透明水彩を始めてみたいけど、「何色を買えばいいか分からない」という人へ、おすすめの色を厳選してみました。
目次
なぜ7色がいいの?
「さあ、透明水彩を始めてみよう!」
と思って画材屋に行ってみて、あまりの種類の多さに、

どの絵の具を選べばいいのだろう…
と迷ってしまったことはありませんか。
12色セットを買ってみるも、あまり使わない色が入っていたり、逆に欲しい色がなかったり。
また、すでに絵具を持っていて、描いているけれど

すぐに色が濁ってしまう!
色づくりがうまくいかない!
という方もいるかもしれません。

私の場合は

絵具をたくさん持っているのに、色使いがマンネリ化してしまう悩みでした。。。
絵具は、どの色も必要な気がするので、たくさんパレットにいれていました。。
でも何枚も絵を描くうちにだんだん色使いがマンネリ化してくるんです。個性だと言ってしまえばそれまでですが、もっと違う色も使ってみたいのに。。
「こんなに絵具があるのに、似たような色塗ってしまう…」
「数が多すぎて、かえって、うまく選べないということなのかな?」
ふと、絵具を最低限でそろえるなら何色買えば済むのだろう?と思いました。
そして、色々考えた結果、
この7色あれば、ほとんどの絵は描ける!むしろ分かりやすい!
という7色の絵具を発見しました。

実際に混色見本も作ってみて、2色混ぜて作られる色を試してみて、かなりの色が作れることも分かりました。
私も、思いきって色をしぼってみたら、色のことがよく理解できるようになり、よりたくさんの色を使うことができるようになりました。

他の種類の画材を、試すときにも、必ずこの7色を買ってみることにしています。
ですので、
「初心者でどの色を選んだらいいかわからない」
「色使いや色作りがもっとうまくなりたい」
という方にこの7色そろえてみることをおすすめします。
この7色の具体的な色名はこの記事の後ろの方でお伝えしますね。
7色そろえるメリット
なぜ、7色そろえてみるとよいのか、そのメリットについてご紹介します。
数が少ないので、初心者でも気軽に始められる。
とにかく7色というのは少ないです。
「本当にこれで絵が描ける?」
と思う方もいるかもしれないですが
描けます!

7とは不思議な数で、人間は7つのものまでなら正確に覚えられるのだそう
とにかく数が少ないので、とりあえず始めてみようかなというときも、気軽です。
12色セット、18色セットよりも、絵の具代が安く済む。
12色セットも充分コンパクトですが、7色はさらに少ないです。ので、絵具代がかかりません。
ちょっと憧れの高級メーカーの絵具を買ってみたい、というときも7色なら挑戦しやすいです。
それでいて、セットにありがちな「この色は使わないなあ」という色はありません。
風景画だろうと、イラストであろうと、どんなタイプの絵でもおすすめできます。
本当の意味での基本色です。
混色パターンが少ないので、覚えやすい。
これは7色の最大のメリットです。
2色混色のパターンは21種類だけで、何色と何色を混ぜるとこの色になる、というのをおぼえやすいです。
実際に試してみると、すごく色々な色が作れることがわかります。

この7色は、鮮やかな色も、落ち着いた色も両方作れます。
私もたくさん絵具を持っているのに、色のマンネリ化に苦しんでいましたが、7色を試してみて、かえって色のバリエーションが増えました。
好みに応じて買い足しもしやすい
とにかく少なく、応用のきく7色なので、逆に買い足しをしたいとき、とても自由度があります。
しばらく、7色で描いていると、表現できない色味も出てくるので、そうなると買い足しが必要になります。が、必要になる色は、どんな絵を描きたいかによって、それぞれ違います。

キャラクターが描きたいから、肌色と相性のよい色を買い足そう!

もっと鮮やかな黄緑を作れる色を買い足そう!

