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透明水彩のマスキングとは?おすすめマスキングインク、使い方、使える紙も紹介!

今回は透明水彩で使うマスキングについてご紹介します。透明水彩では、マスキングは避けて通れません。色々な種類のマスキングも一挙に紹介します。

マスキングってどんなもの?

マスキングとは、あらかじめ紙の一部を覆い、そこに絵具がつかないようにして、白抜きする技法です。

なぜ、これが透明水彩でとても重要な技法なのかというと…

透明水彩は絵具が透明なので…

上から別の色で塗りつぶすことができない

という特性があるからです。

絵具が不透明なら、先に背景を塗っておいて、手前の人物は上から塗りつぶすように塗れば問題ないわけですが…

透明水彩の場合は、別の色で塗りたい部分には、あらかじめ何かで覆っておいて絵具がつかないようにしないといけません。特に暗色の上に明るい色を重ね塗りすることができません。透明水彩にも一応不透明色というのがあるのですが、そこまで不透明ではないです。

避けながら塗ることもできないのですが、特に細かい部分でそれが難しいです。

このような時に活躍するのがマスキングです!マスキングはゴム状の液体やテープで覆っておいて、絵具をつかないようにする技法です。水彩描いている人なら一回は「使いたい」と思う瞬間があるのではないかと思います。

マスキングを使う場面

背景が暗く、手前のものが明るい

よくあるパターンは背景の色が暗く、人物が手前にいるパターン。肌色はどうしても色が明るいので、背景の色が肌にかからないようにしなくていけないです。

この場合は、あらかじめ人物(全部でなくていい、境界の部分のみマスキングで十分)にマスキングを施し、先に背景を塗ります。マスキングを剥がして、後で人物を塗ります。

先にマスキングで、人物を覆ってから、背景の紺色を塗る。
後から、白抜きした人物に色を入れていく

筆を大胆に動かしたい時には、全部を覆っておくと安心です。が、マスキングするのは境界だけでいいかなあと、と個人的には思います。広範囲をマスキングするのなら、マスキングシートやテープから切り抜く方が、紙が傷みにくい気がします。

境界のみマスキング、少し広めの方が安心。
顔は万が一を考えて、覆っておいた方がいい

ハイライトを入れたい

ハイライトを白抜きしたい時にもマスキングは使えます。技法書でもよく見かけるやり方です。人物だと鼻の頭のハイライトを白抜きするとか、りんごの光沢やガラスの光沢など。どちらかというとハイライトをシャープに見せたい時に使います。

シャープな形にしたい

また形をシャープにとりたいときにも必要になります。

水平線をまっすぐにしたい、月をまんまるに取りたい。

フリーハンドで描いてももちろんよいですが(それを推奨する先生も多いです)やはりまっすぐな線にしたい場面もあるので、そういうときはマスキングを使います。

まん丸や直線にしたい時だってある!

テープ状のマスキングなら、まっすぐの線を表現できますし、コンパスカッターでマスキングテープを円形に切り抜けば正円の形に塗ることができます。

ムラなく塗る

マスキングをするとシャープにきれいな形に塗れるだけでなく、もう一つメリットがあります。マスキングしてあることで、安心して思いっきり筆を動かすことができるので、ムラなくきれいに塗れるのです。

絵具をつけたくない部分を避けながらチマチマ塗っているとムラになりがちです。紙によってはどんどん絵具が乾いてしまうので、きれいに塗れなかったりします。

かれは
かれは

よくやってしまいます…

マスキングは手間なのですが、やはりやっておいた方が結果としてムラなくきれいに塗れることが多いです。

種類①マスキングテープ

あると便利です。水平線に使うこともできますし、簡易的に水張りしたりする時にも使えます。どこでも売っているので一つ買っておくのがおすすめです。

いわゆる模様つきのマスキングテープとは違います。

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太さは色々あって、15mm程度から50mmの太いものまで。18mmが一本あると便利です。

ものすごく細いものもあるのですが、大型画材店でないと見かけないです。50mmの太いものはコンパスカッターで円を抜く時に使えます。

種類②マスキング液

マスキング液にもペンタイプとビンタイプがあります。

マスキング液(ビン)

