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もっと知りたい!透明水彩のテクニック

今回は備忘録も兼ねて、透明水彩でよく使われるテクニック(技法)をまとめたいと思います。

透明水彩独特のものもあれば、他の画材でできるようなものもあります。透明水彩が苦手とするのは、均一な塗りです。同じ色でムラなく塗ったり、グラデーションをかけたりするのは難しいです。

逆ににじませたり、重ねたりするのはとても透明水彩が得意な技法です。

では1つずつ見ていきたいと思います。

ウォッシュ 

ムラなく塗りつぶす、平塗りの技法。

シンプルだけど、透明水彩では、ムラなく塗るのは意外と難しいです。

絵具や、紙によってもムラなく塗りやすいもの、塗りにくいものがあったりします。上⬆︎の画像だと、左のカドミウムイエローと真ん中のカドミウムレッドが、ムラなく塗りやすい絵具です。右のウルトラマリンブルーは、粒子が大きく、透明の色のせいか、少しムラになりやすかったです。

水彩紙は、荒目の紙の方が、ムラなく塗りやすいです。

塗るときのコツは、絵具の濃度で、水が多すぎない方がうまくいきます。

ウェットインウェット

ウェットオンウェットという場合もあり、どちらがどう違うのか不明。

にじみの技法。水か絵具を塗り乾かないうちに、別の絵具を上にのせるとにじみが広がっていく。透明水彩のにじむ性質を利用した技法。

これは水を塗った上に、絵具をのせたウェットインウェット

にじみかたは、水分の量や、紙、絵具によっても違い、同じようなにじみを作るのは難しい。

下⬇︎は同じ青の絵具をのせているが、粒子が大きく重たいウルトラマリンはあまりにじみが広がらないし、粒子が細かく軽いフタロブルーは、大きくにじみが広がっている。

ウェットインウェットのことは別の記事にまとめています↓

ウェットインウェット(にじみの技法)を徹底解説!

グラデーション

色を少しずつ変化させていく技法。

1色の濃淡でグラデーションを作ることもできるし、2〜3色で色を少しずつ変化させていくグラデーションを作ることもできる。

青で単色グラデーション

フタロブルー、プルシャンブルーで1色のグラデーションを作りましたが、きれいに色を変化させるのは、難しいです。少し失敗しました^^;

こちらは割と綺麗にできています。ウルトラマリンバイオレット(シュミンケ)使用⬆︎

2〜3色でグラデーションにすることもできます。比較的、挑戦しやすいのは、カドミウムイエローやネイプルスイエローをメインにして、オレンジやピンクに変化させていく夕焼けグラデーションです。割と失敗しにくいです。

グラデーションは難しいです。詳しく別記事にまとめています↓

簡単そうで難しいグラデーション[透明水彩技法]

重ね塗り

絵具で塗り、乾いたあとに、もう一度絵具を重ねる技法。

透明水彩の透明性を生かした技法。絵具が透明なので、下の色が透けて見えます。

影の表現にしたり、複雑な色合いを表現したり。グラデーションやウェットインウェットと組み合わせることもできます。

ただ、紙や絵具によってうまく重ねられないことも多く、初心者が一番苦戦する技法かもしれません。

そんな時はこの記事をどうぞ!

透明水彩、重ね塗りがうまくいかない、という人へ

リフティング

絵具が乾いた後に、絵具を筆やティッシュでぬぐって取り去る技法。

ハイライトを入れたり、境界線をボカしたりするのに便利な技法。紙が弱いと、痛んでしまうので注意が必要です。

ぶどうの光沢は、一度色を塗ったあと、リフティングで絵具を取り去って、表現しています。

水のみの筆で、こすったあと、ティッシュや綿棒でしっかりおさえます。この技法は定着の強すぎる紙では、できません。リフティングしやすいおすすめの水彩紙はランプライトです。

ランプライトについて(水彩紙レビュー)

ドライブラシ

絵具をつけた筆の水分を取って、カラカラの状態にして、こする技法です。

乾いた線は勢いを感じさせるので、力強いタッチにしたいときにとても良いです。筆をランダムに押し付けるようにすると、ゴツゴツした岩のような表現もできます。

風景描写には欠かせないタッチですね。岩や木の幹などゴツゴツしたものから、動物のふわふわした毛並みまで、色々なものが表現できます。透明水彩というと、ウェットインウェットのような水をたっぷり使った技法が、メインになりがちですが、このような荒いタッチもとても便利です。