とにかく青が好きだから、青の絵具を増やそう!
など、その人の描きたいものに応じて買い足しがしやすいです。
何色がどういう目的で必要なのか?分かると、色数が増えても、色作りに迷いがなくなります。
12色セットじゃだめ?
12色セットを買って始められる方、多いと思います。
この12色セット、各メーカーによって入っている絵の具は、様々なのですが、子供用の絵の具とは違い、なじみのない色が入っていたり、あまり使わない色が入っていることもあります。
なので、結局他の色を買い足す人も多いと思います。
結果、色数が増えすぎてしまって、大混乱。ということも。
色は増えれば増えるほど、混色パターンが分かりにくいです。
使いやすい色につい、手が伸びてしまうので、色合いがマンネリ化してしまうこともあります。

絵を描き始めるのに最初は12色もなくて大丈夫!
必要な色は人によって違うので、少しづつ買い足ししていけば、自分仕様にカスタマイズされたベストパレットを作ることができます。
「やっぱり12色セットが欲しい」という方は、色々なメーカーの12色セットをレビューしているので、ぜひ比較してみてください↓
3原色ではだめ?
逆に3原色と言われる、赤、黄、青、の3色で始めるのはどうなんでしょう?

各メーカー、3原色の色を明示していています。この色は3色を混ぜてかなりたくさんの色を作ることができます。(理論上は全ての色を作ることができるはず。なのですが、実際の絵の具は、そこまで純粋ではないので、混ぜていると少し色が濁ります。)
でもこれで絵を描くのは難しいんです。
3原色から毎回、同じ色を作ることは難しいです。

よく使う、緑と茶色の色を、いちいち作らなくてはいけないのも、面倒です。
初心者には、もう少し色がたくさんある方が分かりやすいかなと思います。
でも、ある程度絵の具に慣れている人なら、三原色の3色のみで、絵を描いてみるという試みは色の勉強になるので、よい試みだと思います。
私も時々トライしますが、いつも使っている色を3色で作るのは、とても難しいです。
7色から作れる色のパターンは?
そこで7色は絶妙なんです!
7色の場合、2色混ぜてできる色のパターンは21種類だけ。
12色セットだと、2色の混色パターンは66種類ですから、それと比べてもだいぶ少ないです。
絵の具で一番大切なテクニックは混色。
絵の具を混ぜて新しい色を作ることです。

21パターンだと、どの色とどの色を混ぜると、この色が作れる、というのが分かりやすいし、覚えやすいです。だからおすすめなんです。
具体的にはどの7色を買えばいいの?
では、実際にどの色を買えばいいのか、色名を紹介しますね。
日本で手に入りやすく、おすすめできるいくつかのメーカーの絵具名を記します。メーカーは少しずつ増やしていくつもりです。
- ホルベイン
- ウィンザー&ニュートン
- シュミンケ・ホラダム
- ターナー
ただ、メーカーによって同じ色なのにも関わらず、色名が違うものもあるので、各色の見出しに私のつけた名前がついているものもあります。よくメーカーと色名を確認してください。
いくつか、色名が書いてあるものはどちらでもいいよ、というものです。
あと、違うメーカーの絵の具を一緒に使うことはできます。なので、赤はホルベイン、黄色はターナー、のように別々のメーカーから絵具を買って使うことは問題ありません!

好きなメーカーから選んでOK!
1.マゼンタ
- ホルベイン:キナクリドンレッド
- W&N:パーマネントローズ、パーマネントカーマイン
- シュミンケ:パーマネントカーマイン、ルビーレッド
- ターナー:ローズレッド

鮮やかな赤です。どちらかというと、真っ赤というより、紫寄りの赤です。
発色も伸びもよく、色も濃いです。透明感があり、粒子も細かく滑らかです。
薄めるとしっかりしたピンクになります。
実はメーカーごとにも、色の差があります。
明るい鮮やかな赤が好みの場合はホルベインのキナクリドンレッド、ウィンザー&ニュートンのパーマネントローズ、シュミンケのルビーレッドがおすすめです。
深みのある汎用性の高い赤は、ウィンザー&ニュートンのパーマネントカーマイン、シュミンケのパーマンネントカーマイン、ターナーのローズレッドです。
顔料でいうとPV19です。他メーカーでこの色を探すときは顔料表示を見てみてください。どのメーカーでも必ず売っています。
同じPV19でも色味がいくつかあるので、この記事もチェックしてみてください。
2.カドミウムイエロー
- ホルベイン:カドミウムイエローライト
- W&N:カドミウムイエローペール
- シュミンケ:カドミウムイエローミドル
- ターナー:カドミウムイエロー

