透明水彩の線画の記事を描きましたが、似たような絵を「線画をしっかり描いた場合」と「線画をはっきり描かない場合」に分けて、比較してみたいと思います。
線画の描き方で、雰囲気が変わるので、比べてみてください。
どちらが正解ということはないので、「好み」や「どういう風に見せたいか?」「絵柄との相性」を考えて参考にしてみてくださいね。
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まずは同じ線画を2つ用意しよう
まず、同じ線画を2つ用意したいと思います。同じような絵でないと比較がしづらいですもんね。
トレス台がないので、紙に描いた下絵の裏を黒く塗って、水彩紙に写そうかな。
とりあえず、トレーシングペーパーに下絵を描いてみました。
で、裏を色鉛筆でザクザク塗って、ボールペンで上から描いて、転写!
が…
薄すぎて全く見えなかったので、結局もう一度線を描き起こすことに。
うまくいきませんでした。
裏を塗るのは柔らかめの鉛筆が良かったかも〜
細部が適当なため、微妙に違う線画になってしまいました。
同じ絵の線画を用意するには、
- PCにスキャナで取り込んでから水彩紙にプリントアウトする(ただし、一般的な染料インクは水で滲んでしまうので、薄い色でプリントするとか、顔料インクを使うとか工夫が必要だと思います)
- カーボン紙や念紙で写す
- トレス台で写す
など色々方法があると思います。
線画のペン入れ
2つの線画のうち、左の線画にペン入れしたいと思います。
水彩の線画に使えるペンは、耐水性のものでなくてはいけません。上から水彩で塗ると滲んでしまっては困りますよね。
使ったのはピグマのセピア0.03と0.05
特にこだわりがあるわけではないのですが、黒だと色が濃すぎることが多いのでグレーや茶色が良いと思います。ただpigmaは廃盤が決まり、多くの色と太さがなくなってしまいました。セピアの0.03は続投のようですので、買うことができます。
ほかにも、コピックマルチライナーの耐水性のペンなので、透明水彩の線画として使うことができます。
ブラウンかグレーが濃すぎなくて、使いやすいかなと思います。
このあたりが一般的な、水彩のペン入れに使えるペンかなと思います。
丁寧に線画を描きますが、いつもすることではないので、割と苦戦してしまいました。ペンでなぞるタイミングは、実は色を塗る前ではなくて、少し塗ってからでも大丈夫です。
漫画とは違うので、そこまで厳密なペン入れでなくても大丈夫です。
色鉛筆は紫がかった赤茶色を使用しました。
線画を描いたあと着彩!
今回は同時に着彩してみました。
なるべく使う色も同じにしないと、比較しづらいと思ったので。
左を塗ったら、右を塗って…行ったり来たり。2枚同時に同じ絵を描くのは初めてだったので、とても変な感じがしました。
このあたりまではあまり差をつけないで塗りました。
このあたりから、ペン線画、色鉛筆線画のそれぞれの良さが活きるように、ちょっと塗り方や色ののせ方を工夫しました。
ペン線画と色鉛筆線画を比較しよう
完成品を見ていきましょう!こんな感じになりました。
どうでしょうか?
結構印象違いますよね。
いくつか全く違うところがあるので、一つずつ比べながら見ていきたいと思います。
①白い花の部分
ペン線画と色鉛筆線画では、白いものの表現に違いが感じられるのではないでしょうか?
ペン線画では白い花の形はくっきりしますが、色鉛筆線画では線が薄いので、あまりくっきりしていません。ですが、色鉛筆線画の方の白い花の方は、黒い境界がないため、より白っぽく見えたりもします。
②顔
目元や鼻、口元にペンが入ると、目鼻立ちがくっきりします。特に鼻は、ペンでなぞるか最後まで迷ったパーツです。鼻までペンを入れてしまうと、ちょっとキツめの顔だちになってしまうかもですね。。
顔立ちを、より立体的にしたい時やフワッと柔らかい雰囲気にしたい時は、色鉛筆線画の方がいいかもしれません。
表情も違って見えるね!
③髪の毛
髪の毛は、ペン線画の方は毛の流れが分かりやすいですが、立体感や質感が感じられにくく、平面的で装飾的になります。色鉛筆線画の方は、毛のふわふわ感やさらさら感など、質感の表現にも強いと感じました。
私はどちらも気に入っています。
④色が目立つのはどっち?
