今回は透明水彩でのグラデーションについてお話ししたいと思います。
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透明水彩でグラデーションは難しい？
今回紹介するのは、透明水彩の技法、グラデーションです。グラデーション自体は透明水彩だけでなく、不透明水彩、アクリル絵具、油絵具など、さまざな画材でできる技法なのですが、透明水彩でのグラデーションは特に難しいです。
透明水彩では水加減ですぐに色が変わってしまうので、同じ調子で、広い部分をムラなく塗り広げるとうことが難しいです。その応用編である、色を変化させていくグラデーションはさらに難しい技法となります。
透明水彩は、濃淡を作ったり、にじませたりすることが得意な画材。均一に、ムラなく塗ったり、色を少しずつ変えてコントロールするというのは少し苦手な画材です。
ですが！透明水彩できれいなグラデーションを作りたいですよね！背景や風景など広い部分にきれいなグラデーションがあったら、素敵なんですよね〜！
私もグラデーションの技法は、主に大作で使っています。やはり背景、主に、空と海が多いです。広い面が多く、失敗することができないので、毎回とても緊張します。これだけは感覚でやることができないので、普段から時々練習することにしています。
今回はそんなグラデーションの完全ガイド。
まずは大きめの筆を用意しよう
まずは大きめの筆を用意します。グラデーションをきれいに決めるには、とにかく筆が大事です。まず用意するのは平筆です。この画像のような１６号くらいの平筆がないか、家を探してみましょう。平筆か、先端が丸くなっているフィルバートという形も塗りあとがつきにくくおすすめです。
もちろん大きな紙になるほど、大きな筆が必要です。自分の想定よりも大きな筆があると、たっぷり絵具をふくませてきれいに塗ることができます。背景をしっかり描いてみたい人は、大きめな刷毛や連筆も購入してみましょう。（刷毛は水張りの時にも使えます）
グラデーションの場合、色を変えていくので、ガラッと色を変化させる時は2本以上あった方がいいかもしれません。例えば、青から急に黄色に変えたい時など。夕焼け空にこういう部分があったりします。黄色から、徐々にオレンジ、赤と変化していく部分は1本の筆でできます。
ハガキサイズ〜SMで挑戦、水張りしよう
最初から大きな紙でグラデーションを作るのは難しいので、まず、小さな紙で練習してみるのがおすすめです。ハガキサイズの紙が手に入れば、お手軽でおすすめです。SMサイズでもOKです。
グラデーションは紙全体を濡らすので、かなり分厚い紙でも、湾曲していまいます。なので、できれば水張りをしっかりしていくのがベスト！できるだけ紙がきれいにまっすぐなっていた方が絵具が一部に溜まってしまうのを防げます。
どうしても面倒なら、簡単にマスキングテープなどで四方を留めておきます。塗っている時に少しボコボコしますが、乾いてしまえば真っ直ぐになります。木の板などあればベストですが、スケッチブックの裏表紙に貼っておけば大丈夫です。練習ですので！！
使う紙のおすすめ
使う紙は、できればコットン100%紙がおすすめです。（ゆっくり乾くので、ムラにならずに、きれいに塗りやすいです！）
コットン紙が手に入らない時には、ワトソン紙、ホワイトアイビスがおすすめです（コットンとパルプの混合紙です）パルプ紙は乾くのが早く、きれいに仕上げるのはちょっとコツが必要になります。
パルプ紙を使う場合は、表面を触ってみて、ざらざらボコボコしているものを選ぶと、グラデーションは比較的やりやすいです。
２種類のグラデーションを練習
グラデーションには大きく分けて２パターンあります。1色の濃淡で仕上げるグラデーションと、2色以上で色を変化させていくグラデーションです。
1色の方が易しいので、1色から練習してみます。
1色の濃淡でグラデーション
使う色は、フタロブルーやプルシャンブルーなど粒子の細かい色で練習してみます。粒子の荒い色（ウルトラマリン、セルリアンブルー、コバルトブルー）でももちろんできるのですが、紙の模様が浮き出やすいので、色の変化が見にくいような気がしています。
絵具はたっぷりめに、使いたい色を溶いておきます。途中でつぎたすと色が変わりやすいので、かなり多めに作っておきます。（私は途中でよく足りなくなり、継ぎ足してしまいますが、それでムラになりやすいです）
必ず、濃い部分から塗っていきます。
少しずつ、水を足して、薄くしていきます。
と、簡単に書いてしまいますが、結構難しいです。。
コツは急に水を増やしすぎないことです。水たっぷりで塗ると水が絵具のほうに広がってしまい、バックランとなります。失敗です。。
2色以上でグラデーション
どの色からどの色に変化させていくか選びます。最初のおすすめは、黄色〜オレンジのグラデーションです。慣れていなくても成功しやすいです。両方の色を水で溶いて、作っておきます。二つの色を混ぜた中間の色も作っておくと塗りやすいです。
横方向に1色を塗った後、少し色を変化させたものを塗り、乾かないうちにもう1色も塗り広げていきます。
言うや易し。これまた実際に塗ってみると難しいです。
慣れるしかないのです。コツは、やっぱり濃度を一定に保つこと。何度も塗り直さず、手早く塗り進めること。水が多いと一気にバックランです。
とにかく練習しましょう。。
絵に取り入れる時のコツ
背景にグラデーションを取り入れる場合は、最初に背景から塗ってしまうのがおすすめです。先に前方の人物や建物を仕上げてから、背景だけを塗ると、背景だけが浮きやすいです。
また、グラデーションはきれいに塗るのが難しく、思うようにいかないこともあるので、人物を描いたあとに背景を失敗するとショックが大きいです。なので、先に背景のグラデーションを仕上げてしまい、そのあとで、それに合わせて前景を描いていく方がおすすめです。
背景のグラデーションを仕上げる際、しっかりマスキングをして、人物などに絵具がかからないようにするのがいいのか、ぼんやりとぼかしつつ絵具がつくのを避けるのかいいのか、色々な方法があります。
不透明水彩を使うのもおすすめ
本気でグラデーションを極めようと思ったら、透明水彩では限界があると感じています。ではどんな絵具がいいかというと、不透明水彩です。
特にニッカーのデザイナースカラーは、絵具自体が柔らかく伸びが良いので、グラデーション技法にぴったりの絵具です。透明水彩とちがって絵具が流れにくいので、格段にコントロールしやすくなります。私もこの絵具に出会ってからグラデーションを作るのがとても楽しくなりました。
しっかり刷毛を使えば均一なグラデーションも作れますし、丸筆でランダムに色を変化させて塗っていくのもよいです。
グラデーションまとめ
- 透明水彩でグラデーションは難しい！なのでたくさん練習するのがおすすめ
- 大きめの筆があると塗りやすい
- 最初はハガキやSMサイズなど小さな紙で練習
- コットン100％紙がおすすめ
- 単色グラデーションと多色グラデーションがあるが、まずは単色グラデーションから練習してみよう
- 本気でやるなら不透明水彩がおすすめ
いかがだったでしょうか。透明水彩では、「均一に塗る」のが難しい画材です。水分が多いので、紙の上で水が流れやすいためです。なので、均一なグラデーション、均一なウォッシュはちょっとコツが入ります。うまくできるかは、紙選びも大切になってくるので、色々な紙を試してみると良いと思います。触った時に、ざらざらしていたり凹凸が大きいものほど、乾くのがゆっくりで、きれいなグラデーションになりやすいです。
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