いわゆる黄色です。不透明ですが、黄色の中では一番色が濃く、強く発色します。伸びもよく、ムラなくしっかり塗ることができます。
黄色はもともと明るい色で、他の色の影響を受けやすいですが、カドミウムイエローは強い発色なので、他の色との混色しても負けません。初心者にもおすすめのイエローです。
ですが、一応毒性のある色なので、他の色がいい、という場合は、イミダゾロンイエローやパーマネントイエローなどの似た色でも大丈夫です。
カドミウムイエローは、色味によってバリエーションがありますが、カドミウムイエローディープやカドミウムイエローレモンではなく、ミドルやライトという表記のあるものが、最初の1色としておすすめです。
3.フタログリーン
- ホルベイン:ビリジャンヒュー
- W&N:ウィンザーグリーン(ブルーシェード)
- シュミンケ:フタログリーン
- ターナー:フタログリーン(ブルーシェード)

透明感のある鮮やかなブルーグリーン。粒子が細かく滑らかです。
人工的な色味で、嫌う人もいますが、この色は作ることができない重要な色です。
チューブからそのまま使うのではなく、必ず混色して使います。
明るい黄緑や、オリーブグリーン、褐色など様々な色を作れてとても便利です。
市販の便利系のグリーン(例えばサップグリーンやオリーブグリーンなど)は、大抵このフタログリーンと黄色を混ぜて作られています。
色名はメーカーごとに違いややこしいですが、PG7という顔料なので、迷ったら顔料をチェックしてください。「ビリジャンPG18」という色はまた全然性質の違う色で、粒子が荒いので、混色に向きません。
フタログリーンを100%フル活用する記事。使い方の解説が必要なので、必読!↓
4.シアン(フタロブルー)
- ホルベイン:ピーコックブルー、フタロブルー(イエローシェード)
- W&N:ウィンザーブルー(グリーンシェード)
- シュミンケ:セルリアンブルートーン、ヘリオセルリアン
- ターナー:フタロブルー(グリーンシェード)

プリンタに入っているインクのシアンに似ている色。
三原色の青に一番近い青です。
緑よりの明るい青で、薄めるといわゆる水色、空色になります。
鮮やかで、透明感のあり、粒子が細かく滑らかな青。
この色も作ることができない重要な色です。鮮やかなので、混色して使うことが多いです。
ホルベインのフタロブルー(イエローシェード)、ウィンザー&ニュートンのウィンザーブルー(グリーンシェード)、シュミンケのヘリオセルリアン、ターナーのフタロブルー(グリーンシェード)は比較的深みのある色で、濃い部分はかなり濃いです。
一方、シュミンケのセルリアンブルートーンは、少しだけ(本当にわからないレベル)白が混ぜられていて、使いやすい濃さに調整されていて、初心者におすすめ。ホルベインのピーコックブルーも少し緑が入った青ですが、色味が強すぎないので使いやすいです。
顔料はフタロブルーPB15という顔料ですが、この顔料は色の幅が広く、様々なブルーがあるので、しっかり色味をチェックする必要があります。
5.ウルトラマリンブルー
- ホルベイン:ウルトラマリンディープ、ウルトラマリンライト
- W&N:ウルトラマリン(グリーンシェード)
- シュミンケ:ウルトラマリンファイネスト
- ターナー:ウルトラマリン

