水張り大辞典(簡単な水張りの方法)(水張りが面倒な人向けの方法も紹介)

今回は時々質問を受ける&サイト内の検索でも多い水張りについて、ご紹介します。私は水張りあまり好きじゃないのですが、避けて通れないので、初心者の方でも簡単にできる方法もいくつかお伝えしようと思います。水張りしなくて済む方法も一緒にまとめます。気軽に透明水彩を楽しんでもらえるといいな!

なんで水張りが必要なの?

ひよこ
ひよこ

水張りってよく聞くけど
なんで必要なの?しないとだめ?

かれは
かれは

水彩で紙を濡らすと、紙がびろ〜んと
反っちゃうことない?

ひよこ
ひよこ

確かにある!反っちゃうと
描きにくいって思ってた。

小学生の時、図工の時間で、薄い画用紙に絵具で塗っていくと、紙がボコボコになってしまって描きにくかった!という経験を誰もが持っていると思います。

特に薄い紙だと、濡らすとボコボコになってしまうんですよね。

厚い紙はボコボコにはならないんですが、思いっきり反りかえったりします。

反ってます!

これでは描きにくいことこの上ないので、あらかじめ紙を濡らして、伸ばした状態にして、テープで留めてピンと張ってしまうんです。そうすると、いくら絵具で紙を濡らしても、大丈夫!ベコベコにはなりません。きれいに平らな状態で快適に絵を描けるんですね。

なので絵を描くときには、「水張り」はした方がいいんです。

水張りは面倒?難しい?

でも、一回一回、絵の描く前に水張りするのは、ちょっと面倒だったりはします。

そして、意外と初心者には難しい?

私もパネルに水張りはやっているのですが、不器用なため、よく四隅にシワが寄ったりしてます。そのため、挫折しちゃう人もいるかも?と思って今回は簡単な方法もご紹介します。

ちゃんとした水張り

水張りにはパネル張りと平張りという2種類の方法があります。

①パネル張り

パネル張りが、一番正統な水張りのやり方です。

木製パネルよりもひと回り大きな水彩紙を用意して、紙を濡らしたあと、水彩紙をパネルの側面に折り込んで、テープで留めます。ただ、この折り込んで留めるときに四隅にシワが寄ったりしやすいです。分厚い水彩紙だと折りづらかったりします。

ただこの方法は、紙を外側に引っ張りながら、固定できるため、絵具を塗っているとき、一番紙がたわみにくい方法になります。そして描いた絵を取り外した後、テープが側面にしか残らないため、パネルを何度も再利用しやすいです。

この動画が一番分かりやすいかな、と思います。ゆっくり丁寧に説明して下さってます。

が、やっぱり慣れるまでちょっとコツがいるので、初心者さんや私のように不器用な人は、次に紹介する平張りの方からチャレンジしてみることをおすすめします。

②平張り(おすすめ★)

平張りはパネル張りのように、大きめの紙を折り込むのではなくて、パネルより小さい紙をそのまま貼り付ける方法です。こちらの方が失敗しにくいです。

平張りの手順

①水彩紙の裏を刷毛などでしっかり濡らします。しばらく10分ほど浸水させます。その間に少し水彩紙が伸びます。

水をつけるのは水彩紙の裏面です

②水張りテープはあらかじめ4本切っておきますが、濡らすのは1本ずつです。貼っては濡らし、貼っては濡らし、です。水張りテープは濡らすと粘着力が発動するタイプのテープです。一回濡らしてしまうとどこにでもくっつきますので、注意。

一本ずつ濡らして使います

③水彩紙を表にして、水張りテープで貼っていきます。長い方の辺から貼っていくと安定します。

テープを貼る時は紙と平行になるように。

平張りの場合は、紙のサイズがパネルよりも小さいため、紙が水平に張れていないことがあります。1mmのずれでも、絵のバランスに影響を与えますので、注意しましょう。おすすめは長辺の一辺をパネルの端っこに合わせてしまうことです。これでちゃんと水平に貼れます。

④4本貼れたら完成です。完全に乾いたら絵を描くことができます。

しっかり押さえて乾かします

紙を裏しか濡らさない理由は、水彩紙の表面にはサイジング(にじみどめ)がかかっていて、水を塗るとサイジングに影響を与えるので、描き心地が変わってしまうのと、紙の表面が濡れている状態で擦って伸ばしたりすると表面が傷つきやすいからだと聞いたことがあります。両面水をつけた方がいいとするやり方もあって、風呂にじゃぶんと浸けてしまうとか、ホースで両面をびしょびしょに濡らすなど。

私は裏面だけ濡らすでもきれいに張れるので、いいのではないかなと思っています。参考までに。

平張りの弱点は、描き終わった後に、紙をパネルから外すと、水張りテープがパネルにこびりついてしまうことです。外す方法もあります。残ったテープを霧吹きか何かで、湿らせておいて、少し置いてから、ヘラでこそげば取ることができます。

