今回は個人的に気に入っている色を単色でレビューします。個人的な好みというだけでなく、初心者にも使いやすくおすすめの色なので、参考になれば嬉しいです。
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ピーコックブルーはどんな色?
ピーコックブルーはこんな色
ピーコックブルーはホルベイン透明水彩の絵具です。
いろいろある青色の中でも特に鮮やかな色です。色相環でいうとかなり緑よりの青です。まさに水色を濃くしたような色ですね。
特徴は抜群の透明感!!粒子が細かく滑らかです。
スッと溶けやすく伸びもいい。
まさに孔雀の羽のような色。もしくは、サンゴ礁の海の色!
キレイ!
大好きな色♪
ピーコックブルーはフタロブルー系
ピーコックブルーの顔料はPG7とPB15となっています。
ベースになっているのはフタロブルー(PB15:3) という顔料ではないかと思います。
フタロブルーイエローシェード(PB15:3 )と色がそっくりだからです。
このPB15:3に、PG7(ビリジャンヒューの色、このサイトではフタログリーン)が混ぜられています。多分、比率はフタロブルーがメインで、フタログリーンは少しなのではないかなと思います。(色味から想像しています)
以前、反響いただいた記事の中に青の記事があるのですが、絵具で青はあまり顔料の種類が多くなく、どのメーカーでも大体6種類。他のものは混合色だったりします。詳しい記事はこちら。
ピーコックブルーはその6種類の中では、フタロブルーのグループに入ります。
重要だけどクセのある顔料PB15
ピーコックブルーのベースになっている、PB15:3(フタロブルーイエローシェード)の色は三原色の青にも指定されています。なので、PB15(フタロブルー)は混色では作れないとても大事な色になります。
ですが、PB15(フタロブルー)はちょっと困ったところが…
それは色が強すぎるところです。
透明感が強く、発色の良すぎる顔料で、濃い部分はとても深みがあるのです。薄めると、使いやすい水色になるのですが、絵具を取りすぎると色が濃くつきすぎてしまいます。濃度の調整が難しく、均一に色を塗るのが難しかったりします。グラデーションに塗るのも難しいです。少しずつ色を薄めていくのですが、濃い部分の色が不用意に流れてしまったり。
とにかくコントロールが難しい!!
この調子で、なかなかきれいに塗れません↓
お〜、苦戦してるね💧
そして強すぎる色味のため、混色の時も、相手の色を食ってしまいます。黄色と混色するとフタロブルーの方が強いので、すぐに青っぽく染まってしまいます。(黄色はたくさん必要になる)
赤と混ぜたときも、深すぎる紫に。。フタロブルーの色が強すぎるので、混ぜてできた紫は、色が深すぎてほとんど黒に見えます。薄めると鮮やかになりますが。
なので、色味自体は、重宝するのですが、顔料の特性により「ちょっと扱いが難しい色」なんです。
この色が12色セットや18色セットに入っていないことが多いのも、そういった特性なのはないかと思います。
この特性を知らないとちょっと
戸惑うかも…
こちらの記事にも詳しく!↓
ピーコックブルーの優秀さ
その点、ピーコックブルーは、色がフタロブルーイエローシェードにとても似ているのに、色味があまり強くないのです。比べて塗ってみました。フタロブルーにはとても深い色味の部分があるのですが(濃く塗るととても濃い)ピーコックブルーには深い色の部分はありません。濃く塗っても、浅めの鮮やかな色をキープできてます!
混色の時にも、相手の色を殺さない、ちょうどいい。相手の色も生かした混色に。どの色とも相性いい!
すご〜く使いやすいです。
色味の鮮やかさはそのままに、色の強さが少しだけ和らげられているイメージです。
ていうか、本家のフタロブルーPB15よりもちょっと鮮やか?