これが一番一般的なタイプです。ボトルに入ったマスキング液です。液体を別の器に出して、筆で取って塗ります。

マスキング液を出す容器はこのようなプラスチック容器だと使い捨てできて便利です。これは胡麻豆腐や卵豆腐が入っていた容器ですが、とても使いやすくおすすめです。

ごま豆腐おいしい。。

筆は、消耗してもよいような安い筆を用意するか、水筆がおすすめです。とにかくマスキングは筆にこびりつくのが難点で、筆があっという間に摩耗します。筆にこびりついたマスキングを洗うのは至難の技です。とにかく乾く前に洗ったほうがいいです。(絶対に高い筆を使ってはいけません💦)

水筆のタンクの部分に石鹸溶液を入れておくと、筆の繊維がコーティングされあまり筆にこびりつきません。この方法はおすすめです。水筆も100均のもので十分です。すぐにダメになってしまうので…

最近、それすらも嫌になり、白い色鉛筆を尖らせて、先端につけぺんのようにしてマスキングをつけて描いています。冗談みたいな方法ですが、自分では画期的だと思っていて、割ときれいな線が描けるし、先端の形状によっては太い線も細い線も掛けます。使い終わったらマスキングは固まるので、手でぽろっと剥がして終わりです。ただ、色鉛筆の色は白でないとダメです。色がついていると色が溶け出し、紙に色がつきます。

つけぺんやガラスペンを使う方法もあるようですが、色鉛筆なら誰でも持っていそうなので、ものは試しでよかったらお試し下さい(水彩の先生には怒られてしまいそうなやり方ですが…)

筆を洗うという嫌なミッションがクリアになったので、最近私は気軽にマスキングをするようになりました。

マスキング液の種類

色々なメーカーから出ているので、ご紹介しますね!

まずはホルベイン!これは画材店でよく見かけます。私も買ったことがあります。ちょっと匂いが苦手なのですが、量がたっぷりです。粘着力はやや高めです。少しだけ薄めて使ってもいいかもしれません。

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次はミツワマスケット。これもよく見かけるので入手がしやすいです。たぶん一番安いです。粘着力が高めなので、割と紙が剥がれてしまう現象が起きやすいです。

シュミンケのドローイングガム。大型の画材店で時折見かけます。こちらは、そこそこお値段するのですが、弱めの粘着力で紙を傷めにくいようです。色は水色。

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ウィンザー&ニュートンのアートマスキング。あまり使用者を見かけないですが、私の愛用のマスキングです。匂いもなく、さらさらっとした軽い感触のマスキング。これまで収集した情報から考えると一番粘着力が低く、表面が弱い紙にも使えています。色は無色と黄色の2種類ですが、黄色のタイプのほうが見やすいかな。これのおかげで嫌いだったマスキングを頻繁に使うようになりました。おすすめです!

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ウィンザー&ニュートン

マスキングの粘着力ランキング

これまで皆様に寄せていただいた情報から推測するに…各社マスキングの粘着力は

ミツワ>ホルベイン>シュミンケ>ウィンザー&ニュートン

のようです。ウィンザー&ニュートンのマスキングは表面が弱めのヴィフアールでも使うことができますが、他のものは剥がれてしまう、との声が多数でした。

その次に、弱目の紙でも大丈夫、という声が多かったのがシュミンケでした。

(あくまで皆様の声から推測しているので、参考までにお願いします)

種類③マスキングペン

マスキングペンは筆を使わず、そのまま描けるペンタイプのマスキングです。(やはり筆がネックなんでしょうね〜)これもとても便利です。広い部分のマスキングには向きませんが、細かい部分をマスキングしたり、線描にはこちらはとてもよいですね。

私も便利に使っていたのですが、何せすぐに固まってしまう。しばらく使わずに引き出しに入れておくと、大抵使えなくなっています。なので、使い切っていないのに何度も買い直しています。そこがペンタイプの難点ですね。