簡単な水張り

ここまでの水張り方法では、水張りテープと木製パネルが必要です。

が、「水張りテープも、木製パネルも持っていない!」「他のもので代用できないか?」という方もいると思うので、代わりのもので代用してみます。

木製パネルの代わりに…

ひよこ
ひよこ

木製パネルがないっ

という場合は、画板や厚手のボードなどでも大丈夫です。

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「それすらない」という場合は、水彩紙のスケッチブックの表紙でもOKです。私は描き終わったスケッチブックの表紙を捨てずに取っておいてます。

これだと、水張りテープがきれいに剥がれずに残ってしまっても、何度か使った後に捨ててしまっても構わないので、とても気軽です。

とにかく、平らで分厚くて、濡らしたときに反り返らないものであれば、水張り用に使うことができます。

ひよこ
ひよこ

木製パネルじゃなくてもいいんだ!

ちなみに木製パネルは画材屋さんで購入可能です。かなりサイズが大きいものもあるので、大作には木製パネルの方がいいと思います。Amazonでも売ってますね。(意外にお手頃、送料も無料だし)

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100均に売っているまな板に貼ることもできるそうです。確かにまな板はしっかりしてるし、良さそうです。全然思いつきませんでした〜〜!

あとは刷毛がなかったらスポンジや霧吹きでもいい、と教えてくださった方も。刷毛じゃなくてもいいですよね!

マスキングテープを使った水張り

ひよこ
ひよこ

水張りテープがないっ

という場合は、マスキングテープでも出来ます

マスキングテープは濡れてしまった面に貼り付けることができないので、手順にちょっと工夫が必要です。

①まず、先にマスキングテープを紙の四方に貼っておきます。

②紙を裏返して、小さめの平筆で紙だけを濡らします(マスキングテープの粘着面を濡らさないように注意)

③紙を表に返し、ぎゅーっと押さえて伸ばしながらマスキングテープでパネルか、ボードに貼ります(画像はスケッチブックの裏表紙に貼ってます)

これでも一応水張りはできます。が、あまり安定感がないので、小さな紙を水張りするときにしか使いません。F4以上を水張りするときには、水張りテープを使った方がきちっと貼れます。

簡易的な水張り、小さい紙なら問題なし

水張りテープは、そんなに高いものでもないので、一つ持っておくと便利です。色は色々ありますが、私はクラフト色が気に入ってます。

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水張りテープは湿気たり、水分が少しでも付くと、悲劇が起こる(全部使えなくなる!)のでジップロックに入れて保管します。テープがくるくるっとほどけないように、テープの端っこに少しだけ水をつけて、留めておくといいですよ。

スケッチブックの時はどうしよう?

ひよこ
ひよこ

スケッチブックの時は水張りどうしよ?
外さないでこのまま描きたいんだけど…

かれは
かれは

そういう時はこんな方法もあるよ。

スケッチブックの4辺をマスキングテープで留めてしまいます。台紙の部分までしっかりテープで固定します。リングの部分は留めなくてもいい気もしますが、一応留めています。こうすると次のページに絵具が流出するのを防げますしね!

水張りではないので、多少はたわんでしまうのですが、乾くと意外に真っ直ぐになります。

何もしないよりはかなり描きやすいと思います。

もちろんきちんと水張りをした方が、真っ直ぐにはなりますが、面倒な時やスケッチブックの形のまま残しておきたい時はこういう方法を使うこともあります。

その他

クリップやタッカーで固定する方法もあるそうです。

水張りしなくて済む方法

ひよこ
ひよこ

今日は水張りしたくないっ

そんな日もありますよね。水張りすると、すぐに制作に取りかかれませんし、やっぱり面倒くさくなってしまうことも。

そんな時(私の場合、そんな時の方が多いのですが)に水張りをしなくて済む方法をご紹介します。

ブロックタイプに描く

ブロックタイプの水彩紙とは、四方が糊付けされているタイプの水彩紙です。これを使えば水張りはしなくても大丈夫!

ひよこ
ひよこ

こりゃ便利〜!

ですが、枚数が減ってくると、薄くなるのでたわみやすくなります。途中で糊が取れてきてしまうことも。特にサイズの大きいブロックタイプは、たわみやすいです。

水張りほどは頼りになりません。

あとは、一番上の水彩紙に色を塗っていると、下の水彩紙が湿気を吸って、風邪をひきやすくなるみたいです。今まで、風邪をひいてしまった水彩紙はブロックタイプが多いので。

とはいえ、やっぱりブロックタイプは便利でもありますね〜。

私はF3以下の小さいサイズで愛用しています。

大きめの水彩紙に小さい絵を描く

私、気づいてしまったんですよ…

大きめの水彩紙の真ん中のあたり小さめの絵を描くと、水彩紙がたわみにくいということに!

