナクリドンマゼンタ
マイメリブルーの茶色

茶色は、赤茶色が豊富で、赤のところにも、
250トランスペアレントマルスレッド、262 ベネチアンレッド、270 ドラゴンズブラッド、276 ポッツォリアース、278 バーントシェンナ、
があります。

474ブラウンマダー(アリザリン)透明□ PR206赤茶色だけど、キナクリドン顔料。赤茶色の中でもかなり色が明るめ。くすんだ赤やくすんだピンクとしても使える。酸化鉄の赤茶色とはちがい、透明感があり滑らかなので、こちらで代用してもいいかも。
476 マルスブラウン★ (PR101)不透明■ こちらも酸化鉄。(酸化鉄カラーに色々な種類があることに驚きを隠せない)茶色と黒に少しだけ分離する珍しい色。土や木の幹、古い建物、サビなど色々な質感を表現するのに活躍する。絵にニュアンスを加えられる面白い色です。他では見かけない色。
479ポッターズピンク (PR233)透明□ 全90色のなかで一番粒子が荒く、粒状化する色です。色はくすみピンク。混色して分離色を作ったり、質感を表現するのにもよい色。マイメリのグラニュレーションカラーは粒子の散り方が好き。

484バンダイクブラウン (PBr7)不透明■ 思ったより淡い色。茶色というよりベージュのような感じ。淡さを生かして重ね塗りにもよい。金属の表現にもよさそう。
486 セピア★★ (PY164)不透明■ グレーがかった美しい茶色。この色もマイメリだけ。茶色にしては滑らかなのもポイント高いです。茶色の顔料はそのほとんどが土の顔料ですが、これは黄色の顔料です。土っぽいがさがさの感じがなく、色も「いかにも茶色!」という感じの色ではないので、「あまり茶色に惹かれない」というひとにもおすすめ!単色記事で紹介してます→マイメリのセピアを推す話
492 バーントアンバー★ (PBr7)半透明⬜️ 定番の茶色。深みがある暗めの茶色。癖がなく濃淡で表現できる。一番好きなのは、シュミンケホラダムのバーントアンバーですが、この色もいいなあ〜と思いました。バーントアンバーの比較記事があるのでこちらで確認してみてください→最愛の色!シュミンケのバーントアンバー
493ローアンバー (PBr7)半透明⬜️ こちらも淡いベージュでした。どちらかいうとイエローオーカーのような黄土色にも近いですが、もう少しくすんだ色み。
マイメリブルーのグレー

黒、グレー系の絵具は全部で5色。

514ペインズグレー★ (Vat Blue)半透明⬜️ こちらも珍しいインディゴ顔料!青みのグレーですが、色はそこまで強くなく、適度に透明感があります。重ね塗りや混色にも。イントロセットに入っています。
535アイボリーブラック (PBk9)不透明■ 黄色味の強い淡めの黒。塗るとムラになりがち。
537カーボンブラック (PBk7)不透明■ 色が強く、滑らかな黒。真っ黒にしたいときにはこの色。全部の黒のなかで一番色が濃かったです。
540マルスブラック (PBk11)不透明■ 粒状化する個性的な黒。この黒もとても珍しい。他の色と混ぜて分離色も作れます。
560ニュートラルチント (PBk26)不透明■ ニュートラルチントは紫がかったものが多いですが、これは本当にニュートラルな黒でした。ペインズグレーほどではないけれどやや青みのグレーが作れます。
マイメリはどんな人に向いている絵具?
色を鮮やかに使いたい人!
ドットシートの量ではたっぷり塗ることができなかったので、よく分からなかったのですが、ある程度の量の絵具をたっぷりつけて塗ってみたら…
思ったより色が濃く鮮やかでした!

全体的に乾いても色がくすみにくいようにも感じました。特にフタロブルーやキナクリドン系の赤などはかなり鮮やかな色味だし、深みのある色で色もしっかり発色します。なので、鮮やかな色を使いたいという人にもとてもおすすめです。
私は定番で毎年使っているような絵具、例えばフタロブルーやPV19系の赤、プルシャンブルー、パーマネントバイオレットなども、ぜひ使ってみたいなと思いました。
混色を練習したい人!
全色単一顔料なので、どの絵具もその顔料の特性などがよく分かります。単一顔料であるということは、混色しても色の彩度が落ちにくいのもありますし、1色で色々な使い方ができる絵具も多いです。枯葉はもともと混色推しです。選択肢をあまり増やさないで、混色でオリジナルの色をつくるのを頑張りたいという人にもおすすめ。

特に、赤、黄色、青の絵具は種類が豊富で選びがいがありますよ。
珍しい絵具が使ってみたい人
今回改めて思ったのが、「マイメリにしかない色」というのが多いということ。
なので、ちょっと個性のある絵具が使ってみたいという人にもおすすめです。
私は粒子の粗い色が苦手でしたが、マイメリのウルトラマリンディープで一気に好きになりました。
他にもインディゴやセピア、ネイプルスイエロー、コバルトグリーンなどマイメリならではの色を狙ってみるのもよいと思います。
マイメリブルーの難点
難点はやはりチューブが大きすぎることでしょうか!!
やっぱり何本か買ってみて思うのは、12mlチューブは大きいです。なかなか使いきれません。とはいうものの、インディゴやウルトラマリンディープは大活躍しているので、けっこうチューブがぺちゃんこになってきましたよ。

なので、買うならよく使いそうな色を検討してみた方がいいかもしれません。
ハーフパンのほうが量が少なく価格も安いので、「使い切れる自信がない…」という方はこちらを検討してみてもいいかもしれません(ハーフパンを通常のパレットに出すという裏技も…😏)

ハーフパンでチャレンジしてみようかな…?
最後に
というわけで、マイメリブルーの魅力についてご紹介できたかな!と思います。
気になる色があったらぜひお試ししてみてください!
チューブが大きく、ちょっと買うのに勇気がいるマイメリブルー。そのうち5mlチューブが売られることにならないかな?と密かに期待しています✨
単色でいくつか紹介しているのでぜひぜひ。
イントロセットは単色で買うより、かなり価格がお得なので気になる色が2〜3色あったら買いですよ。ただ、クセのある色が多めなのでそのあたりはご注意を!