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魔法の道具、オックスゴールについて

皆さんはオックスゴールって聞いたことがありますか?私も水彩歴が長い割に、ごく最近までオックスゴールの存在は知りませんでした。が、とても便利だったので、今回ご紹介したいと思います。今回は中級者向けです。

弾きの強い水彩紙

色々な水彩紙を使っていくと、時々、「弾きの強い水彩紙」というのに出会うことがあります。

これが、少し描き慣れるまでは分かりにくいのですが、塗ってみるとうまく水彩絵具がのらず、滑らかな線が描けなかったり、塗ったところがガサガサになったりします。

なぜ、こんなことが起こるのかというと、水彩紙の表面に塗られている「サイジング=にじみどめ」が強すぎるのです。

ひよこ
ひよこ

サイジングってなあに?

サイジングとは、紙に絵具や水をのせたときに、すぐに紙に吸い込まれてしまわないようにするものです。「にじみどめ」ともいいます。

これはサイジングがかかっていない紙に、絵具を塗ってみると分かりやすいのですが、そのような紙に絵具をのせると、絵具がすぐに紙の奥に吸い込まれてしまい、広い部分に塗り広げようとしてもできません。

水彩紙には、基本どれにもサイジングがかかっています。サイジングがかかっていると、紙に絵具が吸い込まれるまでに少し時間がかかります。だから、絵具を広範囲に塗り広げたり、グラデーションやにじみのような技法ができるのです。

サイジングがかかっているからこそ、絵具の塗り広げやにじみを作ることができる

そのサイジングの強さは、「水彩紙の種類によって違う」のです。

サイジングが強い紙は、ゆっくり平塗りやにじみの技法ができるので、にじみも大きく広がって綺麗に見えます。

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サイジングの強い水彩紙の代表格は、ウォーターフォードとアルシュかなあ、と思います。あとはアクリルデネブやワーグマン、シリウス、ランプライトやウィンザー&ニュートンのプロフェッショナル水彩紙もサイジングが強めで、最初のウォッシュが塗りづらかったりすることが多いです。

サイジングについては面白いページを見つけましたのでお時間ある時によかったら…(ちょっと読みづらい文章ですが)

ターナー ゴールデンテクニカルインフォメーション 絵具と紙

弾きの強い水彩紙にはオックスゴール!

サイジングの強い紙に絵具を塗ると、大体こんな感じになります。

コシの強い筆で塗っていますが、輪郭がガサガサです
乾くとこんな感じ。エッジがガサっとしてます。

輪郭線がギザギザになっていますね。使う筆にもよりますが、特に柔らかい筆で塗るとガサガサが増してます。何度も重ね塗りをしていくと少しずつ大丈夫になりますが、特に1回目の塗りが塗りづらいです。

そこで活躍するのがオックスゴールです!

オックスゴール!

これを塗ると、弾きの強い水彩紙でも滑らかに塗りやすくなります!なので、これをうまく活用してみましょう。

オックスゴールの使い方には2つあるようです。

  • オックスゴールを紙にあらかじめ塗っておく。
  • オックスゴールを絵具に混ぜながら塗る

紙にあらかじめ塗っておく方法を試してみましたが、うまくいく場合もあるし、効果が強すぎて、逆にきれいににじまなくなることも。そしてオックスゴール自体少し色がついているので、全面塗ると紙に色がつきます。水彩紙の状態は塗ってみないと分からないので、全面にガッツリ塗ってしまうのは、ちょっと難しい場面もある気がします。

おすすめの方法は少し絵具に混ぜて使う方法です。

ほんの少し混ぜて塗るだけで…

とても滑らかに塗ることができました!

塗ったところの輪郭線がとても滑らかになっていることが分かるでしょうか?これは快適!

絵具によっても弾きにくいもの、そうでないものがあったりするので、混ぜる量を調節して微調整できます。混ぜるオックスゴールはほんの少しで大丈夫です。少し混ぜるだけで、グンと絵具の伸びがよくなり、塗りやすくなりました!