例えばF4の水彩紙に、ポストカードサイズの絵を1枚、ミニ原画サイズの絵を2枚描いたりするわけです。ただし、水彩紙の端っこは必ず空けておきます(少し余白を大きめに取るとさらに効果は高いです)

紙は端っこまで濡らされると、反り返りやすいです。逆に端っこは濡らさないでおけば、あまり真ん中は大きくたわまないんです。端っこから距離があればあるほど、たわみづらいです。濡れていない部分の紙が抑えてくれている感じなんです。

大きめの紙にあえて小さい絵を描く!

F4サイズの紙にSMサイズくらいの絵を描いています

この方法だと、背景がガッツリ描いてあるような絵でも、水張りなしでもあまり気にせず描けるんですね!

でも端っこはどうするの。
もったいなくない?

まあ、はじっこは確かにもったいないんですが…

でも絵が出来上がったあと、額に入れたり、保存のために絵のサイズに裁断するじゃないですか。

そうするとたくさん、紙の端がたくさん余るので…

私は色見本を作ったり、混色を試したり、にじみや、部分練習してみたり。ちゃんとした紙に描くほどのものではないけど、ちょこっと塗りたいこと、色遊びしたいことってあるじゃないですか。そんなときにこんな紙の端切れがお役立ちだったりします。

端切れも使い道あります!
かれは
かれは

これはこれで使えるので、
そこまで無駄じゃないと思うよ

水張りしなくてもいいタイプの絵もある

正直なところ、厚さが250g〜300gくらいあれば、水張りしなくても済むような絵もあります。

私の場合は、背景なしで人物が手前にバーンといるような絵は、ほとんど水張りの必要性を感じません。300gくらいの厚さの紙だと、そこまでベコベコにはなりませんし、さっきも言ったとおり、紙の端っこまで濡れなければ、大きく反ったりしないからです。

余白が多く、紙の真ん中にしか色がついてない絵は
水張りしなくても問題ない

そこまで背景を塗るときに、全面濡らすような工程がないなら、水張りしなくても特に問題ないかなあと思いますね。

その絵にどのくらいの絵具と水を使うか、で判断してみるといいかもしれません。以下のような条件に当てはまりそうなら、水張りしなくても大丈夫かもしれません。

  • 一気に濡らさずに、ちょっとずつ絵具で塗っていく。
  • 背景など、広い部分を濡らさない。
  • タッチがドライブラシ気味。

最後に

ということで水張りについて語ってみました。

私は水張りは得意でもないし、好きでもないのですが、全面に絵具を塗るようなタイプの絵だったら、初めから水張りをしておいた方が快適だと思います。水張りをしておくと、サイジングが落ち着いて描きやすいという効果もあります。

どの方法でもいいので、少しずつチャレンジしてみるといいと思います。

水張りの本質は、水彩紙を濡らして伸ばしてから、テープどめしておくと、描いているときに紙がたわまないので描きやすい!というものです。条件によって、どのくらいのたわみを許容できるかは変わってくるので、色々試してみてください。

ここからは私の昔話をしてみます。

高校3年生、卒業間際のことです。最後の美術の時間で描いたのは、日本画の岩絵具で百合でした。和紙をパネル張りしたのですが、めちゃめちゃ不器用な私は、うまくできずパネルの四隅にシワが寄ってしまいました。最後に美術の先生が、「百合はいいのに、紙にシワが寄っていてものすごく残念だ。こんなに下手なら水張りやってあげればよかった」とぽつり。やっぱり、水張りが絵の出来具合まで影響してしまうんだな〜〜と。苦い思い出と共に実家の玄関にその絵は飾られています(笑)

もう一つお話させてください。

これは私が20代前半作家歴も浅かった頃。著名なイラストレーターさんやベテラン作家さんとの合同展にありがたくも混ぜて頂いた時のこと。額縁に入った私の絵を斜めから見ていたベテラン作家さんが「あれ?この絵ちょっとたわみがあるけど、もしかして水張りしてない!?」と。当時から水張り大嫌い星人だった私は、不敵にも悪びれず「全然水張りしません」と白状してしまったんですね。「プロならば、水張りは必須!練習しなさい」と言われてしまいました。

ベテラン作家さんのおっしゃることは、本当に至極真っ当。それからは、水張りについて考えるようになりました。(しなくて済む方法も笑)

まあ、でもね。

いつもいつも「入魂!の制作」ではないじゃないですか。ちょっと思いついたときに気軽に描いてみたかったり、新しいことを試してみようだったり。そんなとき、全部の絵を水張りしてからでないと描けないのだとしたら、それはちょっと窮屈だな、と。

だから、気軽に制作を楽しめるように、簡単な水張りの方法や水張りしなくても済む方法を知っておくと何かの参考になるかも!と思って記事を書きました。

かれは
かれは

色々試してみてね✨

ひよこ
ひよこ

ちゃんとした水張りの道具がなくても
水張りできるんだね!

どれか合う方法があれば嬉しいです❗️皆さんの制作の手助けになりますように✨