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ウェットインウェット(にじみの技法)を徹底解説!

透明水彩の技法の中に、「ウェットインウェット」というものがあります。

簡単に言ってしまうと、「にじみ」のことです。

濡れたところに、絵具を垂らすと、絵具がにじみながら広がります。

とても水彩らしいテクニックです。

一口にウェットインウェットと言っても、色々なパターンがありますので、うまく使いこなせると表現の幅が広がります。

では1つずつ解説していきます!

水の上にウェットインウェット

まず、紙の上に水をひいて、その水が乾く前に絵具をのせます。

こんな感じです。

絵具はにじんで広がっていますね。

水はたっぷりだと大きくにじみますし、少し乾き気味だとあまりにじみません。

この状態で、何かを描くと、境界がボケたような感じになります。

フワッとした柔らかい感じ、または遠くのものがピンボケしたような感じを表現できます。

これが「水の上にウェットインウェット」です。

絵具の上にウェットインウェット

絵具でまず色を塗り、その絵具が乾く前に別の色の絵具をのせるテクニックです。

このような感じです。

まず下の色を塗ってから…

ここでポイントは、下にぬる色より、上にのせる色は水少なめにする!ということです。

下の色より、上の色が水たっぷりだと、バックラン現象がおきます。

白い部分がバックランです
バックランはふちどりができることもあります

バックランも味がありますが、白いにじみが広がってしますので、想定外のにじみになります。注意です^^;

下の色より、絵具の濃度を濃いめにする、ということですね。(別に色は薄くてもよい。あくまで、水の量が多すぎないように注意)

下の色と上の色は、混じり合うので、それを想定した配色にします。

最初はまず「同系色」でトライしてみてください。

補色でにじませるのも面白いのですが、キレイに見せるためにはテクニックがいるので、まずは、似たような色でにじみを作ってみてください。

例えば黄色にオレンジや水色の上に濃い青、などです。

この方法を使うと、じんわりとにじんだような影を表現できたり、にじみを模様のように見せたりもできます。

最初に色を置いたところにしか、にじみは広がっていかないので、それを生かすこともできます。

この方法は生かし方がたくさんあります。

ウェットインウェットしながら色を変化させていく

グラデーションの技法とも通じますが、色を変化させていく方法です。

色塗りをしながら、色を変化させていき、少しずつ広げていきます。

濃度を一定に保つのが難しく、少しでも水が多いと、すぐにバックランになります。

最初は薄い色にして、少しずつ濃い色を加えていくとやりやすいと思います。

全体として、水は多すぎないように(でもカラカラでもいけない)ちょうどよい水加減で塗っていきます。

ウェットインウェットがうまくいかない

ウェットインウェットがうまくいかない、きれいににじみが出来ないと言う場合は、使っている紙を見直してみる必要があります。

ウェットインウェットは、水彩紙に左右される技法で、画用紙やパルプの水彩紙ではうまくにじみが広がらないことが多いです。

できれば、コットン100%のコットン紙を使うのが1番良いです。たとえば、ウォーターフォードやアルシュ 、ランプライト、ファブリアーノアルティスティコ、ストラスモア、セザンヌなどです。

これらの水彩紙はにじみがきれいに出る紙です。

また、これらの紙が手に入らない場合、コットン+パルプの紙、例えば、ワトソンやホワイトアイビス、クレスターでもにじみは綺麗につくることができます。

パルプの紙の中でも、モンバルキャンソンや、ラングドンなどはにじみが上手くできる方です。

上手く使い分けができるといいと思います。

ウェットインウェットが乾くと、はじっこがふちどりのようになる現象は?

これはエッジといいますが、原因のひとつは水彩紙です。中々絵具が乾かず紙の表面を漂っている時間が長いと、ふちに絵具が溜まりやすいです。

やはり、パルプの水彩紙に多いような感じがします。

2つ目の原因は水が多すぎることです。水が多すぎると中々乾かず、ふちに絵具が溜まりやすいです。雑巾やティッシュで筆の水分量を調節してから塗るとよいです。

とにかく水加減が大切です。

高価なコットン紙の水彩紙ほど、水をたっぷり吸うので、水が多すぎてもトラブルにはなりません。塗ったところに均等に絵具がのるような感じです。

エッジがほとんどできない紙もある 

ウェットインウェットは道具に左右される

ウェットインウェット、にじみの技法は、使う水彩紙によって、かなり変わってきます。

大きくにじむ水彩紙もあれば、あまりにじみが広がらない水彩紙もあります。

紙の素材(コットンかパルプか)や、かけられているにじみどめ、表面の凹凸によってもにじみの表情は変わってきます。

また、絵具の種類によっても変わります。メーカーによる違い、というよりは色によって違いがあります。粒子が大きく重たい顔料の色はゆっくりにじみが広がっていくし、粒子が細かいものほど、にじみが早く広がります。

慣れているつもりでも、毎回にじみは違う表情になり、同じものを再現しようとしても中々できません。かなり偶然性の高い技法です。コントロールは難しいですが、それがまた魅力的でもあります。

完全にコントロールすることはできない…

最初は、水彩紙と絵具で遊ぶつもりで、ウェットインウェットにトライするととても楽しいと思います。

絵じゃなくて、模様を作ってもいいですね。どの色とどの色を組み合わせたらきれいか?色々な発見があると思います。