紫がかった青で、明るく透明感があります。
こちらは粒子が大きく、ザラザラした質感。
古くからあるクラシックな色味。
青は上記のシアンとウルトラマリン2種類の青があると、とても便利です。
PB29という顔料です。
粒子の荒い色ゆえに混色がうまくいかないケースもあるのですが、この色味はウルトラマリンしかありません。フレンチウルトラマリンという色は、同じ顔料ですが、もっと粒子が荒く青紫の色味です。最初は普通のウルトラマリンがおすすめです。
粒子が荒いのが嫌な人は、ウィンザー&ニュートンのウルトラマリン(グリーンシェード)やシュミンケのウルトラマリンファイネストが粒子が細かくおすすめです。(ターナーのウルトラマリンも粒子細かめです)
6.イエローオーカー
- ホルベイン:イエローオーカー
- W&N:イエローオーカー
- シュミンケ:イエローオーカー
- ターナー:イエローオーカー

黄土色。薄めると穏やかな黄色のようにも見えます。
不透明でくすんだ色。抜群に耐光性が高く、色あせに強い色です。
意外なことに一番よく売れる色だそうです。確かに私のパレットでも一番減りが早いです。
地味な色ですが、よく使う色です。この色がベースになった色は多いです。
植物、動物の毛並み、食べ物、金属の表現、人物の肌や髪の毛など。。
もちろん、単色ではなく、下地や混色して使うことが多いです。混色すると、相手の色を落ち着いた色にする性質があります。
どのメーカーでも同じ名前で売られていて、色味もそこまで差がありません。特にこだわる必要なしです。
7.バーントアンバー
- ホルベイン:バーントアンバー
- W&N:バーントアンバー
- シュミンケ:バーントアンバー
- ターナー:バーントアンバー

落ち着いた茶色。どんな種類の絵にも茶色は必要です。
混ぜた相手の色を渋くする役割もあります。くすんだグリーンや、くすんだ赤、などを作ることができ、欠かせない色です。(リアルな絵によく使う色です。)
ブルー系と混色し、グレーを作ることができます。このグレーは絵ではよく使う大切な色です。グレーの色は買うのはでなく、バーントアンバーと青との混色が圧倒的におすすめです。
メーカーによって色味の違いがあります。
私は茶色にとても強いこだわりがあり、中でもおすすめはシュミンケのバーントアンバーです。とても美しい深みのある茶色で、この4メーカーの中では一番おすすめです。とはいうものの、お値段が初心者向けではないですね💧
2番目に好きなバーントアンバーはクサカベです。
絵を描いていうちにさらに深い色が欲しくなった場合は、セピアの買い足しがおすすめです。
おまけ、黒があった方がいいという方へ
最初は、黒は使わない方が、色がきれいに使えます。
(バーントアンバー+ウルトラマリン)で表現するのがおすすめです。
ですが、やっぱり、黒が欲しい、という場合もあると思います。例えば、髪の毛を真っ黒に塗りたい、とか、看板の文字を黒くしたいなど。
そんな時は、黒の絵具の代わりに「ペインズグレー」という色をおすすめします。これは青みがかったグレーです。

よくセットに入っているのはアイボリーブラックという色ですが、ペインズグレーの方が、混色した時、色が鈍くならないです。上記のおすすめ7色とも相性抜群です。
黒は使ってはいけない、という教本や先生も多いのですが、「実際のところどうなんだろう?」と迷っている方へ↓
おすすめの黒、グレー絵具について↓
終わりに
いかがでしたか?こんな色、本当に使えるかな?という色も混じっていたかもしれません。
でも、この透明水彩おすすめ7色は、混色するときに、生きてくる色なんです。
混色が上手になると、欲しい色を自分で作れるので、とても便利です。そして、限られた色で表現した方が、絵の色彩にまとまりが生まれ、こなれた印象になりやすいです。
もちろんこの7色で表現できない色も一部存在するのですが、自分がその色味を絵に取り入れたいと思ってから、買い足すのでも十分です。初めは、2色混色で色を作ることからスタートしてみてください。7色のうち2色を選んで混色する、という感じですね。
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