え〜っ!不思議だねえ…
ピーコックブルーはPB15とPG7の混合色。
普通はこのような混合色は、単一顔料の絵具よりも彩度が低くなり、混色するとさらに彩度が低くなるらしいのですが(これが定説)
ピーコックブルーは混合色なのに、単一顔料のフタロブルーよりもちょっと鮮やかなのが不思議です。(たぶんPG7がいい仕事してる)
色々な色と混色もしてみたのですが、あまり彩度が下がっていないのですよね〜。
ミステリー!!
こういうこともあるので、やはり実際に試してみないとわからないこともあるんだなあと。しみじみ思ってます。
PB15はこのような混合色が多い
このPB15の色味の強さには困ったもんだ、と各メーカー思っているのでしょうか(たぶん、違う…笑)
PB15の色味を少し和らげた色というのは、色々なメーカーでも売られています。
シュミンケホラダムのセルリアンブルーヒュー
個人的に傑作だと思っているのが、シュミンケホラダムの「セルリアンブルーヒュー」
こちらもPB15:3 の色味を少し和らげた絵具です。こちらはPB15:3に白が入っています。この色は何度もリピート買いしているのですが、塗ってみても全くの透明色なので、入っている白は少しだけだと思います。ただ、この少しの白がとても効いていて、均一に塗りやすいです。超おすすめです。
ただ、色味はホルベインのピーコックブルーとほぼ同じ。(笑)
なんならホルベインのピーコックブルーの方が、ちょっと鮮やかです。(爆)
あらら…
意外!
でもシュミンケの絵具は均一にフラットに塗れるので、こちらも魅力があるのです。コスパを重視する方はピーコックブルーをぜひ。
私の2021年のパレットにはピーコックブルーの方が入っています。予算に応じてピーコックブルーかセルリアンブルーヒューのどちらかが、パレットに入っています。
2021年パレット
セヌリエのシネアリスブルー
ちなみに、セヌリエの「シネアリスブルー」もPB15に白が入っています。ただ、シネアリスブルーの場合は白の分量が多いようで不透明です。
色はパステルカラーというほど淡くはありません、ただ一般的なフタロブルーと比べるとかなり明るめです。
さらにフラット塗れる感じがあります。
ムラなく塗るのは得意
私はもう少し透明感ある方が好きですが、使いやすい色だと思います。もちろん好みがあるので、いろいろ試してみてください。
シネアリスブルーは、セヌリエ三原色の青の色です。
PB15に自分で白混ぜて調整するのもありかもですね〜。
白の使い道の記事をご覧ください。
ホルベインとW&N マンガニーズブルーノーバ
あとはマンガニーズブルーヒューという色もあります。こちらはホルベインとウィンザー&ニュートンの青で、顔料はPB15のみとなっています。
原理は不明ですが、こちらは同じPB15でも色がかなり淡いです。フタロブルーイエローシェードから、そのまま濃い部分を抜いたような色です。なので、濃いめに塗っても水色な絵具です。
こちらは白は入っていないので透明ですが、ピーコックブルーよりも色が淡いです。
優しくていい色だね〜
まさに水色!って感じ
水色としてしか使わない場合はこの色が便利そうです。
どれか1色くらいあると便利かも!
私はこの色相の絵具とても重宝しています。一時期パレットから外していたのですが、やはり三原色に一番近い色ということで、この色がないと作れない色も多く、色作りに苦戦していました。(結局次の年にパレットに戻しました)
色々紹介しましたが、その中では、ピーコックブルーが一番鮮烈で、画面にインパクトや隠し味に使える色だと思っています。値段も安くコスパもいいです。
番外編 ピーコックブルーあれこれ
ピーコックブルーにまつわるあれこれ。
春蔵のスカイブルーという色に使われている顔料PB17。今では見かけない顔料なのですが、昔のホルベインのピーコックブルーはPB17が使われていたそうです。フタロブルーよりも鮮やかな色味だったようで、それをより耐光性が高く堅牢な顔料で置き換えたのが今のピーコックブルーなわけですね。
個人的にとても面白い話だったので、シェア。コメント欄で色々教えて頂いてます。