今回は、「結局どの水彩紙から試していけば分からない!」という方のために、初心者🔰の方にもおすすめの水彩紙をご紹介したいと思います。水彩紙は、透明水彩を描くときに、とても大切なものです。どの水彩紙を選ぶか?で使えるテクニックも変わってきます。
Table of Contents
水彩紙にこだわる理由
30種類以上の水彩紙、画用紙で絵を描いてきましたが、水彩で描きやすいものはどうしても限られてきます。
「透明水彩でうまく塗れないことの悩み」は水彩紙が原因であることが多く、紙を変えるだけで、かなり世界が変わります。私も長年、重ね塗りができない、広範囲のウォッシュがムラになる、濃く色がのらない、ということで悩んでいましたが、ほとんどが紙を変えることで解決しました。

紙の要素はかなり大きいよ!
そして、最初からうまく描ける紙で練習した方が、様々なテクニックが試せるので、結局は上達も早いと思います。
上質な紙は、ただ値段が高いだけではなく、使えるテクニックの種類が多いというイメージです。
初心者の方だけではなく、かなり作品を描いてきている方でも、もしこの記事で紹介した水彩紙で使ったことのないものがあればぜひお試しください^^
1.まずはワトソン(ホワイト)
初めて、水彩紙を買う方におすすめの水彩紙はワトソン(ホワイト)です。多くの技法書でも、おすすめされており、知名度も高く、大体どこの画材店にも取り扱いがあります。

材質
この水彩紙はコットンとパルプの混合紙です。比率は分かりませんが、パルプの使い心地に近い紙です。
水彩紙の材質のことがわからない!という方はこちら
おすすめな理由
- 全ての技法(ぼかし、グラデーション、ムラなくウォッシュ)ができる
- 修正ができる(重ね塗りは、少しできる)
- 表面が強く、マスキングもできる
- クセがない(ニュートラル)
- お値段がお手頃

初心者におすすめとされるだけあって、あまりクセのない水彩紙だよ〜
ナチュラルではなくホワイト
ワトソンは「ナチュラル」と「ホワイト」の2色展開です。
ナチュラルはクリーム色、ホワイトは真っ白です。ワトソンのナチュラルはかなり黄色っぽく、クセがあるので、初心者の方はホワイトの方をおすすめします。ナチュラルの方は、青や紫が沈みがちで、肌色の調整も難しいです。
(他にもナチュラルとホワイトの2色展開している水彩紙はあるのですが、他の水彩紙のナチュラルはそこまで黄色味は強くありません。むしろナチュラルの方がおすすめ、というものもあります。すべての水彩紙でホワイト>ナチュラルということではありません^^)
ワトソンでできないこと
ワトソンはクセがなく使いやすいのですが、弱点もあります。
あまり重ね塗りができません。塗ったあとに、さらに色を重ねようとすると下の色が溶けてしまうことが多いです。下に塗る絵具を、染みつきの強い絵具に変えることで、少し解決できるのですが、色も限られてしまいます。次に紹介する水彩紙(コットン紙)に比べると、重ね塗りには弱いです。
あとは、色がそこまで濃厚につかないです。意識して、しっかり色をのせていかないと、淡い感じになりやすいです。

重ね塗りは、少しできるけど、あまりガッツリできないね
ただ、価格のバランスと入手のしやすさを考えると、コストパフォーマンスに優れた水彩紙で、入門用にはぴったりです。
2.コスパの高いホワイトアイビス
ワトソンを使いながら、試して欲しいのがホワイトアイビスです。

こちらはワトソンと同程度、もしくは少しプラスのお値段になります。
ホワイトアイビスの材質
こちらもワトソンと同じく、パルプとコットンの混合紙です。
比率は分かりませんが、コットン高配合と記載があることと、使い心地から考えても、かなりコットンの比率は高そうです。
おすすめな理由
表面はワトソンと比べると、ざらっとしていて、凹凸がはっきりしています。
なので、表面の感じは、好き嫌いが分かれるかもしれません。
ただ、水彩のノリがよく、かなり濃い色をのせることもできます。ワトソンでは、薄付きになりがちだった色もはっきりした感じになります。
コットン高配合をうたうだけあって、にじみなども、よく広がりかなりきれいにできます。
ただ、乾くのが早いので、じっくり塗りたい時にはたっぷり水を使った方がいいです。
そしてこの価格帯のものでは唯一重ね塗りができる!
これが一番のおすすめポイントです。

ある程度の価格の水彩紙にならないと、重ね塗りは上手くいかないのですが、ホワイトアイビスはかなり重ね塗りができるんです。なので、ワトソンの次にはぜひ、ホワイトアイビスを使って欲しいです。

割とコットン紙に近い水彩紙だよ〜
ただ、値段が安いから、コスパはいい!
3.次に試して欲しい!コットン紙3種
ワトソンホワイト、ホワイトアイビスに慣れてきたら、次に試して欲しいのはコットン100%の水彩紙!
コットン紙って何?という方はこちら→コットン紙とは?(水彩紙のきほん)
なぜ初心者でもコットン紙がおすすめなの?
パルプ紙を何種類も試すより、まず、コットン紙を使ってみることをおすすめしています。まだ、画力が追いつかない〜と遠慮される方もいるのですが、初心者でもコットン紙にトライしてみて欲しいなと思います。
コットン紙では、にじみや重ね塗りのレベルが1段階違うのです。驚くほどきれいにできます。特に広範囲をムラなくウォッシュしたり、グラデーションをかけたり、大きくウェットインウェットをしたり、重ね塗りをしたり、といったことはコットン紙でしか、できません。
全体として、きれいにできる技法の種類が多い!

