今回の記事はカドミウムイエローについてです。この色は、賛否の分かれる色で、好む人と避ける人がいます。私は「カドミウムイエローがないと絵が描けない」というほど好きな色なのですが、特徴のあるイエローなので、それについてお話ししようと思います。
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カドミウムイエローは定番色
カドミウムイエローは定番色で、多くのメーカーで同じ名前で売られています。成分は硫化カドミウムです。顔料はPY35。
大体どのメーカーでも買うことができて、手に入れやすい色だといえます。色味もいくつか種類があるのですが、どの色味も使いやすい色味です。最近の12色セットに入っていることはあまりないのですが、シュミンケホラダムのセットには入っています。
鮮やかでとってもきれいな黄色
カドミウムイエローの種類
一口に「カドミウムイエロー」といっても色々な黄色があります。レモン色から、普通の黄色、山吹色まで。
大体こんな感じの種類があることが多いです。
カドミウムイエローレモン
カドミウムイエローライト(ペール)
カドミウムイエローミドル
カドミウムイエローディープ
大体3〜4種類ほどのバリエーションがあるメーカーが多いです。カドミウムイエローレモンはレモン色で澄んだ色味で、下にいくほど、オレンジに近い色味になります。
特にこだわりがなければ、カドミウムイエローライトやカドミウムイエローペール、カドミウムイエローミドルが、いわゆる黄色で、一番オースドックスな黄色だといえそうです。
どの色も捨てがたいけど…
とりあえずはカドミウムイエローライトやミドルがおすすめです❗️
ただ、カドミウムレモンも、混色で色の彩度が落ちにくいので、鮮やかな色をたくさん使う人にもすごくいいと思います。
カドミウムイエローディープは、赤やオレンジが混色されていることもあります。暖かい山吹色で、自然のものを描くのに程よいです。
カドミウムイエローの特徴
カドミウムイエローの長所
カドミウムイエローは、不透明の黄色です。不透明というと不透明水彩のような隠蔽力を創造されるかもしれませんが、透明水彩の不透明色は、それほど不透明でもありません。下の色を完全に覆い隠してしまうほどの隠蔽力はありません。
そこまで不透明じゃないんだね
透明水彩の不透明色はどちらかというと
- 強い発色
- 溶けやすく、少しの絵具で、たくさん塗り広げられる
- しっかりした色で混色にも負けない
- ムラなく塗れる
という特徴があります。なので、しっかり色をのせて、濃厚にしたいときや、絵にインパクトを出したい時には、不透明色はとても便利です。
混色して作った色も、しっかりした色になりやすいです。
特に、黄色は元々弱い色味で、他の色との混色に負けやすいです。ただ、カドミウムイエローは強いイエローなので、他の色との混色でも負けにくく、しっかり主張します。混色の相手が黒であっても、影響を受けにくいです。半々くらいで混ぜても、黄色の色味がしっかり残ります。
黒にも負けないの、すごい!
カドミウムイエローを混色しないで、単色で使ったときも、その強い発色で主張するので、黄色系を際立たせたい時にはとても有効な色なのです。
また色がムラなくのるので、発色も際立って見えます。色が鮮やかに感じるのです。他にも鮮やかなイエローはあるのですが、その中でもワントーン明るいです。
これほど、強い色味のイエローは他にないので、なかなか代わりの色が見当たりません。
なかなか代えがたい貴重なイエローなんです…
なので、絵具の扱いに慣れない初心者の方にも使いやすいイエローなので、ついすすめてしまいます。ただ、この色には欠点もあるので、この先もお読みください。
カドミウムイエローの短所
有毒性
カドミウムイエローには欠点があります。それは有毒だということです。
有毒といっても、そこまで強いものではないので、絵具として使用する分には、問題ないそうです。ただ、家に小さな子供がいる、ペットがいる、手に傷がある、など、毒性が気になる場合もあると思います。そういった場合は、別のイエローの方が安心できるかもしれません。
また筆洗水を下水に流してしまってよいのかという問題ですが、大量に使う人でなければ問題ないようですが、私の場合は、使った筆を雑巾やティッシュでしっかり絵具を拭き取った後、筆洗水で洗っています。カドミウム系の色は重たいので、しばらくすると筆洗容器の底に沈みます。上澄だけそーっと捨てると、底に絵具が溜まっているので、それをさらにキッチンペーパーなどで拭っています。
黒変化
また、水を含んだ状態で、日光に当てると黒っぽくなるという特徴もあるらしいです。らしい、といったのは、今まで、そのような状態になったことがないからです。野外スケッチを趣味にしている方は、念のため屋外へは別のイエローを持っていったほうが良いのかもしれません。
カドミウムイエローの代わりのイエローはある?