どちらも同じような濃さで塗ったつもりですが、花のオレンジやリボンの赤が、より目立つのは色鉛筆線画の方ではないでしょうか。黒い線があると、色の印象は少し和らぐようです。
色鉛筆線画の方は、線がほとんど目立たないので、色の印象を強くしたい時には、向いていると思います。
形がわかりやすいのはペン線画
色が際立つのが色鉛筆線画
⑤形が目立つのはどっち?
一方、複雑な形をはっきり見せることができるのは、ペン線画の方です。黒いしっかりした線があることで、花の形、リボンの形、髪の流れ、目鼻立ち、とにかく形を目立たせやすいです。
特に細かい装飾品や小物などを絵に取り入れたいときには、ペンを入れた方が、画面が混乱しません。
⑥どちらの方が色が薄くてもOKか?
あっさりした塗りに向いているのは、意外にもペン線画の方でした。黒い線がある分、あまり陰影や色彩などで説明しなくても、物足りなさがないのです。色を淡く仕上げたいときも、ペン線画の方がいいかもしれません。断然見やすさがあります。結構、線が効いている感じがしました。
色鉛筆線画の方は、線がないため、濃淡や陰影でしっかりコントラストをつけないと、形をはっきり見せることができませんでした。そういう意味だと、色鉛筆線画の方が、やや着彩の難度が高く、時間や手間もかかりがちでした。
上手にまとめてくださった方がいらっしゃったので、引用しちゃいますね…
ペン線画の方が線画を描くのに時間がかかりましたが、色鉛筆線画の方が、着彩に時間がかかりました(あくまで傾向の話です)
比較まとめ
ペン線画 | 色鉛筆線画 |
くっきりして見やすい | やわらかな表現 |
線があるため、着彩はあっさりでもOK | コントラストは強めに、色も強めに |
細かい小物などの描写に向く | 複雑な塗りに向く |
形をはっきり見せるのが得意 | 陰影や質感、色彩を見せるのが得意 |
これが線画比較して見て、感じたちがいです。もちろん、見る人によって他にも違いがあるかもしれません。
結構印象は違うんだねえ。。
最後に
というわけで、ペン線画と色鉛筆線画を比較してみました。今までなんとなくの違いを感じてはいたんですが、今回ちゃんと検証してみて、すごく納得しました。
ペン線画と色鉛筆線画では、思ったより印象が違うし、それぞれ得意なことも違うんですね。
ペン線画だと、漫画っぽくなるという方もいるんですが、ジャンルの問題ではなくて、「形をはっきり見せるのか、色彩や陰影、質感を見せたいのか」どちらの要素を見せたいのか、ということではないかと思いました。
ペン線画 VS 色鉛筆線画ではなくて、部分的に使い分けても面白いと思います。
あとは、好みや画風に合わせて、色々試してみたらいいかもしれません✨
どっちも良さがあるよね
そうだね!
線画の色や太さでも変わるので試してみてね!
将来漫画家を目指しているものです。まだまだ絵が下手で、イラストを毎日練習したりしています。
普段はペン線画をしているので、色鉛筆との差をあまりわかっていませんでした。でも、今回のこの記事を見てすごく納得させていただきました!
コメントありがとうございます!
漫画だとペン線画になりますよね。
はっきり分かりやすいのが魅力ですが、
透明水彩だったら色鉛筆も魅力的だと思います。
色々試してみてくださいね^^
面白かった!ありがとうございました
お役にたててよかったです!
自分はレトロチックな絵が描きたくてペン線画や色鉛筆の線画はどうも絵や描き方に合わず結局丸付け用の赤青鉛筆を使って線画を描くことが一番しっくり来ましたが色鉛筆の線画のときの塗り方がしっかりできておらずここに書いているやり方で塗るととてもしっくり来ました今度からは描きたい絵によって線画や塗り方を変えてみます!
ペン線画と色鉛筆の線画の違いわかりやすかったです!
参考になったようでよかったです!
線画の種類によって塗り方も変えてみると
雰囲気も変えられると思います。
線画の色も色々試してみるとよいですよ😊