色々技法を試せる紙を使った方が、早く上手くなるかも…
パルプ紙でも、かなり描き心地のいい紙も存在するのですが、そういうものは結局コットン紙と同じくらいの値段だったりもします。
コットン紙の中でも、価格の違いと入手のしやすさに差があるので、手にしやすいものからおすすめしますね。
まずはこの3つのコットン紙を試して!
ワトソンの次にトライして欲しいのは、この3つ!!
- ウォーターフォード(ナチュラル※)
- ストラスモア
- ランプライト
(※ウォーターフォードは、ナチュラルとホワイトと2色展開ですが、こちらはナチュラルの方が、乾くのがゆっくりで初心者にはおすすめ。と思うのですが、気になる方は2つとも試してみた方が良いかもしれません。)
この3つのコットン紙は、すべてコットン100%の水彩紙でありながら、使い心地がかなり違います。(というより、性格が違う、といった方がいいかも^^)
そして、色々あるコットン紙の中では、この3つは比較的お手頃です。この中でも一番安いのが、ランプライトで、ウォーターフォードとストラスモアは同じくらいの価格帯です。
3つのコットン紙の共通点
ウォーターフォード、ストラスモア、ランプライトの3種類の水彩紙の共通点は・・・
- にじみ、グラデーション、ウォッシュがきれいにできる(ただ、にじむスピードや広がり方は違う)
- 重ね塗りができる(どの程度重ねられるかは、差がある)
- 表面が強く、マスキングできる
- 発色がよい(鮮やかさには差がある)
3つのコットン紙のちがい
この3つのコットン紙が、どう違うのかは、実際に試していただいた方が良いのですが、簡単に。
定着のよさ
ウォーターフォード>ストラスモア>ランプライト
発色の鮮やかさ
ストラスモア>ランプライト>ウォーターフォード(ナチュラル)
紙肌の細かさ
ランプライト>ストラスモア>ウォーターフォード
チェックポイント
どんな絵を描きたいかによって、どの紙が合いそうか?は違ってきます。チェックするポイントは
- にじみの広がりかた(大きく広がるものもあれば、あまり広がらないものもある)
- 乾くスピード(にじみの広がりに関わってくる)
- 重ね塗りがどのくらいできるか?
- 発色、鮮やかな方がいいか、少し落ち着いたのが好みか?
- リフティングの技法は使うか?
- 紙肌の荒さ。細かくかきこめるか、ペンや色鉛筆を使うか、とも関係あり
などです。一つ一つの詳しいレビューが見たい方はこちらからどうぞ↓

これはあくまで印象だけど、ウォーターフォード派の人とストラスモア派の人に分かれる気がする。なので、3つはどれも使って欲しいなあ。
3.他のコットン紙も買ってみる
ワトソン、3種のコットン紙(ウォーターフォード、ストラスモア、ランプライト)を試したあとは、さらに高機能なコットン紙にもトライしてみたらよいと思います。ただこちらのクラスのものになると、かなり価格も高くなるので、3種のコットン紙をしばらく使ってみて、慣れてきたらでもよいかもしれません。
何となくですけれど、3つの中で、ウォーターフォードが気に入る人はアルシュも好きな気がします。アルシュは意外と万人向けではないのですが、にじみや重ね塗りはきれいにできますウォーターフォードのようにゆっくり乾き、にじみが大きく広がります。

他にも、ラングトンプレステージやハーネミューレセザンヌやキャンソンヘリテージなども、とってもおすすめです。抜群にコントロールが効きますし、かなり細かく描くこともできます。特にセザンヌは、絵具が、スッと吸い込まれる感じで、美しい塗りができます。

私はセザンヌ、おすすめです!
オリオンスターターパックでも試せるのでぜひ!
残念なことに水彩紙は高価なものほど、機能もあがります。ただ、相性はあるので、使い試しはした方がよいと思います。
パルプ紙は試さなくてよいのか?ということですが、もちろんパルプはパルプのよさがあるけれど、透明水彩を使うなら、早いうちにコットン紙へのチャレンジをおすすめします。そして、自分の中での基準を作っておくとよいです。ある程度、コットン紙を使ったあとに、パルプ紙を使うと、どんなことができる紙なのかよく分かると思います。
まとめ
- まずはワトソンホワイト↓
- ホワイトアイビスにもトライ
- 次に、3種コットン紙(ウォーターフォード、ストラスモア、ランプライトにトライ)
- 最後に高級水彩紙(アルシュ、セザンヌ、ラングトンプレステージ、キャンソンヘリテージなど)
- 自分なりの基準ができたあと、他の水彩紙にもトライ。パルプや混合紙、和紙、などなど
私もかなり色々な紙を試し、失敗もしました。使い切るのに苦労した紙もありましたし、重ね塗りが出来ない紙で、何度も重ねて塗って汚くなってしまったり。途中まで、うまくいっていたのに、最後にマスキングを剥がす時に、紙が破れてしまったり。

この失敗はあるあるだね〜
買った紙でにじみや重ね塗りを試し、これなら、自信を持ってすすめられる!というものを厳選しました。個人的にはランプライトとストラスモア、セザンヌに、ファブリアーノアルティスティコがお気に入りです。(自分の表現に合うと感じる水彩紙)
もちろん気に入るものはそれぞれ違うので、いいものが見つかりますように。。
便利な価格表です。価格を見ながら、買うものを決めるのもおすすめです…!