ウィンザー&ニュートンのカドミウムフリー色
カドミウム系の色を毒性のない安全な顔料で作ったシリーズです。
カドミウム系の色の強さや不透明感、鮮やかさはそのままで、毒性がない、とは画期的!
ウィンザー&ニュートンすごい!!
色はドットシートで全色塗り比べてみましたが、色の強さ、不透明感がやや控えめであるものの、かなりカドミウムシリーズに肉薄していると感じました。色はほぼ同じです。いずれは、私もこちらに乗り換えてしまうかもしれません。
カドミウムフリーイエローペールやカドミウムフリーイエローが、基本の1色としておすすめです。
別のイエローを探せ
カドミウムイエローほどの強さはないけれど、色味が似ているものを集めました。性質は違いますが、もちろん基本のイエローとして使うことができます。「こちらの方が透明感があり、好み!」という方も多そうです^^
カドミウムイエローは毒性がある、不透明である、ということから、賛否が分かれる色ではあろうと思います。他のイエローの方がいい!という場合は、代替できる色を書いておきますので、参考にしてみてください。
カドミウムイエローレモン
イミダゾロンレモン(ホルベイン)、ウィンザーレモン(W&N)、
クロミウムイエローヒューレモン(シュミンケ)
レモンイエロー(シュミンケ) 透明感があるレモンイエロー
レモン色は他にも色々な顔料があるので、カドミウムイエローレモンにこだわらなくてもいいかもですね。
カドミウムイエローライト、カドミウムイエローミドル
イミダゾロンイエロー(ホルベイン)、
パーマネントイエロー(ホルベイン) 、ウィンザイエロー(W&N)、
パーマネントイエロー(ターナー)、
パーマネントイエローライト(クサカベ)、ピュアイエロー(シュミンケ)、オーレオリンヒュー(シュミンケ)
このくらいの中間の色味が一番難しいです。イミダゾロンイエローが、一番一般的だと思いますが、ちょっとざらっとしています。
カドミウムイエローディープ
ガンボージノーバ(ホルベイン) 、ウィンザーイエローディープ(W&N)、クロミウムイエローヒューディープ(シュミンケ)
終わりに
私は黄色の絵具が好きなので色々使ってきましたが、カドミウムイエローだけは特別な黄色です。
毒性がある顔料のため、扱わないメーカーもあります。ゆくゆくは安全な顔料に代替されていく運命かもしれませんが、やはり発色の美しさと強さは唯一無二なので、ずっと使い続けられるといいなと思います。
透明水彩における「不透明色」には誤解もあり、特性を知らずに避ける人も多いのですが、しっかり塗ることができるので便利な色でもあります。
「黄色なんてどれも同じじゃない?」と思う人にはぜひ試してみてほしいですね。
毒性が気になる人はウィンザー&ニュートンのカドミウムフリーイエローでいいと思います!
ドットシートでしか試していないので、普通のカドミウムイエローとどのくらい差があるのかは分かりませんが、でもありがたいことこの上ない…!
黄色の記事はまた作りたいのですが、なかなか分類が難しいです…