絵具に少しだけオックスゴールを混ぜるのもよいのですが、筆洗水に3滴ほど垂らしておくのもよかったです。そこまでオックスゴールはたくさん必要ないので。少しの量できれいに塗ることができますよ!

何度も重ねていくうちに、にじみどめの威力は軽減され、滑らかに塗れるようになっていきます。特に一番最初のウォッシュに使うとよさそうです。

同じ紙なのに弾きが違う感じがする?

同じ水彩紙なのに、スケッチブックによって弾きの強さが違う感じがすることがあります。「この前使っていたスケッチブックはそこまで弾かなかったのに、今回買ったものはすごく弾く」みたいなことはよくあります。

かれは
かれは

同じ水彩紙でも、ちょっと弾きの強さは違うことがあるよ

ひよこ
ひよこ

いつも同じじゃないんだね

単純にロットによっても少し違う可能性もあります。あとは、水彩紙自体、時間が経つと風邪をひく現象(表面のサイジングが機能しなくなる現象)があるように、表面の状態は常に変化しているようです。

そのため画材店に長く置かれた水彩紙は、サイジングが少し弱くなっていることもあるんじゃないかと思います。(ひどい時には風邪をひきかけている水彩紙を買ってしまうことも)なので、同じ種類の水彩紙でも弾きの強さに差があるように感じるのではないかな、と考えています。

風邪ひき現象についてはこちら↓

また、リニューアルによってサイジングの具合が変わることもあります。古いアルシュはサイジングがかなり強めでしたが、最近買ったアルシュは、そこまで弾きが強くありませんでした。長い年月の間に少しずつリニューアルが入ったのだと思います。水彩紙は知らないうちに、少しリニューアルされ、使い心地が変わることもあります。

また、水張りをすると表面の弾きの強さは少し和らげられるようで、あまり弾きの強さを感じることはないようです。なので、必ず水張りして描く、という人は、弾きが強くて描きにくいと思うことが少ないそうです。

弾きにくい絵具もある?

弾きにくい絵具もあります。それがシュミンケホラダムの絵具です。絵具にオックスゴールが配合されているんです。なので、どの色を塗っても弾きにくいです。

長年、なんかシュミンケホラダムの絵具ってどの水彩紙でも塗りやすいんだよな…ムラにもならないし、と思っていたのですが、それがオックスゴールの効果であることが分かりました。(粒子の細かさなどもあると思います)

なので、どうしてもきれいに塗りたい!という場合は、よく使う色だけでもシュミンケホラダムの絵具を使うのもアリです。

が、やはり高い!という場合は、オックスゴールを状況に応じてうまく活用するのでも十分かもしれません。

※あとは、なぜか白が混ざっているパステルカラーは弾きにくいです。不透明色ほど、紙の影響を受けにくいような感じもします。このあたりは気のせいかもしれないです。確証を持てませんが、パステルカラーで下塗りしてみたら、わりと滑らかに塗れたので、色によっても違うのかもと思っています。

表面を自分好みにコントロールしてみよう

長い間「弾きが強い」の意味があまり実感できないでいました。

ようやく最近分かってきました。

それはサイジングがかかっていない紙を使ってみてからです。にじみどめの役割を唐突に理解しました。

にじみどめがかかっていない紙に描くと、水彩でもアルコールインクのようにその場で色が吸いこまれます。これでは塗り広げたり、滲ませたりの水彩技法は使えません。

なので、すぐに絵具が吸いこまれないようにするにじみどめって、水彩画の技法をする上でとっても大事なんですね。

ひよこ
ひよこ

オックスゴール使ってみようかな♪

ただ、それが強すぎても塗りにくい、という話なんですよね。

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このオックスゴール、なかなか優れものなので、最初の一塗りがガサガサしてしまいうまくいかない!という場合にはぜひ、おすすめします。

私は苦手だった水彩紙でも割と描けるようになりました。水彩紙を自分好みに調整できる魔法の道具です。