ひよこ
ひよこ

気づくと使えなくなってる。
使いたい時に使えない〜〜

マスキングペンの種類

ホルベインのマスキングペン。これを使っている方が多いのでは?色も制作の邪魔にならない薄いピンク。粘着力はそこそこです。ビンのタイプと違い、薄めたりできないんですよね。細かい線描もしやすいです。ただよく固まります。

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ぺベオのマスキングペン。私のものがハズレなのか、出があまりよくないです。かなり細い線もかけます。こちらも気軽に使えてよいです。

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シュミンケのマスキングペン。色が無色と水色があります。使ったことがないのですが、愛用者が多いです。瓶タイプよりも、粘着力は強いようです。

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マスキング技法の問題点

マスキングは、透明水彩絵描きには避けて通れない技法なのですが、問題点もいくつかあります。

境界がはっきりしすぎる

マスキングをした部分の境界がはっきりしすぎてしまうことです。

マスキングをすると「いかにもマスキングほどこした感じ」になります。もちろん好みもありますが、マスキングをした部分としない部分が、はっきり分かれてしまうので、自然に見えないこともあります。浮いてしまうんです。なので、マスキングをした部分、しなかった部分を後でなじませたりする必要があることもあります。

境界がくっきりしすぎて、浮くことが多い

このあたりは目指す表現次第になります。

この境界がシャープになりすぎるという特性をうまく生かした表現もあります。

マスキングが使えない紙もある

マスキングは使えない紙もあります。表面が弱い紙はマスキング技法は使えません

マスキングを剥がすときに、紙が破れてしまったりします。そこまでいかなくても紙の表面が弱くなってしまうこともあります。

なので、マスキングが使える紙は、限られてきます。そして先ほど紹介した通り、マスキングには粘着力に違いがあるので、粘着力弱めのマスキング液を用意しておくと、弱めの水彩紙に使うことができます。

それぞれの紙のマスキング耐性を表にしてみました(こちらも全て同じ条件で試していないので、確定情報ではありません。参考までに。違うな〜と思ったら問合せください)

マスキング耐性水彩紙
強い(文句なし)アルシュ、ウォーターフォード、ファブリアーノアルティスティコ、
強いストラスモア、ラングトン、アクリルデネブ、
ワーグマン、ホワイトアイビス、
タッチⅡ、モロー
中(条件による)ワトソン、セザンヌ(中目)、ランプライト
弱め(条件次第、概ね厳しい)ヴィフアール(WNマスキングOK)、アヴァロン、キャンソンヘリテージ、DoART、バンブー
弱い(やめた方がいい)ニューブレダン、クレスター、シリウス、マーメイド、アルデバラン、ストーンヘンジアクア

自分で確かめている紙もありますが、Twitterで寄せていただいた情報も多数あります。その中で、OKのものNGのもの分かれる紙もありました。そういったものは条件による(中、弱)に入れてあります。自分でも確かめて少しづつ追記しようと思います。

マスキングは、紙によっては使えない技法だというのは念頭に入れておいた方がいいですね。そういった紙の場合は、剥がさないタイプのマスキングや塗った絵具を取り去ることができるメディウムを使うなど、別の方法をとる必要があります。

ウィンザー&ニュートンのマスキングは、粘着力が弱く、割とマスキングができる水彩紙が多いので、おすすめします。

単体のレビューがあるので、こちらも読んでいただきたいですね!無色タイプを買ってしまったけれど、黄色いタイプの方が見やすいと思います。

そしてラバークリーナーもあった方が、剥がしやすいです。ゴシゴシするのではなく、くっつけてとるようにすると、紙を傷めにくいです。

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終わりに

というわけで、マスキング技法についてまとめてみました。

以前、問合せでマスキングについての質問を頂いたので、いつかまとめた方がいいなあ〜と思っていました。

特にマスキングが使える紙、使えない紙については情報が不完全なので、いつかきちんと試した上で追記したいと思います。現時点ではあくまで参考までに、お願いします。

もし、ちょっと違うところがあるな、と思ったらお問い合わせしていただいても大丈夫です。