スパッタリング

絵具のついた筆を弾いて、絵具の飛沫を飛ばす技法。

絵具はかなり水分が多い方が、絵具がよく飛びます。

乾いた紙の上にスパッタリングする場合と、濡れている部分にスパッタリングする場合では、かなり違った感じになります。

絵具で塗ったあとに、白の絵具をスパッタリングするのも、また違った感じになります↑

指で弾くほか、網を使ったり、定規を使って飛ばすこともできるます。偶然性の高い技法で、絵具はどこに飛ぶかわからないので、マスキングした方がいいこともあります。

エアブラシはこの技法の応用です。

マスキング

透明水彩では、色を濃く塗った後に、上から不透明の色を重ねて、塗り直す事ができないので、絵具をのせたくないところはマスキングで覆っておく必要があります。

↑葉っぱの模様はマスキングのペンで描いています。個人的には、筆で塗るタイプより楽で、使いやすいです。真っ直ぐの線はマスキングテープ。

左からマスキング液、マスキングペン、
マスキングテープ、マスキングシート

マスキングも、液体状のものを筆で塗るタイプや、ペン状のもの、テープやシートなど、さまざまなタイプがあります。

分離色

流行しているので入れてみた。

混色の応用で、うまく混ざらない絵具同士を混ぜて、絵具の分離を楽しむ技法。具体的には、粒子の荒い色と粒子の細かい色同士を混ぜます。うまく混ざらないので、時間が経つと色が分かれてきます。

水をたっぷりのせると、分離しやすいです。上の画像はバックランという技法も使っています。

絵具の選び方によっても分離の様子は変わってきます。

どんな絵具を使ったら分離色が作れるのかについてはこちらに詳しく書いてます↓

分離させて不思議なにじみをつくる[分離色の作りかた]

バックラン

ウェットインウェットの一種。絵具で塗ったところに、水をたらすと、カリフラワー状の模様ができる。

意図的に使えば技法。紙によって、できる模様はかなり違います。くっきりカリフラワーの模様になることもあれば、ぼんやり白いにじみができるだけのことも。

また、絵具を塗ってから、どのくらいのタイミングで水を垂らすかによっても、形や大きさが変わってきます。通常のウェットインウェットに比べるとコントロールができないので、乾いてみるまでどんな模様になるかわかりません。

ウォッシュをするつもりが、うっかりバックランが起きてしまうこともあります↑

筆の水分が多すぎるときに、バックランになってしまいます^^;

塩(ソルト)

塩を使った技法。絵具で塗ったあとに、塩をパラパラまくと、塩が絵具を吸って不思議な模様ができます。

バックランにも似た模様です。

塩の粗さや紙目によっても模様の形は変わります。

水をたっぷり吸うようなコットン紙だと、綺麗な模様になりやすいです。ちなみに上↑の模様は、ワトソン紙に粗塩で作っています。

線描

絵具をムラなく塗るのがウォッシュという技法なら、細い線をひいていくのも技法かな、と。

細い線を筆でひいていくのは難しく、慣れも必要。小さい筆よりも面相筆の方が、長い線がひけるような気がしている。植物の葉脈や茎を描いたり、人物では髪の毛やまつげを描くのに必要。

私はとても苦手です!練習あるのみ。

終わりに

もっと他にも技法があると思うのですが、とりあえず思いついたものだけまとめてみました。

テクニック別にも詳しく記事を書いているので、そちらも見てみてください。少しずつ技法の記事も増やしていたきたいと思っています。

ほとんどはこの記事で紹介した技法の組み合わせで、描けると思います。

ただ、透明水彩の場合、技法の良し悪しは紙に影響されやすいので、紙が描きづらいものだとうまくいきにくいです。水彩紙の記事もチェックしてみてくださいね!

何から買えばいい?初心者におすすめの水彩紙

誰も教えてくれない水彩紙のこと

コットン紙とは?[水彩紙のきほん]